血の轍 最新第128話台風ネタバレを含む感想と考察。静一、2か月ぶりに静子に会いに行く。

血の轍 8巻

第128話 台風

第127話のおさらい

静子のアパートを後にして、呆然と夜の街を彷徨う静一。

公園のベンチに腰を下ろし、いつものように自分が生み出したしげるの妄想と会話を行う。

静子に会いに行かなければ良かった、自分は変わっていないんじゃないのかと不安を口にする静一に、しげるは同意し、静一は結局静子のことをずっと見ないふりをして見ていたのだと指摘する。

それを機にしげるの姿をしていた妄想が静子に形を変えて、静一がそうなったのは、自分自身のせいだと猛烈に静一を責め立てる。

妄想に向けて、怒りの形相で「うるさい」と叫ぶ静一。
歪んだ化け物のようになった静子の妄想は、自分は人殺しではない、人殺しはお前だけだと静一を的確に追い詰めていく。

ベンチから立ち上がり、公園を後にしようとする静一にしげるは、きっとすぐ静子に会いに行くと話しかける。
それには答えず、静一は夜空を見上げると、また夜の住宅街を歩き始めるのだった。

第127話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第128話 台風

台風を理由にしれっと静子に会いに行く静一。
果たして、静一はこの日を心待ちにして生きてきたのか……?

最後に静子に会った二か月前は、静一は彼女を殴り殺す勢いだった。何ならその日は自分の命を終わらせるはずだったのに、結局は二か月間、以前と変わらず仕事をして生きてきたわけだ。

静一自身、全く自覚はないだろうが、やはり静子に会える日を心待ちにしていたということだろうなと思った。台風が来ているから会いに行くというのも客観的に見ればそこまで必然性があるようには思えないが、静一としては会いに行く理由、きっかけとしては十分なのだろう。だからしげるが静一を静子の元に誘った。

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しげるの幻に導かれている体ではあるが、その幻は静一の脳が作り出している。そう考えると、やはり結局は静一自身が静子に会いたい、会いに行かなくてはという強い衝動に駆られているだけの話なんだと思った。

ここまで二か月間、静一はこの時をどれほど楽しみに生きてきたんだろうな……。
自殺するはずだったのにきちんと日常をこなし、命を繋いできたというのは、静子と再会して、関係が再びつながったことは、静一自身は全力で否定するだろうが、彼にとっては生きる理由になるくらい喜ばしいことだったのだと判断するしかないのではないか。

台風が近づいている最中、静子の元に向かう静一は、自分はまた静子に会ってどうしたいのかと自問自答している。そして、今度は本当に静子のことを殴って、殺めてしまうかもしれないと不穏な考えを巡らせ、いっそ殺せたら自分も死ねるだろうと捨て鉢な気持ちで静子の元へ向かう。

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20年以上関係を絶ち、どうでもいいと切り捨ててきた存在である静子の家賃を、そこまで稼ぎが良い方ではないはずの静一が負担し続けるというのは、静一自身、自覚は全くないけど、やはり相当の愛情がなければできないと思う。でもそれを良いことだとは思えない、思いたくないという抵抗する気持ちが静一を苦しめている印象を受けた。

20年以上濃縮してきた、静子を求める心の行き場とでもいうのか。そんな静一の姿は、傍から見れば、行き場を失った母を保護するしっかりとした息子だ。でも静一にそれを指摘しようものなら、自己崩壊直前のような恐慌状態でそれを全力で否定するのだろう。もしかしたら発言者は静一に襲われてしまうかもしれない。

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静一は今、一見、以前と変わらない日常を生きているように見える。しかし実は、中々危ういバランスの上で生きているのではないか。静子と再会する前から度々静子を想う……というか、フラッシュバックに襲われてきた。あれはとても静子を懐かしむという風情とはかけ離れていた。あの禍々しさを思い返すと、やはり静一の抱えたトラウマの深さを感じる。

静子のアパートの目の前まで来て、帰ろうかと思いを巡らせる静一。でもその場を後にすることなく、縁側に腰を下ろし、雨を眺めている静子を発見する。その静子の姿は、若く、美しい姿なんだよなー。これがまた。静一にとって静子と言えばこの姿なんだろうな……。

前回の別れ際、静一から怒りをぶつけられ、殴られそうになったにも関わらず、静子は猫を見なかったかと静一に何事もなかったように訊ねる。やはり静子は痴呆気味なんだろうな。

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静子に頼まれ、一緒に猫を探しに外を歩く。静一は静子が自分に対して全く恐れを抱いていない様子から、静一が静子の家賃を負担していることも何もかもわかっていないのかと考えている。その様子は少し不安そうに見える。そして、猫を探す静子に、探している猫の色を訊ねる静一……。その姿からは、静子に自分を見てもらいたいという、子供のような必死さの片鱗を感じた。

雨の降る中、必死に猫を探す静子に、そんな猫はいないからもう戻ろうと静一は呼びかける。しかし静子は助けてあげなければ死んでしまうと探し続ける。そして静子が、静ちゃん、どこ……と呟いた瞬間、静一が見た静子の姿は白髪の老婆だった。さっきまで静子は若い頃の姿に見えていた。しかし静子が静一の名前を呟いたのを聞いた瞬間、静一の目には静子が現在の姿として映ったわけだ。

静子が自分のことではなく、愛でていた白猫を静一と認識していた。それを知り、静一の見ている静子が現実の老婆の姿となった。これが静一にとって許せないことであるなら、静一は以前のように一瞬で怒りの頂点に達し、殴りかかろうとしただろう。でもそうではないというのは、まだこれがどういうことなのか判別しかねているのか、それとも白猫と重ねる形で自分が可愛がられていたのかと理解したのだろうか。

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そして静子の呼びかけに応えるように姿を現す白猫……。

この話では、猫は死体として登場する機会の方が多い。というか、生きた猫が登場するのは初めてではないか?

ここまでで今回の話は終わりなわけだが、毎度のことながら、ここからどう話が展開するのか本当に予想がつかない……。今後、この白猫を通じて静一と静子が関係性を築いていくという展開になっていくのか?

果たしてこの続きがどうなるのか楽しみだ。

以上、血の轍第128話のネタバレを含む感想と考察でした。

第129話に続きます。

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