九龍ジェネリックロマンス 第24話
前話第23話
九龍ジェネリックロマンス 第24話 感想
切ない
前回のグエンからの指摘により、はっきりと自分と鯨井Bが完全に他人であると理解した鯨井さん。
確かに存在していた鯨井Bの人生を、何もかもを乗っ取るような形で自分が存在していることに落胆している様子だった。
何より辛いのは、自分が鯨井Bと違うことを一番感じている工藤さんに、工藤さんへの想いを完全に否定されること。
自分が工藤さんを好きと感じていることは間違いなく真実であるはずなのに、それが錯覚であると工藤さん本人から冷めた様子で突っ込まれてしまう……。
そんなの滅茶苦茶傷つくよな……。男でも分かるわ。
しかし鯨井さんは強かった。
それだけは頑として認めようとしない。
自分の想いが錯覚などではないと必死で訴える鯨井さんの様子に、さすがにそれまで冷たい態度だった工藤さんも、それを維持できなかった。
どうやら工藤さんは鯨井Bがどうなったのかはもちろん、現在の鯨井さんとは一体何なのか、おおよそのことはわかっているようだ。
その前提に立つと、第1話の頃の工藤さんの気持ちは複雑だったのかなと思った。
この鯨井さんはかつての彼女ではない。でも外見は全く一緒……。
何とか現在の鯨井さんをかつての鯨井さんだと思って接しようとしたこともあったけど、そうしようとすると途端に違いが目に付くようになる。
かと言って、現在の鯨井さんがかつて自分が愛した鯨井さんとは全く別の存在であると自覚し、嫌いだと直接伝えてもなお、現在の彼女に対して冷たい態度を徹底できない。
ところどころ違いはあっても、外見はもちろん、中身も似ている部分があるんじゃないだろうか。
やはりたとえ別人だとわかっていても、外見が一緒であれば意識せずにはいられないよな……。
眼鏡
鯨井さんも、自分と鯨井Bが全く別人にも関わらず、同じ容姿をしていることに反発を覚えている。
工藤さんが眼鏡をかけたらと鯨井さんに提案したのは、視力が落ちているなら危ないから以前使っていた眼鏡をかけるようしたらというだけで、特に他意はないだろう。
しかし鯨井さんは強く拒否した。眼鏡をかけるといよいよ外見までも鯨井Bと同じになってしまうことからか?
鯨井Bではなく、今の鯨井令子を見て欲しいという想いからではないか。
今回の話で工藤さんは鯨井さんと一緒にご飯に行っている。
それはあくまで仕事の同僚としてなのだろうけど、鯨井さんの視力が落ちていることに気付けるのはやはりきちんと彼女のことを見ているからだと思う。
鯨井さんから直球で自分への想いを告げられたことで工藤さんの心に変化が生じてきているのだとすれば、鯨井さんの想いが報われないと決まったわけではないだろう。
第1話では鯨井さんは眼鏡をかけていた。
しかしすぐに眼鏡がいらないことに気付き、以来、眼鏡の出番はない。
それがなぜ今回、視力が落ちてしまったのか。
鯨井さんがクローンであることはほぼ確定している以上、単純にメンテナンスが必要だからなのか。
それとも、元々眼鏡をかけていた鯨井Bに近くなった……つまり、時間の経過と共に完成度が増しているということなのか?
おそらく工藤さんは現在の鯨井さんについて、鯨井さん自身よりも真実を知っている。
次回あたりで現在の鯨井さんと工藤さんの関係の、もっと詳細な部分を知れたらいいな。
楽しみだ。
以上、九龍ジェネリックロマンス第24話のネタバレを含む感想と考察でした。
第25話に続きます。
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