血の轍(押見修造の漫画)の最新第13話日陰の遊びの感想(ネタバレ含む)と考察。”約束”を思い出して、静一は吹石を家の中に招き入れる。

血の轍 第13話 吹石

第13話

第12話のおさらい

静一は、幼少時に静子と道路に寝ている猫のそばにいき、撫でたら死骸だったという記憶を思い返していた。

撫でていた猫の死骸の顔はいつしか、頭から血を流すしげるの顔になり、静子の表情から微笑が消える。

「せいちゃん、ままのことゆるしてくれる?」

自室で悪夢から目覚めた静一は汗をかき、息が乱れていた。

一階の居間に降りた静一を一郎が挨拶と共に迎える。

定位置に座った静一の背後から静子が現れ、一郎は静一に食事を済ませたら病院に見舞いにいくと告げる。

静一は、やだ、と短く、しかし明確に拒否の意思を示す。

一郎は前日からの静一の消耗度を理解し、病院には一郎と静子の二人で行くことに。

玄関から出て行く二人を見送った静一は自室に戻るとベッドの上で悲鳴のような呻き声のような悲鳴を上げて泣きじゃくるのだった。

そこに玄関のチャイムが二回鳴る。

階下に降りていった静一は玄関をノックする音に、はい、と答えて扉を開ける。

そこにいたのは同じクラスの女子、吹石だった。
血の轍 第12話 吹石

居間に行った静一に、一郎は母と共に病院に見舞いに行くと言うが、静一は明確に拒否するのだった。

第12話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

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第13話

チャイムに応じて玄関の扉を開けた静一の前にいたのは同じクラスの女子、吹石だった。

 

静一は玄関に、吹石はその外に立ったまま、お互いに無言で少しの間見つめ合う。
血の轍 第13話 吹石
沈黙を破って静一が、何? と問うと、吹石は一瞬の間のあと、約束したが全然電話がなかった、と伏し目がちに答える。

 

何のことか分からず、え? と静一は一瞬考える。

 

夏休みに入る前の最後の日、吹石との帰宅したあの日。

 

(こんど うちに遊びに行っていい?)
吹石は猫の顎を撫でながら静一に問いかけた。

 

そんな吹石に静一は、母に聞いてみないと、と答える。

 

吹石は、わかったら電話して? と静一にお願いした。

 

そんな一連の流れを思い出した静一は、ごめん! と謝る。

 

ごめん、ともう一度、吹石の顔を見られずに視線を下げたまま続ける。

 

吹石は静一をじっと見つめて、今日はいとこはいないのか、と問いかける。

 

え? と吹石を見る静一。

 

吹石は、静一が言っていた、いとこが来るときは遊べないという言葉を口にし、今日は来ているのかと問う。
血の轍 第13話 静一
「あ…いや…今誰もいなくて…」
吹石を見つめていた静一は、視線を僅かに下に逸らす。

 

静一をじっと見つめる吹石。
「…ほんと? じゃあ…上がっていい?」

 

即答せず、吹石を見つめる静一。

 

家の中

おじゃましーす、と吹石。

 

静一は吹石を家に上げ、居間に案内する。

 

二人の間に言葉はなく、セミの鳴き声が部屋の中にわずかに響く。

 

吹石は窓のある方を向き、静一とは顔を合わせない。

 

そんな吹石を静一は後ろからじっと見つめ、飲み物は麦茶でいいかと問いかける。

 

顔だけ振り向き、うん、と答える吹石。

 

冷蔵庫から麦茶の入った容器を取り出してコップに注ぐ静一に、長部、と吹石が声をかける。

 

びくっ、と驚いたように静一は吹石を見る。

 

「長部の部屋ってどこなん?」
小首をかしげる吹石。
「見して。」

 

吹石を見つめる静一。

 

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静一の部屋へ

静一を先頭に二人は階段を上り、吹石は静一と共に部屋に入る。

 

静一は麦茶の容器と麦茶の注がれたコップ二つを載せたトレイを勉強机に置く。
血の轍 第13話 静一と吹石
吹石は背負っていたリュックを下ろし、部屋を眺めながら、へー、と声を上げる。

 

それに対して静一は特にリアクションをしない。

 

「ベッド、座っていい?」
吹石はベッドを見ながら静一に尋ねる。

 

「…うん。」

 

静一の許可を得た吹石はベッドに座り、ベッドに手をつけて、ぎし、と音を立てる。

 

床から静一に視線を移す吹石。

 

立っている静一とベッドに座って見上げている吹石の二人の目が合う。

 

静一は照れて、吹石から思わず目を逸らし、吹石とは、座っている人の幅3人分くらいの距離を空けてベッドに腰を下ろす。
血の轍 第13話 静一
「あ…」
吹石が静一を横目で見ながら問いかける。
「家族のひと…どこ行ったん?」

 

「…いや…」
静一は俯き加減の姿勢でぎこちなく答える。
「ちょっと…病院…」

 

吹石は静一をしっかり見て、病院、お見舞いか何か? と再び尋ねる。

 

静一は一瞬の間のあと、床に視線を固定したまま、いとこがケガして…、とだけ答える。

 

「え? そうなん? 大丈夫?」
吹石は静一の方にきちんと顔を向けてを見つめている。

 

その表情には何の作為も無い。

 

静一は、組んだ両腕の肘を両膝につけるようにして突っ伏すように上半身を前傾させる。

 

吹石は明らかに元気がない静一の様子に心配そうな表情で、どうしたん? と問いかける。

 

「…ご…」
静一は顔を上げる。
「……こっ…………おっ……っ……」
そして何かを答えようとするが、言葉が喉の奥につかえたように出てこない。

 

ごっ! とようやく言葉が出た後、ごめん、やっぱり遊べない、と静一は吹石に向けて切れ切れに答える。

 

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手紙

二人の間に沈黙が流れる。部屋の中に響く蝉の鳴き声がそれを強調する。
血の轍 第13話 静一と吹石
静一は両腕を組んで膝を抱くように前傾したままの姿勢に戻っている。

 

そんな静一を吹石は少し驚いたように見つめている。

 

少し残念そうな表情を浮かべる吹石。
「…わかった。ごめんね。」
ベッドから立ち上がる。
「じゃあ…帰る。」

 

静一は吹石に視線を向ける事無く、前傾した姿勢のまま動かない。

 

リュックを背負った吹石が部屋の扉の前まで歩く。

 

しかしドアノブに手をかけることなく、その場に止まっておもむろにリュックの中身を探る。
血の轍 第13話 吹石
吹石がごそごそ何かを探っているが、静一は下を向いたまま動かない。

 

吹石は静一の元に近づき、これ、と何かを持った両手を見せる。

 

顔を上げた静一の目に、ハートのシールで封をされた可愛らしい封筒――手紙らしきものが映る。

 

「あとで読んで…」
頬を真っ赤に染め、静一から視線を逸らす吹石。

 

え…、と手紙を凝視する静一。

 

吹石は真っ赤になりながらも静一を見つめる。

 

それが何なのか悟ったように、静一も頬を紅潮させ、手紙を両手で受け取る。
血の轍 第13話 吹石の手紙
ガチャガチャ

玄関のカギを開ける音がする。

 

顔を真っ赤にして、立ったまま静一を見つめる吹石。

 

受けとった手紙を見つめる静一。

 

ギィー…

 

バタン

 

沈黙していた二人の耳に何者かが家に入って来たような音が聞こえる。

 

部屋の扉に視線を投じる静一。

 

「静ちゃん!?」
どたどたどた、と慌てたように静子が階段を駆け上がり、静一の部屋の扉をガチャと開く。
血の轍 第13話 静一と吹石
ベッドに座ったままの静一とそのそばに立ったままの吹石が揃って扉の方を見ていた。

 

静子は扉を開けたまま呆気にとられた表情をしている。
血の轍 第13話 静子
「…あ、」
静子の唐突な登場に若干慌てながらも、おじゃましてます…、と挨拶する吹石。

 

「あら、」
静子は笑顔を作る。
「おともだち?」

 

いつも自分に向けられる柔和な笑みとは異なる威圧的とも言える母の笑顔を見て、静一は目を見開くのだった。

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感想

まずは吹石かわいい。

 

早く下の名前が知りたいっす。

 

いちいち”吹石”って硬質な表記をしないといけないのが辛い。

 

あ~、恋する中学生の甘酸っぱさよ。
ある程度人生いってるともう目に毒だわ(笑)。

 

静一が羨ましくてしょうがない。ほんとに。

 

この血の轍の中で、まだちょっとしか出てきてないけどクラスメートの男子を見る限り、彼らと比べて静一は整った顔をしてるし、モテても不思議じゃないと思うな。
血の轍 第3話 友達3人組

 

ただ、ルックスだけじゃなく、そもそも1話から吹石とお互いにからかい合っていた描写もあるし、二人は既につき合っていてもおかしくないくらいに仲は良かったと思う。

 

そして、静一の部屋は整理整頓が行き届いている。

 

それを見て、きっと吹石の静一への想いはまた膨らんだに違いない。

 

まぁ、汚い部屋だったら吹石は手紙を渡さなかったかも。

 

女の子は場所やムードを大切にするから。

 

当初の目的通り、吹石が勇気ある行動をした。

 

吹石はハートマークの封をした封筒を渡したが、これは内容を読むまでもない。ラブレターですよね。

 

こんなのもうつき合うしかないじゃん。

 

吹石の気持ちを知ったことで確実に静一と吹石の関係は前進した。

 

静一は罪の意識に苛まれている。

 

母がしげるを突き落とした。

 

その一部始終を目撃していた静一は刑事にその行為を告発することなく母と同様の罪を背負った。

 

しげるは寝たきり、もしくは後遺症で半身不随というあまりにも重い現実が、猛烈な罪の意識となって静一を苦しめている。

 

しかし、吹石から手紙を受け取った時に、静一は自らの背負った十字架の存在を束の間だけど忘れていたと思う。

 

吹石の自分への真っ直ぐな想いは、きっと静一にとっていくらか救いになったはずだ。

 

そしてそこに、あまりにもタイミング良く静子が帰宅するわけだ。

 

怖すぎ。

 

特に静子のしげるに対する犯行と、それを上手く誤魔化している事実を知っている読者としては、今後、吹石の身に何が起こってしまうのかと心配になる。

 

そもそも、いきなり静一の部屋の扉を開けた静子は怖い。

 

玄関に入ってくるまでは普通の動作だった。

 

しかし静子は玄関にある吹石のスニーカーを見て、静一が部屋に「友達」と一緒にいることを一瞬で悟り、一目散に駆け上がってきた。

 

これだけでちょっと異常なのがわかる。

 

普通、もう少し自制が働くでしょ。
階段をどたどた駆け上がるのではなく、時間的には大して変わらないんだから普通に上がればいい。

 

でもなりふり構わず一直線に駆け上がった。

 

そしてもっとヤバイのは、静一の部屋に静一の「友達」が来ていることを完全に分かった上で、ノックもせず、声もかけることもなく一気に扉を開けた。

 

これはきっと、男か? 女か? を確かめる為だろうな。

 

愛しの息子と二人きりでいたのが女の子だと知った後の静子の笑顔は、明らかに戦闘モードである。

 

人間、心の内を覆い隠しながらも友好的な雰囲気を出そうとするとこんな感じになる。

 

この表情はぜひ雑誌か単行本で確認して欲しい。
ビッグコミックスペリオール 2017年19号 – ebookjapan(電子書籍版)


押見修造先生の卓越した表情の表現力が見られる。

 

キャラクターの表情、そして演技させるのが上手すぎる。

 

”ついにこの日が来たか”と静子が思ったかどうかは分からないが、今後が怖くなった。つまり面白くなった(笑)。

 

多分、この日は特に目を見張るようなやりとりもせずに吹石が帰るのを見送るだろう。

 

静子はいきなりヒステリックに気に入らない相手に食って掛かっていくタイプではない。

 

きちんと常識的な振る舞いを行うし、近所では「穏やかな良い人」というポジションを得ているかもしれない。

 

世間に対してぐいぐい斬り込んでいくタイプの母ではないから穏便に接するだろう。

 

しかし、しげるを突き落とした時のようにチャンスがあれば「大胆な行動」もするかもしれない。

 

静子と吹石の禁断の邂逅となった13話。面白かった~。

 

14話が楽しみ過ぎる。

 

以上、血の轍第13話のネタバレ感想と考察でした。

 

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