血の轍 最新第136話ネタバレを含む感想と考察。幼児の静一をかわいがる静子。ある日ふと高台に行こうと思い立つ。

血の轍 8巻

第136話 あの場所

第135話のおさらい

静子は生後間もない静一をかわいいとは思いながらも、しかし距離を感じていた。

いつこの正体不明のさみしさが消えてなくなるのかと思いながらも日々を過ごす。

静一が初めての誕生日を迎える前に、静子の妹の悦子が病で生涯を終えてしまう。

しかし病院に駆け付けた静子は悦子の死を前にして一生懸命泣こうとするも、とうとう泣くことは出来なかった。

悦子の葬式の日、静子は母から悦子の分の幸せを吸い取ったと言われる。しかしそんな理不尽な暴言を投げかけられても静子は何も感じない。
静子は、気付けば家族をはじめとして、全ての人間を自身の心の内で殺害していたことに気付く。
だから泣けなくて当たり前だと結論する静子。

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静一としげるが遊んでいる間、静子は義姉と会話していた。

悦子の死に気落ちしていると思った義姉は静一のためにそんな顔はするなと静子に元気を出せと励ます。

私はどんな顔をしているのかと問う静子に、義姉は正直に答える。
「なにもかもどうでもいい、自分のことも大嫌いって顔。」

そして義姉は、静子のそういうところが嫌いとはっきりと静子に告げるのだった。

しかしそんな義姉の言葉に対して、ごめんなさい、と答えた静子に、義姉は続ける。
「そこで謝るん? 静子さん やっぱりすごいんねぇ。」

静子は、あはは、と笑って誤魔化すだけだった。

静子は、ママンも顔が見えないように顔を胸にうずめていて、と静一を抱きしめる。

第135話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第136話

静子はなぜ、かわいがっていたはずの静一を高台から放り投げたのか?
この謎がいよいよ次号で明かされる流れになった。はっきりとは答えなかったとしても、理解するための糸口程度は得られるのではと思う。
静一のことを産んだ直後からはっきりと嫌っていた、その存在自体を憎んでいたとかならともかく、静子は静一をかわいがっていた。なぜか高台から幼い静一を放り投げたあとも、生きていた静一を少なくとも中学二年生までは、周りから過保護と言われるくらいに溺愛していた。

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では、なぜそもそも静一を高台から投げたのか? その蛮行に至る原因が、”魔が差した”以外に理由づけられるようになるのだろうか。
傍から見れば一貫性に欠けた行動に見える。でも本人にとっては、自分の行動に一貫性があるかどうかなど、究極的にはそんなことは一切関係ない。静子の動機が何なのか? 次号でそれが明らかになることを期待したい。

今回の話では、静子の様子からは幼い静一への穏やかな慈しみの感情が終始伝わってくる。
そして静一を投げ落とすことになる日、犯行の現場となる高台に静一の手を引いて向かう前も、何か静子自身に特別な出来事や心の変化があったわけでもない。
静子曰く、ただふわふわした感じで自分のことをとても遠い場所から自分自身のことを見ていたのだという。
以前、静子がしげるを崖から突き落とした時は、”魔が差した”と表現した。幼い静一を高台から突き落とした際も、明確なきっかけがあったわけではなく、”魔が差した”ということなのか?

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今は静一が静子の話をじっと聞いているという状況だ。聞き手の静一は静子に自分を投げ落とそうとした時に何を考えていたのかについてその肝心な部分を詳しく話すよう静子に促している。静子はその時自分はふわふわとした感じだったと話したが、果たして静子は静一からの要求に誠実に応えるのだろうか。

少なくとも今の老いた静子はかつて静一を捨てた時とは違う。若干痴呆気味かと思えるような雰囲気もあるが、今、静一に自分の生い立ちから順番に話している静子はしっかりしているように見える。そんな静子が冷静に自分が過去、静一に対して行った犯罪行為を指して、『私は、あなたをころした?』と静一にはっきりと確認した。この流れであれば、何かしらの答えを返してくれると期待しても良いのではないだろうか。

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静子がなぜ静一を高台から投げたのか、という疑問について、現在、自分は、静子はそもそもやはり結婚当初から、いや、もうずっと前から、密かに人生自体を止めにしたいというある種の破滅願望があったのではないかと考えている。
しかしそう思っている自分を見て見ぬふりをして、逆にそのむしろ母親としてガマンし続けることが普通になってしまっていたために壊れてしまった。高台に来たのも、単なる気まぐれだったが、景色を見ている内に破滅願望が鎌首をもたげてきたということではないか。

何にせよ次号で、静子が意識的か無意識的かはわからないが、なぜ静一を高台から投げ落としたのかという核心に迫ることになる。楽しみ。

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