第75話 選択
第74話のおさらい
戦士たちは残り3体の巨人と戦っていた。
巨人たちはサタン再生までの時間稼ぎだと見抜いた桃ノ木少佐は、サタン復活の前に巨人を片付けようとしていた。
巨人が目を光らせ、ビームを射出しようとする。
その瞬間、パピコがその巨人の内部から巨大化で巨人の体を突き破るのだった。
もう一体の、暴れている巨人の内部からも巨大化したヘフナー伍長が身体を突き破る。
パピコが内部から体を突き破った巨人は、顔を失っても暴れていた。
その巨人に必死にしがみつくパピコ。
「パピコさん!!」
鬼頭軍曹に呼ばれたパピコは、彼の構えを見て、何をするのかを把握して、巨人から手を離す。
その瞬間、鬼頭軍曹の腕からビームが放たれ、桃ノ木少佐の指示で3人でビームを一体の巨人に集中させ、見事に倒す事に成功する。
続けて、塩沢上等兵たちが戦っている巨人に対して桃ノ木少佐が集中砲火を呼びかける。
パピコたちは5人で残り一体の巨人をビームを爆発させるのだった。
思わずガッツポーズをする零。
しかし零のすぐそばで、サタンは立ち上がり、すでに再生を終えつつあった。
第75話 選択
「しまった!!」
桃ノ木少佐が叫ぶ。
新しく降臨した4体の巨人を撃退するのに必死で、サタンに止めを刺せなかったことで、サタンは立ち上がれるほどに再生が進んでいた。
腹部に空いた大穴は塞がりつつあり、顔の右側も復元しつつあった。
「まずいっ!!」
サタンの攻撃の意思を感じ取り、先に攻撃を加えるために光線の発射準備を行う戦士たち。
パピコも一緒に光線を撃つ態勢をとろうとした次の瞬間、川沿いに零が立っていることに気付く。
戦士たちがサタンに向けて光線を集中して撃っている時、パピコは泣きながらなりふり構わず零の元に駆け寄っていた。
塩沢上等兵はサタンに向けて光線を放ちながら、そんなパピコを視線で追っていた。
パピコは泣きながら零を庇うようにサタンに背を向ける。
そして大きな手で零を掴むのだった。
サタンは人差し指を立てた右手を、天を指すように真っ直ぐ上げる。
すると指から収束した光が放たれる。
サタンは一旦腕を下ろし、再び上に上げようとする。
レーザー射線はサタンに背中を見せているパピコに向かっていた。
世全世界が固唾を飲んで、この戦いの映像を見ていた。
自宅のテレビで戦いの行方を見つめていた零の父と母は、いつの間にか立ち上がっていた。
パピコを守るべく、サタンに駆け寄った塩沢上等兵はサタンのレーザーを受けて左腕を上腕から切断されていた。
しかし塩沢上等兵は腕の傷口から大量の血を噴き出しながらも、残った右腕でサタンの胴体を抱きかかえていた。
サタンを睨みつけたまま、塩沢上等兵が叫ぶ。
「パピコさんは、もう帰って!!」
「パピコは離脱しろ!!」
桃ノ木少佐も同調する。
「あとは我々でやる!!」
「心配しないで下さい!! パピコさんは離脱して下さい!!」
サタンに向かって駆けていく鬼頭軍曹。
パピコは涙を浮かべながら、零を抱えていた。
「お腹に!! 子供もいるんだろ!!」
塩沢上等兵の叫ぶような説得で、パピコは泣きながら、零を抱えたまま戦線を離脱するのだった。
感想
果敢にサタンに向かって行った塩沢上等兵が腕を失うという大きな痛手を負ってしまった。
ついに戦闘に影響を及ぼすレベルの重傷者が出たか……。これで戦士たちの総合的な戦闘能力は落ちてしまった。
そもそも、振り返ってみれば、ここまで戦士たち全員がそこまで目立ったダメ―ジを受けていないのが不思議なくらいの死闘だったから、むしろここまでよくやっていると評すべきだろう。
どうやら復活したサタンは、緒戦のどこか余裕を以て戦士たちを迎え撃った時と比較して、最初から本気のようだ。
繰り出した強力なレーザー出力攻撃は、塩沢上等兵の腕を一瞬で切り落としてしまった。これは相当厄介な能力だろう。
緒戦で勝てたように、今回も勝てるかどうか微妙だと思う。全く読めない……。
しかしこんな状況の中、パピコに離脱を促した戦士たちの決断は果たして正解だったのか?
最初のサタンとの戦いも、パピコが戦いに加わらなかったら、おそらく戦士たちは負けていただろうに……。
確かにパピコは長嶋大佐のデバイスを受け継いでいるとはいえ、まともに戦闘訓練を受けていない民間人だし、何より妊娠しているから、倫理的には戦士たちの選択は正しい。
でも戦士たちが敗けたら、パピコが戦わないといけない。
今回、パピコは戦線から離脱することを選んだが、それはあくまで零を避難させるためなのかもしれない。
おそらく零を安全な場所に送ってから戦いの場に戻るのではないだろうか。
というか、そうじゃないと負けるだろこの戦い……。
果たしてこの死闘の結末はどうなるのか。
次回が楽しみすぎる。
以上、ギガント第75話のネタバレを含む感想と考察でした。
第76話に続きます。
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