血の轍 最新第115話遺体ネタバレを含む感想と考察。遺書から知る衝撃の事実。

第115話 遺体

第114話のおさらい

起床した静一は、ICUで治療を受けている一郎の元に向かい、夜勤の時間が近づくと仕事に向かう。

別の日、静一がICUを訪ねると、意識が戻った一郎は一般病棟に移っていた。

病室では、一郎が、ベッドの上で仰向けに寝て、ぼうっと中空を見つめていた
「ああ……静一……。ごめん……な。迷惑…かけて。」

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一郎は静一に自宅のお金のある場所を静一に告げると、何か必要なものは無いかと言う静一に、なにか本を持ってきてくれと依頼するのだった。

静一は別の部屋で医者の話を聞いていた。
医師から、まだ予断を許さない状況だが、このまま様子を見ると今後の方針を聞いた後、静一は一郎の病棟に向かう。

一郎はは寝息を立てて眠っていた。

一旦帰るからとその場を後にしようとしたその時、

一郎は仰向けに寝たまま、手首にタグを巻いてある右手を持ち上げて静一に向けている。
「手…を……手を…くれ…」

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そして一郎は静一をじっと見つめていたかと思うと、口を開く。
「申し訳………なかったな……」

何が? と返す静一。
しかし一郎は、「申し訳なかったと繰り返すのみ。

郎の病室を後にして、翌朝、帰宅した静一は布団の上にうつ伏せに身体を投げ出し、一息ついていた。

その時、スマホのアラームが鳴る。

電話に出た静一の表情が変わっていく。
「はい……もしもし……」

静一は、はい、と相槌を打っていたが、電話口の看護師からの言葉を聞いて静一は呆然としていた。
「お父様の容態が…」

第114話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第115話 遺体

亡くなった一郎の元に駆け付ける静一。
顔を覆っている布を取り、眠っているかのような一郎の死に顔を確認する。

廊下の椅子に座っていると、葬祭会社の男性が声をかけてくる。
慣れないやりとりに戸惑う静一は、男性の勧めに従い、一郎の自宅アパートへ一郎の遺体を移送してもらう。

一郎を部屋の布団に寝かすと、葬祭会社の男性は一郎から何か抗して欲しいと言う意向を聞いていないかと静一に訊ねる。

静一は一郎が、家の棚にお金があると言っていたことを思いだし、棚を確認すると、そこには封筒に入れられたお金と、通帳と印鑑、そして静一に向けた手紙が置かれていた。

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葬祭会社の人間を人払いして、手紙を読む静一。

そこには自身の葬儀は最低限で良いこと、お金を残せず申し訳ないといったことが最初に綴られていた。
そして読み進めていくと、ずっと黙っていたこととして、伯父と伯母に賠償金として8000万を支払ったこと、その為に方々から借金したが、それは完済したと続く。
静子や静一を追い詰めた自分が全て悪いとして、静一には静一の人生を生きていって欲しいと手紙は続く。

そして、最後に静子の連絡先が書かれているのを見て静一は表情を変えるのだった。

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感想

葬儀関係のやりとりがリアル

やはり一郎は亡くなってしまっていた。
人が亡くなる瞬間に立ち会うことの方が稀で、大抵は心の準備なんて出来ていない。
しかし今回の一郎に関しては、ICUの一郎の元に何度も通った上で、一時は医師から予断を許さない状況だと伝えられていたし、持ち直した後の容態急変という流れだから、静一はきっと心のどこかで準備は出来ていたのではないかと思う。

今回の話で衝撃的だった手紙のことに真っ先に触れたいところだが、まずは病院に挨拶に来た葬儀の会社の人の感じとかすごくリアルだと感じたことについて。

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このやりとりの空気感。数年前に祖母を亡くした時のことを思いだした。あの時の人もちょうどこんな雰囲気だった……。
対応したのは母だったけど、やりとりが本当に、こんな風に淡々としていた。そりゃ、肉親を亡くしたばかりの人に対して元気に対応するわけにはいかないから、淡々としているのは当然といえば当然なんだけど、でも、その感じがきちんと紙面に表現されていて、色々と思い出した。
まだ近い身内の死を体験したことが無いと言う方は、葬祭会社の方とのやりとりは本当に今回の話に近い感じのやりとりになるかと思うので覚えておくと良いかもしれない(まぁ、覚えておいたから何だというわけではないけど)。

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一郎の遺書

静一に遺した手紙の内容がたまらないな……。一郎は、本当に大変な人生を送ってきたわけだ……。
賠償金8000万。犯罪加害者の親というのは大変だと思うが、一郎はその責任から決して逃げず、きちんと役目を果たしていたんだな……。
8000万払えるとかどれだけ頑張ったんだよ……。一郎の仕事が何なのか、役職がどうだったかについて特に描写がなかったのでわからないが、方々から借金をしたということは、相当苦労したのはまず間違いない。静一が東京に出ると一郎に告げた時、うちの事務所に来るはずだったと一郎が言っていたが、その情報だけでは正直一郎の社会的地位はわからない。ひょっとしたらかつて犯罪を犯した息子を自分の裁量で入社させられるということは、自分で何か事業を運営していた可能性もゼロではない?

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しかし仮に社長でかなりの経済力があったとしても、個人で8000万賠償はやはり途方もないことをやり遂げていると言って良いと思う。
いくら未成年だった頃の息子の罪とはいえ、親としてそのペナルティをここまで一身に受けて、その後まともな精神を保って生きられるものなのか。莫大な賠償金についてまさか静子が負担するわけがないだろうし、もし自分が一郎の立場なら逃げると思う。お前8000万の賠償金払えるか? と言われれば、とてもはいとは言えない。こんな思い責任、とても抱えきれないよ……。

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そしてさらにすごいのは、この遺書に静一と静子に対して一切の恨み言も愚痴も書いていないことだ。
状況的には、静一のせいで一郎の人生が台無しになったと言えると思う。しかし一郎は逆に、自分で静子や静一を追い詰めてしまったという自責の念を抱えて生きていた。一郎は自身のことを顧みた時、確かに自分は静子を、静一を追い詰めていたと実感する瞬間があったということなのだろう。
確かに夏の山登りの日、休憩している時、静子のことを過保護だと笑う親戚連中と一緒に一郎も笑っていたことがあった。それに代表されるように、ひょっとしたら普段から自然と親戚の側に立つことで静子を追い詰めていったということなのかもしれない。しかしその報いとして、このあまりにも大き過ぎる責任を一身に背負えるものなのだろうか……。

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ひょっとしたら一郎には他にも日常の細かい点でも静子に負い目があったのかな。静子がおかしくなって以降、家の中は荒れ放題だったのは、一郎が一切片付けに協力しようとしていなかったことを表している。専業主婦の静子に家のことを任すというのは正直そこまで間違っているとは思わない。しかし荒れ放題になった家の中を主体的に片付けようと、状況に関与しようとしないのは、あまりにも家庭に無関心と判断されてもしょうがないかもしれない。

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しかし静一は……

静一は一郎の死、そして衝撃的な遺書の内容をどう感じたのだろう。今回静一は、一郎の死に際して涙を見せていない。しかし人が亡くなった後は、葬儀の準備に代表されるように判断しなければならないことが次々と降りかかって来て、悲しみに浸っている暇がなかったりする。まさに今回の話の静一もその状態に近いところがあると思う。あと、元々、無感動な毎日を送り続けてきたことにより、感情の起伏が無くなっていたということも大きいかもしれない。

もし自分が静一の立場なら、呆然とするしかないかな……。自分が犯した犯罪のせいで父親の人生を狂わせてしまったこと。父はそれに対して一切恨み言を言わず、きちんと親としての責任を果たしていたということ。そして何より、父に対してもう何も伝えることが出来ないということ。

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たまらないよ、これは……。一言謝ることも、感謝することもできない……。親としての責任を全うした父のことを知らず、今となっては、もはや何の気持ちも伝えられない事実。
これは後々、辛くなると思う。自分の唯一の味方だった一郎を失い、今の静一はこれからの人生に対して、完全に天涯孤独孤立無援で立ち向かわなくてはならない。静一の底なしの孤独感の淵を少し覗き込んだだけでぞっとする。

しかし静一の心を一番波立たせたのは、遺書の最後に記してあった静子の連絡先だったというのが何とも……。本来は人生をかけて責任を果たした一郎の想いに触れて、その大きさに打ち震えなければならないと思うのだが……。

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この流れで静子に会わずに人生を全うするなんてあり得ないだろう。
近く、静一は静子と再会することになる。その建前は一郎の葬儀を行うから来て欲しい、かな。

果たして現在の静子はどうなっているのだろう。その外見も、その後の人生も、そして彼女を形成した過去についても気になる。

いよいよこの物語も終わりに近いのかな……、終始暗い、気持ち悪い話だったけど、なんだか寂しくなる。

以上、血の轍第115話のネタバレを含む感想と考察でした。

第116話に続きます。

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