第76話 指導
目次
第75話のおさらい
文芸コンクール結果発表、そして芥川賞直木賞発表当日の朝。
咲希は、最低でも何かしらの賞に引っ掛かって欲しい、と思いつつ、小説家としての一歩の為に、折角ならば最優秀賞がとれたら、と願いながら学校へと向かう。
山本は、中華料理来々軒でのバイトから上がろうとした際に交代で入った同僚から皿を洗い直せと言われてバイトが長引いてしまう。
バイト終了後、担当編集の北村に、着く前に結果が分かったら電話をくださいと頼む山本。
「受賞してたら記者会見場に向かって、落ちてたら帰ります。」
その表情に気負いは無い。
北瀬戸高校。
職員室に文芸部顧問の黒島の元に文芸コンクールの結果発表の知らせを取りに来ていたタカヤ。
黒島はタカヤに封筒を渡し、センター試験の出来について問いかける。
自ら設定した大学進学という目標を目指すタカヤの成長と変化を指摘する黒島。
タカヤは、響と毎日顔を合わせる内に、自分が普通だと気づき普通の人間なりに頑張らなくてはいけないと答える。
黒島は俯き、これまで生徒を見放さなければタカヤの様に変わる生徒もいたのかな、と静かに呟く。
そして去ろうとするタカヤに、何故受験生が文芸部の雑用をしているのかと問いかけ、タカヤは、花代子が黒島が怖いというから頼まれたと答える。
この時期に受験生を雑用に使うのか、と驚く黒島。
人の色恋に口出してんじゃねーよ、と答えたタカヤに、黒島は、えっ、と固まる。
口を押えて顔を赤らめるタカヤを見て、黒島も事情を察し、顔を赤らめる。
文芸部部室では、花代子がタカヤから受け取った封筒から中の紙を取り出し、長机の上に紙を広げていた。
北瀬戸高校入賞者名簿というタイトルの紙には、最優秀賞と入賞の二人の情報が書かれている。
最優秀賞は響の『11月誰そ彼』。
入賞はノリコの『典子日記』。
帝国ホテルでは、昨年、響が会見をしたホールの正面には<芥川賞><直木賞>と書かれたホワイトボードが用意されている。
シャッター音が途切れなく続く中、ホワイトボードに受賞者の名前と作品の書かれた紙が貼られていく。
<芥川賞>
山本春平
「百年前の一目惚れ」
<直木賞>
谷 修輔
「スナックダボハゼ」
代々木上原駅のホームで受賞を聞いた山本は、帝国ホテルまでの行き方を聞く。
しかしタクシーを勧められ、駅を出て路上で止めたタクシーに乗り込む。
帝国ホテルに…、と遠慮がちに行き先を告げ車は走り始める。
走行中、後部座席で放心状態の山本。
帝国ホテルの前に着き、山本は待ち構えていた担当編集の北村から静かな祝福を受ける。
会場では、山本の質疑応答の時間になっていた。
苦労の末受賞した現在の感想は? と質問を受ける山本。
少し考えてから、高校生からどうしたら小説家になれるかと問われ、答えられなかったが、今なら答えられる、と前置きする山本。
その頃、咲希の部屋では咲希と響が山本のインタビューをテレビで観ていた。
「何年も努力して書き続けて、ただ小説のことだけ考えて、そうやって俺は芥川をとれた。」
山本の言葉に涙する咲希。
そして、流れる涙を拭いもせず、ただ俯いている咲希に、響は今でも小説家になりたいと思っているのかと問いかける。
咲希は目に力を込め、なりたいです! と力強く答える。
応援する、とさらっと返す響。
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第76話 指導
プロに見せる
咲希の部屋。
咲希が文芸コンクールに出した作品を読む響。
ごちゃごちゃしてわかりにくい、前の方が面白かった、と遠慮のない感想を言う。
響の前に座ってその言葉を聞いた咲希は項垂れる。
トリックを3つ重ねたからわかりやすくする気をつけたつもりだった、と咲希。
響の、よく文芸コンクールに出した小説のコピーをとっておいた、という言葉に、咲希は手元に置いておきたかった、今まで書いたのも全部とってある、と答える。
咲希のその答えを受け、プロに見てもらう為にいくつか貸して、と響。
咲希はこれまで書いてきた作品がぎっしり納められた引き出しの前で響の顔を見ながら、プロ? と呟く。
花井から指導を受ける咲希
2月。
東京工業科学大学で試験を受けるタカヤ。
喫茶メルヘン。
花井が名刺を差し出しながら挨拶をする。
テーブルを挟んで目の前にいる相手は咲希。
「柊咲希さん、お借りした小説全て読ませてもらったわ。」
「…………」
咲希は受けとった名刺を持ったまま、緊張した面持ちで花井の顔を見つめる。
響から咲希が小説家を目指しているからアドバイスしてほしいと聞いた、と花井。
咲希は花井の顔を見て固まっている。
(花井ふみさん。ネットの記事で見た。超やり手編集者さん… 響さんやリカさんをデビューさせて、担当した作品がバンバン賞とかとってる……)
花井は咲希に、文芸コンクールで落選した作品「ゴーストゲーム」について、自分なりにどこが悪かったか分かる? と問う。
えっと、わかりません、と俯く咲希。
「本当に? 全くわからない?」
花井は淡々と、咲希に問いかける。
「この作品は非の打ち所がない傑作だと思う?」
それを受け、咲希は一瞬の間の後答える。
「……詰め込みすぎたかなって、トリックを3つ使って絡めたから…」
うん、わかってるじゃない、と花井。
そして、慣れや経験が必要だが、ゆっくりでいいから編集の人間と会話する際は自分の考えや気持ちを可能な限り正確に話していくように、とアドバイスする花井。
曖昧な「はい」や「わかりません」は言わずに自分の言葉で話す事、と続け、わかった? と咲希に確認する。
咲希は、はい! と真剣な目で花井を見つめながら答える。
「本当に?」
間髪入れず花井が聞き返す。
「今後 絶対曖昧な答えをしないって言いきれる?」
咲希は花井を見つめたまま一瞬黙った後。
「わかりま…」
「!」
花井は、うん、ゆっくりでいいわよ、とフォローする。
”戦友”の二階堂と再会する山本
井草東公園。
電話をしながら公園の中に歩いていく山本。
電話先の相手とは山本のスケジュール調整について会話している。
山本は、学修社のコラムの締め切りが今晩だと言い、また後で、と電話を切る。
「おう。」
ベンチに座って山本を待ち受ける男。
一年前までは自分と同じように何度も芥川賞にノミネートされていた同期のライバルで戦友の二階堂だった。
「一年ぶり。」
山本は穏やかな表情で二階堂に声をかける。
「芥川おめでとう。」
山本と同様に穏やかな、しかしどこか元気の無い二階堂が山本に問う。
「どうだ受賞から一か月経って。」
「変わったよ色々。」
山本は、取材、対談コラム、新連載などやってる事は10年以上変わらないのに急に褒められている、と手元の缶コーヒーを開ける。
そうか、と言って、二階堂は今自分がピザ屋で店長をしていると現在の境遇を報告する。
たまに配達にも出るが、客が喜ぶと嬉しい、と続ける。
「そうか…………」
二階堂の隣に座り、俯き加減になる山本。
二階堂はコーピーを飲んでからぽつりと呟く。
「……俺も、書き続けてたら……」
山本は二階堂を見る。
「それだけだ」
ベンチから立ち上がる二階堂。
「悪かったな忙しいトコ呼び出して。」
「いや…近くの用事があったから。」
山本はベンチに座ったまま、歩き出す二階堂に返す。
「じゃあな。」
山本に背を向けたまま二階堂が言う。
「もう会うこともないだろう。」
振り返ることなく山本から離れていく二階堂。
山本は黙って、遠くなっていく二階堂の背中を見送る。
咲希に足りないもの
喫茶メルヘンで花井による咲希への指導は続く。
「私はこの『3年2組のおわり』が一番好きね。クラス内の連続殺人。」
手元の原稿を見つめたまま感想を言う花井。
「ラストで雑に次々人が死ぬトコ笑っちゃった。」
「あ…」
咲希は若干表情を緩め、授業中に思いついたと答える。
「今何が起こったら面白いかなって…」
ゴーストゲームはどうやって考えたの? と花井。
咲希は、全く新しいトリックを発明したくて色々考えたんですけど、と答える。
「うん。」
何かに納得した様子の花井は、胸の前で手を組んではっきりと言い放つ。
「物を作るうえで一番大事なのは初期衝動。それは具体的なイメージがなきゃいけない。」
「『このシーンを見せたい』とか『このメッセージを伝えたい』とかね。」
「根っこが曖昧だとどうしてもぼんやりした作品になっちゃうの。」
花井の言葉に惹き込まれて、ふんふん、と頷く咲希。
花井は再び原稿に目を投じながら続ける。
「それと咲希ちゃんの小説はキャラが弱いかな。設定は面白いしそれを魅せたいのはわかるんだけど。」
「エンタメの話の進め方は最初から最後まで『誰が』『何をしたか』、全てのシーンはこの繰り返し。」
「つまりキャラクターとイベントね。」
花井は咲希を見つめる。
「とにかくこの2つを意識するように。」
咲希は、はい! とはっきり答える。
はいってことはわかったってことね、と笑う花井。
「じゃあ咲希ちゃんなりの面白い小説の書き方教えて。」
「え……」
咲希は花井の質問に若干戸惑った様子で、顎にゆるく握った拳を当てて表情を強張らせる。
「え…と、キャラとイベントが大事…」
どうして? と間髪入れずに詰める花井。
「……」
咲希は視線をテーブルに向け、考え込んでしまう。
「うん ごめんね 意地の悪い聞き方して。」
花井は笑顔で咲希をフォローする。
「今の説明だけで全て理解なんてできないわよ。」
「今、自分が何がわかって何がわかってないか それは常に意識してて。」
咲希は黙って、コク、と頷く。
「あの子は別」
夕方になり、店を出て、その前で向かう合う二人。
「花井さん 今日はありがとうございました。」
咲希は花井を真っ直ぐ見据えて、しっかりとお礼を言う。
花井は、いえいえ、と言い、最後にひとつだけ言っておく、と咲希を見る。
「小説家って職業はとにかく厳しいわよ。」
「元々狭い門なのに知っての通り今は本が売れない。専業作家なんて千人もいないの。」
咲希は花井をじっとみつめながら、その話を聞いている。
「引退せざるを得ない才能をいくつも見た……」
小説家になりたいという夢は編集者として嬉しいし応援もするが、なれない時のことも考えておいて、と花井は続ける。
「具体的にはちゃんと勉強して進学なり就職なり人生設計しておくこと。わかった?」
笑顔で咲希にアドバイスする花井。
咲希はすぐには返事をせず、えっと、と考えた後。
「…よくわかってないかな。」
咲希の次の言葉を待つ花井。
「私は小説が好きで自分でも書いてて、もしこれが仕事になったらすごいなって思って……」
「でもまた全部夢みたいな話で、やっぱり私はまだ現実的に小説家目指すとかピンときてなくて。」
なるべく正直に自分の気持ちを語ろうとする咲希。
「今はただ花井さんに教えてもらったやり方で、早く小説が書きたいです………」
「よし!」
咲希の答えを受け、笑顔の花井。
「できたらまた読ませてね。」
「はい あの…」
咲希は遠慮がちに花井に話しかける。
「私も最後に一ついいですか?」
なんでもどうぞ、と笑う花井。
「響さんも花井さんから教わったんですか?」
咲希からの質問に固まる花井。
「あっ。」
何かに気付いた様子で、視線を咲希から外して呟く。
「そっか…咲希ちゃんは身近に響がいるのか。」
再び咲希を見つめる。
「ひょっとして『ゴーストゲーム』も響を意識して書いた?」
「………はい。」と咲希。
「そっか どうりであれだけ妙に背伸びしてるなとは思ったけど。」
花井は口に指をあて、色々と察した様子で続ける。
「あー…小説家意識してるのも響がいるから。」
「咲希ちゃん 最後の最後にもう一つだけ。」
花井は、きょとんと自分を見つめている咲希に、これは理解できないくても納得して、と前置きし、一言。
「あの子は別。」
リカが文芸コンクールを避けていた理由
祖父江家。
「そっか、咲希ちゃんが小説家かー。」
リビングでリカと花井がテーブルを挟んで会話している。
素直でいい子ね、と花井。
「まだ響やリカちゃんとは比べられないけど、面白い発想持ってる。」
「文章も上手いし、なにより小説書くのが好きで、一作一作書ききってる。」
あの子は面白いよ、と笑顔のリカ。手には文庫本を持っている。
「私がいなくなっても見てあげてね。」
リカちゃんも落ち着いたらエッセイお願いね、と花井。
フィンランド滞在記ね、とリカ。
「文章書く場所があるのは嬉しい。私ももっと面白いの書きたい。いつか響ちゃんよりも。」
テーブルの上には「竜と冒険」と、文庫版の「四季降る塔」が置かれている。
「はっきりした目標があるのは幸せよ。頑張って。」
花井の言葉を受け、微笑を浮かべるリカ。
「文芸コンクール最優秀賞か。」
花井は笑顔で上を見上げる。
「全くあの子は何がしたいのか。」
花井は、リカが呆然としている事に気付く。
「文芸コンクール最優秀? 何それ。」
リカの問いかけに、花代子が文芸部の皆で応募したと咲希から聞いた、と答える花井。
「典子って子が入選で、響は最優秀賞だって。そんな暇あるならウチで書いて欲しいんだけどね。」
リカは顔に手をあてて俯く。
「……しまった。かよちゃんに伝え忘れてた。」
不思議そうにリカの様子を見つめる花井。
リカは少し間をとってから花井に説明を始める。
「文芸コンクールってのは新聞社や色んな企業が協賛してる高校文芸部にとって一番おっきなイベントで、響ちゃんが入ってからあえて出ないようにしてたの。」
そうなの? レベルが違うから? と花井は先を促す。
「『文芸コンクール』『最優秀賞』で検索してみて。」
リカは若干顔を強張らせる。
「正式名称出てくるから。」
正式名称? と呟きながらスマホを操作する花井。
「これね、高校文化連盟主催。」
サイトを見ながら、受賞者一覧、と呟く。
何かを見つけた花井。その表情が見る見る内に固まる。
「え? ひょっとして、この人 授賞式に来るの?」
リカは、うん、と心配そうな表情で答える。
スマホの画面に映しだされている受賞者一覧の一番上に響の名前がある。
学年を挟んで隣の欄に、響の受賞した最優秀賞の正式名称がある。
最優秀賞文部科学大臣賞。
運動不足
響がベンチに座り、文庫本を読んでいる。
暗い、帰るか、と本を閉じる。
首から、コキ、と音がしたのに気付いた響。
「…………」
肩を上げてみると同じような音がする。
響は。ベンチから立ち上がり腕をストレッチしながら呟く。
「最近運動してないわね…」
感想
山本と二階堂の違い
やはり出てきた、山本とほぼ同じような実績を持ちながら小説を諦めた同期の二階堂理。
二階堂と山本のシーン。
俺ももし書き続けてたら、と呟く二階堂。静かな表情ではあるけど、本音を口にして悔しさが滲み出ているように思う。
一方、山本はスケジュールが一杯で、前とやってることは同じなのに褒められるのだという。
二階堂も山本と同様に芥川賞に4回ノミネートされているので、ほぼ同じくらいの力量はあると見ても良いだろう。
「引退せざるを得ない才能をいくつも見た……」という花井のセリフの際、ピザを配達している二階堂が描かれているし、編集者たちの間では将来を嘱望されていたに違いない。
それが、たった一年で光と影がここまで分かれるのか……。
本当に残酷な世界だと感じた。
小説に限らず、勝敗のもたらす結果は両者の間に決定的な違いを齎す。
続けた山本と諦めた二階堂。
しかし、本当は山本だって二階堂と同じく前回の芥川賞で小説家を諦めていた。
むしろ小説家を諦めて、前向きに生活を立て直そうと就職していた二階堂に比べ、山本は自殺して人生を終わらせようとしていた。
山本と二階堂の違いは、もちろん諦めた、諦めなかったという点に尽きるんだけど、響に会えたか会えなかったかというのもあると思う。
芥川賞発表後の山本と響。
山本は退路を断ち切って、自分の全精力を小説に傾けた。
しかし彗星の如く現れ直木賞とW受賞してしまうという冗談みたいな女子高生作家に敗れる。
全て失った気持ちになり死ぬしかないと山本は電車での自殺を考えた。
山本は、自分をそこまで追いつめた相手である響に、その日の内に救われるという体験をする。
響は遠くから電車が近付いてくるにもかかわらず線路の上で、山本と相対するように立ちはだかって山本を説得する。
駅員が緊急停止ボタンを押していたため、近付いてきた電車は響の目の前で停止する。
それでも響が一切取り乱さないのを見て、山本は自分を負かした相手である響と自分との違いを実感したのだろう。
それは人によって発奮材料になり、諦める材料にもなり得るのではないか。そして、山本はどちらかと言えば前者だった。
それに、元々山本の内に諦める気持ちと諦めたくない気持ちがせめぎ合っていて、一時的に諦める気持ちが勝っていたに過ぎなかったから響の説得で再起出来たと言えるかもしれない。
一方、二階堂は芥川賞の発表の後、すぐに就職する旨を電話で伝えていた。
あらかじめ、自分の保険を用意していたという事になる。
それが山本との違いを生んだそもそもの原因だったのかもしれない。
就職しながら小説を書くってのはダメなのかな。退路を断たないと優れた作品って書けないのか?
自分は、二階堂の地に足をつけた生き方を尊敬するけどな……。
保険として就職先を確保しておくのは悪いこととは思わない。
今回、花井が咲希に、小説家になれなかった時の為に、しっかり勉強して、就職も考えろと言っているし、やはりそう考えるのが普通なんだよな……。
ただ、現実に作家として同程度の力量を持つ山本との違いが生じているわけで……。
柳本先生は二階堂の再起する様なんて書かないだろう。
夢破れ、諦めて普通に生きる人も、響やリカ、そして山本といった自らの地位を掴み取った人間たちとの対比としてこの世界に存在しなくてはならない。
こういうところは本当にリアルだな、と思う。
花井と咲希
リカとの会話で花井は咲希は面白いと評した。
今後、花井の指導を受ける事で成長していき、小説を出す事になるのか。
すぐにはそうならないと思うけど、花井とのやりとりから、咲希は今後成長はしていくであろうことを感じさせる。
花井は咲希が響を意識している事を察して、あの子は別、と言った。
花井が一番面白いと言った「3年2組のおわり」は、咲希の初期衝動がきちんと形になったものだった。
一方、響を意識して書いた「ゴーストゲーム」は設定やトリックばかりが先行してしまう。
響の才能はあまりに突出しており、咲希がそれを下手に意識して真似ようとすると、かえっておかしくなってしまうということなのだろう。
いや、響に限らず、誰かを意識して書くのはあまり良くないのかも……。
外ではなく内を見る必要があるんだな。
花井は小説の書き方についてアドバイスしているが、実は柳本先生が普段から思っている事ではないか。
小説と言うよりも、エンタメに対する考え方か。
何をするにも、きちんとした考え方が必要なんだな。
それを知った咲希は、今後伸びるはず。どうなっていくか楽しみ。
最優秀賞文部科学大臣賞
リカがこれまで文芸コンクールを避けてきた理由はこれだったのか。
流石は出来る女リカ。響をこんな場所に出したら何が起こるか痛いほど分かってるもんなぁ(笑)。
文芸部部長としてとんでもない事になると直感していたに違いない。
今回、また花代子の行動がトラブルを引き起こした形(まだ問題は起きてないけど)になるわけだが、前回の響の小説を無断で投稿した事や、その後津久井に響の名前を漏らしてしまった事に比べれば、今回、花代子は全く悪くない。
文芸部として活動する上で、大きな賞に挑戦することは当然なわけで。
現時点では、花代子のやる気とリカの些細なミスにより生み出された”トラブルの種”とでも言ったら良いのだろうか。
しかし、読者としては俄然楽しみになってくる。
ラスト、ベンチから立ち上がりストレッチする響の呟き。
「最近運動してないわね…」
ここまで響を読んできて、この状況、このセリフにワクワクしない読者はいないんじゃないか。
文部科学大臣がどうしようもない奴だった場合、当然ながら響が殴る蹴る等、何故か問題にならない暴力を振るう。
しかし文部科学大臣が地位に見合って人間的にも偉かい人だったとしても、何か問題を引き起こしそうな気がする。
文部科学大臣との些細な言葉のやりとりから、響が挑発するような言い回しになるとか普通に想像出来る。
響は決して自分の主張を譲らないし、少しでもおかしいと思ったらさらっと突っ込むし、100%何かしらのトラブルに発展するよなぁ……。
早速次回から表彰式かな。続きに期待。
以上、響 小説家になる方法第76話のネタバレを含む感想と考察でした。
第77話に続きます。
文芸コンクールにこんな仕掛があったとは 驚きでした 実際の文芸コンクールは 400字ずめ原稿用紙30枚程度の小説なので まさか 出版とかで揉める方向には進まないとは思いますが 響が何をしでかすか… 今まで 殺人未遂 傷害罪 人質脅迫罪 列車往来妨害罪 器物破損罪 最強の凶悪犯罪者が どんな犯罪を犯すのか楽しみですね 其とも 文部科学大臣が出て来るのは 3年生になる響の進路が絡んで来るんですかね? 花井が 咲希にいってた人生設計の話しが妙に引っ掛かります
ミヤさんありがとうございます!
確かに、こうきたか~、と思わされました。
大きな楽しみが出来ましたね。
>実際の文芸コンクールは 400字ずめ原稿用紙30枚程度の小説
お~、そうだったんですね!
響作中でも同様の設定なんでしょうかね。
確か原稿の枚数に言及されてはいなかったような……。
響は作品を僅か2時間で書き上げましたが、原稿用紙30枚程度ならば納得がいきますね。
さすがに出版されるレベルの枚数(200とか300とか?)は無理ですよね。
となると、確かにミヤさんの考察されているように、出版云々はとりあえずは無しですね。
後々、短編集の中に収録される事はあるかもしれませんが……。
>殺人未遂 傷害罪 人質脅迫罪 列車往来妨害罪 器物破損罪 最強の凶悪犯罪者が どんな犯罪を犯すのか楽しみですね
(笑)
こうして見ると、本当にとんでもないヤツですね。
次に起こす響の行動が犯罪とさらっと断定されてて笑いました。
>文部科学大臣が出て来るのは 3年生になる響の進路が絡んで来るんですかね?
殴る蹴るとかそういう話じゃなく、器が大きく有能なタイプの文部科学大臣にスカウトされる的な展開ってことでしょうか。
ただ、役人なんて絶対務まりませんよね。
『漆黒』が売れてるからクールジャパン戦略に関わるというのを思いつきました。
ただ、wikiで検索してみたら管轄が経済産業省らしいから違うかな……。
文部科学大臣が経済産業省のプロジェクトに人を紹介・融通したりするのは案外あってもおかしくないと思うんですが。
やはり文部科学大臣がいけ好かない奴で、手が出てしまうというパターンでしょうか。
>花井が 咲希にいってた人生設計の話しが妙に引っ掛かります
それ、気になります。
自分は、咲希の夢を応援しつつ、しかし常識的な意見だと感じるばかりでした……。
まだ咲希は高校2年になろうとしている成長期の子だし、響やリカに憧れるのも大切ですが、花井みたいに地に足をつけた生き方を並行するようアドバイスできる人間がいるのはとても良い事じゃないかなと思いましたね。
文部科学大臣が『11月誰そ彼』を読んでいなかったとしたら、とかありえそうです。
響が文部科学大臣に暴行を働いたとしたら、高校退学は確実ですね。
身バレした場合、出版社や文壇が、どれだけ響を擁護しても、
『お伽の庭』と『漆黒のヴァンパイアと眠る月』の回収は免れないでしょう。
公務員である父親もなんらかの責任を取らされることになるでしょう。
どのように最悪な事態の収拾を図るのか想像がつきません。
さつさん、コメントありがとうございます!
>『11月誰そ彼』を読んでいなかった
ありそうですね。読んでないのに表彰するとかおかしくないのか、とか(笑)。
『最優秀賞文部科学大臣賞』ですからね。
「あなたが選んだの?」って聞きそうです。
で、そこから「読んでない」→「ふざけんな(ボカ)」って感じでしょうか。
凶暴過ぎる(笑)。
>響が文部科学大臣に暴行を働いたとしたら、高校退学は確実ですね
これまでは暴力振るってもスルーされてきましたが、退学処分はかなりキツイですね。
でも確かに、大臣に暴力とかとんでもない事ですよね。
確かに、身バレ→著作物の回収→父親の責任追及となんてことにまで発展しないとは言い切れないですね。
ただ、もしそうなっても響はどこ吹く風なんだろうなぁ。
いや、さすがに家族にまで悪い影響が及ぶと堪えるか。
リカがこれまで文芸コンクールを避けていたのは単純に響が何かやらかすだろうという心配からなんだと思っていましたが、最悪、さつさんの仰るような事態もあり得るという恐怖も想定していたからかもしれませんね。
ただ確かに、響がそれくらいの窮地に追い込まれたらその状況にどう対応するか気になりますね。
書くとこ間違えましたm(_ _)m
響が大臣とトラブルになる場面が目に浮かびますね。
あんた私の小説読んで無いでしょうと…
又、響が簡単に書いた小説が女子高生の大臣賞3連覇を阻止した事が分かり落胆する姿も。
来月第2週迄長いな~
小説を読んだ上でこの賞をくれたのか、ということに響がこだわるのは明らかでしょうからトラブルは間違いないですよね。
藤代も響と顔を合わせればそのただならぬ雰囲気に『響』だと気づくでしょう。
リアクションが楽しみですよね。
ほんとに。次までマジで長いっす。