血の轍 最新第135話遠いネタバレを含む感想と考察。静子の心の内には誰も生きてはいなかった。

血の轍 8巻

第135話 遠い

第134話のおさらい

結婚式を迎えた日のことを思い出す静子。

静子は結婚式について、喜びと共に振り返ることはなかった。

白無垢姿をほめてくれる一郎や、祝福の言葉をかけてくれる親族のことも遠く感じていた。

結婚式の翌年、義姉の元にしげるが生まれる。
訪ねてきた静子に義姉は、自分より大切なものだから、自分のことなどどうでも良くなる、静子もきっと楽になる、と子供を作ることをすすめる。

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その言葉を受けて、子供を持つことについて考える静子だったが、自身が生まれてきて良かったかわからず、生まれてこないほうが幸せなのではないかという考えが浮かんでいた。
それを一郎に相談すると、一郎は、生まれてきて良かったと思えるようたくさん愛したら良いと答えるのだった。

その一郎の答えに納得し、たくさん愛することで自分のようにさみしくない人間に育つことで、自分の代わりに最初からやり直せるという考えから静子は静一を生むのだった。

第134話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第135話

静子の空虚な心は生まれたばかりの静一でも満ちることはなかった。

子供を産むという人生における一大イベントを経ても、静子は、おそらく期待していたであろう、自分の人生における劇的な変化は生じなかったわけだ。

それどころか、逆にその事実が余計に静子を苦しめているようにすら思えた。

自分には静子の心情を深く理解することが非常に難しい。でもきっと、世の中には静子に共感する女性が少なからずいるんだろうな……。
静子は他者に思いを馳せるようなことはほとんどなく、まず自分がどう思うか、自分がどうするかという自分への関心で心がいっぱいな印象を受ける。

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腹を痛めた子供の存在を前にしても、妹の突然の病死という悲劇にも静子の心が動かない。
これは、他者をに関わるよりもまず先に自分の苦しみを何とかしようと必死なのではないだろうか。
静子の心の中には、もはや誰も生きていない。

いよいよ、静子が追い詰められていっているのを感じる。
何をしてもさみしいまま。静一を産んだことで、その解決方法の糸口すら失ってしまった状態が死ぬまで続く。その静かな絶望感が、その後の静子の人生に繋がっていくのかと思うと何とも言えない気分になる。

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そもそも静一にはどうしようもないことだったわけだから、静一が辿る人生を思うとあまりにも彼が可哀想すぎる。じゃあ、静子が悪いのかというと、自身もまた幼少期に親から受けた愛の量が不足していたわけで、それは静子自身のせいではない。

この流れからすると、ひょっとしたら静子の両親もまた親から愛情を受けてこなかったのかもしれない。
これが血の轍ってことなのか……。

静子はズケズケと静子の心に押し入っていくような義姉の言動に心を乱されていく。
その様子から、静子にとって義姉は天敵のように見えていた。

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しかし実は、義姉の屈託の無さ、感情を自由に出せてのびのび生きているように見えることに対して羨望を向けていた部分もいくらか含んでいるのではないか。

静子は義姉からはっきりと、私は静子のそういうところが嫌いとはっきり言われても、自分の感情は出さず、従順に、対立せずにやり過ごした。

これ、義姉は静子のことを何とかしようとしている部分もあっての発言でもあったのかなと思った。でも静子にはそれがわからないし、仮に義姉の言動からそういう意図を感じ取ったとしても、そもそも彼女のことが嫌いだから話を聞くことはない。

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静子にとって、義姉はニガテだが、しかし実は静子のことを救う可能性があったのもまた義姉だったんじゃないだろうか。

静一の成長具合から、おそらく次回、静子は高台から静一を投げ落とすだろう。

果たして静子は、その瞬間のことをどう振り返るのか。

なんだか次の話を読むのが怖くなってきた……。

以上、血の轍第135話のネタバレとを含む考察と感想でした。

第136話に続きます。

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