第60話 未来
第59話のおさらい
パピコがベッドで目を覚ますと、すでに4人のヒーローたちはテーブルを囲んでカップ麺を食べていた。
犬の世話を頼んで、仕事に向かうパピコ。
零の母はサタンが東京に接近しているというテレビ中継にチャンネルを合わせていた。
恐怖のあまり画面に映るサタンを直視できず、両手で顔を覆っている。
学校。
中島は零に、サタンの東京接近を受けて、ここ数週間で関東地区の自殺者が増加してきていると話題を振る。
すでにサタンに壊滅状態に追い込まれたアメリカにおける死者数の4割が自殺だと続ける。
パピコがサタンと戦うしかないのではないか、と中島。
しかしパピコでも勝てないかもしれない、淡々と続ける。
零は道行く人たちから聞こえる会話の内容からも、世間がパピコの登場を期待していることを感じていた。
パピコは4人のヒーローたちと河川敷に来ていた。
桃ノ木少佐から、巨人を体の内側から破壊する技のやり方を問われたパピコは隙間から入って中で大きくなっただけと答える。
その回答に、そんな使い方があるなんて知らなかった、と拍手する4人のヒーローたち。
誰にも訓練を受けていないのに一人で考えたのか、と桃ノ木少佐からの問われ、パピコは成り行きで何となく思いついたと答える。
桃ノ木少佐から、二種類の光線の使い方を教わるパピコ。
パピコは見よう見真似で光線を成功させる。
次にパピコはフライトモードを教わっていた。
パピコは桃ノ木少佐の説明した内容をきちんと実行し、数十メートル上空まで飛び上がる。
「すごいすごいすごいすごーいっ」
街を歩くパピコと4人のヒーロー。
女性陣の背後を、少し距離を空けて歩いていた塩沢上等兵は鬼頭軍曹に宣言する。
「あの人は……自分が、命に代えても守ります!!」
その視線の先にはパピコがいる。
第60話 未来
迫るサタン
東京に次々とカラスが落下していく。
新宿駅東南口は無数のカラスの死体で埋め尽くされつつあった。
その光景に、驚き戸惑う人々。
テレビは海上にいるサタンへの攻撃を続けているものの、サタンは無傷で東京に向けて進んでいるとアナウンスする。
「このペースでいけばあと3日ほどで、東京に上陸してしまいます。」
そしてサタンの接近との因果関係は不明なものの、ここ数日の間で関東圏で自殺者数が増えている理由を、サタンから発する波長が生物に脳に害を及ぼしているのではないかとの見方を伝えている。
サタンの接近に伴い、地方への疎開も始まっていた。
零は川沿いで映画の撮影を行っていた。
監督として、女優と積極的に台本や演出について話し合う。
パピコはスタジオでバラエティ番組の収録に参加していた。
本番開始前、体調が優れない様子のパピコ。
しかし、大丈夫だと言って撮影に臨む。
帰宅
駅に向かう零と中島。
中島は、街中にカラスが落下している現象はおそらくサタンによるもので、ニューヨークでも起きていたと話しかける。
東京は人が減ったと呟いた零に、両親が金沢に帰ると言い出したと中島。
零は親戚全員が関東圏だと返す。
そして父親が終末を描いた映画が好きなので、東京で最後まで見届けるらしいと続ける。
どっかおかしいんじゃねーの、と中島。
撮影が終わり、少し体調が良くなったとマネージャーに報告するパピコ。
サタンが近づいているためらしい、他のスタジオでも体調不良が出ているとマネージャーが答える。
「なんか…防衛省からメール来て、上陸したらまた…来てくれって…」
マネージャーが運転する車中。
マネージャーはパピコが命を張って日本を守るのはおかしい、法律で強制力がないからと、無視を暗に勧める。
パピコはそれに反応せず、薬局に寄るように頼むのだった。
発覚
帰宅したパピコは、鬼頭軍曹とヘフナー伍長が興味深そうにテレビを見ていることに気付く。
「そうだ、博物学の授業で見たんだ!!」
二人が正座して観ていたのは、パピコのAVだった。
パピコから、あたしのAV勝手に! と聞いて、二人はこのAVに出演しているのがパピコだと気づく。
パピコはテレビを消して、トイレに向かう。
二人は真っ黒な画面を見つめていた。
桃ノ木少佐と塩沢上等兵は食糧物資調達に出ていた。
少佐は決断が遅いのでカップ麺の種類を迷っているのだろうと鬼頭軍曹。
二人の間に一瞬沈黙が流れたあと、交尾は意味がないどころか人体に有害だと教わったとヘフナー伍長が切り出す。
実に滑稽な、と同意する鬼頭軍曹。
二人は半ば馬鹿にするように喘ぎ声の真似をし合うと、ヘフナー伍長から鬼頭軍曹に手を合わせるようにと呼びかける。
「どうですか?」
互いに手を合わせて、軽く握る。
「いや…別に…」
二人は暫く見つめ合う。
「きゃっ」
鬼頭軍曹が手を離す。
「なんです? 今の声は……」
そう訊ねるヘフナー伍長も、鬼頭軍曹と同様に頬を染めていた。
「いやっ!! いや!! 恥ずかしいっ。なんだ!? なんだ今のは!?」
明らかに戸惑いを見せる鬼頭軍曹。
ヘフナー伍長は、何故か心拍数が上がってる気がすると言って鬼頭軍曹を見つめる。
鬼頭軍曹は、自分も、と答えてヘフナー伍長の手の上に自分の手を乗せる。
パピコは便器に座り、両手で顔を覆っていた。
床には妊娠検査薬が置いてある。
「どうしよう……零…くん…零くん……」
パピコはもう一度妊娠検査薬の結果を確かめる。
そこには確かに妊娠を示す陽性反応が出ていた。
感想
成長した零
零はこんな状況下にあっても仲間と一緒に映画作りに邁進している。
逞しくなったな……。パピコを求めるが故でもあるだろうけど、確実に以前より一皮剥けた。
自殺者の増加と関東から地方への疎開で東京から人が減ったようだ。
零と中島が二人で歩いている街並みの閑散とした様子が、まるで4月の緊急事態宣言下における東京のようだ。
父親は東京で最後まで見届けると言っているし、テレビの前で一人で怯えている母親がかわいそう。
ヒーローたちは大丈夫なのか?
パピコの部屋で二人で家主の出演しているAVを観ている鬼頭とヘフナー。
どうやら未来では性行為は必要ないどころか、忌避されているようだ。
この二人だけではなく、買い出しに出かけている塩沢と桃ノ木についても性の知識は学術的な意味合いでしか知らないのだろう。
鬼頭とヘフナーは、パピコのAVを触媒に人間としての本能に火が点いてしまったのか?
この感じだと、パピコのAVで見た行為をそのまま試す流れになりそうだ。
4人ともそれぞれ魅力的な男女だから、一度覚えてしまったら間違いなく戦いに支障が出るだろ……。
塩沢はパピコに気があるようだし、面白い展開になりそう。
ただ、核攻撃も効かないサタンの接近を前に、この何とも呑気な感じは気になる。
こんな感じで危機を煽りつつ、しかし実際の戦いは案外楽勝という展開になったりするのだろうか。
逆に、4人ともサタンにあっという間にやられてしまったりして……。
全く予測ができない。
パピコはどうするのか
やはりあの石垣島旅行でのゴム破損はフラグでした……。
パピコが調子の悪さを訴えていたのは、てっきりサタンが発するという波長による影響なのかと思ったら、このタイミングで妊娠が発覚とは!
妊娠によって、今後はどんどん体調が万全とはいえなくなっていくだろう。
そんな状態で、政府の要請に応える形で出動し、敵を撃退できるのか?
今回のサタンは退けたとしても、産むまでにまた新しい敵が攻めてくるかもしれない。
そもそも戦う気になるのか? と思ったけど、それは現時点では案外大丈夫かな。
愛しい我が子の為に何がなんでも勝つと開き直れそうだ。
現状はまだ妊娠の初期も初期だろうし、そこまで戦いに影響はしないのかな。
でも好きな人との子供だしパピコ本人は無茶をしたくはないだろう。
そうなると、なるべく未来からきたヒーローたちに戦いを任せる感じになるのではないか。少なくともどんどん子供がお腹で育っていくであろう今後はそうならざるを得ないだろう。
今回は戦うかもしれないけど、さすがにお腹が大きくなった状態で子供を危険に晒すような戦いは、本当に最後の最後、追い詰められた時以外は避けるはず……。
今後はパピコの戦いが見られる機会は減るということか。
サタンがやって来るまであと3日。どのように撃退するのだろうか。
以上、ギガント第60話のネタバレを含む感想と考察でした。
第61話に続きます。
あわせて読みたい記事。
コメントを残す