約束のネバーランド 最新第111話望まざる客の感想(ネタバレ含む)と考察。シェルターへ向かった子供たちの身に起きた悲劇。そしてエマたちは一気に窮地へと追い込まれる。

第111話 望まざる客

第110話のおさらい

シェルターから上がる煙をみつめるエマ。
エマはその煙の意味を理解していた。

 

丸一日経過して、夜になってもユウゴとルーカスは戻らない。

 

二人を探しに行こうと提案するリジアンと、それだと二人の行動が無駄になると反対するレイの意見が真っ向からぶつかり合う。

 

その鬼気迫る議論を前に、子供たちの不安は高まるばかりだった。

 

そんな二人の言い争いを冷静に止めるたのはオリバーだった。

 

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エマは、夢でユウゴの口にしていた言葉を思い出し、冷静に自分のとるべき行動を思考していた。

 

二人の安否は確かめたいがレイの言う通り、それは出来ない。

 

七つの壁探しよりはまず、生活基盤を立て直すことが最優先だという結論に至るのだった。

 

どんよりとした空気の子供たちに、エマは笑顔で呼びかける。
「みんな まずは食べよう!」

 

そんな明るい雰囲気を受けて、子供たちの間にあった緊張した空気も緩んでいくのだった。

 

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食事を摂ったあと、エマは、再び、自分がすべきこととできることを懸命に分けて考えていた。
そして、ユウゴとルーカスが守り切った子供たち全員の命を、やはり子供たち全員で守っていくことを決意するのだった。

 

そんなエマにオリバーは一枚のメモを渡す。
それは、シェルターから逃げる直前に、オリバーがルーカスから手渡されたものであり、その内容は、襲撃を受ける直前にルーカスが受けた電話だった。

 

電話は録音だった。
男は名前をW・ミネルヴァと名乗る。
そして、再び諸君に人間の世を”ネバーランド”を終わらせる 私が新たに”約束”しよう、と言い、農園を出て以下の場所で待つ、と数字を読み上げていく。

「7・2・4」

「9・4・1」

「10・10・7」

「13・11・2」

「21・8……」

 

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エマはこのメモのミネルヴァと、以前GPで聞いた電話で受けたミネルヴァの印象とは違っていることに引っかかっていた。

 

しかし、少なくとも電話の主が敵ではないと確信していたエマとオリバーは、得体は知れないもののメモのミネルヴァと接触を図るのはありかもしれないと結論する。

 

そしてオリバーは、このメモを託された時、ルーカスから1日経過しても自分たちが戻らなかった場合、みんなに見せるようにと言われていたとエマに切り出す。
オリバーはルーカスが初めから犠牲になるつもりだったことがわかっていた。
しかし引き留める事はできず、わかっていて行かせたのだった。

 

別れ際、ルーカスから、親孝行だと思って逃げてくれ、ここへは戻るな、みんなを守ってくれ、と言われていたオリバーは、ルーカスたちから子供たちの未来を託されたと感じていた。
今後、何が何でも自分たちだけで、ルーカスの分まで仲間を守らなきゃならないと決意するのだった。

 

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その頃、ドミニクとアシリアの先導で、3人の子供たちは他の子供たちに気づかれないルートで地下道の別の出口を目指していた。

 

3人の子供たちとドミニク、アリシアの計5人は、エマたちに黙ってシェルターの方角へと偵察に向かう。

 

彼らは、エマ達が動けないのは情報が無いためであり、シェルターに入れなくても、その付近まで偵察に行こうとしていた。

 

シェルターの崩落を生き残り、子供たちを追って来ていた傷だらけのアンドリューが、その様子をじっと見ている。
前回第110話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

 

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第111話 望まざる客

異変

目を覚ましたイベットは、二人寝床から姿を消していることに気付く。

 

エマと会話していたオリバーは、ルーカスから託されたメモの内容を翌朝みんなに向けて話すことを決める。

 

その時、ギルダが二人に向けて駆け寄って行く。
その表情には焦りが浮かぶ。
ギルダはドミニクとアリシアがいないことを二人に報告するのだった。

 

荷物や武器がないことからトイレではない。

 

ジリアンが、いなくなったメンバーたちはユウゴとルーカスを探しにシェルターへ向かったのではないかと気づく。

 

各人でそれぞれ銃を持ち、手分けして探すために外に出るエマたち。

 

外に出た途端、銃声が二発、森に響く。

 

 

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何が起こっているのか困惑する一同。

 

レイは良くない事態が起こっていることに気付いており、ドンに急ぐことを促す。

 

「近い! こっちだ」
二人の仲間が駆けて行った方向には、ドミニクが立ち尽くしていた。
その表情は恐怖に歪んでいる。

 

二人の仲間はドミニクの無事を確認しほっとした様子で近づいていく。

 

「……にげて」
ドミニクは恐怖に固まった表情のまま、ぽつりと呟く。

 

しかしその声は仲間には届かない。

 

「逃げて!! 来ちゃだめ!!」

 

ドン

 

ドミニクの叫びも虚しく、仲間の内の一人の頭に銃弾がヒットする。

 

もう一人の仲間は木の幹に姿を隠し、銃声を聞きつけたエマやレイがドミニクのいる方向へと駆け寄っていく。

 

 

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接敵

逃げ出そうとしたその足に銃弾がヒットし、ドミニクは地面に転がる。

 

その様子を目撃したエマとレイ。

 

「いたァ」
そこに立っていたのは左腕でアリシアを抱き上げ、片手には銃を持ったアンドリューだった。
アンドリューの顔の左側はシェルター爆発の被害により陥没している。
さらに、体からしとどに流れ出る血はどんどん地面を汚していく。
「みつけたみつけたぞ食用児ィィィッ…」

 

アンドリューの異様な姿を前に、エマたちは呆然と立ち尽くしていた。

 

(何だあれ…あいつあの男か)
シェルターでのアンドリューの姿を思い出すレイ。

 

(嘘だろ…生きてるのか!? …あれで 骨見えてるぞ)
恐れるドン。

 

(敵はあいつ一人? 他には!? いや……その前に)
回り始めるジリアンの思考。

 

(敵がここにいる…じゃあ ユウゴとルーカスは?)
呆然とアンドリューを見つめるエマ。

 

 

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「いつまで立っている 跪けェ!!」
アシリアのこめかみに銃口を押し付けるアンドリュー。

 

エマたちは銃を捨て、両手を挙げてその場に正座していた。

 

その様子を少し離れた場所からザックやオリバーたちが見ている。

 

(時間を稼ぐ 奴を頼む)
視線をオリバーに送るレイ。

 

意図を察したオリバーは、コク、と頷いて動き出す。

 

(ドミニク アシリア…! 絶対助ける…助けるからね…! でもあの男 尋常じゃない)

 

「全員抹消スル 殺処分だ 殺処分だ」
激しく呼吸をしながら、うわ言のように呟くアンドリュー。

 

ザックとオリバーはその背後に回っていた。

 

 

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「小賢しいわ!!」
アンドリューが背後のザック達に向けて銃を撃つ。

 

(気づかれた!)
焦るレイとオリバー。

 

「どいつもこいつも図に乗りやがって くそがくそがくそが 奴らの餌の分際でェ!! 食用生物の分際でェ!!」
アンドリューは狂気すら感じさせる剣幕で叫ぶ。
「跪けと言っているだろうがブタ共がァッ!!!」
足を振り上げると、銃弾を足に受けて地面に倒れていたドミニクの体を蹴る。

 

ドミニクの悲痛な叫びと同時に一斉に動くエマたち。

 

無抵抗だったメンバーたちは目の前の銃をとり、一斉にアンドリュ-に銃口を向ける。

 

アンドリューもまたエマたちに銃口を向けていた。
そして、君には撃てない、と笑う。

 

名前を呼ばれ驚くエマ。

 

 

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「君がエマだろう? フィルに会って訊いたよ」

 

「フィルに何を――!」

 

質問したドンの左肩にアンドリューの銃弾がヒットする。

 

「君は 君達は家族思いだ」
そしてアンドリューは再びアシリアのこめかみに銃口をつきたてる。
「そして”優しい” 揃いも揃って愚かしいほどに」
ニヤァと口元を歪める。

 

シェルターにユウゴとルーカスの様子を見に行こうとしたアリシアたちの前に、銃を構えたアンドリューが現れた。
仲間の男の子二人がアンドリューを足止めし、女の子にアリシア、ドミニクと逃げるよう指示を飛ばす。

 

「このチビ共といたあの3人がどう死んだか お前わカルか?」

「人間を撃てなかった」

 

 

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残酷な現実

アリシア、ドミニクと一緒に逃げた女の子がアンドリューに銃口を向ける。
アンドリューの足止め役を買って出た二人も女の子と同様に、歯を食いしばり怯えた表情をするだけで銃を撃つ事が出来ない。

 

「人間を撃つのをためらったのだ」

 

エマはアンドリューの語り口から彼らの末路を察したのか、ショックを受けて言葉を発せずにいた。

 

「私は手負いで 奴ら数の利もチャンスもあったのに」

 

アンドリューは女の子に近づいていくと、銃の台尻を顔に打ち下ろす。

 

「いとも簡単に殺せたよ」

 

三人の子供たちは皆、同じように顔を台尻で潰されていた。

 

怯えるジリアン。

 

 

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「”同じ人間” ”同じ痛み” ”殺せば命は決して戻らない” 色々と想像をしたのだろうなァ」

「全く 笑えるほどに馬鹿ばかりだ」

 

ドンとレイが怒りに顔を歪める。

 

「ついでにあの二人も愚かだったぞ あのGBの生き残り共」

「死んだよ」

 

その言葉に、エマたちの時間が止まる。

 

「強かった…あの二人は 驚くほどにな」

「だが一人はもう一人を我々の攻撃からかばってもう一人もそいつを置いて行けずに負傷した」

「挙句 我々を道連れに爆死しやがった」

「が この通り私は生きている ご苦労 奴らは死に損だ!!」

アンドリューは狂ったように笑う。

 

 

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アンドリューは、ユウゴとルーカスが必死に子供たちを守る為に自分たちを的にしたにもかかわらず、足をひきずり、内臓が潰れて、蜂の巣にされても戦ったにもかかわらず、現在のこの状況が生まれたと笑う。
「天は私の味方なのだ!!」

 

アンドリューの言葉をエマたちは皆それぞれ、驚愕や絶望、怒りといった感情をその表情に浮かべながら聞いていた。

 

エマは歯を食いしばってアンドリューに銃口を向ける。

 

「撃てないよ」
全く動じることのないアンドリュー。
「私は人間で 且つ撃てば私はこのガキ共を殺す」

「君に 君達に選択肢はない 仲良く全員であの世へ行クんだ」

 

エマは銃を構えたまま固まっていた。
その視界には銃口をこめかみに突きつけられて泣いているアシリア。

 

「さぁ!」

 

パァン。

 

一発の銃声が響く。

 

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感想

覚悟が無かったばかりに

なんてこった。読んでてここまで嫌な気分になったのは久しぶりだ……。

 

食用児処分しか考えていないアンドリューと、敵であっても同じ人間に痛みを与えることを躊躇う優しい子供たち。
それらがぶつかった結果、あまりに無残な状況が紙面に展開されている。
まともに抵抗出来ず、簡単に”処分”されていく子供たち……。ドス黒い気分になる。

 

そしてエマたちまでも、アリシアを人質にとったアンドリューを前に何も出来ない。

 

猟場では強大な戦闘力を持っていた貴族鬼相手に、策を使ったとは言え最終的にエマたちは白兵戦で勝利した。
戦士としてはかなりの強者と言って良いはず。
しかし、まさかほとんど死にかけの状態に見えるアンドリュー一人相手にまさかここまで追い込まれるとは……。

 

まさかアンドリューが鬼より強いわけがないのに、銃も一人一丁装備しているのに、たった一人の人間に対して為す術なく大ピンチの状況になってしまった。

 

今回の111話を読む前は、この一話でアンドリューを倒して終わりかと思ってたよ……。

 

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アンドリューにここまで追い込まれたその根本原因が、エマたちが自分たち生きる為であっても人間を殺すのを躊躇うという、極めてまともな精神構造を持ち合わせていたためというのが何とも悲しい……。

 

エマたちはアンドリューが明確に自分たちの敵であることがわかっていても、自分たちの仲間を殺した憎き相手であっても、”人間”は殺せないんだな……。
初めての対人間戦における一番の敵はむしろ自分の心ということなのか。
人間に銃口を向けるのが初めてなのと、事前にアンドリューと戦う覚悟も全くなく、アリシアたちを探しに出たところを不意打ちされたこと、これら考えられる全ての状況がエマたちにとって最悪だった。

 

もし、アンドリューが攻めてきていることを分かった上で地下道を飛び出したのなら……。
直前に、何としても子供たちを守ると決めたのだから、賢いエマたちであればアンドリューを撃つ覚悟を決められたのではないか。
そもそもアンドリューがここまで来てるということはユウゴとルーカスの仇討ちになるわけで、その大義名分も初めての対人間戦を気持ち的に後押ししてくれただろう。

 

事前に心の準備を整える数分でもあれば結果は全く違ったものになった。それだけは間違いない。

 

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食用児たちの道徳観、倫理観は極めて健全なんだけど、一瞬のミスが致命的となる戦闘においては最悪となってしまった……。

 

ユウゴとルーカスはこれを知っていた。敵を撃たなければと自分を追い込んでいたレイの表情からそれを察していた。
彼らがたった二人でシェルターに残って戦うというのは無茶だと思ったけど、結果的には正解だった。
もし撤退しながら戦っていたら子供たちがどのくらいやられていたか分からない。
子供を人質にとられていたら、現状のエマたちと同様、ユウゴとルーカスがシェルターの戦いで見せていた本来の力が出しきれずにやられて、全滅していたかもしれない。

 

食用児に全く情け容赦なく死を強いてくるラートリー家との戦闘が甘いわけがなかった……。
読み進めていて、思わぬ精神的なダメージを負った。

 

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勝手な行動=死

古今東西、あらゆる物語において、勝手な行動をする登場人物には大概無残な最期が待っている。

 

ドニミク、アリシア、そして3人の仲間はまさにその法則にハマってしまった。
直前にみんなとの話し合いでユウゴとルーカスの意思を汲んで、自分たちの安全のためにシェルターには行かないと方針を決定したはずなのに、それをエマたちに内緒で破った。

 

メタなことを言ってしまえば、物語を動かす為に求められた役回りを演じたのがたまたま彼らだったということに過ぎない。

 

気持ちは分かるし、健気で好感が持てるけど、それに比例してイラついたのは確かだ。
彼らが嫌な奴らだったら無残にやられてしまっても読者としてはむしろスッキリするんだけど、今回はその真逆だから嫌なんだ……。

 

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シェルターに向かった連中のユウゴとルーカスを探しに行こうとする気持ち自体は分かるけど、その勝手な行動が現在陥っている全滅の危機を招くとは夢にも思わなかったんだな……。

 

名前が出てきていない3人は殺されてしまったけど、アシリア、ドミニクは生きている。

 

脱走して以来、GFメンバーはなんだかんだまだ誰も死んでいないけど、でもそろそろ物語の緊張感をさらに高めていくために誰かが犠牲になりそうな気がしてならない。

 

もし今回エマがラストでアンドリューを倒したとして、これ以上子供たちに犠牲者が出なくても、いずれまた襲ってくるラートリー家、もしくは鬼にGF組の誰かがやられてもおかしくないと思った。

 

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優しさは弱さでしかないのか

今回、最初に頭を撃ち抜かれた仲間もそうだけど、アリシアとドミニクを守ろうとして命を落とした3人の仲間が顔を集中的に殴られて殺害されているっぽいのがかなり精神的にキツイ……。
銃を装備していたにも関わらず、撃つ事を躊躇しているほぼ無抵抗の子供を惨殺……。
あまりにも残酷過ぎる。

 

食用児が自分のことを敵と認識していることをわかっていて、それでも瀕死の自分を撃ってこない子供たちを見ても、アンドリューには何の心の変化も起こらない。
むしろ自分を撃てないことを心の底から滑稽だと思っているようだ。

 

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どこまでも食用児を処分するという使命に執着しているアンドリューを前にしても、エマたちが彼を自分たちと同じ人間と認識して攻撃を躊躇っているのが何とも切ない。

 

施設で育った子供たちの方がラートリー家に比べると遥かに人としての心を持ち合わせている。
かりそめとは言え、食用児たちは大切な仲間たちに囲まれて幸せに育ってきたもんな……。
そして、それ故にここまで追い込まれてしまった。

 

人の気持ちを思いやれる優しさは、明確な敵が存在するサバイバルの状況下では弱さでしかないのかなぁ……。
エマたちが別の解答を読者の前に提示してくれることを期待したい。

 

約束のネバーランド第111話のネタバレを含む感想と考察でした。

第112話に続きます。

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