血の轍 最新第144話肉体ネタバレを含む感想と考察。衰えた静子の肉体を前に静一は何を思う。

血の轍 8巻

第144話 肉体

第143話のおさらい

静一は仕事を終えると静子のアパートを訪ねて、生きる気力をすっかり失ってしまったかのように、日がな寝た切り状態の静子に食事を食べさせたりと世話をする日々を送っていた。

ある日、静一が静子の元を訪ねると、静一は異臭に気付く。
慌てて静子の描け布団をはぎ取ると、静子は便を漏らしており、それは敷布団にすっかり染みてしまっていた。
しかし静子は全く動いた様子がなく、そのままの状態で体を横たえていたのだった。

たまらず静一は静子に話を聞くべく静子の肩をゆすって起こそうとする。
そこで静一が見た静子の横顔は無表情で、すっかり自分を失ってしまっていた。

静子の虚ろな目をじっと見つける静一。
うー、とわずかに呻き声を上げている静子を前に、静一は心の中で呟く。
(こぼれちゃう。)

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第144話

いや、マジできついな……。
紙面から漂ってくるような便臭も、今後の静子や静一の行く末に希望が見えない状況なのも……。

静一は今後どうなる?
このまま静子の面倒を見ることになるんだろうけど、一体どこまでやるのか。
静子のアパートまで毎日通い続けるのか?
それとも施設に預けることになるのか?

今の静子は、放っておいたらそのまま何もせずに死を受け入れてしまう。
元々落ちていた認知能力がさらに損なわれてきているが、それよりもマズイのは生きる気力自体がもう完全になくなっているということだ。

こういう状態だと要介護認定ってどうなるんだろう?

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つくづくすごい漫画だわ。この筆致で子が親が漏らした後始末を初めて行う瞬間を描く……。
自分がその状況に直面したら、他者の便を片付けなければならないことももちろんだが、それ以上に、かつては大きな存在だった親が見る影もなく衰えてしまったという事実に大変なショックを受けるだろうと思った。

いずれ自分も静一と同じように親がかつての姿から大きく失われた姿を直視せざるを得ない時が来るのか。その時を思うと今からじんわりと不安になる。親が老いて、いつか亡くなることなんて至極当たり前の現実なんだけど、でもこうして丁寧な描写を見ると嫌な感じがジワジワと胸に来る。今の自分がまさに静一と同じくらいの世代だからこそ、特に容易に静一に自分を重ねてしまい、そう感じているのかもしれない。

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静一にとって静子は本当に大きな存在だった。
自分を可愛がってくれて、しかし過剰なまでに支配してきた。静一はそのストレスに耐え切れずについには凶行に走ってしまい、人生を大きく狂わせる。憎むべき存在であると同時に、それでも心の根底では求めてしまっていた。
でもそんな静子が見る影もなく衰えてしまった。
静一の気持ちを考えると、本当に色々な気持ちが複雑に混ざり合っていることだろうなと思う。
静子の過去の話を聞いて、彼女の理解が進んだことで静一はようやく少し落ち着けるようになったのに、今度は今後の静子の世話をどうしていくかという現実に直面することになったわけだ。静一はそこまで高給を得ているわけではないから特にその現実は重くのしかかるのではないか。

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しかし今回の話における静一の行動は素晴らしい。過去にひどい仕打ちを受けて、人生が台無しになっているのに、その過去を超えて静子をきちんと世話しているわけだから。
風呂場で静子にシャワーを浴びせながら、優しくその背に触れる静一の表情がたまらないな……。今の静子の姿を心から憐れと思う気持ちが伝わってきた。

今後、静一と静子はどうなっていくのだろう。
果たして静一がこの状況にどう対処していくか見守っていきたい。

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