約束のネバーランド 最新第57話取り引き②の感想(ネタバレ含む)と考察。凶器には狂気。エマと”先輩”の緊迫の交渉。その結果は……?

第57話 取り引き②

第56話のおさらい

エマたちから受けた拘束を解き、部屋から出ようとする”先輩”。

しかしドアは外から固定されて容易に出る事が出来なかった。

”先輩”はこの状況に一切焦ることなく、ナイフを片手に冷徹な表情を浮かべる。

一方、食堂で食事を済ませた子供達は、椅子を持ち寄り車座になって今後の事を話し合っていた。

目的は「フィル達の救出」と「鬼の世界からの脱走」だと再確認するレイ。

そして、シェルター内の資料室の資料から様々なことが分かったとレイは報告を開始する。

農園の位置や農園ごとの管理記号、そもそも、番号が振られて個体識別が可能な食用児は4つに高級農園しかないこと。

農園に関する知識がある存在、例えば知能を持つ鬼などにとってはエマ達がどこから来たのは容易く見破れるのだという。

他にも”約束”のことや”人間世界”のこと、”鬼の集落の位置”、”鬼の世界の植物図鑑”、果ては”鬼について”など様々な本があったが、どれも古いとレイは結論付ける。

シェルターの本はハウスと同じ2015年以前の本であり、”約束”や”鬼”についての記述がある本に関しては古文書レベルで古いのだという。

ミネルヴァが13年どころか30年現れていないこと、そしてハウスに物が輸送されていたり、シスターの見た外の人間の存在など様々なピースがギルダの脳裏に違和感を生じさせる。

古文書を開き、古い情報しか手に入らないのかというラニオンとトーマ。

ピンときた様子のドンに対し正解、と言い、レイは”先輩”が自分たちの人数、脱走の日付を知っていた、つまり、恐らくはモニターでリアルタイムで情報を得る方法があるのだと指摘する。

フィルたちを救うのに使えるかもしれないと考えるエマ。

古文書に挟んであったミネルヴァからの手紙にはA08-63にペンを持ってこいと書かれていた。

レイは、一通り資料室の資料に目を通したらエマと二人でA08-63に行ってみようと思うと子供たちに告げる。

危険な旅である以上、全員で生き残るためには他の子供にはシェルターで待つようにとレイ。

ドンやラニオン、トーマの心配を、レイは経験者である”先輩”のガイドさせる事によって払拭しようとしていた。

ドン、ギルダにレイが説明していると、食堂のドアが開く。

エマは、現れた”先輩”に笑顔で近づいてさっそく取引を持ちかけるのだった。

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第57話

拘束を解き、自ら食堂に姿を現した”先輩”に近寄り、取引を持ちかけるエマ。
約束のネバーランド 第57話 エマVSオジサン
 

その光景を見て、本気か、と愕然とするドン。
銃を突き付けて来た相手なのに話が通じるのかとその胸中に湧く疑問が表情に出る。

 

エマは自然な微笑みを浮かべて”先輩”に自己紹介し、名前を問いかける。

 

「出て行け」
”先輩”は少しの沈黙の後、威圧的な表情と声音でエマの要求を跳ねのける。
「名乗るつもりも必要もない」

 

”先輩”の凍るような態度を前にビクつくドンとギルダ。
レイにしがみ付くクリスティも震えている。

 

エマは微笑みを崩さない。

 

座って、と言って”先輩”に向けて椅子を差し出す。

 

「私は座るね」
差し出した椅子とは別の椅子に腰かけ、ギルダと目を合わせてその名前を呼ぶ。

 

ギルダはキッチンの方へと駆けていく。

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本格的な交渉開始

「調子はどう?」
エマは立ったままの”先輩”に話しかける。

最悪、と答える”先輩”の表情は不機嫌そのもの。
約束のネバーランド 第57話 オジサン
エマは特に動揺することもなく続ける。
「ぐるぐる巻きにしてごめんね」

 

あとクッキーも、と言い、”先輩”から顔を逸らさず、背後から近づいてくるギルダを示す。
「おなかすいたでしょ」

 

ギルダが運んできたのはスープを入れた皿だった。

 

「おわびにどうぞ」
エマは手にとって”先輩”に勧める。
「朝ごはんのスープ」

 

毒は入ってない、と言い、エマはスプーンで一口毒見してみせる。
「おいしいよ」
約束のネバーランド 第57話 エマ
 

”先輩”は湯気を立てている皿を受け取り、それを顔に近づけてしげしげと見つめる。

 

じっと”先輩”を見つめるエマ。

 

”先輩”は無言で、手に持っていた皿をテーブルに置く。

 

「せっかくあっためたのに」
エマは続けて、そのスープは自分たちが持ってきた材料で作ったのであり、シェルターの材料は一切使っていないと説明する。
「この先も自分たちの食料は自分たちで何とかする」
「部屋や水や電気も最小限にしか使わない」

 

「『だからシェルターを共用しよう』って?」
”先輩”がエマの言わんとしている事を察して言葉を継ぐ。
「却下だ出て行け」

 

「違うよ」
エマは口元に笑みを浮かべたまま即座に答える。
「これは礼儀 取引以前のね」

 

エマは椅子に座ったままジッと”先輩”を見つめる。
「だってオジサン『限り』がどうとか本当は気にしてないでしょう?」

 

”先輩”は無言のまま、エマをじっと見つめ返す。

 

エマ、そしてレイは昨日のシェルター調査で、”先輩”が子供達の受け入れを拒否する理由として挙げた「ムダ」や「限り」がウソであることを見抜いていた。
そして、”先輩”の無駄な言動やそもそも十分に暮らしていけるであろうシェルターの仕組みなどから総合的に判断し、”先輩”が子供たちを「出て行け」と拒否したのには何か別の理由があると考えていた。

 

単刀直入に、とエマが口を開く。
「ミネルヴァさんに会いに行く」
「その案内兼用心棒をオジサンに頼みたい」

 

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難色を示し続ける”先輩”

案内兼用心棒だと? と聞き返す”先輩”。

 

「オジサン”強い”でしょ?」
約束のネバーランド 第57話 エマ
「13年間生きてきた 独力で」

 

多分頻繁に地上にも出ている、と続くエマの言葉に、なんでわかるの? と驚くドミニク。

 

すり減った靴、贅肉が一切なく締まった腹、そして何より食糧庫に吊るされた木の実、とレイがその根拠を挙げていく。

 

木の実は新しい割りにシェルター内の”畑”には無く、そもそも作ることもできない。
約束のネバーランド 第57話 木の実
近隣の森、水辺まで出て採取してきたのだろうと推測するレイ。

 

「水辺!!」
ソンジュの、鬼の巣がある危険性のため水辺に近づくなという言葉を思い出したトーマとラニオンが互いに指を差し合う。

 

レイはエマの背後からエマと”先輩”をじっと見つめる。
(それに…昨日あの一瞬で皮一枚)
(狙って外したなら銃の腕も相当だ)
自分たちが施した拘束も自力で解いた、と自らの内に根拠を積み重ねていく。

 

「オジサンは『ザコ』じゃない」
目の前でエマを見下ろす”先輩”に堂々と言い放つエマ。
「その上でミネルヴァを探した経験もある」

 

エマは、見覚えあるでしょこの手紙、と封筒を目の前に掲げる。
見つけた時には封が開いていたことから、手紙通りに”先輩”たちも途中まで探した、と推測を口にする。
「私とレイも探しに行く」
「オジサンの経験と能力を貸してほしい」

 

「知るか嫌だね出て行け」
”先輩”は表情を歪ませる。
約束のネバーランド 第57話 オジサン
 

「出てくよ」
揺るがない決意を滲ませた表情でエマは即答し、ほほ笑む。
「ミネルヴァさんに会って無事戻って来られたら即時出て行く 私達このシェルターから」

 

やり取りを見ている子供達もエマの決意を後押しするように”先輩”をキッ、と見据える。

 

それが取引き? と”先輩”は左手を頭に乗せる。
「そんな条件で俺が命懸けの旅を?」
目障りなお前らを命を懸けて守るなんてバカらしい、と続ける。

 

出て行って欲しいんでしょ? と”先輩”をじっと見据えるエマ。

 

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凶器と狂気

ああ、と答え、”先輩”はナイフをエマに突きつける。
「でもこの場で殺しちまう方が早い」

 

子供達からキャアア、と悲鳴が上がる。

 

殺せるの? と全く動じた様子が無いエマが問いかける。

 

ああ、と肯定し、次は殺す、俺はやればできる子なんだ、と”先輩”。

 

エマの背後でレイが”先輩”から奪っていたピストルの銃口を向ける。

 

「いいのか? 俺を殺したら案内も用心棒も手にはいらねぇぞ」
”先輩”がレイに向かって問いかける。
「必要なんだろ? 俺が」

 

レイは、殺さない、と言ってピストルを”先輩”に向けてテーブルの上を走らせる。
約束のネバーランド 第57話 レイ
「銃は返す」

 

弾丸は? と慌てて問いかけてくるドンに、レイは落ち着いた様子で抜いてある、と答える。

 

レイの左手にスイッチが握られているのを見て”先輩”が驚く。
約束のネバーランド 第57話 緊急破壊装置
 

「うん 質にとるのはオジサンの命じゃない」
”先輩”を見据えたままエマが続ける。
昨日、資料室の奥で見つけたと言い、敵にバレた時に秘密を守るために用意されたものだろうと推測を口にする。

 

レイはスイッチを持ちながら、中の切れた配線の修理に手間取ったと言い放つ。
「緊急破壊装置」

 

「さ オジサン取り引きしよう」
エマは微笑みながら両手を広げる。
「さもなくばこのシェルター破壊しちゃうよ?」

 

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協力

”先輩”の表情が驚愕に歪む。
約束のネバーランド 第57話 オジサン
 

”先輩”にとってただの施設という以上に大切なんでしょ、とエマ。
「壊したらもうお茶会もできなくなるよ?」

 

その発言を不思議そうに聞くアシリア。

 

(何だこいつら……正気か)
”先輩”は目の前の子供に、まるで狂人を見るような視線を向ける。

 

「殺されるくらいなら壊す」
エマは口角を上げているが、目は笑っていない。
約束のネバーランド 第57話 エマ
 

そんなエマを見て”先輩”の内に様々な想いが渦巻く。
イカレてんだろ
結局脅し
ひでぇ無茶苦茶だ

けど昨日の今朝でここまで

”先輩”はエマにナイフをつきつけたまま考える。

 

隙はあるからやり返すことは出来る。しかしこの子供達は面倒。

どっちみち面倒であればミネルヴァ探しに付き合う方がマシ、むしろ一興かと思い至り、”先輩”はナイフの刃を収める。
約束のネバーランド 第57話 オジサン
 

「……いいだろう」
口元に僅かに笑みを浮かべて”先輩”が答える。
「そんなに死にてぇなら死なせてやる」

 

「?? 死なせちゃダメだよ?」
レイの袖にしがみ付いているクリスティが震えながら呟く。

 

そこうるせぇ、と突っ込む”先輩”。

 

”先輩”は先導するのみ、命を懸けないし護衛はしないという条件でミネルヴァ探しに協力することを了承する。
約束のネバーランド 第57話 オジサン
 

エマは微笑みながら、それでいいよと即答する。
そして流れで”先輩”に名前を問いかける。

 

「だから名乗らねぇっつってんだろ”触覚チビ”」
”先輩”は自分に用意された椅子を蹴りながら食堂の入り口に向かう。

 

「触…!?」
椅子から立ち上がり絶句するエマ。
(私のこと!?)

 

レイは笑いをこらえている。

 

「馴れ合うつもりは毛頭ねぇ」
”先輩”の顔からは緊張が消えている。
「視界にも極力入ってくるな」
耳を掻きながら食堂を出て行く。

 

そう、と相槌を打ち、エマが”先輩”の背中に声をかける。
「じゃあ改めてよろしく 名無しの”オジサン”」

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感想

少なくとも単なる敵対関係からの関係改善が出来た。

互いに名前を呼びあってはいないが、雰囲気が険悪というわけでもない。

きっと、これから子供達と”オジサン”の徐々に雰囲気は良くなっていくのだろう。
元々登場時からギャグキャラとしての素養も見受けられた。

紆余曲折を経て、心強い仲間となっていく展開を期待したい。

しかし、エマとレイ、特にエマの交渉能力が素晴らしかった。

ともすれば命の危険があるような交渉の場において、全く動じないでいつもの調子での会話は常人にはできないと思う。

レイとの事前準備があったのはわかるが、狙い通りに事を進めるというのは難しいんじゃないだろうか。

結局、交渉の基本、メリットとデメリットをきっちと提示したエマとレイの勝利だった。
交渉で一番大事なのは事前準備。殊に自分たちが絶対に譲らないラインを堅守し、逆にどこまでだったら譲れるかをはっきりさせておかなくてはならない。

エマは案内と用心棒を要求したが、”オジサン”が了承したのは案内のみだった。

そしてエマは、ノータイムで”オジサン”のその条件を受け入れている。

つまり、案内と、あとは”オジサン”は言及はしていなかったが暗黙の了解としてのシェルターの共用こそがエマとレイが”オジサン”から本当に勝ち取りたいメリットだったのではないか。

用心棒もやる、と言ってくれれば一番良いけど、受けてくれないならそれはそれで、という事前想定をレイと共に固めていたのだろう。

人はメリットとデメリットを明確にしないことには態度の翻意を促すことは出来ない。

”オジサン”がエマ達に協力するのは「シェルターを破壊されたくないから」だった。

何を得られるかと言えば当然シェルターからの安全であり、つまりこれまでと同じ生活に過ぎない。

プラスを提示するのではなくマイナスをチラつかせてそれを回避する方法を提示するというのはヤクザ的な人たちの常套手段だったりする(笑)。

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大切なシェルターを破壊されたくないから協力せざるを得ないだろう、というエマとレイの読みは見事に的中したわけだ。
少ししか接していない男の態度などから得た情報からここまで巧妙な交渉のシナリオを組み上げたエマとレイは、やはり頭が良いんだな。

ヤクザ的、とは書いたけど、そもそもエマ達には余裕がない。
自分たちはそもそも自分の為に、そして何よりGF農園に残して来た4歳以前の子供達を救出するためにも絶対に生き残らなくてはならないしミネルヴァを見つけなくてはならない。

弱かったら全てが終わるのだ。強く有る為に、自分も含めた子供たちの為には汚れる事も致し方ない。
そもそも相手の”オジサン”だって銃を突き付けて脅して来たわけだしその反撃と思えばやり返しただけと言える。

エマたちは強い。人間、こういう強かさは重要だよなぁと思うわ。

しかし気になるのは、”オジサン”が考えた「一興」とはどういうことなのか、ということだ。

当然、ただの暇つぶしという意味ではないだろう。

これ多分、エマとレイを試そうとしているのではないかと思う。

エマから施設破壊を示唆された”オジサン”が思考を巡らせているコマ、森の中で倒れたレイらしき人物を立って見つめている絵が描かれているけど、これは”オジサン”がかつて経験した事なんじゃないか?
約束のネバーランド 第57話 オジサン
自分は倒れた仲間を見捨てて、冷酷な判断の積み重ねの末に今日まで生きて来たけど、お前達はどうなのか? という意味なんじゃないだろうか。

仲間が大切だと主張するエマ達の鼻を折って、絶望する姿を見たいのだとしたら”オジサン”は性格が良くないな(笑)。
もしくはシェルター暮らしを始めてからここまでの経験が”オジサン”を歪めてしまったのかもしれない。

エマ達はお互いに見捨てたりしないと言うだろうけど、もし本当に自分が生きるか、助けようとして皆死ぬかの二択を迫られた時どうするんだろうなとは思う。

見捨てて生きることを選択しなくてはいけない時が来るかもしれない。

多分、”オジサン”はそういう経験がある。

それも今後明らかになっていくのだろう。

以上、約束のネバーランド第57話のネタバレを含む感想と考察でした。

前回第58話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

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