血の轍 最新第48話血の誓約ネタバレを含む感想と考察。静一は静子に絶対の忠誠を誓う。そして病室のしげるに異変が。

血の轍 第33話 静子

第48話 血の誓約

第47話のおさらい

静子が、きったいない、と吐き捨てるのを静一は呆然と聞いていた。

静子は静一が汚したパンツを摘んだまま、静一に追求を続ける。

吹石から迫られたのか、キス以上のことはしていないのかと問われ、コク、と無言で頷く静一。

しかし静子は信じようとせず、淡々と、しかし核心を抉る無慈悲な追及は延々と続いていく。

それを受け、静一は俯き、ただただ涙を流していた。

しかし健気にも、懸命に静子からの問いに答えようとする。

吃音の症状はひどくなっていたが、パンツを汚した射精に関してはひとりでに出てしまったと答える静一。

しかし静子はまるで汚いものでも見るような、蔑んだ視線を静一に向ける。

 

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それを受けて、静一は自分が大変なことをしてしまったと思い知り、両手を震わせる。

ひどくなった吃音に構わず、謝罪しようとする静一に、静子はあくまで冷淡な態度を崩さない。

静子は、何を謝ってるん? と静一を突き放す。

そしてダメ押しとばかりに、あったことを全てを言うように、と静一を追い込む。

逃げ場をなくし、静一は絶望していた。

吃音に苦しみつつ、正直にその後の出来事を説明していく。

静子が吹石家にやってきたのをベランダから見ていた。

吹石の父親に見つかり、吹石が投げたコンポは父親を出血させた。

吹石と二人でコロンバス通りのトンネルに逃げて、そこで吹石からキスをされ、胸に手を当てがわれた。

静一は全てを正直に説明する。

「でも、でもぼく…僕はっ…!」

 

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次の瞬間、静子は弁明を始めようとした静一の頭に向けてパンツを投げつけていた。

投げつけられたパンツを頭に乗せたまま、静一は呆然と静子を見上げる。

「うそつき。」

静子は異様な表情で静一を見下ろす。

「はやくきえて。いなくなって。ママのまえから。」

静一はかつて見た事が無いような母の表情を、ただ茫然と見つめていた。

しかし静一がママと言おうとした瞬間、静子が静一の腕を掴んで強引に立たせる。

「ほら!! はやく!!」

静子が言葉に怒気を込める。
静子に廊下を引きずられていく静一。

静一は必死に静子に呼びかけるが、静子は問答無用で玄関から静一を外に放り出す。

ちがう、と弁明しようとする静一を静子は全く意に介さない。
すぐにドアを施錠して静一を締め出してしまう。

「…ママ!!!」

玄関に四つん這いになり、静一は必死に静子に呼びかける。

「ちがうよ僕は…! ママを選んで戻って来たんだよっ!!」

 

第47話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

 

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第48話 血の誓約

必死の訴え

雨の降りしきる夜、静一は静子によって玄関から外に引きずり出され、締め出されていた。

静一は玄関に跪き、静子に向かって必死に、自分はママを選んで戻って来たのだと訴える。

玄関ドアの内側からは反応はない。

「ママの目が…頭の中で見てるから…! 吹石を捨ててきたんだ…!」
泣きながら、ごめんなさい、と玄関の内側にいる静子に謝罪する静一。

「こんな…子供で…ごめ……」

「きっ…嫌いにっ ならないでっ…!」

「なおすから…! もう変なことやらない! 考えないから!」

「変なの…出したりしないから…!」

「ずっと…いい子でいるから…!」

「僕を…捨てないで…!」

 

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それだけ必死に言葉を絞り出しても、静子からの反応はない。

雨が地面を叩く音だけが辺りに響く。

静一は玄関に土下座のような形で、ただただ涙を流し続けていた。

「……ママ…ごめんなさい…ママの気持ち…わかってなくて……」

「ママがずっと…つらかったんだって…! わかったから…!」

静一の目から溢れる大粒の涙は止めどなく玄関のタイルに落ちていく。

「おばちゃんもしげちゃんもい…おじいちゃんもおばあちゃんも…!」

「パパの…ことも…みんな嫌いだって…わかったから!」

 

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完全に土下座して静子への誠意を示そうとする静一。
「僕も…嫌いになるから…! 吹石も…嫌いになるから…!」

「だから…許して…!」

静一は顔を玄関のタイルにくっつけるほど頭を下げながら必死に訴える。

「嫌いになる? さいしょっから嫌いだったんだいね?」

玄関ドアの内側から聞こえてきた静子の声に、静一は思わず頭を上げる。
「…最初…っから…だった…そうだった……」

「これからどうするん? 吹石さんとは?」
ドアの内側から声が響く。

静一はドアを開けた先にいるはずの静子に視線を向けていた。
「……もう…近寄らない。」

「僕が…いやだから。嫌いだから。」

 

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指切り

しばらく雨の音だけが聞こえていた。

ドアを凝視する静一。

ガチャ

ドアが僅かに開く。
その隙間から静子の冷たく淀んだ眼だけが静一を観察するように覗き込んでいた。

静一はようやく開いたドアから見えた静子をじっと見続ける。

ドア越しに、しばらく視線を合わせる二人。

やがてゆっくりと静子の右手が玄関ドアの隙間から静一の方に伸びていく。

小指を立てた状態の静子の手を見て、静一も右手の小指を立てて静子の小指に近づけていく。

 

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小指を絡める二人。

「ゆーびきーりげーんまん、うそついたらはりせんぼんの――ます、ゆびきった!」

静一は言葉もなく、ただただ静子のことを見上げていた。
「やくそく。」
静子は無表情で静一を凝視し続ける。
「絶対だよ。」
絡めていた小指をゆっくりと離していく。

静一は呆然と静子を見つめていた。
そして静子の右手中指の、静子が噛み割って血だらけの爪に気づく。

 

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静一はまるで神聖なものに触れるような、震える手つきで静子の右手を両手でそっと掴むと、中指の爪にキスをする。
「…はい。」
角度を何度も変えて、それがさも愛しいものであるかのようにキスを繰り返す。
「はい…。」
静一は静子の中指にキスをしながら、うっとりと目を細めていた。

ギイイ

半開きだった玄関ドアが静子によって完全に開かれる。

屋内から一気に漏れ出た室内光が、まるで静子を背後から照らす後光のようになって静一の目に飛び込む。

その頃、しげるが病室で意識を取り戻していた。

 

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感想

洗脳

完全に洗脳だなぁ。

静一の頭の中にある静子の犯行の記憶を書き換えた静子の手口も鮮やかだったけど、今回の静一を完全に屈服させる流れもゾクッときた。

静子は過去、こういうことを親にやられていたのかな?
愛されなかったと言っていたから、違うのか。

過去に受けてきたストレスが静子の異常性の根源ではないかと思うんだが……。

しかし今回の静一は本当にかわいそうだ。

静子が静一を怒る上で正当な理由は、前日の自分への暴言に対してと、その後、無断で吹石家に外泊したことだろう。

それらを怒ることは親としては当然だと思う。

しかし静子が怒っているのは、あくまで自分の気持ちを静一が裏切り続けたことに対してだった。

 

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夏に静一の部屋に吹石が訪ねてきた日に一緒に吹石の手紙を破って、自分たちの前から排除したはずの吹石と静一が関係を続けていたこと。

静子が嫌っている一郎や伯母、親戚一同との距離感が近いということ。

静一はこれらが自分の過ちだと静子に思わされている。

心の自由が全くないよ。

静一の主体性がどんどん失われていく……。
こうなってくると、完全に静子の奴隷コースだな。

静子の世界観を無理やり静一に押し付けるのは虐待でしかない。

本来は静子とは異なる、独立した一人の人間であるはずなのに、静子は静一にはそうあることを決して許さないのか。

今回の静子の仕打ちは本当に罪深いと思う。

 

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虐待というと肉体的に痛めつけることがまず思い浮かぶけど、その本質は被害者の存在否定だと思う。
静一は静子に完全に否定された。
静子は静一が自分の世界に入って来ない限り、静一を受け入れない。

静一は元々静子のことを愛している。
その様はマザコンと呼ぶにふさわしい。

まだ一人で生きていくことが出来ず、親に頼らざるを得ないしなぁ……。

これまで静子にも色々事情があったんだろう、と思ってなるべく同情的な立場もとろうとしてきたつもりだが、これはダメだ。

静一が外泊した吹石家で体験したことは、中学生には過ぎた行為だったかもしれない。

親として咎めてもいいと思うけど、静一の為じゃなくて自分の為に怒ってるんだよなぁ……。

こういう経験を積み重ねていく事で、静一はどんどん主体性を失っていくだろう。
大人になってからそれを取り戻すのは非常に大変だと思う。

 

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思春期にある息子の成長を阻害する親。

これぞ毒親。

本当に残酷なことだよ……。

静一の涙ながらの静子の奴隷宣言を見て、心を痛めながら読む人もいたのではないか? と思った。

親の愛を人質に、子供を完膚なきまでに屈服させる親は本当に卑怯だ。

今回描かれた静子と静一の一連の流れこそ、毒親被害の本質なんじゃないかと思った。

吹石は静一の突然の心変わりの背後に静子の洗脳があることを見抜けるのかな?
夏休み明けの始業式の日、静一が母親に何かされたことに真っ先に気づいたのは彼女だった。

観察眼というのか、勘が鋭いのか。
静一が静子から逃れるための希望だったんだけど、今回でだいぶ静一と吹石と心の距離が遠のいてしまった。

吹石家からの逃走後、静一に捨てられたショックは吹石の静一への恋心を冷ましてしまうのか。

 

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意識回復!?

まさかのしげる復活!?

静一が完全に静子サイドに堕ちたこの絶妙なタイミングで、被害者が物語に復帰したか……。

静一がお見舞いに行った際のしげるの状態はかなり絶望的に見えたけど、実際にああいう状態から意識を取り戻すことがあるのかな。

非常に喜ばしいことだけど、静子が知ったら気が気じゃないだろうな。

ただ、意識は取り戻したけど、その時の状況を覚えているとは限らないし、覚えていたとしても言葉が出なかったり、脊髄を損傷していて体が全く動かせなくて、静子を思うように告発できないかもしれない。

でも確実に話は動くだろう。
しげるが目を覚ましたことを知った静子や静一が、果たしてどういう反応を見せるのか楽しみだ。

 

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しげるの復活で、ここにきて物語に地殻変動が起きた感じだ。

これはしげるが静子に谷底へ突き落とされた第6話以来の衝撃かもしれない。

第6話から最近まで、この物語において静一が静子の犯罪を告発する役目なのではないかと思っていた。

実際、病院での伯母さんとの会話や、静子をおかしいと指摘する吹石の存在もあって、徐々に静子の呪縛から解き放たれようとしていたように見えたから、余計にそう思っていたのに……。

なんと今回の話で、唯一の目撃者である静一は静子に記憶を完全に書き換えられ、さらに絶対に静子を裏切れないように洗脳されてしまった。

まさか静一が静子に完全に告発を封じられるのと同時に、被害者のしげる本人が復活するとは。

しげるが突き落とされた時、もししげるが生きていたらどうなるんだと思ってドキドキしながら次の話を待っていたのを思い出す。

実際生きていたし、今回で意識を取り戻した。

 

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これで静子の犯罪が世に晒されることになるとしたら、長部家は一体どうなってしまうのだろう。

ちょうど静子に忠誠を誓ったばかりの静一は、必死に静子の犯行を否定するんだろうな。

もし、もう少しだけ早くしげるが目覚めて、しげるが静子を告発したら、唯一の目撃者である静一は静子の犯行を証言したかもしれない。
そうなれば静子の呪縛から逃れられたかもしれないのに……。

でも吹石と同じベッドに泊まった時も静子のことを思い出していたし、もう静一には静子の呪縛から抜け出すのは無理だったのかもしれない。

今回静一が静子に忠誠を誓ったことで、むしろ悩みから解き放たれて幸せなのかも。

 

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次に吹石に会ったときは静子に言われたから彼女を嫌うのではなく、自分が彼女のことを嫌いなんだと思って接することだろう。

父や親戚一同の対しては静子と同様に憎しみを抱くことになる。

そこに迷いや懊悩は一切ないだろう。静子の言う通りに動くその様は、さながらロボットだ。

静子は自分を刺しかねない静一を、完全なコントロール下に置くことに成功した。

これまで静子、静一、吹石間での愛憎が主な話だったのが、しげるの覚醒によって一気にクライムサスペンスの要素が色濃くなってきた。

俄然、物語の吸引力が強まったと思う。

次号が楽しみだ。

以上、血の轍第48話のネタバレを含む感想と考察でした。

第49話に続きます。

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