血の轍 最新第123話田宮静子ネタバレを含む感想と考察。

血の轍 8巻

第123話 田宮静子

第122話のおさらい

静一は警察からの電話を受け、静子を引き取りに警察署までの道を歩いていた。

警察に着くと、電話をくれた警官が静一を出迎える。静一はその警官の話を聞きながら、署内の静子を保護している部屋に向かう。
警官は、着の身着のままで街を歩いていた静子が静一の連絡先と写真のアルバムだけ大事に持っていたと静一に説明する。

部屋に辿り着いた静一は、動揺して目を伏せながらも、ゆっくりと静子に視線を向けていく。

静子の長く、黒く、艶のあった髪は、バサバサですっかり白くなってしまっていた。

息子が迎えに来たという警官の言葉に反応する静子。
静子は警官と静一に振り向き、はっきりと言い切る。
「私に、子供はいないの。」

第122話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

スポンサーリンク



第123話

この後の展開どうなるんだろう……。
全く先が読めない。

てっきり静子を引き取って、自分のアパートに連れて行くことになるのかと思いきや、一緒に暮らすわけではないんだ……。
静一は、静子が住んでいたアパートの滞納していた家賃を肩代わりすることで静子をアパートに戻し、何としても自宅に招くことだけは拒否しようとしている。

しかし静一は決して高給取りではない。そして、一郎の遺した財産もそこまで多くはないだろう。
つまり、家賃の肩代わりは長くは続かないだろうと簡単に想像がつく。

スポンサーリンク



そうなれば静一は自分のアパートに静子を招くか、もしくは、静一の借りている部屋が一人暮らししか認められていないとすれば、別の住まいを借りて一緒に住むことになるだろう。

一つ言える事は、静一の人生が大きく動いているということ。
それも、父の死を受けて、やるべきことが終わったと自分も命を絶とうとしたのに失敗した矢先に、偶然、静子と再会を果たしてしまうという激動ぶり。
運命としか思えないタイミングでの再会と言える。

20年以上経て再開した静子はすっかり空想の中の住人になっていた。しかし、傍目には痴呆が始まり、行き場の無い哀れな初老の女性でしかないのに、静一には若い頃の美しい姿に見えている。これは静一が大人になっても、相変わらず静子にその姿を望んでいるからであって、このことからも、静一が静子を求め続けていたであろうことをひしひしと感じた。

スポンサーリンク



静一は、これからの人生において、よほどのことが無い限りは、静子から逃れられないのだと思う。
客観的に見れば静一は厄介ごとを抱えたようにしか思えないが、警察から静子を迎えに来いという電話を受けた後の静一の惚けた表情は、静子との再会を喜ぶ深層意識の表れだったのではなかっただろうか。
頭では静子を拒絶しなければいけないと感じているのに、心の奥底では静子との再会を求めているようにしか思えない。
再会したところで、静子から返って来る言葉は基本的には静一を他人と見做した言葉のみ。
だが、警官から目の前の男性が静一であると聞いて、静子は静一が幼稚園児の頃の自分に戻ったように見える。あの頃の、静一を溺愛していた自分に戻ったのか。

スポンサーリンク



しかし静子には、幼稚園児の頃の静一と、自分の目の前で警察が「静一」と呼んだ男性とが結びついていない。
静一に向かって、はじめまして、と頭を下げてしまう始末だった。

静子のその反応を受けて、一気に吃音がぶり返すところから、静一の落胆と動揺ぶりが伺える。
吃音に苦しみながらも、静子を引き取ることに拒否の意を示していく静一。
それに対し一切動揺せず、淡々と静一に静子を引き取るように話を誘導していく警官たち。

警官たちは当然のことながら静子と静一の関係や、両者の過去に何があったのかを知らない。今回のように徘徊老人を血縁者に引き合わせて、身柄を引き取ってもらうというのは警察官の数多くある仕事の内の一つでしかない。

スポンサーリンク



この案件においても警官たちは淡々と対応しているだけなんだよなぁ……。
静一の狼狽と警官の落ち着きの対比が残酷なまでに静一の不安定さや活き辛さを浮き彫りにしているように見えて、とても印象的だった。

静一は頭では拒否しながらも、心の奥底では静子の愛を求めていた。警察に来るまで静子の愛を受けられるかもしれないことに期待を抱いていたのかもしれない。
しかし静子が静一に関する記憶を、静一と共に過ごした日々の記憶と共にほぼ失いつつあることを知り、静一はがっかりすると同時に吃音が一気に収まり、完全に落ち着きを取り戻した。さらには自分に向けて深々と頭を下げている静子を睥睨し、うんざりしたような視線を向ける。

スポンサーリンク



だが、その後の、静一が静子のアパートの家賃を一郎が遺した遺産から払うと答えることろの静一の落胆ぶりを見えると、やはり静一が可哀想だなと思う。静一は、もう今の静子から、過去に受けたような愛を感じる機会がないであろうことに気付いてしまったのだと思う。

しかしこのまま静一と静子が家賃を出す、出してもらうという関係性のみで、他にはほとんど関わらないということはないと思う。

これからどういう展開になるか楽しみだ。

以上、血の轍第123話のネタバレを含む感想と考察でした。

第124話に続きます。

あわせてよみたい
押見修造先生のおすすめ作品や経歴をなるべく詳細にまとめました。

血の轍第5集の詳細は以下をクリック。

血の轍第4集の詳細は以下をクリック。

血の轍第3集の詳細は以下をクリック。

血の轍第2集の詳細は以下をクリック。

血の轍第1集の詳細は以下をクリック。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA