第48話 大発見
第47話のおさらい
教室はアメリカでのサタンの話で持ち切りだった。
零は一人、スマホでパピコの始球式の様子を見ている。
新宿の街頭で、未来から来た4人のヒーローたちは通行人からの視線を気にすることなくスマホを見ていた。
ヒーローたちはパピコの情報を収集していたが、一向にはかどらない。
そこに警官からの職務質問を受け、逃げ出す4人。
4人は空高く飛び上がると、情報収集のためにそれぞれ別の方向に散るのだった。
零は自室のベッドで横になっていた。
スマホからは英語音声が流れていた。
その内容はサタンの犠牲者が全米で1000万人を越え、ついにトランプ大統領が核ミサイル使用を決定したことを告げている。
スマホにきたパピコからのLINEを確認した零は、窓の外を確認すると急いで階段を駆け下りて玄関を飛び出す。
久しぶりのパピコとの再会を喜ぶ零。
零はパピコと自転車の二人乗りをして夜の街を走る。
今の自分の状態を、夢が続いている感じだと言うパピコ。
一日警察署長や野球選手とのLINE交換を報告する。
しかし一切険悪な雰囲気にはならず、静かな二人の会話が続く。
坂を下った後、パピコは朗報だと前置きして3日間の休みを得たと零に告げる。
そして二人きりで石垣島だと楽しそうに報告を続けるのだった。
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第48話 大発見
感動
塩沢上等兵はコンビニの入り口付近の地べたにホームレスっぽいおじさんが座り、カップうどんを食べているのをじっと見つめていた。
うどんから立ち上る匂いを嗅いでいると、腹が鳴る。
コンビニ店内に入り、何かを探している塩沢上等兵。
他の客は野球のヘルメット、タンクトップ、パンツにランドセルという異様な出で立ちの塩沢上等兵に驚いたり、あるいはバカにして笑ったりしていた。
目的のカップうどんを購入し、蓋を開いて粉末スープを取り出して呆然としている塩沢上等兵に、まだ食事を続けていたおじさんはお湯を入れてこないと、とアドバイスする。
店内でお湯を入れ、きちんとカップうどんを作れた塩沢上等兵。
おじさんの隣に立ち、箸を握ってうどんを掬い上げ、口に運んでいく。
無我夢中でうどんを食べる塩沢上等兵。その目から涙が流れていく。
緊急招集
ヘフナー伍長は塩沢上等兵からの連絡を受けていた。
修学旅行生らしき制服を着た子供たちが面白がってヘフナー伍長をスマホで撮影している。
へフナー伍長は桃ノ木少佐、鬼頭軍曹を伴って飛行し、塩沢上等兵の元に向かう。
塩沢上等兵の元に辿り着いたへフナー伍長が訊ねる。
「上等兵!! 緊急招集とは!?」
パピコの情報か? と鬼頭軍曹。
塩沢上等兵はコンビニの前で、カップうどんを片手に立ってヘフナー伍長たちを迎える。
上等兵からうどんを見せられ、何に使うものなのか、この時代の子供の玩具かと不思議がる桃ノ木少佐と鬼頭軍曹。
「上等兵!! 説明しろ!! これがパピコとどう関係が。」
へフナー伍長の問いかけにまともに答えず、塩沢上等兵はコンビニ店内に向かう。
「お湯を入れて来ます……」
お湯? と鬼頭軍曹。
ハマる
出来上がったカップうどんを無言で3人に向けて差し出す塩沢上等兵。
塩沢上等兵は、食べてみてください、とうどんを勧める。
さきほど食用ペーストを補給したばかりだと桃ノ木少佐は暗に断る意思を示す。
「ちょっと貸せ…」
ヘフナー伍長が先陣を切る。
「どうやって食べるんだ?」
その棒でひっかけて、と説明され、その通りの方法でうどんを食べ始めるヘフナー伍長。
「あっ熱っ熱っ」
塩沢上等兵はその様子をじっと観察するように見つめる。
「はい……」
「あれ!?」
特にリアクションもなくうどんと箸を返却されそうになり、愕然とする塩沢上等兵。
「ちょ…ちょっ待って……」
ヘフナー伍長は何かを確認するようにカップに口をつけて汁を啜る。
そして驚いた表情に変わると、恍惚とした表情を浮かべてから塩沢上等兵に問う。
「全部食べていいのか?」
「あ、駄目です。少佐にも。」
「いや…私は…」
そう言いつつも、まあいい、と、桃ノ木少佐は塩沢上等兵からうどんと箸を受け取る。
他の3人に現在の状況を確認しながらうどんを口に運んでいく。
「熱っ わかってるのかお前ら 今… 人類の…」
咀嚼し、夢中で味わう桃ノ木少佐。
「んっ?! ん?! んんんんん―――」
その様子を見て、私にも下さい、と鬼頭軍曹。
「ハフッ 熱っ ハフッ まあまて… ハフッ」
桃ノ木少佐の箸は中々止まらない。
桃ノ木少佐からうどんと箸を受け取った鬼頭軍曹は汁を啜って驚愕する。
「少佐これは!!」
「うむ………」
コンビニの入り口付近。
4人は並んで立ち、それぞれコンビニで購入して作ったカップうどんを啜っていた。
新宿の街頭ビジョンはアメリカに出現しているサタンがサンフランシスコに入ったことを中継していた。
街を行く人たちはトラウマで画面が見えないように腕で目を覆う。
街が破壊されていく中、アメリカに住む人たちは必死に逃げていた。
一方その頃、日本では、桃ノ木少佐たち4人は街のうどん屋の列に並んでいた。
感想
うどんにドハマり(笑)。
面白い!
コンビニ前で4人揃ってカップうどん食ってる姿とか、うどん屋の列に礼儀正しく並んでるオチとか、なにより塩沢上等兵の、他のメンバーのリアクションを期待してるところがすごく面白かった。
うどんを一口食べたヘフナー伍長が最初ノーリアクションだったのに塩沢上等兵がメチャクチャがっかりしてたの、すごく気持ちが分かる(笑)。
自分がメチャクチャ感動したものに、一緒に感動して欲しいよなー。
確かにタイトル通り、『大発見』だ。こういう話、超好き。
そして、そうこうしてる間にどんどん滅んでいくアメリカ……(笑)。
未来人たちの行動が可愛すぎる。他にも色々と奢ってあげたくなったのは自分だけではあるまい。
おそらく過酷な戦いが待ち受けているであろう彼らに、このくらいの楽しみがあってもバチは当たるまい。
彼らは現代に来て初めてうどんに接したというだけなのだろうか。
確かにカップうどんは美味いが、それを食べて泣くというのはよっぽどのことだろう。
塩沢上等兵にとっては、緊急招集をかけるくらいの衝撃だったらしい。
実際呼び出された他のメンバーたちも皆うどんに魅せられていた。だから他のメンバーがうどんを食べていても、同じ結果だったかもしれない。
ひょっとしたら、未来では栄養の全てを補給ペーストで賄うようになっていて、普通の食事はしないのかな?
つまり、食からおいしさという概念がすっぽりと抜け落ちている?
たとしたら、確かに効率だけを重視した食であれば過剰なカロリーを摂取することはないだろうし、4人とも見事なプロポーションなのもうなづける(ヒーローだから鍛えているのが主な理由なのかもしれないけど)。
しかし嫌だなそんな世の中。
人類がおいしさを感じる以上、おいしさにフォーカスを当てた食事がなくなることはないと思うけど……。
補給ペーストでも栄養面は問題ないだろう。むしろ過不足なくあらゆる栄養素がとれるという意味ではベストなのかもしれない。
ただ、食事を味わったことがある人間にとって、まるでガソリンを補給するかのような行為では決して満足できないだろう。
おそらくそのランドセルの中にストックしているであろう補給用ペーストの方が、現代のあらゆる食事よりも栄養面で遥かに勝っているとしても、おいしさは全く別の話。
快楽としての食を覚えた未来人たち。現代に来てから全然仕事出来てないけど大丈夫か?(笑)
とりあえず、読んでてスゲー腹が減った。
しばらくうどんを食べる機会が増えると思う(笑)。
以上、ギガント第48話のネタバレを含む感想と考察でした。
第49話に続きます。
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