第27話 チョー必死
第26話のおさらい
授業中に出現した巨大な子供の姿に、生徒たちは騒然としていた。
子供の巨人たちが教室の窓に手をかけ、手を差し入れようとしてくる。
たやすく巨大な手の侵入を許した教室内。
生徒たちはまるで蜘蛛の子を散らしたように、廊下へ向かって逃げていく。
巨大な手は数人の生徒を捕まえ、窓の外に出ていってしまう。
やめて! と叫ぶ生徒を無視し、巨人たちはあくまで無邪気に、楽しそうに彼らをどうするか話し合っていた。る。
しかしその話し合いは一瞬で終わる。
「投げて 壁にぶつけて。」
生徒たちが逃げていく方向とは反対に、中島は零に屋上へ逃げることを提案する。
やはり巨人から慌てて逃げて階段を駆け下りて来る生徒たち。
彼らとは反対に、零と中島は屋上への階段を急いで駆け上がる。
悲痛な叫び声がこだまする。
生徒たちはパニックになり、廊下を駆けていく。
屋上には零と中島以外は誰もいなかった。
なんなんだアレ、と息を弾ませながら訊ねる零。
中島は、ETEだと答えて、その目的が東京都民を100万人にすることだと説明する。
零はそれを聞いて、そんな、と信じられない様子で立ち尽くしていた。
あっち見ろよ、と中島が指をさす方向では、何体もの大人の巨人が人間を追い詰め、捕まえていた。
マジか、終わった、詰んだ、と中島と零は呟くばかりだった。
救急車のサイレンが響く。
住宅街は何体もの巨人たちにより阿鼻叫喚の様相を呈していた。
零たちの学校の運動場にも何体もの子供の巨人がいた。
その足元には生徒が倒れている。
子供の巨人たちは朗らかに笑い、人間を捕まえて叩きつけることを楽しんでいた。
ランドセルを背負った女児の巨人は、右手で女子高生を握っていた。
頭を下にしている女子高生は意識がなく、その腕は力なくだらりと垂れ下がっている。
「おりゃ」
男の子の巨人が、女子高生を思いっきり投げる。
女子高生は悲鳴と共に吹っ飛んでいく。
そんな地獄のような光景を屋上から息の呑んで見つめていた零と中島。
その存在に巨人が気づく。
二体の巨人は不気味な笑顔を浮かべて零と中島を補足する。
校舎に向かって逃げる零と中島を指をさし、逃がすなよ、と巨人。
校舎に全力で駆けていく零と中島めがけ、巨人の手が伸びていく。
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第27話 チョー必死
校舎内を逃げ回る
屋上で巨大な子供に見つかった零と中島。
必死で校舎の中に走り込み、ギリギリで子供の手から逃れる。
校舎に手をつっこむも、零たちまで手が届かず悔しがる子供。
しかし子供はすぐに頭を切り替えて、裏から回って零たちを捕まえようともう一人の子供に呼びかけ、手を引っ込めていく。
中島は引いていく巨大な手を見つめて、どうする、と強張った顔で零に訊ねる。
「帰る……家に帰る……」
怯える零。
じゃあカバンか、と中島。
零はそれに同意する。
二人は自分たちの教室を目指し、廊下を全力で駆けていた。
しかしその姿をまた別の子供の巨人に発見される。
子供たちは心から楽しみながら、零たちを捕まえようと窓から手を入れていく。
その手を避けるように、校舎内を行く二人。
階段を駆け上がり、再び廊下を走る。
子供たちは校舎を回り込み、そんな零たちを確認していた。
「チョー必死。チョー必死。」
零たちの様子を蔑む子供。
転んだりしながらも、子供たちの目をいったんはまくことに成功していた零と中島は、その場に立ち止まって小休止していた。
校舎の外へ
零たちは教室に辿り着き、目的だった自分のカバンをロッカーから回収していた。
すると、再び子供の巨人たちにみつかる。
仲間を呼び寄せる子供たち。
彼らに捕まるまいと再びさきほどと同様、必死で走える零と中島。
子供の目をまいたと感じた二人は、校舎の外に出ていた。
しかしついに、女児の巨人に見つかってしまう。
二人は悲鳴を上げ、全速力で逃げる。
子供の巨人たちはその大きな歩幅であっという間に二人に追いつき、逃げる二人を掴もうと手を伸ばしていく。
その手をギリギリで躱しながら零と中島は逃げるが、ついに子供の巨人たちに囲まれてしまう。
子供の巨人に掴まれてしまった零。
他の子供が、零を壁に投げるよう促す。
攻撃
「撃て!! 撃て!!」
そこに到着したのは三人の警察官だった。
三人はいずれも拳銃の銃口を零を掴んでいる子供の巨人に向ける。
何か来た!! と呟く子供の巨人。
三人の警察官は威嚇射撃の工程を省き、一斉に銃弾を子供に撃ち込んでいく。
子供の巨人は痛がるが、倒すには至らない。
零には、自分を掴んでいる子供の手が盾となる形で、かろうじて銃弾が当たらない。
「おいっ 零も撃つ気かよっ。」
叫ぶ中島。
反撃に出る子供の巨人。
警察官を蹴り上げ、泣きながら、怒りに任せて何度も踏みつける。
次に現れたのは猟銃を持ち、帽子とベストを身に着けた3人の男たちだった。
零を掴んでいる子供の巨人の頭や胸に一斉に銃弾が撃ち込まれていく。
その内の数発が子供の巨人の顔に当たっていた。
子供の巨人は思わずのけぞり、当たった箇所からは血が噴き出す。
危険を感じて、たまらずその場から逃げていく子供の巨人たち。
しかし逃げていく子供の巨人たちに、男たちは淡々と銃弾を連続で撃ち込んでいく。
あたまがいたい、と泣きながら逃げる子供の巨人。
男たちは銃口を子供の巨人たちに向けたまま、彼らを追いかける。
零を掴んでいる子供の巨人は、やがて逃げる足が遅くなっていき、ついには校庭に仰向けに倒れる。
「よし!! 全部仕留めた!!」
校庭には今仕留めたばかりの子供の巨人と同じように、無数の銃弾を受けて倒れた彼らの巨大な死体が少なくとも4体横たわっていた。
「生徒全員 家に帰しました!!」
教師らしき男性が声を上げる。
零は、まだ絶命した子供の巨人の手に掴まれたままだった。
「零!! 大丈夫か。」
零に向けて中島が必死に声をかける。
「零。」
「大丈夫!!」
目を開き、力強く答える零。
「家に帰ろう!!」
感想
”普通の人”の力
すげー。
巨人、仕留めちゃったよ(笑)。
どうやら自分は、普通の人たちの力を忘れていたようだ。
武器があれば戦えるんだよね。おそらく銃器じゃないと倒す事は困難だろうけど……。
警察官のあとに出てきた3人は、猟友会か何かかな?
それともクレー射撃用の銃?
彼らはいい仕事をした。かっこいいわ。
なんかバキシリーズ作中において唯一、範馬勇次郎を睡眠弾で倒したスナイパーを何となく思い出した。
ネット上ではバキで最強の人物は彼だというネタがあって面白いんだよなぁ(笑)。
しかし、この展開でパピコが出てくることはまず期待できないと思っていたけど、まさか普通の人間が頑張って何とかしてしまうとは……。
やはり銃は攻撃手段として強いな。
でも何より、危険な巨人たちに立ち向かう男たちがすごいわ。
自分なら出来ただろうか。
特に警察官のように口径の小さい拳銃で接近して戦うことが……。
多分、校舎内で子供たちの手が届かない場所から猟銃で撃つことを考えるかな……。
なにしろ臆病だから、まず死なないことを第一にするならそうなるだろう。
警察官の装備している拳銃では大した傷が与えられないところとか、かなりリアルに感じた。
巨人に対して、まるで豆粒みたいな傷しか与えられていなかった。
銃器に詳しくないが、後から出てきた男たちの銃に比べて口径が小さく、威力の面では明らかに劣るのだろう。
それでも拳銃の弾でも巨人には効いていたし、もっと何発も撃ち込めれば結果は違っていたのかもしれない。
でもある程度接近して撃っている以上、どうしても巨人の反撃を受けてしまう……。
実際、反撃を食らったなら、その後の追撃は出来ないわけで……。
何度も踏まれてしまった警察官はおそらく命を落としてしまったのではないだろうか。
彼らは職務に殉じた英雄だな。
もし現実で同様のことが起こったら、警察官は威嚇射撃なしに巨人を撃つのかな?
異様な巨人とは言え、外見は明らかに普通の子供だし、撃つのに躊躇しそう。
すでにこの巨人たちが一般市民に問答無用で暴力を振るっているので、警察官は威嚇射撃をせずに撃ったのだろう。
ファーストコンタクトなら何も出来ないまま倒されていたかも。
何とか窮地を切り抜けた零と中島。
カバンなんて気にしてる場合か? と思ったけど、自分が彼らの立場なら冷静な判断が出来る自信はない。
必死で、諦めずに逃げ回ったことで戦う大人たちに巡り合えたわけだ。
うん。何事も諦めちゃダメってことだな。
これから彼らは帰宅を目指す。
その道中にも巨人がいると思うけど、その全てを銃で仕留めることができるのだろうか。
彼らが果たして無事に帰宅できるか。
そしてパピコはいつまでも零のピンチを知ることなく、拘置所に閉じ込められたままなのか。
以上、ギガント第27話のネタバレを含む感想と考察でした。
第28話に続きます。
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