第53話 発動
第52話のおさらい
パピコと零は武富島へ向かうフェリーに乗船していた。
他の乗客がパピコについて噂しているのを聞こえないフリをして無視する二人。
武富島に到着して自転車を走らせた後、昼食をとっている時も、やはり他の客がパピコについて話している。
しかし二人はあくまでそれを気にする素振りさえ見せず、努めて黙々と食事を続けるのだった。
夜。
二人はホテルに戻って庭にあるプールで遊んでいた。
プールに飽きると、今度は部屋に戻って激しく抱き合う。
行為を終えて、ゴムが中々外れない事に気付く零。
パピコに外してもらうと、ゴムの先から漏れていることに気付く。
翌日、二人は東京に戻るべく空港に来ていた。
昨夜の事故について会話する。
「そうそう出来ないよ。大丈夫大丈夫。」
あくまで明るく言い切るパピコ。
飛行機で予定通り無事に東京に到着した二人は、羽田空港で別れるのだった。
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接敵
4人のヒーローたちは車のボンネットにお湯を入れたカップ麺を置いていた。
それを、咎めたのは車の持ち主であるヤクザたち。
ヤクザたちはヒーローたちを恫喝するが、彼らは全く応えていない。
それどころか堂々とヤクザたちを見据えていた。
絡んでくるヤクザたちを消すかどうかを桃ノ木少佐に訊ねたのは鬼頭軍曹だった。
桃ノ木少佐はその申し出を即却下する。
「あ………5分たちました。」
塩沢上等兵の報告で一斉にカップ麺を食べようとし始めるヒーローたち。
ヤクザはヒーローたちの態度に激怒する。
全くビビることなくカップ麺を食べているヒーローたちにヤクザはキレていた。
「何食ってやがんだ!!」
そんなヤクザの態度を受け、鬼頭軍曹はカップ麺を食べながら、再び桃ノ木少佐たちに訊ねる。
「消しますか?」
「いや…駄目だ。」
再び却下する桃ノ木少佐。
塩沢上等兵もヘフナー伍長も夢中でカップ麺を食べている。
「喧嘩売ってんのかおおおお!?」
「熱。」
桃ノ木少佐はヤクザに凄まれても全く意に介さず、カップ麺を食べることに集中していた。
「消したほうが早いです。少佐。」
鬼頭軍曹の再三の申し出を、やはり桃ノ木少佐は却下するのだった。
光線
ヒーローたちの異様な様子にヤクザたちは半分呆れていた。
そして彼らを拉致することで話がまとまる。
「ガキ!! 食ってんじゃねえよ!!」
ヤクザが桃ノ木少佐のカップ麺を手で振り払う。
桃ノ木少佐は、吹っ飛んでいくカップ麺を目で追いかける。
悲しみに歪む顔。その目に涙が溜まっていく。
そして声を上げて、まるで子供の様に泣き出す桃ノ木少佐。
「少佐っ。」
鬼頭軍曹はカップ麺を食べつつ、額に何やら力を集中し始めた桃ノ木少佐に声をかける。
キィィィィィィィ
桃ノ木少佐は泣きながら、両手の人差し指で額を差した姿勢でパワーをため続ける。
シュイイイイイイイ
光が桃ノ木少佐の顔の前に収束していく。
曲げた右腕を立てて、左腕を寝かす。
シュンシュンシュン
桃ノ木少佐から発した光線はヤクザに命中。
上半身を跡形もなく消され、残った下半身だけが道路に倒れる。
鬼頭軍曹たちはその光景を静観していた。
ヤクザが倒れて、桃ノ木少佐はようやく自分が何をやってしまったのか気付き、一瞬忘我する。
巨大化
車の中から銃を取り出すヤクザたち。
呆然としている桃ノ木少佐に対して発砲しようとしたヤクザを、巨大化したヘフナー伍長がまるでサッカーボールのように蹴り飛ばす。
10メートル以上吹っ飛ぶヤクザ。
他のヤクザがヘフナー伍長に向けて発砲するが、巨大化した彼女の皮膚は銃弾を全く通さない。
ヤクザを掴み上げ、投げ飛ばす。
スローモーションで宙を舞う仲間の様子に恐怖したヤクザたちは銃を捨てて両手を上げる。
「わーーーった 降参!!」
「すまんかった!!」
その場を後にしたヒーローたち。
「すん すん すん」
桃ノ木少佐はまだ泣いていた。
「かわいそうに………かわいそうに………」
カップ麺を食べ損ねた桃ノ木少佐に同情する塩沢上等兵。
少佐はこうなってしまったら長いからな、とヘフナー伍長。
そうだ、と鬼頭軍曹が何かを閃く。
「一蘭行きましょう。一蘭!!」
「………いちらん……?」
塩沢上等兵は、いいですね、と鬼頭軍曹に同意する。
「一蘭。」
感想
容赦なさすぎる返り討ちに笑った
まず、ヒーローたち可愛すぎる。
麺類が本当に気に入ったんだな。
気分を上げるために一蘭に行くことを勧めるとか、現代に馴染みすぎ(笑)。
でも今回のヤクザとの戦いで、彼らは日本に敵が攻めてきたときに、その力に期待できることがわかった。
巨大化して光線放ったらとんでもない威力だろ……。
奥先生、クズ野郎描くの本当に上手いよなぁ。
まぁ、車のボンネットにカップ麺置いたのはヒーローが圧倒的に良くない振る舞いだった。これは今回のヤクザじゃなく、普通の人でも不快になっておかしくない。一言謝罪は必要かな。
だからある意味、ヒーローたちと関係をもってしまったクズたちは不運だったと思う。ただすれ違っただけならクズ共がヒーローたちの格好を笑って終わりだったと思う。もしかしたらナイスバディの女性陣をさらおうとちょっかい出した末に。やはり同じ結果になったかもしれないけど。
でもヒーローたちに非があったからといって、ここまで猛烈に恫喝するのはどうなんだって話。注意のレベルをはるかに通り越している。
それにヒーローたちに対して恫喝するだけではなく、拉致までしようとしていた。
もし拉致が成功していたとして、一般人であればその後、五体満足で帰れるわけがない。男性陣は病院送りか最悪殺されてしまい、女性陣は……考えたくもない。
だから大雑把に言えばヒーローたちの正当防衛! その後の桃ノ木少佐の攻撃は過剰防衛だけど……(笑)。
クズたちがヒーローたちに絡んだ結果、手ひどい返り討ち食らう展開はスッキリする。
返り討ちはあまりにも予想通りの展開ではあるんだけど、面白いのは流石だと思う。
最後までクズたちに対して手を出さないようにと部下たちを制御していた桃ノ木少佐自身による先制攻撃が、なんとスペ〇ウム光線(笑)!
カップ麺一つ無駄にして命を奪われるとは……。でも同情はしない。日頃の行いの悪さを呪えというところか。
上半身が完全に消滅してて笑ってしまった。
確かウルトラマンでは爆発してたはずだけど、実際もし本当にスペ〇ウム光線が実現したらこんな感じの被害になると思う。
未来から来た人間
しかし桃ノ木少佐がかわいすぎた。泣き方が子供(笑)。直前までヤクザと交戦しようとしていた部下たちを冷静に諫めていた人とは思えない豹変ぶりに萌えたわ。
スペ〇ウム光線を撃つまでの過程も、まるで子供が癇癪を起しているようだ。
カップ麺台無しにしたくらいで命を落とすのはかわいそうだ。
ヤクザの死は因果応報であり、読者にスッキリしてもらう意味があったと思うが、それに加えて彼らの価値はカップ麺以下という暗喩でもあると解釈するのも面白いかもしれない。
そして今回の話のもう一つの見所が、ヘフナー伍長の巨大化!
巨大化すれば、身体に銃弾を食らったくらいではビクともしないんだな。
目に当たったらどうするんだろうと思ったけど、皮膚と同様にそれくらいでは傷つかないのかな。
もしかしたら巨大化デバイスにバリア機能も付加されていたりするのか?
ただ単に、巨大化した体を支えるために体が強靭になったからだと思うが……。
ただ、巨大化していない普段のサイズでは銃弾を受けたら普通に傷つくだろう。
パピコに巨大化デバイスを継承したおじさん、長嶋大佐は車に跳ねられて亡くなった。
通常サイズでは普通の人間と変わらない。
彼らはあくまで未来から来た人間に過ぎないわけだ。
あー、彼らが人間だと思うと、いよいよ桃ノ木少佐だけじゃなく、ヒーローたち全員にカップ麺いくらでも買ってあげたい。というかラーメンおごってあげたい。
以上、ギガント第53話のネタバレを含む感想と考察でした。
第54話に続きます。
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