響 小説家になる方法 最新第84話卒業式の感想(ネタバレ含む)と考察。マスコミの包囲を受ける鮎喰家。響はリカやタカヤの卒業式の日も姿を見せない。

第84話 卒業式

第83話のおさらい

民自党総裁選に関するワイドショーの途中で加賀美大臣が響から暴行を受けたという速報が入る。

 

マスコミによる生徒たちへのインタビューからうまく逃げたリカは響が待つ喫茶ソルトに合流し、足早に電車に向かう。

 

リカからの、これからどうする、という質問に、響は、なんとかなるでしょ、と答えるのみ。

 

帰宅した響は、玄関に見慣れない男物の革靴があるのに気付き、母親の顔に浮かぶ戸惑いの表情から”事態”を把握していた。

 

リビングではなく自室に通したという母からの言葉に、響は呆れたような表情で響は自室へ向かう。

 

「おかえり。」

 

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部屋の中央には加賀美大臣と秘書の北島、そしてボディーガードの男がトランプを囲んでいた。

 

今回の件について間に誰も入れずに話し合いたいので、文化連から学校経由で住所を教えてもらった上でやってきたという北島。

 

響からの、何をしに来たのかという問いに、加賀美大臣は、小説を読んだから約束通り感想を伝えに来た、と答える。

 

響は加賀美大臣たちの輪に加わりババ抜きをすることに。

 

響と向かい合ってババ抜きをしながら、加賀美大臣はきちんと自分の言葉で『11月誰そ彼』の感想を述べていく。

 

響はババ抜きを続けながらただ黙ってそれを聞いていた。

 

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ババ抜きは残り二枚の最後の局面を迎える。
響からババを引いた加賀美大臣は、響に二枚のカードを向けて、問いかける。
「『11月誰そ彼』は誰の為に書いたんだ?」

 

「目の前のあなたが読んでくれたなら、私の小説はあなたの為に書いたと思ってほしい。」
そう言って響は加賀美大臣のカードを一枚引こうと手を伸ばす。
「感想も、あなたが感じたことが全て。私からつけ足すことも引くこともない。」
結局、響はババを引くことなく、加賀美大臣に勝利する。

 

まいった、と自分の負けを宣言する加賀美大臣。
お暇するよ、と立ち上がりながら、マスコミから響を守る為に警備や警察を手配する、と言ってから、今日は悪かった、と謝罪する。

 

ありがとう、と返した響は借りを作りたくないので、ここでの会話の録音を何に使っても怒らないと告げる。

 

響の反応に思わず息を呑む北島とボディーガード。
「助かるよ」
加賀美大臣は懐からICレコーダーを取り出し笑う。
「とにかく響と仲が良いってアピールは必要なんでな。」

 

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響は呆然と加賀美大臣を見つめたあと、部屋を出ていく加賀美大臣と二人の連れに追い縋る。
「もしかして今のババ抜きわざと負けた?」

 

加賀美大臣は、女子高生相手なら負けた方が好感持たれる、と間を置いてから答える。

 

その言葉に、響は思わず加賀美大臣に挑みかかっていた。
それをボディーガードが制止する。

 

加賀美大臣は、響を捕まえているバディーガードの磐井に、鮎喰家に残って警備につき、親御さんに説明しろ、と命じる。

 

鮎喰家を出る加賀美大臣と北島に響は、きちんと勝負しろと叫ぶ。

 

本当にわざと負けたのか、と加賀美大臣の真意を確かめる北島。

 

その問いに加賀美大臣は、さぁね、とだけ答える。

前回、第83話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

 

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第84話 卒業式

扱いは犯罪者

響を取り上げたワイドショーが放送されている。

 

司会は文芸コンクールの表彰式で加賀美大臣が響から暴行を受けたと説明している。
何故殴られる羽目になったのか、その経緯について大臣からはまだコメントが出ていないと続く。

 

中央のモニターには響が加賀美大臣をアッパーカットしている様子が大写しになっていた。そしてモニターの画像が響一人のものに切り替わる。

 

司会は、この女子高生はそれまで一切素性が伏せられていた『お伽の庭』で芥川賞直木賞を受賞し、ヒット作『漆黒のヴァンパイアと眠る月』の作者『響』であると説明する。

 

「本名鮎喰響さん 神奈川の県立高校に通っているそうです。」

 

個人情報をさらっと公開していく司会者。そして鮎喰家に中継を繋ぐ。

 

鮎喰家の周囲はマスコミで囲まれていた。

 
 

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玄関には車が停まり、すぐそばの路地の曲がったところには取材車がある。

 

集まっているマスコミの人数は100人は超えるでしょうか、とレポーターが説明している。

 

鮎喰家のカーテンは閉められている。

 

時刻が8時なので響が登校するなら家から出て来ると思われる、とレポートは続く。

 

テレビ局の司会が、付近の住民に配慮して、と言うのと同時に、レポーターが騒ぎ始める。

 

レポーターは1階のカーテンが少し開き、そこに何かメッセージのようなものが出されているので、そこにカメラを向けるようにとカメラマンに指示する。

 

「これは…カピバラでしょうか? 今、カピバラと思われる絵がカーテンの隙間から出されています」

 
 

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カーテンの隙間から見えている絵がテレビに大写しになっているのを響の父はこたつに座り眺めていた。

 

「ねえ映った? 私の描いた猫 テレビに映ってる?」
マスコミに絵を見せている響母は、響父に問いかけている。

 

カピバラなら映ってるよ、と響父。

 

テレビではこの絵は響の遊び心か、それともマスコミへのメッセージかとナレーションが続く。

 

「えー猫なのにー…」
テレビを見ながら響母が呟く。

 

その様子を二人のSPが若干戸惑った様子で見つめている。

 
 

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テレビのナレーションが、家の中に人がいる、何人で、響はいつ出てくるのか、と読み上げるのを聞き、響父はうんざりした様子で様子で呟く。
「犯罪者だなまるで。」
そして、仕事に向かうと言いながら立ち上がる。

 

了解しました、と返事をするSP。
傍らの女性SP守谷に響母の警護を命じる。

 

気をつけてねえ、と響父を玄関まで送り出す響母。

 

響父に同行するSPは、報道陣からの質問には答えず、無言で車にご乗車下さいと声をかける。

 

15歳で『お伽の庭』を書いた響がどんな人間なのかと気になっていた守谷の脳裏には、響父と響母の会話している様子を見ながら、二人は本当に普通の両親だという感想が浮かんでいた。

 

(才能って……)

 
 

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「ねえ守屋ちゃん 動物なに好き?」

 

響母に不意に問われ、はい? と返す守谷。

 

報道陣が待ち構える中、SPの先導で響父が玄関から現れる。

 

玄関に横付けされた車にすぐさま乗り込む響父。

 

報道陣からの響に関する質問には事前のSPからの忠告を守り一切答えない。

 

女性レポーターはカーテンの隙間に新しい絵が現れたことを報告する。
「これは…何かと、パンダです。上の方の絵は何でしょう? ネッシーのような…」

 

絵を窓際で持っていたのは守谷だった。

 

テレビに向かってきりん! と繰り返す響母。

 
 

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学校にも動揺が広がる

響のクラス担任の小島が教壇でクラスの生徒たちに響について説明していた。

 

小島は、自分もこの事は知らなかったが、芥川賞・直木賞をとった『響』がクラスメートの響なのだと、まだそれが信じられない様子で口にする。

 

固まる生徒一同。

 

笹木も他の生徒同様に固まっている。

 

小島はしばらくいるであろうマスコミの質問に答えないようにと言い、響から暫く学校を休むという連絡があったことを告げる。

 

文芸部部室では響と三年のメンバー以外が集まっていた。

 

かなえは典子が生で加賀美大臣に響がアッパーを食らわせた場面を見たことを羨ましがっている。

 
 

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典子は、賞をとったことを羨ましがれとかなえに賞状を見せつける。

 

選ばれし100人の中の一人だと言い張る典子に、かなえは、それは知ってた、とつれない反応を見せる。

 

しかし咲希はすごいと思う、と祝福する。

 

それを聞いた典子はありがとうと言いながら咲希を抱きしめる。
「私の背中目指して頑張ってねー!」

 

「……」
無言で抱き締められるがままの咲希。

 

シロウは響がどこにいるのかと涼太郎に問いかける。

 
 

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しかし涼太郎は、さあ、と覇気のない様子で返すのみ。

 

シロウが再び問い直しても、涼太郎の答えは同じだった。

 

かなえは響が『響』であることを知らないはずの花代子が驚いていないことを不思議に思い、その疑問を花代子にぶつける。

 

花代子は、聞いてたような? ライトノベルの人が何か言ってたような、とふわふわした返答をした後。
「でも何の賞とってても、誰とケンカしても、響ちゃんなら、何でもあるかなって思うから。」

 

「たしかに!」
かなえが勢いよく賛同する。

 

「それに、響ちゃんも来週にはたぶん学校に来るだろうから。」

 

花代子の言葉に、来週? とピンと来ていない様子の典子。

 

咲希は、あー! と思い当たる。

 
 

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卒業式

リカは卒業証書を手に持ち、友達と集合写真を撮っていた。
他の生徒からも一緒に撮ろうと誘われる。

 

クラスの打ち上げの予定を告げるクラスメートにリカは、別の予定がある、と答える。

 

屋上に二人きりのタカヤと花代子。

 

花代子が体育すわりをしている隣で、タカヤは柵にもたれ掛かって立っている。

 

タカヤは響が飛び降りたあたりに視線を送り、懐かしそうに口元をほころばせる。

 

「大学卒業したら帰ってくる?」

 
 

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花代子の質問にタカヤは、4年後だからわからない、と答える。
大学のある東京は直ぐ隣だろ、と突っ込み、来年卒業するけど神奈川から出て行かないのかと花代子に問いかける。

 

花代子は、わかんないけど、と言ったあと、うううー、と唸ってしまう。

 

タカヤは笑い、花代子の隣に座る。
(まあ、バカな花代子だから、一緒にいて楽しいんだけどな)

 

タカヤは自分の手をそっと花代子の手に向かって伸ばす。

 

タカヤの指先が花代子の指先に微かに触れると同時に、きゃあ! と悲鳴を上げて手を引く花代子。
その顔は赤く染まっている。
「いやっ、こういうのはっ!」
両掌を肩の前で広げる花代子。
「まだほら……私まだ17だし……」

 

「うるせーボケ! ぶっ殺すぞ!」
花代子の反応に、顔を赤くして悪態をつくタカヤ。

 

花代子は、きゃー、と楽しそうな声を上げる。

 
 

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文芸部部室内はリカとタカヤの卒業を祝う装飾でいっぱいになっていた。
部室に一人佇むリカは、立ったままそれらの装飾をじっと見つめている。

 

先に来てる! とドアを開けた典子が大声を上げる。
「後輩からのサプライズで感動してるトコ見たかったのにー!」

 

続々と集まる部員たち。

 

嬉しいですか!? というかなえからの問いかけにリカは、うん、泣きそう、と笑顔で答える。

 

「タカヤ君は? カンムリョースか?」
天然で煽るノリコ。

 

「泣きたかったら泣いていいんスよ!」
かなえも笑顔でタカヤに呼びかける。

 
 

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「アホしかいねーのか、ここは。」
冷静に突っ込むタカヤ。

 

「それで…響ちゃんは?」
花代子は響が来ていないことに気付く。

 

さあ? とリカ。

 

典子とかなえは響が行方不明だと騒ぎ始める。

 

しかしリカは、響のことだから今もどこかで本を読んでるでしょ、と淡々と答える。

 

涼太郎は全く笑っていない。
「こうなるから、表に出したくなかった。」
リカに近づき、リカの顔を見ずに口にする。

 
 

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「響ちゃんは今、自分が不幸だと思ってるの?」

 

リカの問いかけに無言の涼太郎。

 

そんなやりとりをしているとも知らない咲希が、リカと涼太郎にコップを勧める。

 

リカと涼太郎以外は皆、既にコップを持って乾杯の態勢をとっていた。

 

「リカさん、タカヤ君、卒業おめでとう!」

 

「かんぱーい!」

 
 

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感想

バレていなかった頃には戻れない

どういう展開になっていくのかな。

 

これまでは如何にして響の正体をバレないようにするかが作品を通じての一つの見所としてあったように思う。

 

芥川直木W受賞という前人未到の偉業を成し遂げた女子高生が、世間から見たら非常に地味な生活を大切にする。

 

しかしこの話以降はもうマスコミによって完全に顔を晒されたことで、これまでのような誤魔化しは一切きかなくなる。

 

以前のような日常はもう戻ってこない。
だからといって響は、それを取り戻す為に一切沈黙を保ってまで響フィーバーの風化を待つような大人しい人間じゃないし……。

 
 

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色々物語は動きそう。
バレてしまった以上、今後はあらゆる人間が様々な思惑で響に接近してくるだろうから、単純にそれらを撃退したり、もちかけられた話の内容如何ではのってみたりするだけでも面白い展開が見られそうだ。

 

響の正体がバレないように尽力していた花井やリカが楽になるのだろうか。
むしろそれまで響の正体に関して黙っているだけで良かった文芸部部員たちも色々苦労する場面が出てきたりするのかな。

 

いや、他の出版社から響を独占していると非難を受けてまで響の正体を守ってきた花井は、もう響の正体を守らなくても良くなってちょっと楽になるかな。

 

でもリカが最後に涼太郎に言った通り、響がこの状況を不幸だと感じているとは限らないんだよな。
次号は巻頭カラーだというし、読者も含めてあっと言わせる展開を期待したい。

 

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進路模索?

ついに響は高校3年になる。
今後はついに響が進路、自分のやりたいことを見つける展開になっていくのか。

 

小説に関しては彼女が生涯関わっていくはずだ。でも実はまだ進路自体は決定していない。

 

響は以前、教師に進路を聞かれて、いつかは決めると啖呵を切った。

 

担任の小島は響に対してまずは直近の進路となるであろう志望校を聞く。
そして響が志望校を特に決めていないというから、次に響がなりたい職業や、描く将来像という意味での進路があるのかと問いかけた。

 

それに対し響は、”私は今、絶対の意思をもって特に決めていない”とまで言い切った。

 
 

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進路に関して特に悩んでいる風ではないのだが、やはり響も普通の学生と同様、自分の将来に関してあまり見通しが出来ていなかったように見えた。

 

それが今後定まってくるのではないか。

 

小説、文芸に関する仕事に就くのかもしれないし、全く別の分野に自分の職を求めるのかもしれない。

 

どういう選択をするのか、それを巡ってどういう騒動が起きるのかが楽しみだったりする。

 

やはりここまで世間にセンセーショナルに取り上げられると良い事も不都合も色々あると思う。

 

そして響は理不尽に対して黙ってない。何かしらその相手に対してかましてくれるから見てて面白いわけで。

 

よりスケールアップした騒動が展開するのを期待したい。

 
 

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やっぱ鮎喰家は面白い

響の父が漏らしたように、現在の所、響のマスコミからの扱いは半ば犯罪者に近いと言っていいのかもしれない。

 

何かやり遂げた人の家の周りってこんなことになったっけ?

 

犯罪者家族の家の周りはこんな感じになってたと思うけど……。

 

響は若くしてとんでもない業績を成し遂げた。
でもその正体は1年以上謎だったから、世間の響の正体に関する情報への飢餓感はとんでもないことになっていたわけだ。

 

なんか宇多田ヒカルがデビュー当初に極力メディア露出を避ける戦略をとって、世間の関心をかっらさうことに成功していたのを思い出したなぁ。
そんな戦略がとれたのも実力があってこそだった。

 
 

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マスコミに家の周りをぐるっと包囲されても父は比較的冷静な様子だった。
母の反応が面白かった。というかかわいい。

 

とりあえず響の母さんは最高だわ。
窓越しにカメラに向けて自分の絵を見せるとか遊びすぎ。

 

猫の絵のつもりが、これはカピバラでしょうか? とか言われてたのには笑った。
これは響からのメッセージかとかマスコミに深読みされてるし。

 

そして、えー猫なのにー、とテレビを見ながらちょっとがっかりしている響母を見つめる強面のボディーガードたちの困惑振りもいい味だしてた。

 

挙句の果てにはボディーガードの守谷にも絵を描かせてマスコミで遊んでるし。

 

今回の話で個人的にMVPを決めるならまずは響母。次点は守谷に決定。

 

花代子とタカヤのイチャイチャは羨ましいので無視します(笑)。

 

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響はどこに

両親が特に気にしている様子も見られないことから響は失踪したわけではなさそうだ(笑)。

 

リカも本当に響の居場所を知らないっぽいし、一体どこにいったのかな……。

 

恐らくSPの磐井を伴ってどこかに行っているという事だと思うけど、分からない。

 

花井に匿ってもらうのは違うか。

 

祖父江秋人の別荘とかはどうかな。祖父江秋人から助け舟があるとか結構無理のない展開だと思うんだけど……。
それだとリカが知らないというのはおかしいか。でもリカが知ってなきゃいけないわけではないし、祖父江秋人が黙っていた可能性はある。

 

響がどこで何をしてるのか、そして今後どうなっていくのか。
次号が楽しみだ。

以上、響 小説家になる方法第84話のネタバレを含む感想と考察でした。

次回第85話に続きます。

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