第47話 夜空Ⅱ
第46話のおさらい
街頭の巨大ビジョンに映し出されたニューヨークのサタンの様子に怖れ慄く群衆。
サタンからニューヨークを守るべく、ニューアメリカンヒーローズの5人のヒーローがサタンも元に到着していた。
街頭ビジョン近くでは群衆に交じって奇妙な恰好をした男――鬼藤が街頭ビジョンを見上げていた。
ヘルメットを被り、ランドセルを背負った一人の男性は、右手首デバイスに向けて桃乃木少佐に応答を求める。
桃乃木少佐に日にちを確認し、同じ時間にいることを確認する。
鬼藤軍曹はヘフナー伍長や塩沢上等兵にも現在地と、日にちを訊ねて、飛行による桃乃木少佐との合流を呼びかける。
桃乃木少佐、ヘフナー伍長、塩沢上等兵もやはり鬼藤軍曹と同様の丈の短いTシャツ、パンツ、ヘルメットにランドセルという格好だった。
鬼藤軍曹は桃乃木少佐との合流のために飛行を続けながら、長嶋大佐と通信が出来たかどうかを全員に訊ねる。
その頃零は自室のベッドで横になっていた。
ふと目を覚まし、枕元のスマホでニューヨークでのサタンとニューアメリカンヒーローズの闘いを確認する。
映像に恐怖を覚え、涙を流す零。
3人の隊員たちは桃乃木少佐の元に集結していた。
桃乃木少佐は本日が2019年6月12日だと確認し、自分たちはエラーのせいで、おそらくただ一人先に到着した長嶋大佐よりも大幅に遅れてしまったと状況を整理する。
「それでは長嶋大佐が一人で闘って……」
「いや……何故かこの女が…」
この時代でスマホを手に入れていた桃乃木少佐。
全裸で闘うパピコの映像を確認していた。
「パピコ…」
零は引き続きスマホでニューヨークの闘いの実況に注意を傾けていた。
次々にやられていくニューアメリカンヒーローズ。
初の死者を出すと、続けて4人殺されてしまい、全滅してしまう。
帰宅した父の元をめがけて駆け下りていく零。
母も同じく父を出迎えていた。
零たちは家族全員でリビングに移動した。
サタンが動き出す様子を映しているテレビの前で、三人は恐怖に震え、体を寄せ合っていた。
第47話 夜空Ⅱ
会えない日々
教室はアメリカで猛威を振るっているサタンの話題で持ち切りだった。
零は席に座り、スマホでパピコの始球式の様子を見ている。
屋上で中島に、パピコと会えないのかと質問された零。
パピコのインスタをぼんやりと見つめながら、うん、と浮かない返事を返す。
次に中島はパピコが自身のyoutubeチャンネルに頻繁に呼んでいるイケメン俳優と噂になっていることを話題にする。
零はそれが戦隊ヒーローの俳優だと知っていると返しつつ、スマホでパピコとのLINEのやりとりを確認する。
パピコからの零と会いたいと繰り返す文章でやりとりは終わっていた。
情報収集
パピコが映し出された新宿の街頭ビジョンの前で4人のヒーローたちは皆、揃ってスマホを見つめていた。
彼らの奇妙な恰好にスマホのカメラを向ける通行人たち。
鬼頭軍曹は桃ノ木少佐に、撮影されているが大丈夫かと問う。
「構わん……」
そう言ってスマホ画面を見続ける桃ノ木少佐。
5ちゃんねるでパピコの住所を聞いたが無視されていると塩沢上等兵。
ヘフナー伍長も、ヤフー知恵袋に同様の質問があったが、ベストアンサーは長文での説教だと報告する。
そこに職務質問にやって来た二人の警察官。
「どうします? 消しますか?」
鬼頭軍曹が桃ノ木少佐に訊ねる。
「ああ? 今なんてった?」
警官は語気を荒げる。
駄目だ、消すなと桃ノ木少佐。
もう一人の警官から身分証の提示を求められ、塩沢上等兵は桃ノ木少佐にどうするか訊ねる。
「あっ!! 待て!!」
脱兎の如く逃げ出したヒーローたちを追いかける警官二人。
必死で駆けながら、鬼頭軍曹は警官を消すことを提案する。
しかし桃ノ木少佐はあくまで、駄目だ、と返すのみ。
桃ノ木少佐は警官に応援を呼ばれたタイミングで、部下の3人に対して角を曲がったところで飛ぶよう指示する。
空高く舞い上がった4人。
桃ノ木少佐が、分散してパピコの情報収集にあたると方針を定めると決めると4人はそれぞれ別の方向に飛び去るのだった。
休み
零は自室のベッドで横になって目を閉じていた。
スマホから発せられている英語音声は、サタンによる犠牲者が1000万人を越え、トランプ大統領が核ミサイルの使用を決定したことを告げる。
ベッドからむくりと起き、テレビをつけるとちょうどパピコのCMが流れる。
零はじっと画面を見つめていたが、すぐにスイッチを消す。
その時、零のスマホにパピコからLINEが届く。
———
ちほさん
来たよ!!
———
零は窓の外を確認するやいなや、階段を駆け下り玄関を飛び出す。
玄関の前に立っていたのはパピコだった。
零が漕ぐ自転車の後ろにパピコが乗って、夜の街を走っている。
今の自分の環境にリアリティがなく、夢が続いている感じだとパピコ。
一日警察署長をやることや、断り切れず野球選手とLINE交換をしたことなどを報告していく。
「大丈夫…ちほさん、信じてるし……」
「だよね………自分でもわけわかんないくらい…零のことばかり……」
パピコは零の背に顔を預けながら呟く。
「なんでだろう…なんでなんだか…こんなことになるなんて…」
「子供の頃…こーやって…お父さんの自転車に一緒に乗ってたな……」
自転車で坂を下っていく二人。
パピコは朗報だと前置きすると、3日間の休みをもらったことを零に報告するのだった。
「石垣島!!」
「え!?」
「二人っきりで!!」
「ええ!?」
感想
滅びの危機に瀕しているアメリカ
アメリカが大変なことになってる……。犠牲者1000万……。
ヒーローの到着が大幅に遅れていた日本も、もしパピコが敵を倒してなかったらアメリカと同じ運命を辿っていたのは間違いない。
しかしパピコのおかげでその危険を回避した日本では、今、アメリカが存亡の危機に瀕していても変わらぬ日常が続いている。
たとえば今も中東で紛争が続いているけど、それをニュースで知ったところで大衆の日常が変わるわけではない。
逆に日本が破壊神に襲われていた時も、海外では当たり前の日常が続いていたことだろう。
遠くで起こっている悲劇に無頓着なところはリアルだな、と思う反面、今の日本とアメリカの関係ならてっきりアメリカの要請でパピコが出動するのかなと思った。
パピコは今のところ戦いに巻き込まれることもなく、順調な芸能活動を続けているようだ。
まさかアメリカの要請があれば日本が断れるはずがないと思うんだけど……。
むしろ日本からパピコの派遣の申し出るんじゃないかな?
サタンとの戦いは国家間の戦争ではないから憲法を盾にパピコの派遣を断ることもできないだろうし……。
アメリカと日本の間で何かしら対サタンに関するやりとりは行われなかったのだろうか?
日本にはアメリカの協力要請を断れる理由も、交渉力もないと思う。
夏休みがもらえたというパピコだが、ただ零と遊ぶだけの休みを過ごせるとは思えない。
日本にサタンが出現するのか。それともアメリカに派遣されるのか。
石垣島旅行の最中、パピコと零の身に何が起こるのか。
普通に休みを満喫できるという予感が全然しない(笑)。
ヒーローと現代人のギャップ
前回から思っていたけど、未来から来たヒーローたちは容姿端麗でスタイル抜群だな~。
職務質問しにやって来た警官と彼らを比較するとよりそれが引き立つ。
彼らの容姿は遺伝子操作か何かを受けた結果なのだろうか。
未来の人間は一定以上の容姿の持ち主とか、普通にあり得ると思う……。
格好が明らかに現代にはそぐわず、笑われていることに気付いているはずなのにそれを全く意に介さないのは、同じレベルの人間として見ていないからとかかな?
未来の人間にとって、遥かに文明度に劣る過去の人間に笑われたところで傷つくことはないということ?
あまりにも遠い未来から来ており、文明度がぐっと進んだ形が彼らの服装だから、恥ずかしくないということなのか。
未来では人を嘲笑うといった行動をはじめ、人として決して良くない振る舞いが全て消え去っているとかだったらいいなぁ。
まぁ警官を消すかどうか聞いている時点でそれはないと思うけど。
文明度の低い現代人をまともに相手にしていないだけか。
パピコの情報収集のために各地に散らばったヒーローたち。
まさか石垣島で邂逅を果たすことになるのか。
以上、ギガント第47話のネタバレを含む感想と考察でした。
第48話に続きます。
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