血の轍 最新第121話保護ネタバレを含む感想と考察。電話を受けた静一に衝撃が走る。その内容は?

血の轍 8巻

第121話 保護

第120話のおさらい

静一の頭の中の静子に邪魔され、自死に失敗した静一。

翌日、別の方法を求めて街を彷徨うが、何を実行するか決められず、ぼうっと高架橋に立って車を眺める。

その時、静一のスマホに見覚えのない電話番号からの着信が来る。

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第121話 感想

前回の話では、静一は自殺する場所と方法を求めて街を彷徨っていた。
そんな静一のスマホに電話をかけてきた相手はなんと警察だった。

保護した静子を引き取って欲しいという用件での警察から連絡は、20年以上接触を断っていた静子本人からの電話よりもよほどリアリティがある。

ようやく静子が登場するのか……。
田宮静子。田宮は旧姓なのか。それとも新しく結婚して得た姓なのか。
次の話では静子の現在の姿が見られるかな?
この漫画では静一以外のキャラの考えていることなどはもちろん、回想シーンについても一切描写されなかったので、これまで静子がどんな人生を歩んできたかの詳細はわからないかもしれない。
でも今回、電話をかけてきた警官の説明で、現在の静子の近況についていくらか推測できる部分がある。

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まず、アパートを追い出されるということは、金銭的に厳しい状況であることは明らかだ。
同居している人間もおらず、一人孤独に生きていたと想像できる。
長部家から籍を抜いて静子は新しい人生を意気揚々と歩み始めた。彼女がその後、新しいパートナーや家族を得たのかどうかはまだわからない。仮に得ていたとしても、現在は独居であることから、結局、静一や一郎と決別後の静子の人生は、静子が期待したような人生とは到底言い難いものだったのではないだろうか。
彼女が両親から与えられなかったと言っていた、狂おしいまでに欲した愛情は得られなかったのではないかと思う。
ひょっとしたらその後の人生における数々の出会いの中で、自分が求めているような愛情は決して得られない類のものと自覚してしまい、絶望のあまり精神がおかしくなってしまったのかもしれない。

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アパートを追い出されて徘徊中に警察に保護され、事情聴取には支離滅裂な受け答え……。
おそらく静子の年齢は60歳前後くらいだろう。元々静子は専業主婦だったし、高収入を得るスキルがあるとも思えない以上、良い働き口に恵まれたとは考えにくい。貯えもなく高齢になり、頼れる者もなく孤立していたとしたら、不安この上ない状況だったはずだ。長部家の一員として生活していた頃から静子の精神状態は不安定だったが、今ではそれが、よりひどくなっている可能性がある。

そんな中、警察に保護された静子の荷物の中に静一の連絡先があったというのは、果たして静子の心の仲にわずかでも静一を気にする気持ちがあったのだろうか。あの少年審判という公的な場において、静一をスッパリと捨てたというのに。
そして静一は、自分を気持ちよく、一切の未練なく捨てたと思っていた静子が、街を徘徊するような極限状況にあっても、自分の連絡先を持ち歩いていたと聞かされ、どう思ったのだろう。

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今回の最後のページでは、電車に飛び込もうとした静一を静子の幻が引き戻して助けた後、静一が涙を流して、安堵したような表情を浮かべている様子が1ページまるごと使って描かれている。その表情は、静子と接点を持てることへの喜びが心の内から止めどなく湧き出るのを止められないといった風情にしか見えない。

警官から電話で話を聞いている最中は自覚していなくても、静一はその心の底で、静子が静一のことを完全には捨てていなかったと知ってうれしい気持ちが勝っていたのではないかと思う。
そして静一は、そんな風に反応してしまう自分、再び静子から支配を受けることを無上の喜びとしてしまうような自分になることを恐れ、まともなうちに命を絶とうとしていたのではないか。

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静一に電車に飛び込ませ、自死に追いやろうとしたのは静子。
しかし、ホームにやってきた電車に突っ込もうとした静一を引き止めたのもまた静子だった。
静一を背後から抱きしめて電車との衝突から救った静子は、当たり前のことだが、実態ではなく、静一の心の中にしかいない。つまり、電車に突っ込もうとする体を止めたのは静子ではなく、自分自身の身体の反応だ。
静一が感じている静子の力は、静一の心が作り出した幻に過ぎない。そう考えると、静一は自分を現在の鬱々とした状況に追い込んだ静子を忌み嫌いながらも、その心の奥底では変わらず静子の愛を欲していたのではないか。

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何というか、電話の内容とタイミングに運命を感じざるを得ない。

果たして静一はこのあとどうするのか。

警察に静子を引き取りに行くことは確実だろう。
問題はその後だが、静子に帰る場所がないなら、自宅アパートへ連れていく以外にない。
そこでなし崩し的に同居生活が始まるということなのか?

次回の展開に期待。

以上、血の轍第121話のネタバレを含む感想と考察でした。

第122話に続きます。

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