約束のネバーランド 最新第65話シークレット・ガーデンの感想(ネタバレ含む)と考察。住人の居ないどこか奇妙な、のどかな街。そこはゴールディ・ポンドだった。そして始まる……。

第65話 シークレット・ガーデン

第64話のおさらい

ゴールディ・ポンドを目前に休憩するエマ、レイ、オジサン。

レイと会話しながら思い立ったエマはオジサンに対し、助けてあげる、と主張する。

何か思惑があるのかと訝しむオジサンに、エマは自分たちが敵対する意味がないと言い、肚を割って話そうと要求。

憎しみに顔を歪ませ拒否するオジサンに、エマは嫌だと叫び、説得を続ける。

大切な仲間を失い、自分だけ生き残ったオジサンの胸中を思うエマにオジサンのかたくなな心が徐々に溶けていく。

エマは自分たちと、オジサンとその仲間の在り様が似ており、オジサンは自分たちを見ていると仲間を思い出して辛かったのだと指摘する。

後ろ向きな感情では何も変わらないとエマは主張するが、オジサンは冷たい表情でどうにもならないと返す。

お前に何が出来ると言うオジサンに、エマは、共に生きられる、と強い意志を秘めた目でオジサンを見返す。

そして、エマはGFに残した弟妹だけではなく、食用児全てを解放し、一緒に人間の世界に行こうとオジサンを誘う。

仲間が見たかった世界を見よう、仲間の想いを継ぐことは出来るというエマの言葉で仲間の最期を思い出すオジサン。

仲間は皆、オジサンの生存を願い、オジサンを逃がした。

オジサンは、自分だけが生き残った事に何故と疑問を投げかける。

そして、ゴールディ・ポンドでエマを殺そうとしていた事を思い出し、オジサンは口を開く。

「今すぐ引き返せ ゴールディ・ポンドには入るな」
思惑とは全く逆に、オジサンはエマに対して忠告する。

その時、エマを狙う何者かの存在にいち早く気づいたレイがエマに伏せろと呼びかける。

しかしエマは何者かによってロープで拘束され、さらわれる。

エマが目を覚ますと、眼前には見慣れない街が広がっていた。

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第65話

風車が回り、花は咲き、小川が流れるのどかな街の風景。

 

エマは地面で目を覚ます。

 

どうして自分がここにいるのかが分からないエマは起き上がって街を散策する。

 

エマは自らに、落ち着け、と言い聞かせながら、森で一体何に捕まったのかを考える。

 

周囲を見回しても鬼は居ない。レイも、オジサンもいない。

 

「レーイ!! オジサーン!!」
叫んでも何も反応は無い。

 

歩いていくうちに、「WELCOME」と表示されたゲートがエマの視界に入る。
(「ようこそ」…)

 

街の出口らしきそこから再び街の中に走っていくエマ。

 

不思議な街

(どこもカラフル…絵本の中みたい…)
周囲を見回すエマ。家の中を窓から覗く。
(人間が住んでいる……村?)
テーブルにはスープとパン、カップが置かれている。
(けどそんな場所…それに静かすぎる…)

 

再び街の中を歩く。
(人っ子一人見当たらない……)

 

人が住む為の街に見えるが、街の中には誰もいない。

 

そしてエマは、降りていく階段のその先、少し離れた場所に大きな屋敷を発見する。

 

陽光をバックに聳え立つ屋敷は城にも似ている。
(何だろう……お屋敷?)

 

エマは、考えろ、と自らに言い聞かせて思考を巡らせる。
(村に畑に森にお屋敷)

(でもここ鬼の世界だよね?)

 

吹く風が冬にも関わらず春の様に暖かい。

 

あらゆる自然が、昨日までいたはずの森の中とは全く違っている。

 

「そして私は無傷……」
さらわれたにも関わらず傷どころか拘束すらされていない状況に、エマは益々疑問を深める。

(わからない 一体どういうこと?)

 

エマは思考を巡らせながら街を歩く。

 

そもそもさらわれたのは昨日だったのか。

もっと時間が経っていて、今居る場所があの森より遥かに離れた場所だったら……、とあらゆる可能性を考えるエマ。

 

レイとオジサンを探さなくては、という原点に立ち返り、まずはこの街がどこなのかを知ろうと考えていると、エマは背後に気配を感じて振り返る。

(人間!? 子供!)

「待って!」
エマは走り去っていく子供を追いかける。
「ねぇ」
必死に追いかけながら叫ぶ。
「お願い待って」

(教えて 一体ここは何なの!?)

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残されたレイとオジサン

森の中を行くレイとオジサン。

 

レイの呼吸は荒く、疲労の色は濃い。

クソッ、と呟くレイ。

 

レイはエマがさらわれた瞬間を思い出す。

 

何者かに連れ去られたエマにレイは必死に追い縋る。

 

オジサンはレイのコートの襟を掴み地面に引き倒す。
「追うな! お前まで連れ去られる」
必死な形相でレイに言い聞かせるオジサン。
「逃げるぞ!」
オジサンはレイを脇に抱えてその場を駆けだす。

 

「離せ! 離せこのッ…」
悪態をつくレイ。
(チクショウ 警戒していたのに…!)
悔しさに歯噛みする。
(チクショウ)

 

そして現在。

 

「反応できただけお前はすげぇよ」
強張った表情のオジサンが傍らのレイに小声で声をかける。

 

レイはオジサンを睨みつける。
「説明してもらおうか アレは何だ?」
声のボリュームを落としながらもオジサンに食らいつくように詰問する。
「『連れ去る』って? どこへ!? 生死は!!?」

 

オジサンは何も答えず中空に視線を彷徨わせる。

 

レイは答えないオジサンの態度に業を煮やして再び食いつく。
「オッサン!!」

 

「静かにしろ!」
小声で鋭く指摘するオジサン。
「”奴ら”がまだ近くにいるかもしれないだろ」

 

オジサンは、エマはまだ生きているとレイに答える。

 

まだ始まっていない、暫くは死なないが……と意味深に続ける。

 

始まる、という言葉に違和感を持つレイ。
「……エマは鬼に捕まったのか…?」

 

(”鬼”…ああ…)
レイと目を合わせてオジサンが、そうだ、と答える。

 

”密猟者”? というレイの問いかけを肯定するオジサン。
正確にはその一派、と付け加える。

「俺が引き寄せた」

 




初日の交戦

オジサンの表情は強張り、歯を噛み締めている。
「お前らを始末する手段として」

 

野良鬼は普段銃弾を浴びないし、再生痕だらけにもならない、と続ける。

 

ピンと来た様子のレイ。

「まさか…」

(初日の――)

 

レイは、森に入った初日、接敵した鬼との激しい交戦で銃弾を大量に消費した事を思い出す。

 

「初手 わざと大目に弾丸を撃った」
オジサンがレイの顔をしっかり見ながら言い聞かせるように説明する。
「追われたお前らも相当数撃ったろ」

 

(そして相当数外した…)
レイは再生する野良鬼の様子を思い出す。
(殺せず何体も再生させた)

 

殺せば死体、銃弾ともに鬼が食べて消してくれる。

 

しかし殺せずに再生痕だらけの野良鬼の群れを発生させてしまった、と説明を続けるオジサン。

 

「見る知性鬼が見たら明らかに異常だ」

オジサンは、昔、農園脱走から約半年後、仲間がそれで”奴ら”にバレて捕まったと告白する。

 

今回、エマとレイを始めとした子供達が脱走してから、まだわずか10日後。

 

加えて最上級の食用児を扱っているグレイスフィールド農園からの脱走。

「”奴ら”絶対に網を張って狙ってると思った」

 

オジサンの話を聞きながら歯を噛み締めるレイ。

 

オジサンの目論見通り、”奴ら”は3日で気付き、標的であるエマとレイを追ってきたのだと続ける。




「エマを奪り返す」
怒り、焦燥を表情に滲ませるレイ。

 

「無理だ」
オジサンはレイを宥める。
「”奴ら”に手を出すな」

 

お前まで死ぬことになる、と続けるオジサンにレイは怒りの目を向ける。
(こいつまだ……)

 

「てめぇ…策が嵌って満足か――」

 

「悪かった」

レイがオジサンを責めようと放った言葉に、オジサンはあっさりと全面的に非を認める。

 

もうエマとレイに危害を加えるつもりはない、とオジサンはレイに語りかける。
そして、奪り返せるなら追ってそうしてやりたいが、”奴ら”はヤバ過ぎるから出来ないと続ける。

 

「せめてお前は無事にシェルターに連れ帰る」
必死な表情でレイを見つめるオジサン。
「お前の弟妹にももう手は出さん だから諦めろ ここは退け」

 

あいつはもう無理だ、とオジサンは肩を落とす。

 

「うるせぇ!」
レイは立ち上がってオジサンに言い放つ。
「エマも絶対に連れて帰る。必ず守ると決めた親友 二度も失ってたまるか…!!」
レイの脳裏に浮かぶ笑顔で手を振るエマ、そしてその隣で静かに笑っているノーマン。

 

(それにそれができなきゃ俺は死んでもノーマンに顔向けできない!)
正装をしたノーマンが微笑みながらレイたちを振り返り「出荷」されていく光景を思い出す。

 

「答えてくれオッサン」
レイはオジサンに食いつく。
「エマは今どこにいる!?」

 




エマは、折角見つけた街の住人らしき子供の姿を見失い、立ち止まって呼吸を整えている。

 

ふと左の手の掌を見るエマ。

「!」

(何これ…)
左の手の掌には”USE YOUR PEN”と書かれている。

 

エマはミネルヴァのペン型端末の存在を思い出し起動させる。

 

”A08-63”

 

(え? ここ…)

 

現在地を示す座標は、旅の目的地である”A08-63″、つまり”ゴールディ・ポンド”を示していた。

 

森の中。
「あいつがいるのはA08-63ゴールディ・ポンド」
オジサンがレイに説明する。

 

エマが近くにあった看板に視線を投げる。

 

RULES

1.MUSIC

2.MONSTERS

3.SURVIVE

看板にはピエロの挿絵が描かれている。

 

「『音楽』『怪物』『生き残れ』?」
不思議そうに看板を読み上げるエマ。

 

ジャアアアアン

 

建てられているスピーカーから大音量で音楽が流れ始める。

 

あまりの大音量にエマは両手の指で左右それぞれの耳を塞ぐ。

 

「怪物が来る」
エマが追いかけていた街の子供がエマの背後から声をかける。
「早く隠れた方がいいよ」

 

オジサンが淡々とレイに向けて語り始める。
「音楽が鳴って”奴ら”が現れる」

「放し飼いにしている食用児を金持ちの人食いが狩りに来る」

 

街から少し外れた森の中で、斧やナイフなどの武器を持って顔を強張らせる食用児たち。

家の中では部屋の隅で子供達が寄り添ってカーテンの陰に隠れている。

 

(昔のように狩りたい)

(食べたい新鮮な肉を)

 

衣服を身にまとった”知性鬼”が街に向かって行進していく。

その手には武器が握られている。

 

オジサンは、ゴールディ・ポンドとは人狩りの庭であり、人食いの狩猟本能を見ための秘密の猟場(かりにわ)だ、とレイに説明する。

 

音楽が鳴り響く中、立ち尽くすエマ。




感想

ついに知性鬼が来た。

 

GF農園を脱走した直後、エマ達を追って来た猟犬タイプの鬼を統率していたのも知性があるタイプだったし、鬼の世界のそこかしこにいてもおかしくはないから、いつ接敵するかと思っていたけど、ついにその時が来てしまった。

 

頭を使って襲ってくるタイプは恐ろしい敵だと思う。

 

野良鬼のように本能が剥き出しのタイプも怖いが、頭を使って獲物を追い詰めるタイプというのは獲物をただ追い回すだけではなく、獲物の動きを先読みして罠を仕掛けるなど緻密な狩りを行う可能性が高い。

 

食用児たちの一部は思い思いの武器を手にとってはいるが、そうした武装のほとんどは、恐らく意味を為さないだろう。
家の中で隠れている方が生存確率は高いのではないか。

 

せめて、シェルターから持ってきた銃があれば、まだ抵抗することも出来るかもしれないが、鬼はエマの荷物まではさらってくれなかった。

 

エマの荷物は現在、オジサンが持っている。
つまり、丸腰のエマには直接”奴ら”と交戦する力は無い。

 

それに、仮に銃があったとしても、知性鬼は真っ直ぐに向かってくる野良鬼とはわけが違う。

 

果たしてこの突如降って湧いた窮地からどうやってエマは生き残るのか。

 

エマに声をかけた子供から色々教わったり、協力したりするのか。

 

やはり、知恵を使って生き残るしかないんだろうな。

 

観察して分析する、基本から実行してどんな突破口を見出してくれるか楽しみ。




あと、街にいるエマ以外の食用児は、エマやレイと同じく高級農園から逃げてきた子供ということで良いのだろうか。

 

量産農園の子供は逃げようという意思すら無い、文字通りただの肉扱いだから農園の外には出られないと理解しているんだけど、もしかしたら量産農園で狩場用に育てた特別仕様の食用児なのかもしれない。

 

娯楽を楽しむ知性を持っているのだから、というかそもそも食用児を飼育する知性があるんだからその可能性としては十分にあり得ると思う。

 

エマに話しかけ子供は感情が虚ろに見える。

 

ただ大人しいだけなのかもしれないし、何回も知性鬼による狩りを生き残ったトラウマから来ているのかもしれない。

 

街の通りから外れた森の中で武器を持っている食用児たちは感情がきちんとあるっぽかったからエマに話しかけた子供がちょっと特別なのかもしれない。

 

何度も生き残ってきたリーダー的な存在で、だから感情が薄くなったのかも……。

 

彼らは一体どうやって生き残ってきたのだろう。

 

撃退する、というよりは、知性鬼たちが楽しみを残しておくためにわざと狩り切らないんだろうな。

 

何人か狩ったら終わるのであれば、食用児たちの内で生き残る為、誰を生贄に立てるかという話し合いがある……とか。
正直滅茶苦茶嫌な発想だけど、あり得る。

 

エマが連れ去られてきたように、子供は順次補充されていくのだろう。

 

とすると、割と脱走は頻繁に起こるイベントなのだろうか。

 

高級農園は4つしかないわけで、そんな頻繁に起こるとは思えない。

 

やはり量産農園で特別に飼育された、と考える方が自然か。




エマの左の掌に書かれた”USE YOUR PEN”は、ミネルヴァのペン型端末の存在を知らない者には書けない。
これを書いたのは誰なんだろうか?

 

考えられるのは二つ。

 

一つ目は、街の食用児がエマが寝ている隙に書いた。

 

これが最も可能性が高いように思う。

 

二つ目は、知性鬼が書いた。

 

鬼がミネルヴァのペン型端末を知っているのであれば、そもそもミネルヴァの存在を知っているということになる。

 

もしそうだとするとエマたちの人間世界への脱出を積極的に邪魔してくるようになるかもしれない。
もともと、エマたちは高級品だから追われる身であることに変わりは無いけど……。

 

しかし、そもそもA08-63のゴールディ・ポンドにエマとレイ、そして昔はオジサンとその仲間を誘導したのはミネルヴァなんだよな……。

到着おめでとう

直接祝うことが出来なくてすまない

このシェルターは君たちに

しかしもし”この先”この”安住の先”を目指すのならペンを持ってこの場所へ

A08-63 W・ミネルヴァ

 

と、いうことは、ミネルヴァが用意したゴールディ・ポンドの街を知性鬼が狩場として使うようになった、というのが自然な解釈になるだろうか。

 

エマが発見した、町はずれに聳え立つ大きな屋敷に”安住の先”に関する何かがあるのかもしれない。

 

まずは知性鬼による狩りという修羅場を生き残らなければならない。

 

鍵は既に何度か生き残っている子供の生存戦略だろう。

 

その戦略にエマが新風を吹き込んで鬼を一掃する、みたいな展開になる事を期待したい。

 

もしくはエマが窮地に陥ったところをレイとオジサンが助けるとか。
ご都合主義な展開とは感じさせず、でも上手い事やって欲しい(笑)。

 

次回、亡くなる子供が出てきそうで怖いなぁ……。

 

以上、約束のネバーランド第65話のネタバレを含む感想と考察でした。

前回第66話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

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2 件のコメント

  • 考えてみるとあの当時オッさんはエマ達と同じ
    年端もいかぬ子供が…
    どれだけの地獄を
    発狂しなかったのが不思議だ。
    脱走があった。
    過去にも
    じゃあ如何して、警備を強硬なものにしなかったのか?
    飼育艦補佐(シスター)を増やすとか
    エマ達の所はママ一人だったし。現在はどうなってるのか
    文字に出来ない鬼達の帝王みたいなのも
    気になるし。

    • 回想の中の年恰好から、当時のオジサンはエマ達よりもう少し大きいように思いました。

      中学生から高校生くらい? それでも怖かったでしょうね。
      次々に仲間が狩られていく恐怖はオジサンに強烈なトラウマを刻んだと思います。

      確かに、オジサンとその仲間が脱走したという情報は各農園で共有されていないのかな、という疑問があります。

      少なくとも、ママ一人だったGF農園の管理体制は見直されてそうですよね。
      フィル達の救出はタフな仕事になりそうです。

      オジサンたちに脱走された経験から警備体制は見直され、強化されるはず。

      エマ達はその警備体制を打破したということなのか。
      だとすればオジサン達よりポテンシャルがあるということだけど……。

      もしくは、脱走はされたらされたでこのゴールディ・ポンドでの狩りという楽しみに出来るということで、見逃しているのかもしれません。

      きっと、鬼の社会の頂点となる大ボス、そして脇を固める四天王的なボスがいて……みたいに鬼の社会にも組織があるのではないでしょうか。
      野良とは違う、知性鬼を中心とした組織が……。

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