第21話 正体
第20話のおさらい
新宿の街頭のビジョンに破壊神と戦うパピコの姿が映し出されていた。
アナウンサーは、この映像は特撮映画ではなく、六本木で起きていることだと説明する。
また、ツイッター上のトレンドのランキングは”巨大女”、”裸の女”など、全てパピコと破壊神のバトルに関するキーワードが上位を占めていた。
ツイッター上では、パピコを応援するコメントや、その胸に嫉妬するコメントが流れる。
パピコの頭に投げた破壊ボールを躱され、破壊神は再び破壊ボールを作り始めていた。
パピコに向かって泣きながら走ってきた零は、いつの間にか戦うパピコと破壊神のすぐそばまでやって来ていた。
危険な環境下にありながら、零は自分の身を守ることを忘れて、なりふり構わず泣きわめきながらパピコの戦いを見つめている。
破壊神が次に放った破壊ボールを躱し、パピコは破壊神と距離を詰める。
その間に再び投げてきた破壊ボールも躱すと、パピコはその流れで投げた直後の姿勢の破壊神に飛び掛かっていく。
破壊神に掴みかかっていくパピコ。
しかし破壊神から打ち下ろしのパンチをモロに食らってしまう。
さらに連続で顔面にフックを食らい、パピコは、建物に両手をついて苦しそうな表情で動きを止める。
零はそんなパピコに対して何も出来ず、涙と鼻水に塗れた顔でその光景を見つめ続ける。
破壊神はパピコの髪を左手で掴み上げて、棒立ちになったパピコの背中に撃ち込む為に破壊ボールのエネルギーを残った右手に集中させる。
絶体絶命の状況に、泣き叫ぶ零。
破壊神の右手にエネルギーが溜まっていく。
パピコは目を開けて、足元の零を視界に収めていた。
零の顔を見て意識を取り戻したパピコは、すぐ傍らにある高層ビルの屋上に右手を伸ばす。
その瞬間、パピコの背中に破壊ボールを振り下ろす破壊神。
しかしパピコは一瞬で姿を消し、破壊神の右手は空を切る。
パピコは体を元のサイズに戻し、ビルの屋上を走っていた。
そして、破壊神の左肩に回り込むとそこに向けて躊躇なく屋上から身を投じる。
屋上から飛び降りたパピコは、破壊神の肩にある隙間から、体内へと飛び込むのだった。
破壊神は、突如消えたパピコの行方が判らず、足を踏み鳴らて、叫びながら怒りを表現する。
間もなく、破壊神の体がミキミキという音を立てながら膨張を始める。
「アー アー」
破壊神は目を血走らせ、牙を剥き出しにして叫んでいた。
次の瞬間、破壊神の体内から巨大化したパピコが現れる。
両手を広げ、破壊神を体内から打ち破るパピコ。
破壊神は大量の血を吹き出し、顔及び胸から腹にかけてのパーツが胴体から離れていく。
その光景を、零はただただ呆然と見つめていた。
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第21話 正体
破壊神から大量に噴出した血のような液体が道路を覆っていく。
それは零の足元にも達していた。
血を噴水のように吹き出している破壊神の残骸のそばに、パピコは巨大な姿のまま立っていた。
その視線の先にはパピコを見上げて立つ零がいる。
パピコの顔は破壊神から出た液体に塗れていた。
はあっ、はあっ、と呼吸を整えながら、零君、と呟く。
零は涙を流し、パピコをじっと見つめていた。
「零君!! ケガしてない!?」
「ちほさんっ あ゛あ゛あ゛あ゛」
顔をくしゃくしゃにして叫ぶ零。
「無事です!! あ゛あ゛あ゛」
パピコは腕のデバイスを操作して体を縮小していく。
そして元の大きさに戻ると、泣き叫ぶ零の元へ駆け寄っていく。
「零君!!」
「ちほさん!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
その場に立ってただ泣いていた零も、パピコがすぐそばまで駆け寄って来ると歩み寄っていき、二人はひしと抱き合う。
挨拶
零の上着を着たパピコと零は手を繋いで歩いていた。
ちほさん、しんじゃうかと思った、と零。
パピコは、必死であまり覚えていない、と答える。
「零君が死んじゃうと思って……家 飛び出して……」
「無茶しすぎですよ……」
二人の元に、前方から零の父と母が駆け寄って来る。
「零!! 終わったみたいだぞっ。」
父は零の隣にいる女の子に気付く。
「あれ?」
誰? と母。
「え? え?」
戸惑うばかりのパピコ。
「あ……」
零はパピコと立ち止まる。
「あっ」
父と母が声を上げる。
「それ……零の上着…だよね…」
「……はい…」
パピコは父を見上げて答える。
「さっきの…でかい…裸の女……きみ…そっくり…だったけど…」
父は興味深そうな様子でパピコに質問する。
「え? 何? 何 何? 何? どーなってん…」
「え? あ!! 本当だ…」
母も巨大な女性がパピコだと気づく。
「………」
パピコは気まずさを感じた様子で、零の両親から目を伏せ、ただただ黙ってしまう。
「この人が付き合ってる人。」
零が堂々と説明する。
「僕を助けるために…ここまで気てくれたんだ。」
零の説明に一瞬固まる両親。
「ちょっと意味わかんない。」
母は目を呆れたような様子で零に説明を求める。
「え? 付き合ってるって… あ?」
驚く父。
「ちほさん…でっかく…なれるんだ…」
パピコはおもむろに、右手のデバイスを左手で操作する。
その様子をじっと見つめる両親。
脱いだ零の上着を腕にかけ、パピコはピルの二階程度の大きさになってみせる。
両親は、巨大化したパピコを驚愕した様子で見つめる。
尋問
零、パピコ、零の両親の四人は移動手段を探して街を歩いていた。
「流石にタクシーいないな。電車も動いてないし。」
前方からタクシーがやってくるのを発見し、父がタクシーにむかって手を上げる。
「あっ、タクシー来た!!」
「私…やっぱり一人で帰る。」
パピコは不安げな様子で零に話しかける。
なんで? と零は不思議そうに問いかける。
「だって……犯罪…だよ、私。」
零はパピコに、大丈夫、と繰り返して落ち着かせようとする。
タクシーが発進する。
後部座席に零、父、母の三人が乗り、助手席にはパピコが座っている。
母は助手席のパピコをじっと見つめていた。
パピコの部屋では、点けっぱなしのテレビからワイドショーの音声が流れていた。
「東京の六本木では決着がつきましたが、アメリカ ニューヨークではいまだ闘いが続きています。」
パピコの愛犬”もち”はテレビ画面を見つめている。
星条旗の模様のタンクトップとパンツを身に着け、ランドセルを背負ったヘルメットの男が、マシュマロマンに似た化け物に対してエネルギー弾を撃ち込む。
それをかわすマシュマロマン。
タクシーの車内では母によるパピコへの質問が始まっていた。
「あなた……名前は? 何? その髪、バンドでもやってるの?」
「えっ、あ……ちほ…ちほ ヨハンソンです……」
前を向いたまま恐る恐る答えるパピコ。
「歳は……? 年齢はいくつ?」
母は鋭い表情で質問を続ける。
感想
今後の戦い
必死で闘ったから破壊神との戦闘はあまり覚えていないというパピコに泣いた。
「零君が死んじゃうと思って……家 飛び出して……」
こんなん言われたら嬉しくて泣くだろ。零は幸せ者だなぁ。
堂々とした戦いぶりだったけど、それは零を守るべく必死だったからなのか。
でもそれだけじゃなくて、パピコには戦闘のセンスがあると思う。
最後、破壊神の内部に小さい状態で侵入して、巨大化して内側からぶち破るとか、仮に思いついたとしても普通は実行出来ないだろう。
自分の体が破壊神の硬度に負けたらどうしようとか考えなかったのかな……。その場合、潰れるのは自分なんだけど……。
ギミックが多いボディだったから、内部からある程度力を加えればバラバラに出来ると考えたのだとしたら勘と思い切りの良さは、やはり戦闘のセンスと言って良いとだろう。
普通は探し出して接触してくるでしょ。
でも、政府との接触があろうがなかろうが、パピコはまた現れた巨大な敵との戦闘に巻き込まれていくことになるだろう。
ウルトラマンのような立ち位置で日本を守るのも面白い。
とりあえずコスチュームは必要だな。
アメリカで戦っているランドセル+ヘルメットの親父みたいな恰好が巨大化した人間の戦闘コスチュームなのかな。
車に轢かれてパピコに色々残して死んだ親父も同じ格好だったし、その可能性は低くはない。
単に未来人のノーマルな服装ということなら良いんだけど……。
さすがにパピコにあの恰好をさせるのは可哀想だから、もしコスチュームがあるなら別のデザインを用意してあげて欲しい……。
奥先生のデザインならかっこいいやつを期待していいはず。
ガンツスーツみたいな恰好もアリだな……。
母親の厳しい目線
やはり零のお母さんはパピコに厳しい視線を向けますか……。
大切な一人息子だし、いかに命の恩人とはいえそれとこれとは話は別ということか。
何しろ、巨大化する彼女なんて前代未聞だから……。
はっきり言って意味がわからない。なんで巨大化出来るのか、そして何より、なぜ息子がその子と付き合っているのか。
親御さんの立場になれば混乱もするし、警戒もするよ。
そしてまずパピコの髪に関して質問していたけど、これは髪の色云々で人格を疑っているわけではなく、初めて出来た息子の彼女だから色々尋問しようとしているという感じがする。
あまりに鮮やかなピンク色だったから、まずそこに触れたのかな。
1巻や2巻の表紙みたいなカラーページで見るとパピコのピンクの髪は奇麗なんだけど、二次元だから違和感がないのだろう。
もし実際にリアルでピンク髪の人を見たら、自分なら相当驚くだろう。
明らかにウィッグだった分かったとしてもやはりピンク髪のインパクトは強い。
ピンク色の地毛の色ってあり得るのかな。
6話で幼少期のパピコが出て来るが、髪の色は成人してからと同じピンク色に見えるんだけど……。
でもまぁ、仮にそれを信じてもらえたとして、母親に対して零と付き合っていくことに対し理解を求める上で、もっと大きな問題がある。
学生ではないということになれば、仕事について質問されるだろう。
そうなれば当然、パピコはAV女優と答えるしかない。
それは巨大化するより、ピンクの髪であることを黙認してもらうよりも、認めてもらうのか難しい事項である気がする……。
パピコは良い子だし、零が気にしていない以上、結局は親としても二人を応援していくしかないわけだけど……。親はすぐにそう割り切れないと思うわ。
ただ、父親はパピコに対して反応は悪くなさそう。
そもそもパピコはかわいいし、実際会話すればその人柄の良さに惚れるのではないか。
あと、常に面白いものを求めてそうな映画プロデューサーなら、巨大化して化物と戦える女の子なんていう存在に興味が湧かないはずがない。
やはり母親が零と付き合っていく上での障壁となっていくのか。それともこの後、意外にもすぐに意気投合する流れになるのか。
ラストで母親が質問した、パピコの年齢は気になるなぁ。
次回からどういう展開になっていくかももちろん気になるけど、パピコの年齢をはじめとした詳しいプロフィールを母親が聞き出してくれるのも楽しみ。
以上、ギガント第21話のネタバレを含む感想と考察でした。
第22話に続きます。
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