第49話 前日
第48話のおさらい
塩沢上等兵はコンビニの入り口付近に座り込んでカップうどんを食べているおじさんをじっと見つめていた。
コンビニ店内に入ってカップうどんを購入し、おじさんに教わり店内でお湯を入れ、無我夢中で食べる塩沢上等兵。その目から涙が溢れていく。
ヘフナー伍長は塩沢上等兵から緊急招集を受けて、桃ノ木少佐、鬼頭軍曹とともに塩沢上等兵の待つコンビニの前に来ていた。
塩沢上等兵は無言で桃ノ木少佐たちにカップうどんを見せる。
何に使うものなのかと観察する桃ノ木少佐と鬼頭軍曹。
へフナー伍長はこれが何なのかと塩沢上等兵に問うが、塩沢上等兵はまともに答えず、お湯を入れてくるとコンビニ店内に向かう。
塩沢上等兵は、出来上がったカップうどんを3人に向けて勧める。
ヘフナー伍長が先陣を切ってうどんを食べ始める。
塩沢上等兵はその様子をじっと観察するように見つめる。
最初は特にリアクションをすることもなかったヘフナー伍長だが、すぐにうどんのただならぬおいしさを確認するかのように汁を啜る。
「全部食べていいのか?」
続けてうどんと箸を受け取ったのは、さきほど食用ペーストを補給したばかりの桃ノ木少佐だった。
桃ノ木少佐は他の3人に現在の状況を確認しつつ、うどんを口に運んでいく。
最初は真面目に仕事の話をしていたが、すぐにうどんの味に気づき、夢中で味を楽しみ始める。
「んっ?! ん?! んんんんん―――」
続けてうどんと箸を受け取った鬼頭軍曹は、汁を啜って驚愕する。
「少佐これは!!」
4人はコンビニの入り口付近に並んで立ち、それぞれカップうどんを啜っていた。
新宿の街頭ビジョンはアメリカの中継を流していた。
出現しているサタンがサンフランシスコに入ったことに恐怖する歩行者たち。
街が破壊されていく中、必死に逃げ惑うアメリカに住む人たち。
桃ノ木少佐たちは街中にあるうどん屋の行列に並んでいた。
第48話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。第49話 前日
あと3日
朝、スマホでパピコからのLINEを確認する零。
パピコともちの写真と共に『あと3日だね!!』という文章が送られてきている。
零は中島と映画の話をしながら、一緒に登校していた。
休み時間、中島から夏休みに家族でどこかに行くのかと問われ、家族ではないと返す零。
中島は零がパピコと石垣島を旅行するのだと知り驚くのだった。
パピコとの旅行を羨み、興奮気味の中島に対し、零はあくまで冷静に受け答えしていた。
未来から来たヒーローたちはラーメン屋のカウンターに並んで座り、ラーメンを啜っていた。
満足して店を出たヒーローたちは食べたラーメンの品評を行う。
「おそらくかつおと豚骨、あと昆布……」
「いや 昆布はないだろう…化学調味料じゃないか?」
「煮干しではないでしょうか。」
「あ!!」
スマホを見ていた塩沢上等兵が叫ぶ。
「パピコが……パピコがおすすめの、ラーメン食べログ3.96!!」
「急げ!!」
その店に向けて走り出すヒーローたち。
出発
夜。
零は母と一緒に夕飯を摂っていた。
テレビには当たり前のようにパピコが映っている。
母は零とパピコが旅行に行くことを知っていた。
旅行についての話題を零に途切れなく振りつつ、淫行条例があるんだから、と釘を刺す。
零は自室で宿題をしていた。
「ロサンゼルスにサタンが入って3時間が経ちました。依然アメリカ軍との交戦が続いています。アメリカ軍のミサイルが一斉に」
ニュース音声はアメリカの状況を伝えている。
スマホにパピコからの連絡が来る。
『マネージャーさんの後頭部 ごめんね。今日も遅くなりそう。先に寝ててね。』
翌日、零はもはや授業に集中できず、スマホでパピコの写真を見続けていた。
学校が終わり、零は笑顔で自転車を軽快に走らせる。
「明日…明日…」
夜。階段を上がろうとした零は、ちょうど帰宅したばかりの父と鉢合わせる。
「明日からか……」
うん、と笑顔で返事をする零。
「いーなぁーおい…」
ニヤリと笑う父。
零はベッドに横になっていた。
スマホでパピコがパーソナリティーを務めているラジオを聞きながら、眠りにつく。
翌朝。
零は電車に乗り、空港に向かう。
空港の入り口で待っていた零の元に、パピコが走って来る。
「ねっむー!! 結局2時間も寝れなかったー さあ!! 行こうか!!」
「お疲れ様」
飛行機の中で寝ればいいですよ、と零。
そして二人は楽し気に会話しながら搭乗手続きを行うのだった。
感想
相変わらずアメリカで国家存亡の危機と言っても過言ではない状況が続く中、日本では平和な日常が続いている。
未来から来たヒーローたちは前回でうどんの美味しさに目覚めて、ラーメンの食べ歩きに夢中のようだ。可愛すぎる。というか何やってんだこの人たちは(笑)。
しかしこれは、嵐の前の静けさだろう。
何の根拠もないけど、話の流れ的に……。
まだここから何が起こるかはわからないし、その兆しも密かに世の混乱を望む一部の民衆の存在くらいか。
ETEにはアクセス不可な状況に変わりはない。でも何かが起こる。それは間違いない。
てっきりアメリカ政府が日本政府にパピコ出動を要請するかと思ったんだけど、全然そんな気配がない。
両国の力関係からすれば、日本に断れる道理はない。パピコという”武力”をアメリカに派遣したとして、敵は国じゃなくてサタンだから戦争にも、侵略行為にも当たらない。
というかアメリカに協力するという名目なわけだから、パピコがアメリカとサタンとの戦いに加わるにあたり、少なくとも政治的な障害はないと思う。
それに、そもそも日米は同盟関係を結んでいるわけだから、日本から助けをもちかけても良いと思うんだけどな……。
アメリカはこのままサタンに蹂躙され続け、滅んでしまうのか?
国家存亡の危機にあるアメリカの状況がもっと詳しく描写されて良いと思うんだけど、でも平和が戻った日本の日常が主に描かれている。
やっぱこれには意図があるよな~明らかに。
冒頭の繰り返しになるが、これは嵐の前の静けさだと思う。
石垣島旅行中に絶対に何かしらの問題が発生するはずだ。
それが何か想像がつかないが、その時は未来から来たヒーローたちが活躍する時かな。
それが次回になるか、それともさらにその次の話になるか。
何しろ、突然何の前触れもなく敵が出現するからなー。
一体どうなるか。楽しみだ。
以上、ギガント第49話のネタバレを含む感想と考察でした。
第50話に続きます。
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