血の轍(押見修造の漫画)の最新第27話とびらの感想(ネタバレ含む)と考察。呪縛を振り切って吹石に好意を告げる。吹石の返事は……?

血の轍 第26話 吹石

第27話 とびら

 

第26話のおさらい

職員室で教師たちから説教を受ける静一。

 

担任の女性教師から説教を受ける静一は、ただただ項垂れるだけで、何も答えることが出来ない。

 

それを見ていた男性教師も、静一が教卓を壊したことに対し、それは先生を、ひいては学校を侮辱することだと憤慨する。

 

静一は黙ったまま、ただ涙を流す。
女性教師に、親御さんに連絡するから家できちんと話し合えと、と告げられ、説教の時間は終わる。

 

校門を出た静一の脳裏では女性教師に言われた”親御さんにも”という言葉がリフレインしていた。

 

静一は、静子の笑顔を思い出し、本来の帰路とは逆の方向に歩み出す。

 

そんな静一を、物陰に隠れてじっと見つめる吹石。

 

静一は土手を越えて広場のようになっている場所にあるベンチに腰かけて空を眺めていた。
そこに、長部、と吹石が静一に声をかける。

 

穏やかな視線を静一に向けて、吹石はとなりにすわっていいかと声をかける。

 

無言でベンチのスペースを空ける静一。

 

吹石はゆっくりと静一の隣に腰を下ろし、後をつけてきたことを謝る。

 

何も答えない静一。

 

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吹石は、このベンチにはよく来ると話し始める。

 

「家にいたくないとき、ここに来てボーッとするんさ。」

「私、お父さんとよくケンカするから。」

「私もさ、前すっごいケンカしたとき、ムカついてカベけったら、ボッコリ穴開いちゃったことあるんさ。だから…」

 

静一は無言のまま、吹石を見つめる。

 

「いっしょだいね。」
静一に優しく微笑みかける吹石。

 

静一が無表情、無反応なのを受けて、吹石は、いっしょでもうれしくないか、と目を伏せる。

 

「うれしい。」
それまで沈黙していた静一は、ぽつりと、しかしはっきりと呟く。

 

吹石は静一を見つめる。

 

「うれし…かった。」
静一は俯き加減でありながら、はっきりとした口調で続ける。
「僕は…うれしかった。」

 

吹石は頬を紅潮させて、隣の静一をじっと見つめる。

 

「吹石の、手紙…」
静一も吹石と同様に頬を紅潮させて、しかし吹石の目をしっかりと見つめる。
「本当は、うれしかった…!」

 

第26話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

 

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第27話 とびら

告白

吹石から手紙をもらって嬉しかったと静一から伝えられ、吹石は静一をじっと見つめる。

 

恥ずかしそうに顔を少し歪める静一。しかし視線を吹石から逸らさない。

 

二人はじっと見つめ合う。

 

吹石が口をゆっくり動かす。
「ほんとに…?」
静一をじっと見つめて問いかけてから、視線を自分の足に向けるように伏せる。
「それって…どういう意味?」

 

吹石の横顔を見つめ続ける静一に吹石は再び視線を向け、静一からの答えを待つ。

 

二人の間に沈黙が流れる。

 

答えようとした静一は、涙を流した静子に背後から抱き締められる感覚に襲われる。
それとともに、寝たきりのしげる、明るく静一を元気づける伯母さん、一郎の顔、そして静子の泣き顔を思い出す。

 

口を開く静一。答えを待つ吹石。

 

静一は懸命に声を出そうとする。
背後から伸びる無数の手に絡めとられながらも、必死に光の射す方向に向けて手を伸ばす。
「…ぼっ、ぼっ!」
不自然なほど大きく口を開き、静一は一生懸命に言葉を絞り出そうとする。

 

「僕っ…とっ……」
自然な口の開き、表情で言葉を続ける。
「つっ…つっ…つっ……つきあっ……て…」

 

静一の言葉を受け止めて、吹石は惚けたように静一を見つめる。
吹き抜けた風が吹石の髪が乱す。

 

目を見開き、吹石の反応を見つめる静一。

 

静一から視線を外し、吹石は口元に手をあてる。

 

そして、両手を真っ赤になっている頬にあて、静一に向かって恥ずかしそうにほほ笑む。

 

その表情に同調するように静一の頬も赤く染まる。

 

「うんっ。」
吹石が返事をする。

 

 

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別れ際

辺りはすっかり暗くなっている。

 

途中まで一緒にそれぞれの家までの帰路を歩いていた。

 

路上に向かい合って立ち止まる二人。

 

「じゃあ…私んちそこだから…」
吹石が告げる。

 

「あ…うん。」と静一。

 

そして言いにくそうにしながらも、あのさ、と吹石が切り出す。

 

静一は吹石の言葉を待つ。

 

「明日から、一緒に帰んない?」

 

「……あ…」
若干戸惑いつつ、いいよ、と答える静一。

 

「…ありがと。」
わずかに微笑む吹石。
「じゃあ…また明日ね。」

 

「…うん…また……」
静一はゆっくりと名残惜しそうに、吹石を見つめながら答える。

 

「バイバイ。」
左手を肩の位置まで上げ、吹石は頬を紅潮させて微笑む。

 

静一は吹石を真っ直ぐ見据えながら、同じように右手を上げる。

 

 

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静子出現

電灯に光が灯っている。
静一は夜の静かな街を行く。

 

しばらく呆けたような表情で歩く。

 

ふと足を止めた静一。
頬を染め、口に拳を作った手をあてて幸せを噛み締めるように微笑む。

 

「静ちゃん。」

 

静一の背後、肩から胸に手が回される。

 

静一が振り向くと、そこには静子が心配そうな視線を自分に向けている。

 

「遅いから、探しに来たんさ。」
静子は学校から電話があったと淡々と言葉を続ける。
「もう。静ちゃんは。」

 

「何してたん?」
髪をかき上げながら、静子は静一の顔を覗き込む。

 

静子のぎょろりとした視線を受ける静一。

 

 

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感想

吹石の表情が最高

前回の流れに続き、静一の心が救われる展開。

 

正直、言葉では告白シーンの魅力を10%も伝えられていないな。
これはもう実際読むしかない。漫画というメディアの持つ力を感じられる。

 

静一に付き合ってと言われた後の吹石の表情が言葉では表現不可能なくらい可愛いすぎるんだよ!!!!
あと別れ際の「バイバイ」の時の表情も。手を振るしぐさと合わせ技一本だわ。

 

この回が収録されるのは4巻かな?
もうね、何冊買おうかってレベル。
イラスト集出たばっかだけど、複製原画とか売り出して欲しい……。
冗談抜きに買って額に入れて飾るわ。

 

ぜひ雑誌や電子書籍を買うなりして確認して欲しい。
”可愛すぎて辛い”という意味不明の言葉が実感できるでしょう(笑)。

 

夕暮れの無数のとんぼの飛び交う広場のベンチで告白。そして付き合い始めるとかさぁ……。
もう青春にもほどがあるわ。
読んでて人の型が保てそうにない……。溶けそう……。

 

今回の話は完全に吹石回だわ。神回決定です。

 

そういえば吹石は夏休み明けの始業式の日に静一からママがいるから付き合えないと言われてるんだよなぁ。

 

それでもずっと静一を気にしてた。

 

言わば女の勘で、静一が吹石の告白を断ったその背後に静子からの圧力を敏感に感じ取っていた。
よって静一自身の言葉だと思っていなかったから諦めきれなかったというのもあるかもしれない。

 

それでも、シンプルに静一を好きという想いが強かったのが一番だな。
吹石は本当に静一のことが好きなんだということが今回の話で改めてわかった。

 

この表情はヤバイ。本当に可愛すぎ。
女の子は好きな人にはこんな表情を見せるのか……。

 

 

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表情の演技がすごい

静一も嬉しそうだった。

 

吹石と別れたあとの帰り道で一人、幸せを噛み締めるように笑っているのを見てこっちまで嬉しくなったわ。
これ本当に嬉しそうな表情なんだよなぁ。

 

今回の話に限らないんだけど、吹石にしても静子にしても押見先生の描く表情の演技は日本随一と言っても良いレベルじゃないのかこれ……。
少なくとも十傑くらいには入りそう。

 

こんなに感情の機微を表情で表現するのが上手い作家そうそういない。

 

漫画ってすごいわ。ここまで出来るんだな。

 

あと、吹石に告白する直前の静一の感じていた”呪縛”の表現はさすがだと思う。

 

静子が泣きながら自分を背後から抱き締める。

 

その静子を中心に寝たきりのしげるや、自分に温かく笑いかける伯母、そして一郎が浮かんでいた。
これらは静一を苛む静子の”呪縛”を振り切るきっかけになったのかなと思った。

 

静一は自分の苦しみが静子に由来することにはっきりと気付き、戦い始めている?

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静子が来た

ただ幸せなままで終わらないのがこの漫画だ。
やはり来たかって感じ。

 

夜になったということは多分19時前くらいかな。
劇中では10月。おそらく少なくとも18時は回ってる。

 

中学生がその時間に帰って来ないとなると心配になるのは当然。
静子が静一を探しに外に出る行動は理解出来る。
ましてや学校から連絡があったその日だしなぁ……。

 

学校からの連絡があって、静一に話を聞こうとしても中々帰って来ない。
ならば今まで何をしていてのかと問い詰めるのも親として当然だ。

 

静一の胸に肩から手を回した行動を別にすれば、ここまでの静子の行動は親として全く不自然じゃないな。

 

ひょっとして次回、このままの流れでまともに静一に説教するのか?

 

客観的に見て、明らか教壇の側面を蹴破った行為は良くない。

 

 

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静子がそれを咎めるのは親として間違っていない。
もちろんその理由はきちんと聞いた上で、だ。

 

しかし、静子から受けたストレスが原因だけど静一がそれを言えるわけがないし、ひょっとしたら自覚すらしていないかもしれないから、静一にとってみれば厄介な事態になったなと思う。

 

これはもう、何か適当な理由をでっちあげるしかない。
静一にそれが出来るだけの精神的余裕があればだが……。

 

それ、ちょっと無理っぽいんだよなぁ……。
やはり静子が出て来ると物語に緊張感と圧迫感が霧のように立ち込める。

 

先ほどまでの幸せが一気に侵食されていくのが静一のラストの表情から分かる。

潜在意識下では静子を恐れ始めているし、自分がやらかした教壇破壊を知られた上で、今まで何をしていたのかを問われている。

 

正直に、吹石に会っていたなんて言おうものなら取り乱すのは必至だ。

 

 

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対決の日は近い?

この話以降、静一は吹石と付き合っていることを静子から隠そうと必死になるはず。
でも静一の素直さと静子の勘の鋭さという二つの要素を考えれば、静一の女関係なんてすぐにバレることは何となく予想がつく。

 

いよいよ静子VS吹石が近付いてきたかな。

 

静子は吹石のことを自分と静子の関係を危うくする外敵だと見做すはず。

 

しげるがどうなったかを考えると、吹石の身の危険を案じずにはいられない。

 

ここまでこの話を読んでいれば分かるけど、静子には何をやらかすか分からない危うさがある。

 

果たして次回、静子は静一にどう接するのか。
静一がしげるの見舞いに行ったことを知って以降、明らかに静一に対する態度が変わってるから怖い。
いきなりキレて殴り倒しても不思議じゃない。

 

次回、冒頭からどんなやりとりになるのか注目だ。

 

しかし、静一を見つけた時の表情は相変わらず美人だった。
ヤバイ人だと分かっててもなお美しいのは反則だわ……(笑)。

 

以上、血の轍第27話のネタバレを含む感想と考察でした。

 

第28話に続きます。

 

あわせてよみたい
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