第14話 吉田に読む物語
第13話のおさらい
少年は九郎から、別れ際に外国人を見つけることを依頼される。
それは下着泥棒をした汚名を帳消しにするためであり、九郎のスマホに録音されている川戸の音声データを手に入れるためでもあった。
少年の自宅があるアパートに辿り着くと、アパートの階段には深夜にもかかわらず少女が座っていた。
ドローンを飛ばしているからという理由でドロ兄というあだ名をつけられていた少年は、もう下着泥棒をする必要がなく、ドローンを飛ばさないからドロ兄ではないことを少女に告げる。
少女、純粋愛(じゅんな)は少年がもうドローンをいらないなら欲しい、と少年にドローンをねだる。
売るからダメと拒否する少年だったが、結局ドローンを触れなかったと残念そうな純粋愛の様子に、少し考えてこの辺りにいるという変態外国人について問いかける。
ヘンタイならすぐにわかる、と返す純粋愛に少年は外国人の特徴を告げ、もし見つけたならドローンを操作させることを約束して二階の自分の部屋に入っていく。
それと同時に、落ち武者のような容姿の中年男性が、純粋愛のそばを通りかかる。
何気ない会話を交わす純粋愛と落ち武者だったが、そこに純粋愛の父親が現れ、落ち武者を威嚇する。
落ち武者は父親のあまりの剣幕に、慌てて自分の部屋へと逃げ帰る。
帰宅した落ち武者は深呼吸すると、すぐにちゃぶ台の前に座り原稿用紙にペンを走らせていた。
落ち武者はその間を吉田昭和という言い、20数年間もの間、売れない歴史小説家だった。
吉田は食事を済ませて、この日は寝ることにした。
玄関のドアのロックを外して、窓も同じように鍵を外す。
そして、今夜こそぜひ来てください、と儀式のように目を閉じて手を合わせてから布団に入る。
セキュリティがほぼゼロの状態に加えて、ダメ押しとばかりにアイマスクをかけて横になる吉田。
吉田はいつもこのようにして寝ることが習慣になっていた。
その習慣は、10数年前にやはり現在の自宅で眠ろうとしていた時、枕元に忍者が出現して以来続いていたのだった。
第14話 吉田に読む物語
夜毎やってくる忍者たち
ある夜、床に就いていた小説家吉田昭和はふと気づくと首元に刀を突きつけられていた。
枕元であぐらをかいているその男はマスクをしたその顔の前で人差し指を立て、しー、と長く息を吐き、吉田が騒がないように警告する。
男の眼つきや目元のしわから50代くらいの忍者だと感じた吉田は、目をつぶるように命令されてそれに従う。
吉田が素直に目を閉じると、男は突然、1996年に日本大使公邸にテロリストが侵入し、日本人100名を人質にとって立てこもった事件について切り出す。
吉田はそれを聞きながら、在ペロン日本大使公邸占拠事件のことだと見当をつけながら、男の話の続きを聞いていた。
世間一般に知られているのは、その後、ペロン共和国特殊部隊が公邸に地下から突入して人質を助けて、テロリストを全員掃討したという事実だった。
しかし忍者曰く、実はその一時間前に彼を含む忍者7名が先に公邸に潜入し、テロリストを殺さずに無力化に成功していたのだが、それにも関わらず特殊部隊による突入作戦が始まったのだという。
なぜなのか、と疑問を素直に感じていた吉田の思考を読んだように忍者はその理由を答える。
それは、ペロン共和国大統領の目的は人質の中にいる政敵の暗殺のためだった。
結果、先に潜入して人質を助けていた忍者は、大統領の命を受けた特殊部隊200名と戦うことになったのだった。
世間に知られていることとはかけ離れた話の内容に夢中になる吉田。
男は、この出来事によって5人の仲間が亡くなったという真実が知られていない、と言い残して吉田の前から姿を消していた。
吉田は、忍者が自分に対してこのような独白をした動機が小説家の自分にこの真実を世に広めて欲しかったのではないかと考えていた。
そして当時貧窮しきっていた吉田は、忍者から聞いた話をネタにして『7人の忍者 大使公邸を奪還せよ』という小説を出版。
そこそこ売れるが、内容を真実だと認める者はいなかった。
しかしその小説が世に出たことを機に、次々と別の忍者が床に就いている吉田の前に現れるようになる。
忍者たちはいずれも世の中で知られていない話を吉田に伝えていく。
その中には、佐々魔の姿もあった。
そしてある夜、ラップ調に話をする長髪の男が吉田の前に現れる。
男の話の内容を聞きハズレだと感じていた吉田のアイマスクを忍者がズラす。
吉田が見た忍者は、おでこから右目、そして喉元にかけて稲妻の痕跡が残っていた。
「俺を見ろ!! 俺は必ず『雲隠九郎』を殺す」
謎の女性
吉田の元に忍者たちが現れるようになってから10数年。
その夜、吉田の枕元に現れたのはいつものような忍者とは少し様子が違っていた。
吉田は長年の経験から、忍者がやってくるのを気配で感じられるようになっていた。
しかしその夜は訪問者から声をかけられるまで気づくことが出来なかった。
その人物――女性は、吉田に対して、忍びどもの与太話を本人しているのはお前か、と確認する。
張り詰めた空気を感じていた吉田は、恐怖を感じて金縛りのように身動きをとれずにいた。
「地上の『忍びとも』は全て滅ぼす」
女性はそれだけ言って、踵を返す。
吉田は死を覚悟して、なぜ忍者を滅ぼすのか、と質問しようとするも、恐怖のあまり声が出ない。
そして吉田の記憶には、この女性だけがこれまで自分の枕元にやってきて過去の話をしていった忍者たちと異なり、未来の話をしていたことが強く印象付けられていたのだった。
感想
ライバルキャラ登場?
九郎に恨みを持っているキャラが登場。
彼のラップの内容から、どうやら彼は忍者学校で主席の実力の持ち主であり、卒業試験は友人の九郎が相手だったようだ。
しかし九郎の策にハマって落雷を食らってしまい、九郎が戦わずして勝利。
その後、彼は何とか回復したが、右目から喉元にかけて落雷を受けた痕跡が残った。
多分、この感じだと右目は見えないっぽい?
要するに、彼は不本意な形で九郎にキャリアを狂わされたわけだ。
闇を歩むというのは、つまり上忍、中忍はおろか、下忍ですらない?
そもそも忍者が闇の存在だと思うけど、その中でもさらにアウトサイダーということ?
どうやら九郎への恨みはかなり深そうだ。
今のところ、九郎のライバル的なキャラとみてよいだろう。
どこかで九郎と戦うことになると思うので、彼の特徴とともに覚えておいた方がいいだろう。
次はいつ登場するのか楽しみだ。
忍びを全て滅ぼす
最後に出てきた着物の女性の存在は、九郎に恨みを持つ忍者よりも不気味だと思った。
そして同時に、これまで出てきた中では最もスケールが大きいと感じた。
忍者を目の敵にしている?
とりあえずその存在が何なのか、現時点では情報が足りな過ぎて見当もつかない。
ここにきてどんどんキャラを配置してきてるなぁ。
早く九郎の外国人との戦いや、講談高校への潜入任務を見たいんだけど……。
果たしてこれらの散らばっている要素がどう絡まり合って、収束していくのか、今から楽しみだ。
以上、アンダーニンジャ第14話のネタバレを含む感想と考察でした。
第15話に続きます
コメントを残す