第32話 瓦礫
第31話のおさらい
東京は、巨人の群れと巨大ロボットの脅威を退けて、平和を取り戻していた。
零は登校のために駅に向かう道中、パピコと初対面した場所でパピコと同じピンクのショートカットをした女性から視線を離せずにいた。
女性の横顔が見え、彼女がパピコではないとわかると、零は少し落ち込んだ様子で再び駅に向かい始める。
電車内の雑誌の中吊り広告は、東京の危機を救った自衛隊を讃える記事や、パピコ釈放運動を取り上げた記事を宣伝している。
スマホでETEの掲示板をチェックすると、東京の人口が一向に100万人にならないことを残念がる書き込みが続いていた。
今度はツイッターをチェックする。そこでも好き勝手な主張をするユーザーで溢れていた。
何気なく電車の窓から外を見ると、道路に巨人の死体が放置されたままだった。
流れていく町の風景の中に、巨人の死体がそこかしこにある。
そしてツイッターの閲覧を続けていた零は、パピコのアカウントが流れてきて、そのステータスに目を見張る。
パピコ
@papico0209AV女優のパピコです。
日本
誕生日 9月17日2011年12月からTwitterを利用しています。
558フォロー 5568946フォロワー
パピコは一切ツイートしていなかった。
それにもかかわらず、500万人を超えるフォロワーがいる。
零はただただ驚くのだった。
突然、乗客が持つスマホの緊急速報が一斉に鳴る。
それと同時に緊急停車するというアナウンスとともに電車が実際に停車する。
そして電車が原因不明の振動を繰り返す。
ふと思い立って零はETEの掲示板を確認し、そこに書き込まれていた破壊神3体という情報に目を止める。
同時に中島から、詰んだ……、終わった……、とだけLineが入る。
電車の外の様子に乗客たちはざわついていた。
まもなく悲鳴も上がる。
空から巨大な足が降りてきて、町中に静かに着地しようとしていた。
その光景に恐怖する乗客たち。
電車が動かないことに焦れた様子乗客もいれば、外に出ることを呼びかける者もいる。
横山田家では、テレビで新宿の現在の状況を把握した零の母がスマホで必死に連絡をとっていた。
テレビのレポーターは新宿の様子を絶望的な光景だと騒いでいる。
新宿の中心部には3体の破壊神が降り立っていた。
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第32話 瓦礫
新宿周辺が破壊神の庭化
破壊神の巨大な足がアスファルトを踏みつける。
壊れて粉々になったビルが地面に降り注いでいく。
新宿に現れた3体の破壊神は思い思いに歩き回っていた。
その地響きを当初は地震かと思っていた二人の女子高生は、これは地震の揺れ方とは違う事に気付く。
外を見ると、人型で巨大な禍々しい生き物が新宿駅周辺を歩き回っている。
その光景に女子高生は、これがETEによる仕業だと気づく。
新宿駅の甲州街道を巨大な足で踏みつけていく破壊神。
破壊されたアスファルトが舞い上がる。
衝撃の光景を目の当たりにした二人の女子高生は、大急ぎで逃走を開始する。
しかしどこに逃げればいいのかがわからない。
茶髪の女子高生は、ここに居ればよくない? と提案する。
地響きが近くなってくるのに危機感を覚えた黒髪の女子高生が茶髪の手を引き駆けていく。
大人たちは異常事態に困惑の表情を浮かべていた。
何度か地響きが続き、ついに構内の天井が崩落していく。
悲鳴を上げて逃げ出す女子高生たち。
破壊神が舞い上げた瓦礫が無数に地面に降り注ぐ。
その中をなりふり構わず駆けていく。
二人の女子高生は、高層ビルよりもはるかに巨大な破壊神が今にも足を地面に下ろそうとしているのを見て驚愕していた。
ドンッ
女子高生たちの近くに足が踏み下ろす破壊神。
そしてその手は無造作に高層ビルを破壊する。
その無数の瓦礫が、必死に逃げる二人の女子高生に向けて落ちていく。
二人は息を切らせて街を必死で逃げていた。
その逃げ方にノウハウも方針もなく、ただひたすら走るのみ。
「いやっ いやっ」
「お母さんっ お母さんっ」
「死にたくない。」
泣きながら叫ぶ二人。
必死に逃げていたが、飛来した一個の瓦礫はついに茶髪の女子高生に命中する。
瓦礫と地面に圧し潰され、アスファルトに血溜まりが広がっていく。
黒髪の女子高生は逃げる足を止めて、涙を流したままその光景を見つめている。
感想
絶望
一話丸々絶望。
このままでは完全に東京終わりだ。
一体どうやってこの事態を収拾するのだろう?
まぁ、結論から言えば、結局はパピコしかないないんだよなぁ。
三体の破壊神が出現したのは新宿周辺だから、パピコが収監されている東京拘置所までは距離がある。
だからパピコは、たった今、東京が危機に瀕していることに気づかないのかな?
東京拘置所のある足立区近くで異変があれば、さすがにパピコも破壊神が出てきた時のことを連想して前線に立ってくるんじゃないかと思うんだけど……。
この前、巨人がたくさん出現した時は、東京拘置所周辺には出て来なかったのかな……。
パピコの復活の兆しが見えない。
ひょっとしたら破壊神から東京に致命的な一撃を食らうのかな。
そうなればさすがにパピコは気づくし、零を守らなければという危機感が湧いてきて行動せずにはいられなくなる。
もしくは事態を重く見た政府が最後の希望として、なりふり構わずパピコに破壊神を追い払うように依頼するかもしれない。
少なくとも、東京拘置所から離れた新宿周辺で破壊神がちょっと暴れたくらいではパピコの参戦はないということなのかな……。
果たして、このままETEは東京の人口を100万人にすることに成功してしまうのか。
正直、全然読めないんだよなー。
東京が致命的な被害を受ける前にギガント化したパピコが現れて破壊神を倒すか、それともこのまま一度、ETEの軍門に下るのか?
破壊され、荒廃した状況になるのも面白いかもしれない。
以上、ギガント第32話のネタバレを含む感想と考察でした。
第33話に続きます。
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