血の轍 最新第132話向こう側ネタバレを含む感想と考察。静子から語られる自身の過去。

血の轍 8巻

第132話 向こう側

第131話のおさらい

寝床についていた静一の隣に身体を横たえ、静子は持ってきたアルバムを開いて静一に見せる。

アルバムに収められていたのは赤ん坊の頃からの静一の成長を捉えた写真の数々だった。

静子はそれを静一に見えるよう開いたまま、静一が産まれた時からずっと自分はひとりだったと静一に告げる。

そして静子は幼少期の頃に両親と一緒に住んでいた祖父の家の話を始める。

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その家で生活していた頃、両親は優しかった、と説明する静子だったが、しかし本当は母は祖父も、その家も嫌いだったと続ける。
そして母の希望で祖父の家を出た静子たちは新しい家で新しい生活を始めるのだった。

父と母の間で言い争いが起こるようになり、静子はふたりに怒られるようになっていた。

そんな中、静子が6歳の頃に妹の悦子が新たに産まれる。
悦子は身体が弱く、奥の部屋で寝ていた。そして、静子の母は悦子に付きっきりで看病していた。
かたや、静子は母から”いらない子”と言われ、心に取り返しのつかない傷を負っていた。

幼い静子は、丘に登って街を見下ろす。
そして眼下の大量の家を見て、静子は1件1件に家族がひしめきあっていると言って、みんな燃えちゃえばいい、と呟くのだった。

第131話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第132話

高齢になった静子から淡々と語られるこれまでの人生の回想に、当たり前だけど、静子にも妻、そして母親になる前の人生があったんだなと思った。
なぜ静子は歪んだのか、ここまで読み続けてきた読者であれば、その原因は過去にあるのであろうなと感じていたと思う。静子は1巻の時点で、すでに危うい女性として出来上がってしまっていたから、なぜそうなったのかを推察するには第1巻以前の過去を知るしかないからだ。
いよいよそれを知れるのかと思い、今回の話も興味深く読み進めた。

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静子は小学生の頃、父が浮気をして、それに対する母の怒りを一身に受けていた。
まずこれが静子の歪みの根本原因の最有力候補なのかなと思った。
それにより根本的な自信が欠如し、人と関わる積極性が失われてしまったのではないか。
静子は、あまり大勢でいることは好まなかったと当時を振り返る。
この、二人なら喋れるけど大勢だとダメというのは共感できる人が少なくないのではないか。結局のところ、自分なんて……、が根本的な原因なんだと思う。実は自分もそういう傾向があったから、静子の気持ちがほんの少しかもしれないけど、わかってしまう……。
そういうのって、その後の人格の形成に響くんだろうな。自信が持てず、引っ込み思案になりがちになると思う。

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結局、静子も中学生になった頃には誰とも話さずに下ばかりみていたという。これは対人関係の苦手意識から、元々薄かった積極性がより希薄になり、それが劣等感に繋がっていたということではないか。何か部活を行っていたわけではなく、何かから良い影響を受けて変わるきっかけも得られず、明るい青春とはとても言い難い日々を送っていたようだ。このあたりの回想もリアルで、共感を覚える人がいるだろうなと思う。

しかし高校生になり、佐知子という友達ができたことで、暗い所でうずくまっていただけの静子の人生が広がっていく。
佐知子は一人で退屈そうにしていた静子に、キレイな顔をしているのにもったいないと演劇部への入部を勧めた。ここから分かるのは、やはり静子はキレイな顔をしていたようだ、ということ。静一にとって特にキレイに見えていたというわけではなく、客観的にキレイと呼べる水準にあったとみて良いだろう。

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佐知子の影響で演劇部に入り、静子は演じることの楽しさに目覚め、高校入学以前よりも前向きに生きていたようだ。
そして高校二年生の時、佐知子の誘いで東京に観に行った演劇に衝撃を受け、東京で俳優になることを夢見るようになったのだという。
小学校、中学校はふさぎこみがちだったけど、高校で人生の目標と呼べるものができて、いよいよ静子の青春が始まったんだなぁ。

そして高校二年生の冬、佐知子に誘われていったたまり場となっていた一室で、静子は一郎との初対面を果たす。おそらく演劇関係の集まりだろうか。静子はその時の一郎についての印象については、調子のいい人がいるという、ただそれだけだと述懐する。特に一目惚れをしたというわけではなかったようだ。ひょっとしたら、静子が憧れた劇団のメンバーの集まりで、一郎の演技・あるいは脚本に惚れ、やがて結婚に繋がっていったみたいな流れなのかな。実際、何がきっかけで静子と一郎が結ばれたのかは次回語られると期待したい。

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その頃になると両親と静子は会話がほとんどなかったのだという。自分と違い、妹の悦子に対しては両親は優しかったため、静子は悦子とも話さなくなっていた。
静子は両親に、おそらく東京で俳優を目指ことは伏せて、生活費は自分で何とかするから東京のデザインの専門学校に行きたいと伝えて、承諾を得る。
佐知子は家の手伝いの為に東京に出られず、どうやら佐知子とは高校卒業後はそれきりのようだ。数少ない友達とも連絡をとらなかったのは、上京する時に静子が抱いていた、もう地元に帰らないで、東京で俳優になるという野心が関係していたのかもしれない。

これから私の人生が始まるの、と続ける静子の横顔を静一はじっと見つめて、静子の話に耳を傾ける。

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ちょっと前まで静一のことすらわからないくらいに呆けていたように見えていた静子が、そんなことを全く感じさせない明瞭な語り口で過去の話を静一に聞かせていた。

阿佐ヶ谷の4畳のボロアパートに住み、昼は学校で絵を描き、夜はアルバイトをしていたと静子は振り返る。まさに青春の日々だな……。

そして静子は、高校二年生の時に衝撃を受けた例の劇団のオーディションを受けて、その一員になることを目指すようになるのだった。
ひょっとしたら静子が入団をめざした劇団のメンバーの中に一郎がいたのかもしれない。

色々と考察というか、妄想が広がる1話だった。

次回、続きが楽しみだ。

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