約束のネバーランド 最新第153話臆病ネタバレ含む感想と考察。エマ、ノーマンへの必死の説得。

第153話 臆病

第152話 刻限のおさらい

食い止める

ギルダはレイから渡されたメモを見ていた。

ラニオンたちがアジトを探った結果、アジトの施設だと強制的に鬼を退化させる毒薬を大量生産するは不十分だった。

ギルダは、もし毒薬の大量生産が出来ていないのであれば、ノーマンがわずかな毒薬を最も効果的な形で城下に混乱をもたらすために使うはずだと推測する。

城下で少量の毒で最大の混乱を起こすにはどこが有効なのか、と考えるドン。

ソンジュは、簡単だ、と間を置かず答える。
「そいつは恐らく『中央広場』だ」

 

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中央広場にやってきたギルダたちは、噴水の周りに退化した鬼が何体もいるのを発見する。

アイシェは屋根の上に登って周囲の様子を確認していた。
そして、他の場所は中央広場のようにはなっていないと自分たちの推測が正しかったことをギルダに報告する。

アイシェが喋っているのを目撃し、ハヤトは目を白黒させていた。

他の場所では鬼の退化は起こっていないものの、退化している個体数がどんどん増えているとアイシェ。
「時間が経つほどどうにもできなくなるぞ」

ギルダやムジカたちは、被害を食い止める為に動き出す。

 

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決着

巨大なナイフを上段に構えて、女王に飛びかかるザジ。

女王はザジを爪で横一閃に斬りつける。

ザジは素早く頭を下げることで紙一重で爪をかわす。
しかしあまりにその行動が早かったため、紙袋がとれてしまう。

女王の爪は紙袋を裂いていた。

もう片方の爪でザジを追撃しようとする女王だったが、その腕をシスロが鎖を巻き付けて拘束していた。
「行け!! ザジ――!!」

ザジは裂帛の気合を込めて、女王の顔にナイフを横に薙ぐ。
その斬撃は見事に女王の目を抉りだすのだった。

 

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女王の欲望

女王レグラヴァリマは王の子としての自負を過剰なまでに持っていた。

誰よりも強く、美しく、高みに君臨するという欲求を持つ女王は、本来は”約束”の通り最上の人肉を捧げるべき対象であるはずの首領を差し置いて、誰よりも美味な人肉を食べたいと考えていた。

ある日、女王は王を不意打ちで殺し、食べて、王に成り代わった。

女王にとって王はもちろん、親兄弟までも糧だった。

しかしそんな女王が唯一手に入れることができなかったものがあった。
それは1000年前の”約束”により自動的に首領に献上されることが決まっている”最上物”だった。

女王は、農園設立以来の最上物――ノーマンの存在を知っていた。

女王の目玉の前にノーマンが立つ。
「初めまして 女王陛下」

 

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「そうか…お前が黒幕か……22194」
女王はノーマンの首元を見て、なんて美味そうだと感じていた。

女王は、首領にノーマンを差し出したくなかった。
その為に、自分がラムダにノーマンを送ったのだと本人に明かす。

(食いたい)

(食いたい 食いたい 食いたい!!)

女王の目玉はノーマンを見上げていた。

「(ずっとお前を食いたかった)」
鬼語で、ラムダが燃え落ちたと聞いた際には怒りで我を忘れた、とノーマンに向かって叫び続ける女王。
「(誰にも渡さぬ!! お前は私の人肉なのだ!!)」

 

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全て終わる

「(お前の肉?)」
ノーマンは鬼語を理解していた。
「(我ら誰一人もはや鬼の食糧ではない)」
冷徹に女王の目玉を見下す。

「やれザジ」
ザジはナイフを女王の目に突き立てる。

「あとはお前達だけ」
シスロがイヴェルク公と、その背後の女王の従者に話しかける。

イヴェルク公は何も言わず、跪いていた。
目の前で女王を失ったショックからか、放心している。

(イヴェルクを殺せば全て終わる)
儀祭の間にはシスロ、ヴィンセント、そしてラムダ兵が集まっていた。

 

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イヴェルク公を殺すことで鬼の社会は統治者を失う。
そうなれば、残る庶民は絶滅させるしかないと、その場の全食用児が冷酷な視線をイヴェルク公に向ける。

「全てが終わるんだ」

ノーマンは、何者かに後ろから服の裾を引っ張られて振り返る。

そこにいたのは、ハウスにいた頃の幼い姿のエマだった。

心象風景の中のエマは眉を八の字にして、悲しそうな表情でノーマンを見つめている。
彼女の後ろには、やはり彼女と同じく幼い頃のノーマンが、彼女と同じような表情を浮かべている。

エマは何も言わず、服の裾を持ったまま俯く。

ノーマンは何も言葉を発することができず、ただエマと自分を見つめていた。

 

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間に合わず

エマとレイは通風口から廊下に降りていた。

廊下のそこかしこに事切れた鬼が転がっている。

エマとレイはノーマンの元へと急ぐ。

「あそこだ」
レイの指摘した部屋の扉をあけ放つエマ。

眼前には惨状が広がっていた。

鬼の死体で床が埋め尽くされている。
その中には、明らかに普通の鬼とは異なる豪華な服装をした者も混じっている。
イヴェルク公もまた、女王の後に斃されていた。

エマは儀祭の間の光景にただただ驚愕していた。

その部屋の中で、ノーマンは入口に背を向けて立っていた。
「残念」
ノーマンは薄笑いを浮かべてエマたちに振り返る。
「間に合わなかったね エマ」

 

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第152話 刻限の振り返り感想

事態の収拾をどうやって図るのか?

エマとレイ、間に合わず……!

マジか~……。

この絵を描いて、見事に実現してしまったノーマンがすごすぎる。

バーバラが生きているなら、本当に人間側に死人が出てないことになる。無血での勝利だ。ノーマンのハッタリなんかじゃなかった。

まさか女王を倒しきってしまうとは思わなかった……。

そして、当然ながら女王を倒せたと言うことは、イヴェルク公など戦闘能力的には何の脅威でもなかった。
これで見事に王家、五摂家を全滅させたわけだ。

鬼の社会を統治する側の全滅。
まさかの展開になった。なんだかんだでエマとレイが間に合うと思っていたから……。

いよいよ事態に収拾がつかなくなるんじゃないの?

 

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まずすぐに思いつく解決策としては、王家、五摂家に次ぐ階級の鬼が社会を統治することだ。

結局のところ、統治を受け入れるかどうかは民衆がその為政者に納得するかどうかだろう。

王家、五摂家に次ぐ実力者は描写されてこなかったので、候補として挙げることはできない。

しかしもしかしたら、中央広場で鬼たちのために動き始めているムジカとソンジュがその座につくなんてことがあるかも……。

おそらく民衆を救うことが出来たなら、その結果、彼らから崇められるだろう。
神格化されるようなことになれば、それはそのまま、ムジカとソンジュによる統治を受け入れる素地になる。

しかし、これまでずっと各地を転々としながら生活をしてきたらしいムジカとソンジュがそんな役目につくのか?

 

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ソンジュとムジカが一つの場所に住居を定めず、旅? 放浪? を続けていた理由が、仮に、王、五摂家からの追跡を避けるためだったのであれば、もうその脅威は完全に排除されたわけだから、彼らが鬼を統治するという未来が出てくるのかもしれない。

城下では民衆の鬼の退化がどんどん広がっている。

確かムジカの邪血の力は、鬼を救えたはず。
邪血の力というのは、文字通り本人の血を用いるということなのかな。
そしてそれをこれから発揮しようとしているのか?

でも血の量なんてたかがしれているし、果たして目に見える範囲の鬼の全てをカバーできるかどうか……。

どんなに薄くとも、彼女の血を得たならOKということであれば、少量の血を中央広場の噴水に混ぜて使用するとか?

ギルダたちが被害を食い止めようと動いている。

その方法は何なのかはまだ分かっていない。それは次回の話でわかるのだろう。

 

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ザジの素顔

ザジの顔の紙袋がとれて素顔が見えたけど、別に顔が崩れているとかそういうことはなかった。

それどころか結構イケメンに分類されるのではないか。
もっとボコボコに崩れたグロイ顔を想像していたから意外だった。

これ、エマたちを導いた、今は生死不明のミネルヴァことジェイムズ・ラートリーだったりしないよな……?
鬼に捕まったが、何らかの理由で殺されずにラムダでの実験体になり、正気を失いって狂暴化したとか?

もしミネルヴァだったなら、それがラムダを脱出してわずか半年で、ノーマンがここまで自軍の勢力を伸ばしてこれた理由の根幹だったりするのかも……?

そういえばノーマンのラムダでの体験や、どうやって脱出したのか、その詳細な話が描かれていないんだっけ。

 

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これまでその重要な部分が描写されなかったことには意味があるんじゃないか。

ラムダでの仲間たちとの出会い、ラムダを脱出した経緯、ノーマンの病気の原因、ハウスにいた頃よりも遥かに鬼に対する敵意が強くなっている理由、ザジだけ紙袋を被っている理由……。知りたいことはたくさんある。

エマたちがノーマンの元に辿り着いた頃には、ザジはもう紙袋を被ろうとしているし……。うーん。謎だ……。

いよいよエマたちとノーマンが再会した。

ノーマンはエマが首領と約束を結んできたという報告を受けて、果たしてどう反応するのか。

そして、統治者を失った鬼の社会はどうなるのか。

前回第152話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

 

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第153話 臆病

説得

到着したエマとレイに気づいたノーマンは二人の無事を喜ぶも、もう鬼の統治者たちを殺害したと告げる。

エマは、部屋の床を埋めつくす鬼の死骸の中に、子供のものを見つけて一気に表情を強張らせる。

エマは鬼の首領との”約束”が結べて、食用児全員で人間の世界へ逃げられるので戦わなくても良くなったとを告げ、今からでも鬼の絶滅計画を今からでもやめることを提案するのだった。

しかし、ノーマンは、もう遅い、とエマの提案を却下する。
王家・五摂家を全滅させたことでもはや何千年と続いた王政は滅んだ。こうなっては鬼の統治は不可能であり、和平が結ばれることはありえないと続ける。

手遅れの状態になってしまっていることを知り、エマとレイは言葉を失う。

 

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ノーマンは鬼の絶滅までもうあと一息であり、後戻りは出来ないという主張を続ける。
「絶滅しかないんだよエマ 邪魔をしないで」

「やだ」
エマは強気で応じる。
もう戦わなくてもいいのに殺戮や戦争を行う意味がわからない、絶滅は嫌で、ノーマンを殺戮者にするのはもっと嫌だとエマはノーマンに対抗するように主張を続ける。
そして、遅すぎることはないので、もっと別の方法を無理をしてでも探そうと提案するのだった。

もうノーマンに自分を殺させない、ノーマンを一人で行かせないと決めたのだとノーマンの言葉に被せるようにエマは自分の気持ちを伝える。

何の話? とその言葉に、ピンときていない様子のノーマン。
「僕はどこにも行かないって言ったよね」

 

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「ノーマンは嘘吐きだからね 信用できない!」

エマの言葉にシスロとヴィンセントは衝撃を受ける。

そう何度も騙されない、全てお見通しだとエマは半ばムキになっていた。
そして以前、ノーマンに辛くないのかと聞いた時に言い返さなかったことを思い出し、本当は辛いのだろうとノーマンに問いかける。
頭がいいから確実な道を選択し、優しいから他の皆の分まで背負っているだけとエマ。
「絶滅させたいなんて思ってない 殺戮したいなんて思ってない」

そしてエマは、自分にまで嘘をつかず、全てを話すようにとノーマンに促すのだった。
「何を隠してるの? 何に怯えてるの?」

「怯える?」
心外だという表情のノーマン。

しかしエマは全く怯まない。
「私には今のノーマン 怖くて震えてる小さな子供に見える」

 

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芽生える自覚

ノーマンはエマの言葉により、ようやく自分がずっと怖いと感じていたことを自覚する。

ラムダでたった一人、出荷に怯えていた。
その境遇で得体の知れない薬や実験を受け続ける。

しかしノーマンはそんな絶望的な状況下においても、もう一度エマやレイ、そしてみんなに会う希望を絶やさず、懸命に生き抜いたのだった。

突然、原因不明の嘔吐に苦しむこともありながらも、ノーマンは希望のために手段を選ばずに生き延びた。

(僕は強い 大丈夫)

ラムダから脱出して以降も、安息の日々が訪れることはない。
各地の農園を潰したり鬼を殺したりする日々が続いていた。

(大丈夫 お前は勝てる 闘える)

(あと少し)

 

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「来ないで」
ノーマンはエマに手の平を向けてその接近を止める。
「ここまで来たんだ 引き返すつもりはない」

「いやだ 今度は絶対行かせない!!」
エマはそう即答すると、ノーマンに向けて駆け寄る。

(ああ 僕は怖い)

(鬼が怖い 人間の世界(知らない世界)が怖い)

(僕の甘さゆえにエマやレイや皆が殺されるのが怖い)

(怖い)

エマはノーマンの手をとって彼の目をじっと見つめる。

 

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あふれ出た本音

ノーマンは、エマの言う通り、自分は怖いから確実な道を選び、全てを一人で背負っていると自覚する。

「ノーマンは誰より強くて優しいけど同じくらい臆病で傲慢だ!!」
そして、私たちを信じて、あらゆる苦しみを自分たちに分けて欲しい、背負わせて欲しいとエマはノーマンに呼びかける。

レイもまた、カッコつけんな、抱えんな、とエマに続く。
「全部吐き出せ!」

「守ってくれなくていい」
エマはノーマンに必死に訴えかける。
「私はノーマンの隣を歩きたい!!」

たとえ結果がどうなろうとも、家族で兄弟で親友のノーマンが苦しむ未来を望んでいないとレイ。
「なぁお前は? どうしたい? どう”したい”んだノーマン」

 

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その質問には答えず、自分はもう後戻りできないところにいる、とノーマンは俯く。
「エマ達の隣を歩くなんてできないんだ」
そしてノーマンは、自分がここまで来るのに何をしてきたのかを二人は知らないと、自分と二人の間にある溝を思い出す。

「知ってるよ」

ノーマンは、まるで自分の心を読んでいるかのような言葉にはっとする。

エマとレイは、ノーマンたちが行った城下への毒の散布やムジカ殺害命令、地下での実験などの全てを知った上で話しているとことわった上で、明るく前向きな態度で再度ノーマンを説得する。
「遅いなんてことはない 全部一緒に何とかしよう!!」

それがノーマンの本心なら弱くてもいい、とレイがエマの援護射撃をする。
「一緒に生きよう! ノーマン!! 今度こそ!!」
エマとレイは揃ってノーマンに手を伸べる。

 

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ノーマンの心の中の風景は、滅茶苦茶に破壊された元は街だったであろう荒地の中でフードを被って俯き、一人で歩くというものだった。
しかしエマとレイからの説得がノーマンの心に届いた瞬間、ノーマンはフードをとって二人に抱き着く。

(ああ 生きたい)

(生きたい 生きたい 僕は)

(エマやレイと一緒に)
自分の心の底からの願望を噛み締めるノーマン。
「でも…やっぱり無理なんだ」
ノーマンは床に崩れ落ちる。
「僕らは…もう長くは生きられない…生きられない」

その言葉にヴィンセントたちははっとする。

「……けて」
蚊の鳴くような声を出した直後、ノーマンははっきりと言い直す。
「助けて」
その目から大粒の涙が零れていく。
「エマ…レイ」

 

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第153話 臆病の感想

ようやくノーマンの心を開くことに成功した。

ひょっとしたらノーマンは、エマやレイに対して引け目を感じていたのかもしれない。

人体実験されてもう命は間もないし、鬼の絶滅の為に手段を選んでこなかった。

そんなノーマンの孤独を包み込むようなエマとレイの説得。

ハウスで育んだ素晴らしい関係性は、もはや不滅のものだということだろう。

ノーマンの説得には成功したが、しかしここから事態をどう収拾していくのだろうか。

王政の中心として鬼社会を統制できる王家・五摂家がもういないのであれば、間もなく鬼の社会は混乱と無秩序の方向に傾いていくだろう。

 

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それがどんな阿鼻叫喚の地獄をになるのか、ちょっと想像がつかない……。

各地の農園も治安の悪化によって荒くれの鬼に襲われるようになって、食用児を食い荒らすようになるのではないか?

もしそんな事態になったら鬼の首領はどうするのか……。
鬼の社会から最も良い人肉を供出させていたように、一応、他の鬼と繋がりをもって生活していたようだし、あの「昼と夜の世界」から出てきて、何かしら鬼の社会に干渉してもおかしくはないと思う。

そして長くは生きられないというノーマンたち……。
それはおそらく実験によるものだろう。

エマとレイは彼らが死んでいくのをただ黙って見ていることしかできないのか。

ここから一体どうなっていくのか次号に期待。

以上、約束のネバーランド第153話のネタバレを含む感想と考察でした。

第154話に続きます。

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