血の轍の第5集が2月28日に発売する。
もちろん既に予約済。
前巻では吹石への敵意を露わにした静子に対して、静一が吹石を守ることを選択した。
5巻は気になるその続きから。
5巻の内容は主に吹石と静一の初々しい二人のやりとりだ。
いや、そう書くと何だか爽やかな内容が収録されてるっぽいけど、実はかなり生々しいやりとりが展開されていて読んでて一体どういう顔をすればいいのかわからなかった……。
個人的には、本棚に収まっている第1巻~5巻の中で他人に絶対に手に取って欲しくない一冊かな。
オッサンがこの一冊を読んでると思われると一気に引かれそう(笑)。
そのくらい、正直気持ち悪い巻だと思う。
吹石が見せる積極性に、静一が羨ましい一方で、また怖いだろうなとも思う。
初々しいはずなのに、とんでもないエロスを感じる。
これを想像だけで描いている押見先生の才能には脱帽するしかない。
表紙の色使いが新鮮だと感じる。
4巻までの表紙と同様に、幸せな母と子に見えるのは変わらない。
実際、しげるのことがなければ少なくとも静一は若干のもやもやを抱えつつも、概ね幸せだっただろう。
でも静子は、少なくとも第1話時点から既に心の内に強いストレスを抱えていた。
それはいつか、何かをきっかけに爆発していたはずだ。
静子は誰にも相談出来ずに抱え込む性分であり、自分が悩んでいることを夫にも子にも感付かせることすらなかった。それまでの生育過程はまだ不明だが、おそらくはこれまでの人生を通して、表面上は穏やかな人物を演じることに慣れてしまっているのではないか。
そういう自分を演じれば演じるほど、心の叫びを自分の内へ内へと閉じ込めるための心の壁を厚く塗り固めていったのだと思う。
第5巻では、静子の心の内に”愛してもらえなかった”という鬱屈した感情が渦巻いていたことが発覚する。
だからこそ静子は静一をその分愛してきたが、それを親族に過保護だと馬鹿にされてきたことが、静子が親族に対して深い恨みを抱く原因となったようだ。
しげるのことをきっかけにしておかしくなったとというべきか。
それとも既におかしくなっており、山でチャンスがあったから恨みを晴らしたというべきなのか。
自分は今のところ、あの山での静子の犯行は正気で行ったわけではなく、魔が差してしまったからだと思っているが、まだその真偽はわからない。
現在、最新話である第45話ではまたとんでもない展開になっている。
しかしとりあえず、そこに至るまでの過程としてぜひ5巻をチェックすべきだ。
目次
血の轍 第5集
第34話 捨てる
母を退けることに成功した静一。吹石は静一に母から逃げるべきだとして、ある提案をする。
第35話 彼女の部屋
吹石に連れられてやってきたのは吹石家だった。
第36話 契約
風呂を済ませた吹石に誘われ、静一は同じベッドに……。
第37話 目覚め
翌朝を迎えた静一が目覚めたのは眠りからだけではなかった。
第38話 雨
土曜日で学校が休みのため、穏やかな時間を過ごす二人。
しかしそれは束の間の幸せに過ぎなかった。
第39話 濡れる声
昨夜決別したばかりなのに……。
母の嘆きが静一の胸に迫る。
第40話 罪悪
中学生には、誰にも侵されない平和な時間など一日ともたない。
第41話 内なる目(雑誌掲載時:B)
二人で逃げた先で、頼れるのは互いしかない。
しかしお互いに同じ気持ちの温度であるかは別だった。
第41話途中まで(雑誌掲載時:第42話 両岸)
どちらが悪いわけでもない。
若すぎる二人の迎えた顛末とは。
5巻の大幅な加筆修正点まとめ
※発売後に追記予定。
あわせてよみたい
押見修造先生のおすすめ作品や経歴をなるべく詳細にまとめました。
血の轍第1集のレビュー。
血の轍第2集のレビュー。
血の轍第3集のレビュー。
血の轍第4集のレビュー。
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