血の轍 最新第109話不帰ネタバレを含む感想と考察。2017年の静一。

血の轍 第44話 静子

第109話 不帰

第109話のおさらい

「あっそう。」
静子から冷たく言い放たれた言葉に凍り付く静一を、職員たちが捕まえる。

静子から引き剥がされ、別室に連行されていく静一。

静一は一郎から怒りが含まれた視線を向けられながら職員に連れられていく間、肩越しにずっと静子の様子を見ていた。

静子は静一に一切目を向けず、何事もなかったように言い放つ。
「もう帰っていいですかぁ?」

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隣の部屋で静一は職員によって椅子に座らされていた。
静一には職員たちの姿が激しく歪んでおり、正常に認識できなくなっていた。

落ち着いた静一が職員と元の部屋に戻ると、その部屋の中の人物も静一には顔がブレてきちんと認識できない。

静子が退廷した室内で審議は滞りなく進んでいく。
裁判官たちのやりとりも、静一には途切れ途切れになっていた。

裁判官から話を振られた一郎の言葉もはっきりとは聞こえず、そして顔も歪み、徐々に煙のようにゆらめいていく。

「はい……私が……静一を…一生……静一の……ために……妻と……別れ…ても………私の手で……静一を………」

裁判官の姿が徐々に煙のように消えていく。

「それでは………処分を言い渡します。」

室内にいる人間すべてが消えていた。
静一だけが存在する室内に裁判官の言葉だけが響く。

「君を、救護院に送致します。」

今度は静一自身の姿も歪んでいく。

「はい。」

そして煙のようにその場から消えてしまう。

第108話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第109話 不帰

故郷との別れ

(おしまい)

静一が通っていた中学校、教室が炎が燃え拡がるようにして消えていく。

(さよなら)

自宅も、自室も同じように消える。

(みんな みんな)

(もう 生き返らない)

(さよなら)

河原のベンチに座っている吹石も、こちらを振り向いた瞬間に消えてしまう。

高台から見える街の風景も、さながら大火のように燃え上がっていた。

(ばいばい)

風景が小さくなっていく。

(ばいばい)

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現在の静一

寝床以外の床がゴミで埋め尽くされている部屋で静一は眠っていた。

17時30分、スマホのアラームを止めて、ゆっくりと起き上がる静一。
用を足し、洗面所で手を洗って鏡の中の自分の顔を暫し見つめる。
目は生気なく淀み、口元にはヒゲがわずかに伸びてきている。

テーブルの前に腰を下ろし、納豆ご飯をかきこむ。

卓上のカレンダーは2017年4月のページが表示されている。

(もう生き返らない)

(僕は 僕の人生は)

パーカーを羽織り、バッグの取っ手を肩にかけて玄関を出る。

(でも 僕は)

静一は街中を歩いていく。

(僕は生きてしまった)

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感想

その後の静一

時間が一気に飛んで、物語が続くパターン来たか……。
ここからどのくらい続くのかわからないが、本格的な新章開始は次回の話からのようだ。

ここから一体どのくらい長く話が続くのかわからないが、救護院時代や、その後静一が歩んできた人生の回想は期待できるかもしれない。
ひとまず次回は2017年4月時点での静一の一日が描写されるのだろう。相当リアルな、本当にどこかにいそうな一人の男の生活が描かれることを期待してしまう。リアル過ぎる、静かな絶望が漂ってくる生活描写って、個人的にはホラー漫画よりよほど怖い。決して抜け出せない人生の深淵を見せつけられた上で、自分も少し間違えればこういうどうしようもない状況に陥るのかもしれないと感じてしまう。
過去の取り返しがつかないことを反芻し、身悶えするというのは大変な恐怖だと個人的に思うのだがどうだろうか。

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部屋のカレンダーがきちんと最新のものであるなら、2017年4月。
多分22、3年後くらい? だから30代中盤の静一か……。
部屋の荒れ具合や、何より表情の生気の無さから、あまり幸せそうには見えない。次回、如何ともしがたいリアルな絶望を見せつけられそうだ。

中学生の頃は中々の美青年だった。その面影が残るものの、今ではすっかりおじさんだな……。
部屋の荒れ方がまた心の荒み具合を示しているようで辛い。少年審判が終わってからここまで、きっと静一はロクな人生を歩んでこれなかったのだろうと一瞬で想像させられてしまう。鏡の中の静一の目つきから、そんな淀みが感じられた。

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17時30分に起床して、食事を済ませて外に出た静一。
おそらくこれから深夜勤務だろうか。どういう仕事をしているのかはまだわからないが、自活は出来ている。一人暮らしの環境や、ぼろぼろではない服、スマホの回線料を維持できる程度には稼げているようだ。
当時、世間を大いに騒がせたであろう少年殺人犯として、きっとここまで筆舌に尽くし難い苦労が色々とあっただろうに、それを思えば立派に生きていると思う。

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絶望の日々

部屋の様子から荒んだ感じが伝わってくるが、今回の話の冒頭からの最後までのモノローグから、少なくとも自分が犯してしまった取り返しがつかない犯罪について、後悔していることはわかる。

ただそれがしげるの命を奪ってしまったことではなく、その罪を犯したことによって自分の人生が大いに歪んでしまったことを日々後悔しているように感じられる。
常に被害者のことを忘れずに生きている加害者なんて、一体世の中にどのくらいいるのだろうか。

しげるを殺めたりしなければ、自分は普通の人生を歩むことが出来た。そしてここまでの人生、ずっと日陰を歩み続けて来てしまった、と毎日後悔し続ける。これって地獄なんだろうな……。自分ではどうしようもない、決して取り返しがつかないことで、いくら後悔してもし足りない……。想像するだけで寒気がする。

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中学2年の吹石とのことを、きっと何度も何度も思い出しているんだろうな……。静一の身になって考えると、身悶えする思いだ。あんな良い子と思いが通じていたのに、もったいないな、と自分ならずっと後悔する。

ここから先の展開、中年となった静一の静かな絶望の日常を見続けることになるのか。それとも、どこかの時点でぷつりと糸が切れて、何か社会を震撼させるような犯罪を犯してしまう、いわゆる「無敵の人」パターンもあるかもしれない。

どう転ぶかわからないが、ここから普通に家庭を持って……みたいな人生を歩むということはあまり想像できないんだよな……。

次回以降、話がどう転がっていくか楽しみでならない。

以上、血の轍第109話のネタバレを含む感想と考察でした。

第110話に続きます。

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