第5話 夜空
第4話のおさらい
轢き逃げに遭い、倒れたおじさんを介抱するちほ。
おじさんはスマホで救急車を呼ぼうとしているちほの通話を終了させる。
おじさんは、自身の行動に対して呆然としているちほの右手を両手で掴み、力を入れる。
ちほは強い痛みを感じて、おじさんの手を振り払うために腕を振り回す。
おじさんが手を離すと、ちほは自身の右手首の内側にメーターのような機器がくっついている事に気付く。
左手でメーターを取り外そうとするが、全くとれず、ちほはこれがくっついているのではなく手首に埋め込まれていることを知る。
おじさんを問い詰めようとすると、再び歩道に仰向けになり、あとをよろしくお願いします、と言い残されるちほ。
そしておじさんは徐々に縮んでいき、最終的には人形になってしまう。
その足元にディスクを入れる容器がある事に気付き、ちほはおじさん人形と一緒に自宅のマンションに持って帰る。
ちほは一連の出来事を彼氏に報告するが、まともに聞いてもらえない。
持ち帰った容器を触っていると蓋が開き、ディスクが現れる。
ゲーム機で再生すると、おじさんの行動を映した記録だった。
ちほは、今が何年か、と街を彷徨うおじさんの行動をぽかんと見つめる。
再生を途中で切り上げ、ディスクを容器に戻してトイレに入る。
トイレの中で煙草を吸いながら腕のデバイスのせいで仕事に支障をきたす事を心配するちほ。
何気なく右手のメーターを触ってみると、画面中央にあるデジタル表記の数値が表示される。
画面中央の数字のデジタル表記の周囲にある円状の線をなぞっていくと、数値が上がっていく。
ちほは、15まで上げたところで自身が右手の指で挟んでいる煙草が小さくなっている事に気付く。
本来あり得ない事態に戸惑いながら部屋にいる彼氏の竜二を呼ぶ。
しかし竜二は反応せず、トイレの外でスタンバイするのはペットのコーギー【もち】だけだった。
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第5話 夜空
トイレで腕の機器を操作したパピコ。
天井に頭がつくくらいにまで巨大化し、着ていた服は全て破けてしまう。
混乱しながらも、今のパピコにとっては指で摘まめる程に小さいドアノブを右手の人差し指と親指で回し、外に出る。
竜二、と彼氏の名を呼びながらトイレから出たパピコは、竜二の元へ行く為に床を膝で這う。
「ちょっとさ~~」
部屋を入口から覗き込む。
巨大なパピコの姿に驚き、何? と繰り返す竜二。
「ど~しよ~これ~」
パピコは部屋の中に入れず、入り口から竜二を見つめながら問いかける。
竜二はパピコを見上げ、意味わかんねーんだけど、と立ち尽くす。
「あ…あ!! そっか!!」
パピコは左腕の危機を操作する。
すると、見る見る内に体が縮んでいく。
元の大きさに戻ったパピコは、全裸のまま部屋の入口に座り込んでいる。
竜二は呆気にとられた様子で、パピコを半笑い状態で見つめる。
「みんなが小さくなったんじゃなくて、私が大きくなったんだ………」
自身の手を見つめながら呟くパピコ。
その言葉に、竜二が何かを閃いた様子でパピコに近寄っていく。
「AV企画。デカ女!! 良くね!? 俺天才!!」
竜二の突飛な提案に、パピコは戸惑いを見せる。
竜二は笑顔で、絶対売れるって!! と太鼓判を押す。
ん~、と悩むパピコ。
AVに活かす
AV制作会社らしき建物の一室。
パピコはテーブルを挟んで座っているAV監督に対して、デカくなれることを告白する。
精神科医を紹介する、とまともにパピコの主張にとりあおうとしない監督に対してパピコは実際に大きくなってみせる。
監督は驚きもそこそこに、いいね!! いいよ!! と上機嫌で拍手をする。
AV撮影現場。
二人の男が巨大化したパピコに群がる。
男たちはパピコの胸をまるで抱えるように抱き着いている。
その光景を目の当たりにして興奮するAV監督。
「メチャクチャ創作意欲湧いてきた!!」
パピコからの連絡を待つ零
授業中、零はちほの名を呼ぶ。
ノートにはパピコの絵が描かれている。
パピコとのライン画面は更新されていない。
授業を終え、零は校庭で友達とテーブルを挟んで座っている。
最近AVの女優と会った、と話を切り出す零。
眼鏡の友達はパックのジュースのストローを口にくわえたまま、いやらしい奴だな、と返す。
その言葉に黙ってしまった零に、友達は、で…誰? と話の先を促す。
零の答えたパピコという名前に、知らない、と答える友達。
スマホで”パピコ AV”と検索する。
何これ! と興奮する友達。
胸が大きくてかわいい、とスマホ画面に見入る。
そして、売れているのか、外人なのかと零を問い質す。
ハーフみたい、と返す零。
サイン会でも行ったのか、と言う友達。
「いや…近所に住んでて…」
友達は零の答えに、マジか、と驚く。
プライベートで!? と友達の質問は続く。
零は、ラインが暫く来ないからもう会わないのかもしれない、と肩を落とす。
ライン交換してるのかよ、と突っ込む友達。
呼び出し
深夜。
零が自室のベッドで横になっていると、ラインのメッセージ受信音が響く。
スマホを確認すると、それは待ちかねていたパピコからのラインだった。
ごめんね
今から駅前の
ファミレス来れる?
零は自転車を飛ばして指定されたファミレスに向かう。
店に着いた零はパピコのいる席を見つける。
パピコは零を見て、ごめんね、いつもこんな夜に呼び出して、と謝る。
「いえ いえ!! 全然 全然!!」
必死に否定してパピコとテーブルを挟んで向かい合う。
あのね、と話し始めたパピコの右腕に妙な機器がくっついているのを見つけた零は、それを遠慮がちに指さす。
「あの…その…手の…」
「そーそそ これね……あのね……」
パピコは、ヘルメットを被る真似をする。
「ヘルメットかぶって…なんか変態っていうか。」
ピンと来た様子の零は、駅前によくいるおじさんだと声を上げる。
そのオジサンが自分の目の前で車に轢かれた、とパピコの話が続く。
まさかの展開に驚く零。
パピコは事故の際にオジサンの為に救急車を呼んだが、オジサンにより腕に機器がつけられてしまったのだと告げる。
零は、はあ? とイマイチパピコの言っている意味が飲み込めない。
「とれないの………これ…」
右腕の機器をじっと見つめるパピコ。
オジサンは無事なのか、という零の問いにパピコは、ぬいぐるみになっちゃった、と言い辛そうに答える。
やはり意味が分からない様子の零を見て、パピコは、あははっ、と笑う。
「何言ってんだろねー私。忘れてー。」
「ん? ん?」
零は、パピコの言っている事が何もかも分からない。
「あ……そだそだ。」
パピコは恥ずかしいのを誤魔化すように、零にディスクを差し出す。
「これこれ……これ見てくんないかなー。」
零は”超ULTRA”とプリントされた容器をパピコから受け取る。
「ごめんねー。それだけなんだー。」
DVDですか、と呟く零に、そーそーそー、と笑顔のパピコ。
零は手渡された容器を嬉しそうにじっと見つめる。
二人乗り
ファミレスの外に出た二人。
自転車のハンドルを持って立っている零に、パピコは、じゃーね、と挨拶して歩いていく。
零は、その後ろ姿を見送る。
胸を高鳴らせながら小さくなっていく背中を見つめていた零だったが、あの!! 送ります!! とパピコに呼びかける。
歩みを止め、零に振り返るパピコ。
パピコは零の言葉の意味を理解していない。
「チャリで送ります!! 後ろ、乗って下さい。」
零はパピコに必死に呼びかける。
パピコは、いいよ大丈夫だから、と笑顔を見せる。
「………」
零は黙って俯いてしまう。
「今日 風…気持ちいいね――」
結局零の好意に甘える事にしたパピコは、自転車の荷台に横座りになっていた。
ご機嫌な様子で鼻歌を歌う。
背中越しにパピコを感じる零。
「星、けっこう見えるね――」
パピコの言葉に促され、零は空を見る。
揃って夜空を見上げながら、二人は軽快に坂道を自転車で下っていく。
空を見上げていた零はこっそりパピコの横顔を見る。
パピコは笑みを浮かべたまま夜空を眺めている。
感想
あっさりとバラす
巨大化に限らず、能力を持ったら隠すのが普通だと思っていた。
作品ごとにその理由は異なるが、通底しているのは”面倒くさい”だと思う。
パピコは能力の発現を竜二に見られてしまったから能力を隠そうとか考える暇が無かった。
しかし、それにしても竜二に促されたとは言え、まさかAVの仕事に活かすとは思わなかった。
巨大化したパピコに群がる男、という絵は、GANTZ読んだことがある人には既視感があるかも。
アニメ映画化されて好評だった、GANTZでも特に人気の高いエピソードの一つである大阪編で、これはちょっと言葉では上手く伝わるか自信が無いけど、大勢の裸の女性が組み合わさって一人の巨大な女性の妖怪となったシーンがあった。
あの巨大な女性妖怪との戦いはすごくインパクトがあったな……。
今の所、巨大化できる能力を知っているのは竜二とAV現場にいる人間のみ。
しかしタチの悪い奴らに知られてしまっているように思う。
色々と利用されそうな予感がする。
竜二にしてもAV監督にしても、金になれば何でもいいって奴らばかりなのがパピコにとって不幸だった。
多分、今後竜二やAV監督経由でトラブルに巻き込まれていくのだと思う。
ディスクの内容は?
パピコが零に渡したディスクは、オジサンによる記録だ。
前回、再生されたDVD映像で行っていた発言から、どうもオジサンは別の時代から来たと思われる。
そしてタイムスリップ後の様子を記録し続けていたのだろう。
未来の技術であればディスク一枚に膨大な記録が入っていてもおかしくはない。
現代の再生環境で再生出来るのは未来の技術のおかげとか(笑)。
ディスク容器の隅っこのスペースにイヤホンのような部品が入っていたのも気になる。
パピコは再生を途中で止めてしまったけど、最後まで、もしくは意味を理解するまで見たのだろうか。
零にディスクを渡したということは、当然、零にこの情報を共有してもらいたいからだから、やはり意味は理解している?
抱えきれなくなったから秘密を零と分け合いたいと思ったのだろうか。
竜二や監督には伝える事は憚られるような事実がそのディスクに納められていたのかもしれない。
次回、それが何なのか明かされるのか。かなり楽しみ。
以上、GIGANT第5話のネタバレを含む感想と考察でした。
第6話に続きます。
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