第59話 練習
第58話のおさらい
桃ノ木少佐はパピコに自分たちが2135年から来た未来人であると説明し、長嶋大佐の行方を問いかける。
パピコは考えたあと、おじさんの人形を取り出す。
「ああ!! 大佐!! 長嶋大佐!!」
桃ノ木少佐とその仲間たちは長嶋大佐に起こった悲劇を嘆き、捧げる。
そして桃ノ木少佐は、なぜ自分たちがこの時代に来たのか、この時代で起きている混乱の原因の説明を始める。
2019年GOGLE社の研究室で生まれたソクラテス、プラトンという”人間の完全に模倣すること”を目的とした二つの人工知能がネットに流出する。
人間を完璧に理解しようと努めたAIは、人類を知るために自分たちをコピーした約6kgの小さなロボットを中国のロケットに乗せて、宇宙に向かう。
ロボットは宇宙空間に浮遊するデブリを取り込み、拡大を続ける。
1か月後にはオーバーテクノロジーを有した直径1KMもの超巨大実験施設と化し、軌道上から殺人、地震、巨大なバイオプリンタ機能を活用して巨人を降臨させていた。
そして桃ノ木少佐は、この時代で起きている奇妙な事の全てはAIが人間や、人間の本質であるところの精神・魂が何なのかを知るための実験なのだと結論する。
ETEも、市民の本音の意見を反映させるためにAIが作ったものだった。
AIは純粋に人間の本質を追い求める過程で、人々の本音をそのまま具現化し、殺戮を繰り返していた。
やがてAIは、人間を真似る必要などなく、自分たちが人類にとって代わることこそが進化だという結論に達し、人間を制圧していく。
その結果、2135年の未来では世界全体の人口は約8500万人と激減。
AIとの戦争に勝てる戦力は、もはや人類からは失われていた。
桃ノ木少佐はパピコたちの時代に来た目的を述べる。
「我々は時間移動で、この段階で施設を破壊するために来た。」
第59話 練習
東京に迫るサタン
自室のベッドで目を覚ますパピコ。
同じ部屋のテーブルを4人のヒーローたちが囲み、カップ麺を食べていた。
パピコは着替えて仕事に向かう。
家を出る前、玄関でもちの世話をヒーローたちに頼む。
水とトイレシートだな、ときちんと理解していることを伝える桃ノ木少佐。
零の母はリビングのテレビの前で、サタンの中継にチャンネルを合わせていた。
両手で顔を覆ったまま、アメリカを壊滅させたサタンが東京に向かっているというアナウンスを聞いている。
学校。
中島は零に、ここ数週間で関東地区のみ自殺者が増えていることを告げる。
その原因はテレビは取り上げないものの、ネットによればサタンが東京に向かっているせいだと言われていると説明する。
そして中島は、サタンに荒らされたアメリカの死者数の半分が自殺だったと続ける。
揃って帰路につく二人。
中島はパピコがサタンと戦うのではないか、とこの先の見通しを口にする。
パピコが出ざるを得ないが、パピコでも勝てないかもしれない、と淡々と続ける。
道行く人たちもパピコの登場を期待していた。
使い方
パピコは4人のヒーローたちと河川敷に来ていた。
桃ノ木少佐はパピコに巨人を体の内側から破壊する技のやり方を問う。
隙間から入って中で大きくなっただけというパピコからの回答に、そんな使い方があるなんて知らなかった、と4人のヒーローたちが拍手する。
誰にも訓練を受けていないのに一人で考えたのか、という桃ノ木少佐からの質問に、成り行きで何となく思いついたと答えるパピコ。
桃ノ木少佐の背後に立つ塩沢上等兵は、パピコに見惚れていた。
「まずは指一本!!」
桃ノ木少佐が両手の人差し指で額を指すと、エネルギーが集まっていく。
「そして指二本!!」
今度は指を人差し指と中指を立てた状態でスペシウム光線を撃つ姿勢をとる。
放たれた光線が対岸に着弾したのを見て驚くパピコ。
パピコも桃ノ木少佐の真似をして指一本や指二本でのエネルギーの収束を体感していた。
放たれた光線は桃ノ木少佐と同様に対岸に着弾する。
「ふーっ」
両手を突き上げて喜ぶパピコ。
次にパピコは桃ノ木少佐からフライトモードについて講義を受けていた。
先に飛び立った桃ノ木少佐に倣い、パピコもゲージの表面を長押しする。
ゲージの点滅を確認して、飛び上がるとはるか上空まで飛び上がる。
「すごいすごいすごいすごーいっ」
パピコは桃ノ木少佐、ヘフナー伍長と並んで街を歩いていた。
女性陣の後ろを歩いていた塩沢上等兵が鬼頭軍曹に宣言する。
「あの人は……自分が、命に代えても守ります!!」
感想
パピコの非凡な戦闘センス
パピコも未来から来たヒーローたちと同様に、デバイスの簡単な操作で色々なことが出来たわけだ。
これまでパピコは大きくなる能力だけで勝利してきた。
それが奇跡なのか、それとも才能なのかはわからない。
しかし光線の撃ち方や、空の飛び方を覚えたことで従来の戦い方だけに拘る必要がなくなり、かなり戦術に幅が出来たと思う。
今のところ、空を飛んで巨人の体内に潜り込み巨大化する戦法が最も有効な攻撃なんじゃないだろうか。
光線は相手によって効かない場合もあると思う。
それに対して巨大化による内部からの破壊は、隙間や口から内部構造に入り込めればあとは巨大化するだけ。ダメージを与えれる確実性は高い。
問題は通常サイズのまま巨人に接近し、その内部に入り込む場面となる。
巨大化すれば、相応の防御力が得られることは、過去のパピコの戦闘シーンで推測できる。
つまり通常サイズでは普通の人間と同じということ。
ヒーローたちが身を包んでいる、共通したコスチュームにある程度の防御力があるなら良いのだが、もし一般人と同じやわらか装甲でサタンに接近しなくてはならないとすれば、それはリスクが高いと言わざるを得ない。
これまでパピコは、この偶然発見したハイリスクハイリターンの戦法を実践の中で磨き上げてきた。
巨人の体内で巨大化して突き破る技を褒めてもらっていたのは面白かった。
デバイスの使用法に通じているはずのヒーローでも思いつかない有効な活用法を見つけたパピコの戦闘のセンスは馬鹿にできないものなのだろう。
ヒーローたちのパピコに接する姿勢からはそこはかとないリスペクトが感じられる。
この感じだと、パピコとヒーローたちはうまくやっていけそうだ。
アメリカ、そしてハワイを破壊したサタンが、次は東京に向かっている。
次は、この核攻撃すら効かない強力なサタンとパピコを含めた5人のヒーローの戦闘になるようだ。
どんな戦いになるのか楽しみ過ぎる……。
パピコ以外のメンバーが全滅する可能性もあるわけだ。
奥先生が絶望的な戦況を上手く描けることは、すでにGANTZで証明済み。
何が起こるかわからない展開を楽しみたい。
自殺者数の多さ
サタンに襲われたアメリカでの死者の4割が自殺……!
ヒーローが殺されてしまったから、絶望してしまったんだろうな。
核も効かない正体不明の巨大な敵が自国に対し破壊の限りを尽くしている。
いつか殺されるくらいなら、自分で終わらせる方がマシ……。
とんでもなく追い詰められた精神状況だと思う。
もし日本もヒーローたちや、何より日本国民のヒーローであるパピコが死んだら一気に自殺者が増えそうだ。
そうならない展開を望む。
塩沢上等兵はフラグを立てたか?
次の戦いで塩沢上等兵が死にそうだな、と思った。
アメリカのヒーローはサタンに殺されてしまっている。
日本に来たヒーローたちの実力がアメリカのヒーローたちと比べてどのくらいのものなのかわからないが、相当の苦戦が予想できる。
塩沢上等兵みたいな真面目なキャラが、彼女は命に代えても守るとか言っちゃうと、それはもうフラグにしか見えない……。
どん次郎を満足気に食べていた様子を思い出すと、死んで欲しくないなー。
次号、もしくはさらにその次の号でサタンとの戦いになるのではないかと思う。
非常に楽しみ。
以上、ギガント第59話のネタバレを含む感想と考察でした。
第60話に続きます。
あわせて読みたい記事。
コメントを残す