血の轍 最新第141話傷ネタバレを含む感想と考察。階段から転落した静子の容態は?

血の轍 8巻

第141話 傷

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第141話

あの日、静一は確かに静子のことをいくらかは理解した。

でも前回の話における静一の生活面の変化を見るに、静子のことを大切にしていこうという気持ちが生まれたというよりは、自分の静子に対する歪んだ気持ちが収まり、人生が整ったという側面の方が遥かに強かったということなんだな……。

静子に会いに行こうとしないというのは、もう静一の中で静子に対する気持ちに整理がついてしまった状態だからなのかなと思う。かつて静子のことを突発的に思い出していた時というのは、恐怖や憎悪、そして静子への思慕という相反する不安定でいびつな感情を伴ってのことだった。しかしそれがすっかり癒されたがために、憑き物が落ちがように静子のことを激しい感情と共に思い出すという苦しみがなくなった。冷たいとかそういうことではなく、静一は今、初めてといってもいいくらいに安らぎを覚えている時なんだと思う。

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その矢先に訪れた、静子入院の一報。

以前の静一なら、かつて家賃滞納でアパートを追い出され、街を徘徊していたのを保護した警察からかかってきた電話に出た時のように動揺していただろうけど、でも今回の入院を知らせる電話では若干の驚きはあったものの、冷静だった。
とはいえ、電話を受けてきちんと病院に来ているので、普通の親子の関係の範疇に入っていると思う。少なくとも破綻はしていない。
かつて静子が静一に対して公衆の面前で堂々と親子の縁を切ったことを思えば、静一が何の負の感情も伴うことなく、きちんと病室に駆け付けてくれているのは奇跡だとすら思う。

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病室に駆け付けて静子にかけた第一声が『ねえ、来たけど』も、冷たく見えるけど、この親子の過去を知った上であれば、大分マシと言える。

ただ、静子については、あの日を境に人生を取り戻した静一に比べると、かなり生気が失われているように感じた。
元々静一との再会前から痴呆気味なところはあったものの、静一との和解から一気に進んだ印象を受ける。

静一が静子に連絡をしなかったのは静子への歪んだ感情が収まったからではないかと思うが、静子が静一に連絡しなかったのは、もしかしたらかつての自分の静一に対する行いを恥じてのことだったのだろうか。それとも、ただ単に静一から連絡が無いからと不貞腐れて、捨て、『自分なんか』という鉢な気持ちからだったのか。

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警官から、静子がケガを負ったのが歩道橋の階段であったことを聞いた時、静一はそれがかつて静子がしげるや伯母に対して行った行為の報いではないかと思ったようだ。
これは静一の妄想というよりは、静子には同情すべき点はあるものの、その後の行いを考えれば何の報いも受けないわけがないという、客観性の表れではないか?
脳に異常がないと医師から説明を受けても、特に安堵するといった様子を見せず、淡々と対応するのもその一環なのかなと思う。

医師から単なる脳震盪で、翌日には退院できると説明を受け、病室に戻って来た静一に『もうこのままでいい』『なにもしないで』と静子が告げた。これは、もう静子が今後、生きることに望みを持っていないということだ。

果たして静一はこんなセリフを吐かずにはいられないほどに悲しく、寂しい状態の静子とどう接していくのか。

第142話に続きます。

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