第44話
第43話のおさらい
暴走する巨大な鬼から逃げていたレイは、鬼を地下に落とす策を思いつき、あと少しのところまで計画を進めていた。
あと少しで落とせる、というところで突如巨大な鬼の首が跳ね飛ばされる。
巨大な鬼を倒したのは追手で、猟犬のような鬼を引きつれている知性のある鬼だった。
大木の陰に隠れているレイは必死に事態を打開する方法を模索する。
しかしとれる策はあまりに少なく、そもそもエマたちが見つかったのかどうなのかすら分からない。
追手の知性のある鬼が大木に身を隠すレイに優しく話しかける。
レイは黙って鬼の言葉を聞いていたが、その内容からまだエマ達は見つかっていないことを確信する。
そして、急いでリュックからはさみを取り出し、エマ達に向けて大木に「GO 06-32 PURSUER」と刻印する。
エマ達とは逆方向に逃げて鬼たちの注意を引きつけることを決断したレイは鬼たちに姿を晒す。
鬼は猟犬タイプをレイにけしかけ、森の中に響き渡る指笛を吹く。
他の追手の猟犬タイプがそれを聞きつけレイを追い始める。
同時にエマ達も指笛を聞いており、その不穏さに足を止め周囲を警戒する。
何事も無いのを確認するが、レイが心配になった子供たち。
エマがレイの様子を見に行くと駆け出すが高熱と耳の傷のために倒れる。
どうするのか途方に暮れる子供たちの耳にズズズ、と何かを引きずるような音が聞こえる。
フードとローブに身を包んだ正体不明の何物かが子供たちの前に姿を現し、こっち、と誘導するのだった。
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第44話
エマが倒れ進退窮まったドンたちの前に現れた謎の存在。
こっちよ、と誘導するその人物の表情は、フードに隠れ、薄く笑う口元が見ている。
シスターの「人間は生きている」という言葉を思い出すドン。
味方なのか?
子供たちの間に安堵の表情が浮かんでいく。
ギルダはエマを抱き、疑念を拭いきれない目で現れた謎の人物を見ている。
「待って」
皆を制止するギルダ。
鬼と敵対する人間か、単純に救助に来てくれた謎の存在なのかはわからないが、自分たちの味方でありうるかもしれない。
しかし追手か現れたのとタイミングを同じくし、しかも危険な森に一人で女の子が現れることの違和感に囚われるギルダ。
「あなたは誰? 何者? どうしてこんな所に…?」
矢継ぎ早に質問するギルダ。その心中では嫌な予感がしていた。
「顔を見せて」
ギルダは目の前に現れた謎の存在に毅然と言い放つ。
安堵が広がりかけた子供たちの間に再び戸惑いが広がる。
じっと謎の存在を見る子供たち。
フードに隠れていない口元が笑みを作る。
レイ必死の逃走
レイは必死に猟犬タイプの鬼の群れから逃げていた。
どんどん増える鬼たち。
右、左、背後と完全に取り囲まれていることと同時に、先ほどまで追われていた理性の無い巨大な鬼とも違うことを自覚する。
レイは走りながら思考する。
訓練されたスキのないフォーメーションで自分を追いこんでいるが、襲ってこないのはあくまで自分が「特上」のランクだから。
出荷予定の今夜に間に合うように、傷一つつけずにレイを捕獲するために猟犬たちはレイの疲れを誘っている。
(止まったら負け その時点その場で捕まる)
必死に、息を切らせて森の中を駆ける。
(上等だ)
レイは、自分の逃げるルートをシミュレーションする。
直進した場合、大木をかすめるようにしてジグザグに逃げる場合、次の大木を左に大きく曲がった場合――。
(左!)
レイは大木を左に曲がり、背後の猟犬に向けてマフラーを投げつける。
マフラーに気をとられて一瞬レイが目を離した猟犬の前からレイが消える。
別の猟犬が、こっちだ、と視線誘導を促すと先を走っているレイの後姿を再び捉える。
レイを追いかける猟犬たち。
舌打ちをするレイ。
必死に逃げ続けるレイにしぶとさを感じる猟犬たち。
じきにバテるだろうと余裕をもって追跡を継続する。
レイは敵の追手をエマたちの目指している方向から真逆へと敵を引きつけることが出来た手ごたえを感じ、このまま少しでもエマたちから遠ざかろうと走り続ける。
追い詰められたレイ
直立している鬼が通信機のようなもので猟犬たちに指示を出す。
「そのまま群狼の陣で追い込め」
了解と返事をしたあと、1匹の猟犬が仲間内にのみ通じるであろう言語で他の猟犬に指示を出す。
レイは、猟犬たちの統制のとれた動きに追い詰められていく。
せっかく見出した経路は塞がれ、作り出した抜け道を封じられてしまう現状に、ママとのチェスを思い出すレイ。
(負けてたまるか)
レイはガムシャラに逃げる。
(止まってたまるか)
ママのチェスが鋭い手を連発してレイを追い詰める。
(諦めてたまるか 死んでたまるか)
しかし、懸命な逃走も虚しくレイは猟犬に囲まれてしまう。
圧倒的に絶望的な状況。それでもレイは何か打つ手を考えている。
(まだだまだやれる 俺は生きる! 生きるんだ!)
そんなレイの前に、直立した鬼が姿を現す。
終わりだ、と言い、レイの目の前まで歩を進める。
レイは激しく息をつきながら鬼を見上げる。
(だめだ死ねない 捕まるわけにはいかない)
(考えろ どうにかしてこの場を振り切って――)
既に力の限界が来ていたレイは駆けだそうとするが、地面に倒れ込んでしまう。
(動け 動け! 動け!!)
倒れてもなおレイは諦めない。
「もういい 貴様はよくやった」
鬼がレイに近づいていく。
(よかねぇ 動け 生き延びろ!!)
這いずって鬼から逃げようとするレイ。
(守るんだ 俺がエマをみんなを)
「諦めろ」
鬼がレイを見下ろし、冷徹な言葉を投げつける。
(絶対に嫌だ!!)
その時、突如馬のような生き物に騎乗した何者かが現れ、レイの体を掴んでその場から駆けていく。
「乗れ」
右手に槍、左手にレイを掴み、レイに声をかける人物は、フードでその表情は全く見えない。
感想
突如現れ、レイを救った謎の人物。
これはドンたちが相対している女の子? と同じところに組織していそうな感じがする。
槍を持っていることから攻撃能力があることは間違いない。
このまま逃げ切るか、もしくは猟犬たちと直立鬼を撃退してレイを救うのだろう。
とりあえずレイの必死の逃走が報われた。もっとあっさり追いつかれて逃走をやめていたらこの謎の人物に救助されることも無く捕まっていただろう。
どこまでも諦めないで限界まで頑張って逃げていたレイの勝利と言えるだろう。
この謎の人物はミネルヴァと何か縁があるのだろうか。
ドンたちの前に現れた女の子も救い手なのか。
新たな登場人物で物語が大きく展開する。
仮にレイを救った人物とドンたちの前に現れた少女らしき人物が同じ組織に属する者だとして、彼らに救われたエマたちは今後、鬼たちと武器を用いて戦うというバトルの展開になるのだろうか。
エマたちの目的は、幼いため逃走の足枷になってしまうという理由で農園に残してきた子供たち全員を迎えに行くことだった。
その目的のために彼らの協力を得ようとするのか。
今後の展開が楽しみ。
約束のネバーランド44話のネタバレ感想と考察でした。
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