血の轍 最新第107話怨讐ネタバレを含む感想と考察。静子と静一の母子関係の終焉。

血の轍 8巻

第107話 怨讐

第107話のおさらい

静一は、母親をやめると宣言した静子の横顔を見つめる。

静子の、母親をやめるという言葉に対して、どういう意味かと問う裁判官。

それに対して静子は穏やかな表情で、母親のふりをするのを辞めると答える。

自分が今まで一度も心の底から母親になれたことが無いと続ける静子を、制止しようとする裁判官だが、静子は言葉を止めない。
「私は、子供を作るべきじゃなかった。私は、独りでいるべきだった。」

静子は、自分が子供を産み、自分がもらえなかった愛情を全部注ぎ込むことで自分が救われると思っていたが、それは間違いだったと続ける。

そして、産む前も、産んだ後も、本当は産んで良いのか、産まない方が良かったのではないかと心が揺れ続けていたと告白するのだった。

スポンサーリンク



裁判官の退室命令を無視し、自分が間違っていたと静子。
「もう捨てます。子供を。捨てていいですよね? ひとをころした子供だもん。」

これから、私の人生がはじまるの、と言う静子の表情は希望に満ちていた。

「ありがとう。ひとごろしになってくれて。」

静一は一言も発することも、身動き一つもできなかった。

スーツを着た男女が静子に退室を促す。
「お母さん。こちらへ。」

「はい。」
静子は晴れ晴れとした表情で快諾し、退室しようとする。
途中、肩越しに静一を振り返ると、笑顔で一言声をかける。
「ばいばい。」

第106話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。

スポンサーリンク



第107話 怨讐

引導

静一を完全に見捨てて、歩み去ろうとする静子。

静一は血走った目で呆然と静子の背中を見つめていた。

徐々に遠くなっていく静子。

静一の口はだらしなく開き、目にはさらに血管が走っていく。

自分が完全に捨てられたことを理解した瞬間、静一は 勢いよく立ち上がって、半狂乱状態で静子に向けて駆けだす。

静一は激しい怒りと憎しみに任せ、静子の服の首元を掴むと思いっきり後ろに引き倒す。強かに背中を床に打ち付ける静子。

静一は静子の腹部に馬乗りになり、静子を見下ろしていた。

スポンサーリンク



静子の表情は、怒りや悲しみはおろか、その他の一切の感情も表れていなかった。
何の感情も伺えない表情で、静一を見上げる。

静一は静子の首を両手で掴むようにして、喉元に親指を食い込ませていく。

静一は怒りと憎しみに支配されていた。
目と歯を剥き出しにして、静子を睨みつける。

静子は静一から殺意を以て首を絞められようとしているにも関わらず、全く抵抗の意思がなかった。自身の手で静一の手をどけようとする素振りすら見せない。

「あっそう。」
静子は冷めきった表情で静一を見つめながら、そう一言呟くだけだった。

殺意剥き出だった静一は一転、絶望した面持ちで静子を呆然と見つめるのだった。

スポンサーリンク



感想

完全に静一を見放した静子

鬼気迫る描写だった。セリフではなく、登場人物の動きや表情にここまで雄弁に語らせるとは……。押見先生は一体どんな心境で、そしてどんな表情で、今回の話を描いたのだろう。静一になり切って、もしご自身が実の母親からこのような態度をとられたらと想像して今回の静一の顔を描いたのかな……。

今回の静一の表情が、単純に、夢に出てきそうなくらい恐ろしいんだけど……。
この表情。そして態度。さながら、食物ではなく、親の愛を求める餓鬼といったところか。

しかし、狂乱状態になった静一に猛烈な勢いで後ろに引き倒され、馬乗りで首を絞められかけているのに、今まさに実の息子に殺されかけているはずなのに、静子は一切取り乱した様子を見せていない。

スポンサーリンク



全く感情に波が立っていない。無風。
あえて感情を読み取るなら、こんな蛮行に出た静一に対する若干の侮蔑は感じられるか……?

でもここまで自分に対して殺意を剥き出しにしている相手に首に手をかけられているにもかかわらず、全く抵抗するそぶりすら見せないのは中々肚が座っているというか、異常な気がする。

ここまで達観、あるいは冷めきった態度になってしまうとは……。

前回は、これから自分の人生が始まると言ってウキウキ状態だったが、本当は今の生活から自由になろうが、今死のうがどっちでも良いんじゃないだろうか。

スポンサーリンク



どういう形であれ、母親という立場から解放されればそれで良い。ここで死ぬならそれはそれで一つの救い……。そんな捨て鉢な感じが読み取れる。
静一が自分に殺意を向けてきているという現状をあっさりと受け入れるんだけど、でも静一が自分を殺せるはずがないと見通している風にも見える。

ここまで静一が必死になって縋りついたにも関わらず、この、何もかもどうでも良いと言わんばかりの落ち着き払った態度。
静子の静一を見つめるラストの表情から、改めて、静子は完全に静一を手放したんだと分かる。今後何があろうとも一切関わる気はない。そんな強い拒絶の意思が感じられる。

スポンサーリンク



これからどうなるんだろう……。

公衆の面前で堂々と息子を捨てると宣言した静子はとんでもないが、それを受けての静一の行動もヤバイ。

周りに人がいることなど一切構わず、静子を強引に引き倒して首を絞める。人間、よほどの激情に駆られないことには、こんなことは出来ない。

静一からすれば、しげるを殺害したのは全ては静子のためだった。静子の味方になり、自分の全てを静子に捧げた。
収監後、静一の希望は静子にそれを褒めてもらうこと、わかってもらうことだけだった。ただひたすらそれだけを求めて我慢してきた約3ヶ月だった。

しかしその果てに待っていたのは、静子からの完全なる存在の否定だった……。

スポンサーリンク



静一の静子を求める狂おしいまでの愛が、静子からの存在の否定によって一気に強烈な憎悪に裏返ってしまった。
この世で最も大切だった人が、この世で最も憎い人になってしまった。
これが一体どれほどの悲しみなのか……。

しかし、こんな展開になって、これからこの話はどうなっていくんだ……?
どうやってここから話を展開し、締めるつもりなんだろう。

ここからそう長く続くようには思えないんだけど、まだ静一は苦しみ続けるのか?
未成年で人殺しとなり、決して取り返しにつかない立場としてこれから長い人生を生きていかないといけない。

スポンサーリンク



それも、人殺しになったことが決定打となり、自分が最も大切に想っていた静子に捨てられてしまった。

もう全然予想がつかない。これから静一が立ち直る様子が描かれていくのか? それともいきなり時間が進んで、外での暮らしが始まるのか。

以上、血の轍第107話のネタバレを含む感想と考察でした。

第108話に続きます。

あわせてよみたい
押見修造先生のおすすめ作品や経歴をなるべく詳細にまとめました。

血の轍第5集の詳細は以下をクリック。

血の轍第4集の詳細は以下をクリック。

血の轍第3集の詳細は以下をクリック。

血の轍第2集の詳細は以下をクリック。

血の轍第1集の詳細は以下をクリック。
[blogcard url=”https://creative-seeker.com/chi-no-wadachi-book-1-2

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA