第50話 異世界
第49話のおさらい
朝、零はスマホでパピコからのLINEを確認する。
『あと3日だね!!』。
それは石垣島旅行までのカウントダウンだった。
桃ノ木少佐たちはラーメン屋のカウンターで並んでラーメンを食べていた。
店を出てすかさずラーメンの品評を行っていると、スマホを見ていた塩沢上等兵が叫ぶ。
「パピコが……パピコがおすすめの、ラーメン食べログ3.96!!」
「急げ!!」
その店に向かって駆けだすヒーローたち。
夜。
零は母と一緒に夕飯を食べていた。
すでに零とパピコが旅行に行くことを知っていた母は、淫行条例があるんだから、と零に釘を刺す。
零は自室で宿題をしていた。
「ロサンゼルスにサタンが入って3時間が経ちました。依然アメリカ軍との交戦が続いています。アメリカ軍のミサイルが一斉に」
ニュース音声はアメリカの状況を伝える。
翌日、石垣島旅行を目前にして、もはや零は授業に集中できていなかった。
スマホでパピコの写真をずっと見続ける。
学校を終え、零は笑顔で自転車を走らせる。
「明日…明日…」
夜。零は、帰宅したばかりの父と鉢合わせる。
「明日からか……いーなぁーおい…」
父はそう言ってニヤリと笑う。
零は翌日に備えてベッドに横になっていた。
枕元に置いたスマホからは、パピコがパーソナリティーを務めているラジオが流れている。
翌朝。
零は電車に乗って空港へ向かう。
空港の入り口で合流した二人は、楽しそうに会話しながら搭乗手続きを行う。
第50話 異世界
搭乗
手荷物チェックと搭乗手続きを済ませるパピコと零。
終始あくびしっぱなしのパピコに零は飛行機の中で寝れば良いと声をかける。
「えー 可愛い零ちゃんとの初めての旅行なのにぃ。」
零は、自分は音楽を聞くし、電子書籍の漫画を買ったので石垣島に着くまでの3時間くらいはあっという間だと返す。
飛行機に搭乗する二人。
着席するなりパピコは眠気に襲われていた。
「やべーねむみが……マックス……」
寝て良いと零に諭されて、パピコはごめんね、と一言謝るとあっという間に眠ってしまうのだった。
飛行機が飛び立つ。
いびき
零はパピコに言った通り、スマホで漫画を読んで過ごしていた。
「パピコがいたよ…」
零は背後から声が聞こえてくることに気付く。
パピコにサインや握手、そして写真を撮ってもらうと話し声は続く。
しかしパピコが寝ていることに気付いたのか、迷惑だからやめようという声が聞こえてホッとする零。
「パピコちゃん。サインして下さい!!」
パピコのすぐそばに幼い女の子が立っていた。
女の子は期待に満ちた笑顔でパピコを見つめていたが、パピコが寝ていることに気付く。
しかし諦めて立ち去るどころかパピコの身体にそっと手を伸ばそうとする。
「あっ」
思わず声を上げる零。
「!?」
零に視線を向ける女の子。
「あのね…今……寝てるからね…」
零は女の子に遠回しにやめるようにお願いする。
女の子は返事をすることなく、怪訝そうな表情を零に向けて誰なのかと訊ねる。
「………弟……」
女の子は零を無視してパピコの身体を揺すり始める。
「パピコちゃ~ん。」
あのね、と止めようとする零。しかし女の子はしつこくパピコの身体を揺らし続ける。
その騒ぎを耳にして、周りの乗客もパピコの元に行こうと相談し始めていることに零は焦り始めていた。
ぐおっ
パピコから大きないびきが漏れる。
ぐがおおおお
ぐぐぐおおお
「ママーパピコちゃん起きないー。」
前方の席にいる母親に報告する女の子。
母親は女の子にもう帰ってくるように呼びかける。
そしてパピコの元に行こうとしていた他の乗客も、パピコがいびきをかくほど爆睡しているのがわかったためにそれを諦めるのだった。
零は、完全に寝ているパピコをじっと見つめていた。
ホテル
飛行機を降り、出口に向かう二人。
爆睡していたことを謝るパピコに、よほど疲れが溜まっていたんだね、と返す零。
二人は空港から出てタクシーに乗る。
「遠くに来た感じがするー。異世界感ー」
タクシーの窓から顔を出してパピコが呟く。
「見て!! 海!! 海!! 海!! うっみ!!」
休暇をとっていることによる開放感を噛み締めているパピコ。
本当に働きっぱなしだったもんね、と零。
ホテルに到着する。
零は良いホテルなのかとパピコに問いかける。
良いホテルなんですよ、と即答するパピコ。
ホテルのお洒落な作りを目の当たりにして納得する二人。
チェックインした後、二人は屋上に出て景色を堪能する。
零は屋外にプールがあることに驚いていた。
その後、二人は部屋に入って寛ぐ。
「これからどーしよっか?」
「まだ夕食は早いしねー。」
感想
何事もなく終わった
異世界というタイトルから、二人が異世界に迷い込むのかと思った(笑)。
でもホテル到着まで普通に何事もなかった。平和過ぎる。
特に伏線っぽい仕掛けも見つけられなかった。
いいよなー。パピコが用意してくれた席はおそらくビジネスクラスかファーストクラスだと思う。
高校生で体験できる零が羨ましい……。
まだ片手で数えるくらいしか飛行機に乗ったことがないんだけど、エコノミーはマジで辛いんだよなー。
若い頃に良いサービスを体験することは感性を磨くとかって聞いたことがある。
そもそも零は家が結構な上流階級だけど……。
パピコはすっかり有名人になったんだな……。有名人は常に写真やらサインやらを求められる宿命にある。
零はそんな人たちがパピコの睡眠を邪魔してしまうんじゃないかとヒヤヒヤしていた。有名人と付き合う大変さというのはこういうことなんだろうな。
子供一人に突撃させる親って最低だと思うわ(笑)。
せめて子供と一緒にお願いしようや……。
周りの目もあるし、子供を邪険にできないから対応せざるを得ないだろうに。
親はそれが狙いだから困る。
今回パピコにしつこく絡んでいた女の子は、ビジネス、あるいはファーストクラスに乗れる親の子供だろう。
ただ単にパピコのことが好きでしょうがなかっただけだと思いたいけど、パピコに絡んでいる途中で零を睨んだ様子から、ひょっとしたらこれまでずっと甘やかされていて、何でも自分の思う通りになっていたからしつこかったのかなどと邪推してしまう。
しかしパピコがデカいいびきかいて寝ていたことから事なきを得た。
高級ホテルに着き、いよいよバカンスが始まる。
でも話の流れ的に、ここからバカンス終了まで何も起こらないということはあり得ないだろう。
石垣島の観光案内みたいな話になったらそれはそれで面白いけど、そろそろ戦いの時が近いのではないかと思う。
次回か、そのさらに次回かわからないけど、これから何が起こるのか楽しみ。
以上、ギガント第50話のネタバレを含む感想と考察でした。
第51話に続きます。
あわせて読みたい記事。
コメントを残す