血の轍 最新第116話東京ネタバレを含む感想と考察。静子の住所が書かれたメモを手にした静一は……。

血の轍 8巻

第116話 東京

第115話のおさらい

亡くなった一郎の元に駆け付ける静一。
顔を覆っている布を取り一郎の死に顔を確認する。

葬祭会社の男性との慣れないやりとりに戸惑いつつも、静一は、男性の勧めに従い、一郎の自宅アパートへ一郎の遺体を移送してもらう。

一郎を部屋の布団に寝かすと、葬祭会社の男性は一郎から何か抗して欲しいと言う意向を聞いていないかと静一に訊ねる。

静一は一郎が言っていた、家の棚にお金があるという言葉を思いだし、棚を確認する。l
そこには封筒に入れられたお金、通帳と印鑑、静一に向けた手紙が置かれていた。

スポンサーリンク



葬祭会社の人間を人払いして、手紙を読む静一。

手紙には自身の葬儀は最低限で良いこと、お金を残せず申し訳ないといったことなどが綴られ、実は伯父と伯母に賠償金として8000万を支払っていたこと、その為に方々から借金したが、それは完済したと書かれていた。
静子や静一を追い詰めた自分が全て悪いとして、静一には静一の人生を生きていって欲しいと手紙は続く。

そして、最後に静子の連絡先が書かれているのを見て静一は表情を変えるのだった。

第115話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

スポンサーリンク



第116話 東京 感想

メモを手にした静一の心のせめぎ合い

一郎は離婚時の静子の住所を記したメモを残していた。
だが静一は、その住所をきちんと確認することなく、破って、燃やす。

静一が静子に全く関心がないのであれば、何の苦も無く捨てるなり燃やすなりできただろう。しかし今回、静一が見せた静子の住所が記載されたメモを処分する際の態度は、住所を確認したい気持ちと、もう関わりたくない気持ちの激しいせめぎあいが感じ取れるものだったように思う。
静子を求める気持ちというより、静子の支配が静一の心の底に深く根を張っているのかなと感じた。

スポンサーリンク



東京都という住所の頭の部分を目にしてしまったことが、果たして静一のこれからの行動にどう影響するのだろう。
東京都以下の住所を確認しなかったことについて、良く自制心を働かせたな~、と思ったけど、どうしても会いたくなったのであれば、しかるべき業者に依頼すれば探し出せてしまうのではないか。
もちろん離婚時の住所ということなのでもう20年以上経過していることを考えると「東京都」という手がかりだけではあまりヒントにはならないかもしれない。ただ、住所が変わっていないなら、日本全国を対象にするよりも遥かに捜索範囲を絞り込めることになる。

最近毎話のように思っていたようなことなんだけど、一体ここからどう物語が展開していくのだろう?

スポンサーリンク



このまま静子との再会することが無いのであれば、ここからはひたすら静一の孤独な日々と、たまに襲って来る静子への気持ちに苦しむ様子が淡々と描写されていくことになるということなのか。
今回の話のタイトルから、静子の住所が明らかになって、会いたい気持ちと会いたくない気持ちの狭間で揺れる……みたいな展開になるかと思っていたのに、そうはならなかった。

今の静一に何か劇的なことが起きるとすれば、孤独と仕事場での上司からのストレスなどから発狂して何か事件を起こすか、もしくは静子と再会してどうなるか、あとは自死するくらいしか考えられない。間違っても、何かをやり遂げて成功して……みたいな話にはならないよな……。

静一の行く末を見届けたいと思う。

スポンサーリンク



納骨後の静一の行動は?

荼毘に付す当日、静一以外に立ち会っているのが、おそらくは業者だけ……。

あまりにもシンプルかつ静かな、淡々とした別れ……。

いくら一郎はもうこの世におらず、何も感じていないとはいえ、一郎があまりにも浮かばれないよな、と思ってしまう。

しかし一郎を収めた骨壺を持って火葬場を出た静一が、父との別れの悲しさよりも、これでひとりになれたという、安堵に近い感情を抱いていたのには驚いた。

ちょっとそれは、悲し過ぎないか。

スポンサーリンク



一郎からすれば、しげるの命は決して取り戻せないとはいえ、伯母夫婦には人生を懸けて賠償を行ったわけで、おそらく静一には、これからは友人を持ち、もし可能であれば家族を持って、少しでも普通の人生を歩んでもらいたいというような願いがあったのではないかと思う。
しかし当の静一はそのようなことは望んでいなかった。むしろ自分の唯一の理解者であるはずの一郎との別れに際しても、これでひとりになれたと思っただけ。

自分に一切の幸せを許可しない静一。息子のしでかしたことの責任を取ることだけに人生を遣い尽くしてしまった一郎。

スポンサーリンク



辛いが、でも本来、被害者や被害者遺族の気持ちを思えば、加害者は生涯自らの幸福を許さず、後悔の日々を送る、すなわち静一のようにあるべきなのかもしれない。そして被害者遺族に対する賠償も、一郎のように人生を懸けて実行していかなくてはならないのかもしれない。
つくづく、人を殺めてしまうというのは、被害者はもちろん、加害者の人生も殺してしまうということであるんだなと思った。

自分のことを見ている人が誰もいなくなったことから、静一は、もう自分もこの世からいなくなってよいのではないかと考えるようになった。
罪悪感もそうだが、それ以上にもう疲れたのかなと感じる。静一の表情には生きている喜びなど一切ない。

スポンサーリンク



一郎の遺骨を収めに向かうのは、生まれ育った群馬の地。

納骨後に自死することで、自分の犯した罪に対する始末をつけようとするのか。

それとも静子との再会に繋がっていくのか。

次回が楽しみだ。

以上、血の轍第116話のネタバレを含む感想と考察でした。

血の轍 第117話の感想に続きます。

あわせてよみたい
押見修造先生のおすすめ作品や経歴をなるべく詳細にまとめました。

血の轍第5集の詳細は以下をクリック。

血の轍第4集の詳細は以下をクリック。

血の轍第3集の詳細は以下をクリック。

血の轍第2集の詳細は以下をクリック。

血の轍第1集の詳細は以下をクリック。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA