血の轍(押見修造の漫画)の最新第7話顕現の感想(ネタバレ含む)と考察。静子の身に異変が……。

血の轍 第6話 静子と伯母

第7話
血の轍 第6話 静子

第6話のおさらい

静子は、しげるが崖のふちでふざけて一本足で立ち、バランスを崩したところを駆け寄って抱きしめて助けた。

しかし静子はしげると崖のふちに立ったまましげるの両腕を抱いたまま動かない。

しげるはその場に立ち尽くしたまま静子を見つめている。

その時、静子は突如両腕を思いっきり突き出し、しげるを崖から突き落とす。
血の轍 第6話 静子としげる
落下音と共に悲鳴が聞こえる。

その一部始終を目撃し、立ち尽くす静一。

ゆっくりと静一に振り向く静子。

静一に向き直った静子の浮かべている表情は穏やかな微笑みだった。
血の轍 第6話 静子
目の前で起こった凶行をまるで感じさせない静子の微笑みから静一は思わず目を逸らす。

静子が突如叫ぶ。静一に他の大人を呼んできて、と指示をする。

あくまでしげるが事故で落下したその目撃者を装う静子。

静一はその場に立ち尽くすばかりだったが、弾かれたように元来た道を駆けていく。

静子の叫びを聞きつけて崖に向かって来ていた大人達と合流した静一。

何があったのかと問いかける大人たちに、静一は、しげるが崖から落ちたと答える。

静一の衝撃的な発言に固まるしげるの母は、しげるの名を呼びながら崖に走っていく。

第6話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第7話

ショック状態の静子

しげるの元へ駆け出す大人達。

その後を必死で追う静一。

森を抜けると崖の縁で静子が呆然と地べたに座っている。

一行が静子に近づいていくと、気づいた静子が振り向く。
血の轍 第6話 静子
伯母は静子の腕を掴み、しげるの行方を問いかける。

必死の形相で静子を見つめる伯母。

呆けた様子で伯母をぼんやり見つめる静子。

静一はふたりの様子を息を切らして見つめる。

静子は、ぱくぱくと口を開閉する。
「しげちゃんが…」
手振りを交え、気の抜けたような様子で、伯母から視線を逸らさずに静子が話し始める。
「しげちゃんがふざけて…ここで うぇーい って…」
血の轍 第6話 静子と伯母
驚愕する伯母。

静子は、ごめんなさい、とポツリと呟く。

「ごめんなさい 間に合わなかったんです。」
静子は表情に力をとり戻し、恐怖の色を浮かべる。
「よろけて…落ちちゃったんですしげちゃん!!」

じっと静子を見つめる静一。

「私がせっかくついていたのに…!」
謝る静子。
「ごめんなさいお義姉さん…! ごめんなさい!!」

伯母は静子から離れて崖の縁を覗き込み、必死に何度もしげるの名を呼ぶ。

その場に立ち尽くして伯母の悲痛な叫びを聞いている静一。
その視線は静子の横顔に向けられている。

静子は地べたにぺたんと腰を下ろしたまま、地面を見るともなく見ている。

あっ! と静一の隣のおじが崖下を指さす。
「あそこに帽子が!」

伯母はしげるの名を呼び、早く助けなきゃ、と崖に身を乗り出す。
血の轍 第6話 伯母
やめろ危ない、とおじが伯母の腹の辺りを掴んで止める。

しげるっ!! と必死に呼びかける伯母におじが冷静に呼びかける。
「下に降りられるところを探すんべぇ!!」

伯母は、その冷静な言葉を聞いても、とても平静さを取り戻すには至らない。

祖父が一郎を呼び、麓まで降りて救急に連絡するように命じる。

切羽詰まった表情で了解する一郎。

「私たちはあっちから降りる所を探します!」
おじは祖父に指示する。
「お義父さんたちはこっちを…」

しげるの救出のために、あるいは助けを呼ぶために散る一同。

静子、静一、一郎が崖の縁に残される。

静一は黙って、力なく座っている静子を見つめている。

「ママ、」
一郎が静子の前にしゃがみこみ、励ますように肩に手を置く。
「大丈夫…しげるはきっと無事だから。」

力なく虚空を見つめる静子。
血の轍 第6話 静子
一郎が静一を呼ぶ。
「パパはふもとに行って救急に電話するから…ここで待っててくれ!」
真剣で切羽詰まった表情の一郎。
「ママを頼む!」
血の轍 第6話 一郎

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静子のうわごと

一郎が静一の隣を駆けていく。

残された静一と静子。

静一は絶句したまま、その場を動かず静子を見つめている。

風がぺたんとその場に力なく座っている静子の髪を揺らす。

静子に近づいていく静一。

静子は蚊の鳴くような声で何やらブツブツと熱に浮かされたように呟いている。
血の轍 第6話 静子
ちっとも…ちっともアレじゃない。

仲良しだわよね

女中じゃないのよ 何回言わせるん?

今さら何言ってるん? 全部 遅いのよ。

全部遅いの。

ふんだ…もう おうち帰りましょ。

静子は虚ろな表情でブツブツと唱え続ける。

ほーらこんなにタバコ吸っちゃったんだから。

汚いんさ 水が。

そうじなんかしたくないの。

うふっ。

静一は、…ママ、と一言呼ぶだけで、あとは恐怖を貼り付けた表情のままそこに立ち尽くすばかり。

見てみ? ほら こんなにきれい…

私こんなの初めてなの…

「ママ!」
静一が声を張って静子に呼びかける。

静子はぼんやりと静一を見る。
静一を見上げて、あっ、と一言声を上げる。

不安げに静子を見下ろす静一。

静子は手を使ってゆっくりと立ち上がる。

「せい」
静一におもむろに近づいていく静子。
血の轍 第6話 静子
「ちゃ…」
両腕を静一に伸ばす。

静子は静一にぶらさがるように抱き着く。
「ぎゅってして…」

正面から静一に抱き着いた静子。

静一は静子に言われるがまま、静子の腰に手をまわす。

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感想

衝撃の展開。

この第7話まで、静子はほとんど穏やかな表情を保ってきた。
それが初めて崩れたのは第5話で静一がしげるに押されて崖から落ちそうになったのを助けた時。

今話は静子のまともな表情はほぼ無い。
色々な静子の壊れ顔が出て来る。

特にヤバイと感じたのは近づいてきた静一に抱き着く直前の静子のドアップだった。

目が虚ろで怖い……。ホラーだ。

これは静子が相当消耗しているということだと思う。

思いっきりしげるを崖から突き落とした静子だったが、今話を見る限りでは魔が差した末に及んだ犯行だったと分かる。

静子の、崖の縁で憔悴している様はしげるを突き落とした事を後悔しているようにしかみえない。

当然、自分が突き落としたのだから、しげるが誤って落ちた風を装っているのは演技なのだが、しかし静子の態度はそれだけで説明がつかない。

意味が分からない言葉をブツブツ呟いていたが、自分の過去の記憶なのだろうか?
関連しているように見えないうわごとのようなセリフの数々は制御できないままに無意識のうちに漏れ出ているように見える。

壊れているのか、壊れた風を装っているのか、あるいは両方なのか。

しかし、どこか冷静さも残しているように見えるんだよなぁ。
それを感じたのは一郎が静子の肩に手を置いて「しげるはきっと無事だから」と言い聞かせているシーン。
その直後の静子の虚ろな目は、伯母たちと一緒に静子と静一を嘲笑った一郎に対して向けられた冷めた気持ちの現れで無かったか。
血の轍 第6話 静子
単なる放心状態で、考えすぎなのかな。

静一はただただしげるを突き落とした母を恐れることになりそうだ。
しげるを思いっきり突き落としておいてこれだからなぁ。

しかし、しげるが生きている可能性を前回考えなかったのは、我が事ながら考えが浅いなぁと思う。

大人たちが救出に向かったけど、これ、しげるが生きている可能性があるんだよなぁ。

若いほど生き残る可能性があるなんて話を聞いたことがある。
大人なら間違いなく死ぬような高層から落ちた幼児が生き残ったなんて話があった。

もし生きてたら、そして証言が出来たなら当然静子は犯罪者として告発される。

静子がおかしくなったのは、魔が差してしげるを突き落としてしまったことに対する罪の意識から逃れようとしているのと、自分の罪が追及されて、自分の人生、ひいては静一の人生が滅茶苦茶になることへの恐れのように思う。

まともに生きて来たなら、犯罪を犯した際に自分の身内に迷惑がかかることを知っている。
静子が凶行を起こしてしまったのは、しげるが自分の大切な静一を害しかねない脅威であり、それを排除できるチャンスに恵まれてしまい、そのチャンスに静子が気づいてしまったから。

実は、人が人を殺めてしまうチャンスと言うのは世の中に溢れているという恐ろしいことに気づく。
高所で静子みたいに突き落とすのもそうだし、ホームに猛スピードで迫る電車に向けて前に並んでいる人の背中を押すというのもそうだ。
虚を突いて突き落とすというのはコストが安く、最も簡単にできる方法だろう。

ただ、その精度は落とした先に依存する。

静子がしげるを落とした崖は相当高い。
しかし、静一を抱く静子の見開きを見るとわかるが、崖下には森が広がっており、木がクッションになって一命を取り留めている可能性は十分ある。

落ちたしげるが何かにぶつかって悲鳴を上げていたので、てっきり死んだかと思ったが、自分が単純過ぎてビビる。

今後、しげるが生きているのと死んでいるのとでは、生きている方がスリリングで面白い展開になると思う。

しげるに意識が戻り、まともに話すことができれば静子は御用となる。

静子は捕まるので、静一は母と離れることになり、地域で強い迫害を受けるだろう。

ただ、そうなるわけにはいかない、と静子が必死になって偽装工作する展開があるかもしれない。
そこに、秘密を共有する静一も協力するかも……。

しげるが亡くなっていた場合、事件にはならないだろう。
ただ、静子に恐怖するようになった静一が告発するという展開があるか?
吹石との仲を執拗に邪魔する静子を排除するために、とか考えられないだろうか。

とりあえず、しげるの生死が今後を大きく分けるポイントになる。

次回、それが分かるだろう。

以上、血の轍第7話顕現のネタバレ感想でした。

第8話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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