第54話 彼氏
第53話のおさらい
ヒーローたちはお湯を入れたカップ麺を車のボンネットに置いたのを目撃され、車の持ち主であるヤクザたちに絡まれていた。
ヤクザたちから恫喝を受けるも、全く動じないヒーローたち。
鬼頭軍曹は桃ノ木少佐に、絡んできたヤクザを消すかどうか訊ねる。
しかしそれを即却下する桃ノ木少佐。
カップ麺が出来、ヤクザのことは無視して一斉に食べ始めるヒーローたち。
激怒するヤクザの様子に、鬼頭軍曹は二回、三回と桃ノ木少佐たちに消しますか? と訊ねる。
しかしその度に却下する桃ノ木少佐。
ヒーローたちに呆れたヤクザたちは、彼らを拉致することで話がまとまりつつあった。
「ガキ!! 食ってんじゃねえよ!!」
ヤクザが桃ノ木少佐のカップ麺を手で振り払い、台無しにしてしまう。
桃ノ木少佐は子供の様に泣きながら、額に力を集中する。
腕から発射した光線を食らったヤクザは上半身を消されるのだった。
一気にヤクザたちの緊張と闘争心が高まる。
車の中から銃を取り出し、桃ノ木少佐に対して発砲しようとしたヤクザを、巨大化したヘフナー伍長が蹴り飛ばす。
他のヤクザがヘフナー伍長に向けて発砲するも、その皮膚は銃弾を通さない。
仲間が投げ飛ばされたのを見て降参するヤクザたち。
ヤクザとの争いを終えても、桃ノ木少佐はまだ泣いていた。
かわいそうに、と桃ノ木少佐に同情する塩沢上等兵。
少佐はこうなってしまったら長いからな、と往生するヘフナー伍長。
鬼頭軍曹が閃く。
「一蘭行きましょう。一蘭!!」
「………いちらん……?」
鬼頭軍曹の提案に関心を示す桃ノ木少佐。
いいですね、と鬼頭軍曹に同意する塩沢上等兵。
「一蘭。」
第54話 彼氏
バレた
夢から覚めたパピコは、マネージャーからの電話で指示されるままにテレビをつけて、未成年の零との関係が不適切として週刊文秋にスクープされたことを知る。
マネージャーは本日のパピコの仕事がキャンセルになったので、事務所に来るようにと告げる。
パピコはスマホを耳に当てたまま、テレビを呆然と見つめていた。
パピコのマンションの外ではマスコミが大挙して押し寄せており、部屋のチャイムが何度も鳴る中、テレビはパピコの相手の情報にも言及し始める。
「都内の高校に通う男子ですが、映画の東王のプロデューサーを父に持つ、」
居心地の悪さ
零は登校するため、満員電車に揺られていた。
ふと視線を感じた方を見ると、間の前でスマホを掲げた男性と目が合う。
零は不思議そうな表情で男性を見つめていたが、男性がカメラのシャッター音を出したことで何かがおかしいと気づく。
男性は撮ったばかりの零の写真に加え、テキストを記入している。
嫌な予感がした零は、中吊り広告に視線を移す。
そして零は、週刊詩の広告のヘッドラインに「パピコ熱愛」「8歳下彼と石垣島旅行」の文字と、目の部分にモザイクがかかった自分の写真が載っている事に気付くのだった。
電車を降り、駅構内を行く零。
その道中、すれ違う人の多くが自分とパピコについて話している事に気付く。
周りを歩いている人が同じ制服を着ている生徒たちになっても状況は変わらない。
それどころか自分たちの学校の生徒がパピコと付き合っているという情報によって、それが誰なのかという話題で持ちきりだった。
零の肩に手を置く中島。
「えらいこっちゃで!!」
教室に入っても状況は変わらない。
クラスメートはスマホを片手に、友達と楽しそうにパピコの彼氏探しをしていた。
「出てる!! 写真!!」
ネットに上がっている写真を見たクラスメートたちは、その写真の人物が零に似ていると気づき始める。
零にクラスメートたちの視線が一斉に注がれる。
しかしすぐに、その緊張は氷解する。
「マジだったらウケる…」
「まとめサイトってガセばっかりだもんね。」
「横山田!! お前パピコと付き合ってんの?」
教室内は弛緩した雰囲気になっていく。
敵意
零は中島と屋上に来ていた。
今日は帰ろうかな、と零が呟いた時で、二人の知らない生徒が屋上に現れる。
「あっ いたいた!!」
「アイツじゃね!?」
一人の生徒が、もう一人の生徒に仲間に知らせるよう指示する。
「なんか…やばくね…?」
中島が呟く。
新しく現れたのは身体の大きな男子生徒だった。
「お前? 横山田ってお前?」
零を見下ろす男子生徒。
「マジかよ……なんだよこれ…」
敵意を込めた視線を零に向ける。
感想
次の敵は世間?
零とパピコが付き合ってることが世間にバレた。
まさかサタン関連ではなく、こうした形で二人に危機が訪れるとは……。
平和な時がずっと続くだけの日常系の漫画ではないから、近いうちに試練が出てくると思ったけど、まさかのスキャンダル……。
そういえば零は未成年で、そもそも未成年と成人が付き合うのはご法度だったっけ。
今回のケースとは男女が逆だったら一発でヤバイと意識できるんだけど、成人女性と未成年男性ではダメというイメージがそれと比較するとちょっと希薄なところがあった。
年に1回くらいのペースで女性教師と男子生徒の組み合わせで報道されることがあったな……。その際は女性教師がきちんと犯罪者として扱われていたっけ。
てっきり、次の新しい敵はサタンに代表されるような巨大な敵かと思いこんでいたけど、違ったわけだ。
英雄だったパピコが一気にイメージダウン……。
これまで好意的だった世間が一気に手のひらを返すと。
これからパピコに対して攻撃的な世論が形成されていく。
それと対峙するよりは、ある意味ではサタンと戦う方がパピコにとっては楽だったかもしれない。
何しろ自分の芸能界での地位が一気に凋落し、零に大迷惑がかかっているからな……。
ここまで大々的に報道されたら、たとえ別れても暫くパピコはもう仕事が出来ないと思う。
おそらく事務所から、今後芸能活動を続けたいなら別れろと言われる?
そしたらパピコはどっちを選ぶだろう。
おそらく零だろうけど、でも芸能界で時代の寵児としてもてはやされた経験から芸能人への未練を断ち切れないパターンがあり得るかも。
ともかく、パピコと零にはこれから葛藤を伴う選択が提示されることになるだろう。
クズ登場
しかしクズ描くの上手いなぁ。
まだ何もやっていないのに、僅か数ページで既にクズ共だとわかる。
どうせパピコと繋がろうとして零に絡んでいるに決まっている。
今からカタルシスの予感でいっぱいだわ(笑)。
最終的に勝利するとはいえ、カタルシスに至るには最初は凹まされるというプロセスが必要なんだよな……。
次回は零がボコボコにされてしまうということなのか……。
パピコは巨大化できる。だからたとえこいつらに一斉に襲われようとも決して負けることはない。
しかし零、もしくは中島を人質に取られたら、パピコが思うように力を発揮できず、胸糞悪い展開があるかも……。
奥先生のこれまでの作品だと、こういう流れで窮地に陥っても、なんだかんだで無事に済むような展開が多い。カオスな世界観だけど、割と勧善懲悪はしっかりしていたりするから安心して読める。
でも、だからといって安心出来るわけではない。この雑誌は色々とエグイ表現であっても普通に載せてしまう。だからこの後どのような展開になっても不思議ではない。
ここまで妄想で突っ走ってきたが、逆にただの熱烈なファンで一目会いたいから会わせて欲しいみたいな微笑ましい話だったらそれも面白い。
色々と想像して楽しめていいな……。
果たして零と中島はこの場をどう切り抜けるのか。
そして時代の寵児となったことで得たその高い知名度が、零との関係が未成年淫行扱いになったことにより、一気に自分に対して牙を剥くことになったことで、パピコはどうするのか?
以上、ギガント第54話のネタバレを含む感想と考察でした。
第55話に続きます。
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