第76話 約束2
第75話のおさらい
瀕死だったサタンは4体の巨人の時間稼ぎにより立ち上がれるほどに再生していた。
「まずいっ!!」
サタンに攻撃される前に、先制攻撃を急ぐ戦士たち。
パピコも桃ノ木少佐たちと一緒に光線を撃とうとするが、次の瞬間、川沿いに立つ零に気付き、戦士たちがサタンに光線を集中させる中、パピコは泣きながら零の元に駆け寄っていたのだった。
サタンは人差し指からレーザー光線を出し、それを零をサタンから守ろうとしてサタンに背を向けているパピコに向けようとする。
次の瞬間、無防備なパピコを守るべく、塩沢上等兵がサタンに駆け寄っていた。
パピコへの攻撃を防ぐ事は出来たものの、塩沢上等兵は代わりにサタンのレーザーを受けて左腕を上腕から切断されてしまう。
しかし塩沢上等兵は怯むことなく、残った右腕でサタンの胴体を抱きかかえる。
塩沢上等兵はサタンを抱きかかえたまま、パピコに帰るようにと叫ぶ。
それに同調する桃ノ木少佐と鬼頭軍曹。
パピコは涙を浮かべながら、零を抱えてその場に留まっていた。
しかし塩沢上等兵から、お腹に子供もいることを指摘されたパピコは、泣きながら零と共に戦線を離脱するのだった。
第76話 約束2
戦線復帰の意思を見せるパピコ
居間のテレビ中継を観ていた零の両親は、零を抱えて戦線を離脱するパピコを戦いから逃げたと解釈してしまっていた。
パピコはビルの屋上に降り立ち、元のサイズに戻って零と向き合う。
どちらからともなく、互いに抱きしめ合う二人。
どこにもいかないで、と懇願する零に、パピコは、もうサタンの力による自殺願望はないかと問いかける。
大丈夫だと答えて、零はパピコが何を考えているのかと問いかける。
パピコは俯き、答え辛そうにしている。
左腕をサタンのレーザーで切断された塩沢上等兵は、残った右の手をサタンの胸の穴に手を突っ込んでいた。
鬼頭軍曹とヘフナー伍長がサタンのそれぞれの腕に絡みつき、サタンの動きを封じる。
「塩沢!!」
サタンの背後で空中に浮いている桃ノ木少佐が叫ぶ。
「心臓を握り潰せ!!」
パピコは零の顔を見つめて、話を切り出す。
「……絶対…帰って……来るから…」
零は、お腹に赤ちゃんがいるんだよと必死で説得を始める。
パピコが、でもね、と言おうとするのを遮って、零はパピコにこのまま帰ろうと訴えかける。
パピコは目を閉じ、黙っていた。
「このまま帰ろうよ……」
パピコは笑顔を作り、零を見上げる。
「私 強いの知ってるでしょ。絶対!! 帰って来るから。」
塩沢上等兵の攻撃
嫌だと泣きながら頭を振る零。
「約束する!! 帰って来る!!」
パピコは決意を込めた視線を零に向ける。
それでも頭を振り続ける零に、パピコは再び、約束すると伝える。
「信じて…だって零君が一番知ってるでしょ……私が強いの…」
そしてパピコはお腹の子も絶対守るからと、言って、零に自分に対して「言って来て」と言って欲しいと呼びかける。
「………絶対帰って…来て…ね…」
涙を流しながらパピコの望む言葉を絞り出す零。
パピコは、約束する、と零に口づけするのだった。
そして零の家で待っていてと言い残し、パピコは戦線復帰すべく空へと浮き上がっていく。
後に残された零は声を上げて泣いていた。
パピコは名残惜しそうに、涙を流してビルの屋上にいる零を見つめていた。
しかし意を決して体を翻し、サタンとの戦いの場へと向かう。
塩沢上等兵はサタンの心臓らしき臓器を引っ張り出していた。
胸の穴と血管らしきもので繋がっており、ドクドクと脈動している。
「塩沢!! 潰せ!!」
塩沢上等兵は桃ノ木少佐の命令に、はい、と返事をして満身の力を右手に籠める。
心臓を握り潰しつつ、ブチブチと心臓と胸の穴を繋いでいた管を引きちぎることに成功する。
感想
大切な子供を宿した身体で、それでも危険な戦場に戻るなんて……。
でもパピコが子供の安全よりも、零よりも、サタンと戦っている仲間たちを助けることを選んだのは納得できる。
冷静に考えれば、サタンとの緒戦においてはパピコの加勢無しには未来から来た戦士たちは負けていた。
もし今の戦いでも同様にサタンに押し込まれ、戦士たちが全滅してしまったら、結局はパピコが戦うことになる。その場合、パピコだけではサタンに対抗することは難しい。
パピコが戦線復帰を決めたのは、実は合理的な判断の範疇に入るのではないか。
それに、仲間を救いたいというのは人間の本能だと思う。
兵士に対して行った、何のために戦うかという質問に対して、戦友のためだという答えが最も多かったいう話を聞いたことがある。
おそらく仲間を見捨てておけないという想いは、恐怖を吹き飛ばすほど強い。きれいごとではなく、人が自分の限界を超えた力を発揮できる時というのは、大切な人のことを想って、というケースがとても多いように思う。
それにもし戦場から逃げ出したとしても、その後の人生は仲間を置いて逃げた事実に対する罪の意識に苛まれ続けてしまうんじゃないだろうか。それが怖いから戦いから逃げられないという側面もあるのかもしれない。
あとテレビを通じて全世界が見ているなかで戦いから逃げたと解釈されているわけだから、仮に戦士たちがサタンに勝ったとしても、パピコは世間から迫害を受けてしまうだろう。
最も全世界に中継されていることをパピコが意識しているとは思えないんだけど、彼女が戦いに戻ったのは、戦いの後のことを考えれば間違いとは言い切れないことは確かだと思う。
パピコが戦線に復帰する前に、塩沢上等兵がサタンの心臓をちぎり取った。
これで、サタンに止めを刺せたと思いたい。
パピコにはもちろん、隊員たちにももう危険が及ぶことはないんだと思わせてくれ……。
しかしこの流れだとその可能性は薄いと思う。
例えば考えられるのは心臓が複数あるとかかな……。
その場合、一つ潰されたところで死ぬことはなく、戦いに全く支障がなかったりしたらかなりマズイ。
それに戦闘能力が少々弱ったところで、心臓を潰したことで戦士たちの気が少し緩んだりしたら、その隙を突かれて大打撃をくらうということもありそう。
戦士たちがパピコが到着前に壊滅してしまいそうで怖い……。
引き続き緊張感のある展開が続きそうだ。
以上、ギガント第76話のネタバレを含む感想と考察でした。
第77話に続きます。
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