約束のネバーランド 最新第76話開戦の感想(ネタバレ含む)と考察。鬼が狩りを前倒しした原因はエマだった。”特上”に本能を刺激された鬼たちが子供達に襲い掛かる。

第76話 開戦

第75話のおさらい

街の外れの森で、エマは木の幹に設置した的を目がけて銃の試射を行う。

その銃弾は見事に的の中心を捉える。

 

エマに合う武器はあったのかと問いかけるソーニャに、エマはコレとコレなら、と答える。

 

エマが撃ち抜き、まだ中心から煙が立ち上っている的を手に、頼もしい、呟くザック。

 

エマは、レジスタンスの皆が鬼の殺し方を知っていた事を指摘する。

 

その指摘を肯定するサンディたち。
サンディは、自分たちがそれを知っていることも、鬼を殺す気でいる事も鬼には知られていないと答える。

 

さらにソーニャは、これまで自分たちは逃げ回るしか能の無いザコとして振舞い、その裏で着々と作戦の為に準備を重ねてきたのだと説明する。

 

この作戦はルーカスやソーニャたちが家族、同志を失いながら受け継いできた全ての結晶なのだと言い、鬼の強さを別にして、勝つのは自分たちだとソーニャは断言する。

 

油断は禁物だと言うザックは、特にレウウィス大公には注意だと続ける。

 

レウウィス大公は、かつて鬼に対抗出来ていたルーカスと仲間たちをあっという間に壊滅させてしまった危険な鬼だった。
レウウィスは子供を一人ずつ、子供の仲間たちに見せつけるようにして嬲り殺しにし、仲間の憎しみを煽り、殺意に駆り立てるのだという。

 

サンディによる説明にエマは表情を強張らせる。

 

「実力は別格 その上イカレ野郎で何をしてくるかわからない」
計画に狂いが出るとしたらあいつだ、とザックは結論する。

 

殺されたモニカ達の事を思い出すエマ。

 

レウウィス大公に対する憎しみに表情を歪ませるエマ。

 

ご飯の時間になり、エマは路地裏に座り込んでいるテオに食事を持っていく。

 

テオはあまり元気の無い様子で昨夜ヴァイオレットが来て自分に一発ビンタしてきた時のことを話し出す。

 

テオを尋ねたヴァイオレットは、これまで多くの子供をやむをえず見捨てて来たが、次の狩りで全て終わらせると言い、今生きている全員で猟場から逃げると宣言してみせる。

 

「あんたの兄姉の分もオレの姉弟の分も」

 

そのヴァイオレットの言葉に、少なからず猟場にいる決して少なくない子供達が同様の立場にあり、辛さや悔しさを感じている事を知ったとテオは、エマにその悔しい心情を吐露する。

 

自分は何も出来ず、兄姉を殺した鬼が嗤っていた事を思い出し、顔を歪めて涙を流すテオの隣でエマは辛そうな表情でじっと話を聞いている。

 

この気持ちに決着をつけたいとテオはエマを見つめる。

 

テオはエマの、狩りを次で終わらせるために食べて力をつけなきゃという言葉に奮起し、パンに噛り付く。

 

街の広場では、その場に集まっている子供達全員にオリバーが鬼を打倒して外に逃れる計画について知らせようとしていた。

 

その時、オリバー達が想定していなかったタイミングで、大音量の音楽がスピーカーから鳴る。

 

「音…楽…?」
激しく動揺するオリバー。

 

同じく、メンバーたちも動揺を隠せない。

 

戦意を取り戻したオリバーの指示で、メンバーたちは弾かれたように動く。

前回第75話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

 

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第76話 開戦

5人の鬼が、テーブルを囲み豪勢な食事に興じている。

 

「バイヨン卿 あなたも意地が悪い」
全身が黒く、尖った鼻を持つ鬼がバイヨン卿に話しかける。
「まさかGFからの脱走者を一匹捕えておいでだったとは」

 

5人の鬼全ての食事をする手が止まる。

 

「おや」
バイヨン卿は訊ねて来た鬼に、部下との会話を聞いたのかと返し、フフ、と笑う。
「黙っておいた方が見つけた時の興奮が高まるかと思ったのですが」

 

その話は本当なのか、ともう一人の、全身が黒い鬼がバイヨン卿に問う。

 

肯定するバイヨン卿。
他の二匹は部下が見失ったようだが、それも捕まえると付け加える。

 

「…………」
黒い鬼はいてもたってもいられない様子で訊ねる。
「詳しく!! 等級は?」

 

バイヨン卿は、メスで”特上”だと答える。
さらに、逃げた二匹の内一匹も”特上”であり、もう一匹は成人のようだと続ける。

 

(特上…!! 成人…!!?)
黒い鬼はフォークとナイフをさらに投げ出す。
「下げて もういいわ」

 

そして、子供達の集落に大音量で音楽が鳴る。

 

鬼達は集落へ向かう。

 

(成人なんてもうずっと食べていない)
黒い鬼は、被ったマスクの目を光らせる。

 

(GFの特上!! 上級貴族でも食べられない代物だ!!)
もう一人の黒い鬼は胸の辺りに電気の様なエネルギーを滞留させている。

 

(あの子だ)
冷静なレウウィス卿。

 

(あいつ…か あいつなんだな やはりボクが八つ裂きにしてやる!)
歯ぎしりする、エマに斧を投げつけられた鬼。

 

(こんな昂った朝には狩りをせずにはいられない)

 

鬼達は大挙して街に姿を現す。

 

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街には人の気配は無く、静まり返っている。

 

先ほどまで食事の場所となっていた広場では、食事の入った容器がそのまま放置され、食器類も地面に散乱している。

 

鬼達は人の気配が無い街を見渡す。

 

館から街に向かう途中の森でも人の気配は感じなかった、と呟く黒い鬼。

 

「……」
レウウィスは静かに立っている。

 

「つまりかくれんぼか」
笑う黒い鬼。
「久々の――面白い」

「もぉいいかい」
槍を携えた黒い鬼が一軒の家の扉をあけ放つ。

 

部屋の中には誰もいない。
しかし匂いを感じ取っていた黒い鬼は、でておいで、と声を出しながら部屋の中を歩き出す。

 

隠れている子供達は、口元に手をあて、不安そうな様子で鬼の様子を見つめている。

 

二体の黒い鬼は、カタッ、という外からの音に敏感に反応する。

 

「いたぞ! あそこだ! 終え!!」
路地を走り去るフードを被った子供を指さす、エマに斧を投げつけられた、捻じれた角の鬼。

 

「GFの小娘ならボクが狩る!!」
捻じれた角の鬼の従者らしき鬼2体がフードの子供を追いかける。

 

鬼に追われながら、フードの下で、ニッ、と笑うのはジリアン。

 

その頃、ルーカスは風車小屋の、湖への抜け穴に子供達と身を潜めていた。
「大丈夫 ここなら見つからない」
ルーカスは不安そうな子供達に声をかける。

 

エマとオリバーは銃器を携え、壁に身を隠して鬼の様子を窺っている。
(何とか間に合った!!)

 

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オリバーのリーダーシップ

予想外に早く音楽が鳴り、焦るレジスタンスのメンバーたち。

 

再び狩りの悪夢がやってくるのを感じ、泣き、叫び出す子供達。
しかし、大音量の音楽が子供達の鳴き声を片っ端からかき消していく。

 

(まずい…早い…早すぎる)
歯噛みするオリバー。
オリバーは、準備は済ませていたが、集落にいる全ての子供を含めての作戦の最終確認は行っていなかった。

 

ポーラは子供を抱きしめながらオリバーの方を見ている。

 

(どうする どうすれば…)
リーダーとしてどう動くべきか、追い詰められながらも必死に思考するオリバー。

 

「大丈夫!!」
オリバーは笑顔を作り、両手を広げて全員に呼びかける。
「大丈夫だ!! みんな 落ち着こう」

 

オリバーに不安げな子供達の視線が集中する。

 

「少し早いが準備はできている 計画通り怪物を討ち果たそう!!」

 

オリバーは、内心、覚悟を決めろ、俺たちならできる、と自身に言い聞かせる。

 

「大丈夫 できることは全てやった」
想像するんだ、とオリバーは子供達に呼びかける。
「明日の今頃は自由 全員自由だ」

 

「自由になるのが一日早まった な! そういうことだ」
全く動揺を見せず、言い切って見せるオリバーの姿を見て、子供達は安堵していく。

 

「忌々しい遊び場は今日で終わる 勝つのは人間だ」

 

「だから狼狽えるな 落ち着いて冷静に」

 

「さぁ密猟者が来る!! 全員武器を手に配置につけ!!」
レジスタンスのメンバーを中心に、一斉にその場から走り去る子供達。

 

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作戦概要

子供達を風車の抜け穴に隠し、アダムとルーカスで守る。

 

レジスタンスのメンバー、エマを加えて10人は4隊に分かれ、鬼を分断する。

 

分断するのは”レウウィス”、”バイヨン”、”ノウスとノウマ”、”ルーチェ”の4組。

 

エマとオリバーで、レウウィスを他の3組に近寄せないように15分間引きつける。

 

ルーカスは、15分ならばレウウィスを引きつけておく考えがあると自信を見せる。

 

15分間で他の3組を打倒した後、全員でレウウィスを討つというのが作戦の概要。

 

さらに、3組の鬼は分断を嫌うことなく、むしろ乗ってくるので、とにかくレウウィスさえ遠ざけてしまえば他の3組を潰せる勝算はあるのだとルーカスは続ける。

 

(敵の虚を衝く 獲物をナメきった怪物の虚を)

 

(「これは奇襲だ」「チャンスは一度きり――いいね」)

 
ルーカスは、レジスタンスのメンバーに語り掛ける。

 

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作戦開始

レジスタンスのメンバーは、各自の担当の鬼から必死に逃げる。

 

丸腰のメンバーは、いつものように何もできずに逃げるフリをするように努める。

 

それぞれの鬼に追い詰められるレジスタンスのメンバーたち。

 

「頭巾をとって首を見せて」
黒い鬼――ノウスが追い詰めた子供に呼びかける。

 

「雄(ハズレ)でしたね」
バイヨン卿に向けて従者が話しかける。

 

「お前じゃない お前じゃないぞ!!」
怒り狂うルーチェ。

 

木の幹を背にジリアンは不敵に笑う。
「いいえアンタの相手は私よ」
ピィィィィと笛を吹く。

 

他の場所で、ノウス・ノウマ、バイヨン卿にそれぞれ追い詰められていたザック、ソーニャもジリアンと同様に笛を吹く。

 

(来た!! 合図!!)
エマとオリバーが顔を合わせる。

 

オリバーが手元のスイッチを、カチッ、と押すと、森で大きな爆発が起こる。

 

一斉に爆発のした方向に気をとられる鬼達。

 

「いない!?」

 

追い詰めていたはずの子供が居なくなっている事に驚く鬼たち。

 

ジリアンは樹上で銃を携えている。
その隣の枝にはナイジェルが同じく銃を構える。

 

「さぁ計画実行」
ルーカスが呟く。
「狩りの時間だ

 

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感想

鬼達の名前が判明

レウウィスとバイヨンに関しては分かっていたけど、他の鬼に関しては分かっていなかった。

 

まるで黒い全身タイツを着ているような2対の鬼はノウスとノウマ。

 

ノウスが男性的な体格をしていて、ノウマは女性的な体をしている。

 

そして、以前の狩りでエマに斧で危うく殺されかけて、憎しみに燃えていたちょっとコミカルな鬼はルーチェ。

 

レウウィスとバイヨンに関しては大物感があるが、それに比べるとノウス・ノウマ、ルーチェは劣る印象を受ける。

 

レウウィスはただ狩りたいのではなく、自分を殺しに来るような強者との戦いを望んでいる。

 

バイヨンは狩りの快楽よりも、他の鬼達に娯楽を提供する事で何かしらの利益を得ようとしているのか。

 

ノウス・ノウマ、そしてルーチェに関しては、レウウィスの様な欲望は持ち合わせてはおらず、ただ本能のままに普通に人間を狩りたいだけだろう。

 

子供達による狩り

興奮気味の鬼達の様子を見る限り、前回の感想記事で予想していたような、鬼達による子供達の作戦の盗聴はなさそうだ。

 

あくまで、GF農園の”特上”であるエマの存在にいてもたってもいられなくなった結果、狩りが前倒しになったということらしい。

 

本能の赴くままの行動だから、知略を巡らせている相手よりは罠にかけやすいのではないか。
ルーカスたちが長年準備してきた作戦が通用する可能性は十分あるだろう。

 

これまで狩られる立場に甘んじてきた人間達だが、ラストでルーカスが呟いたように、子供達による鬼狩り――反撃が始まる。

 

レウウィスとバイヨンは苦戦しそう。

 

でもノウス・ノウマ、ルーチェに関しては15分以内に戦闘不能に出来る可能性は十分あるんじゃないかな。

 

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オリバー大したもんだ

予想を大きく裏切る、突然の狩りの時間の到来に驚愕していたオリバーだったが、すぐに気を取り直した。

 

そして、堂々と鬼の打倒を宣言し、狩りの恐怖に怯える子供達の感情を鎮火させた。
素晴らしい。リーダーはこうじゃないといけない。

 

エマと組んで作戦の狼煙を上げたオリバーだが、この先、エマや他の子供を庇って死ぬ展開がある気がして怖い。

 

練りに練った作戦、そして奇襲を仕掛けるとしても、鬼に一方的に勝つとは思えない。

 

当然、反撃は覚悟しなくてはいけない。

 

その犠牲になりそうな気がするんだよな……。
リーダーとして全体を生かす為に犠牲を黙認する、という冷徹な判断は出来ないんじゃないかな。

 

それに、そもそも自分は、オリバーに限らずレジスタンスのメンバーはレウウィスにやられてしまいそうで心配……。
特に根拠は無くて、ただ心配なだけ……。

 

皆良いキャラなだけにぜひ生き残ってシェルターに合流して欲しいんだが……、甘くはないよね。

 

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エマが猟場の”均衡”を破った

鬼がオリバー達の予想外よりも早く狩りを開始したのは、エマや、レイ、オジサンの存在によって鬼を刺激してしまった事が原因だった。

 

GF農園の”特上”となると、貴族である鬼の口にも入らないのだという。

 

エマやレイ、そしてオジサンの価値はそこまで高かったのか……。

 

あと、驚いたのは、成人の価値が高いということ。
肉が美味いとかよりも、珍味だからかな。
成人する前に皆子供の状態で狩られるから、希少なのだろう。

 

オリバー達がこれまで準備してきた鬼への反撃を開始しようと決心したのも、エマの登場とそれに伴う新情報の入手がきっかけと言って良い。

 

つまり、猟場に現れたエマの存在が、それまでの”狩る鬼”と”狩られ、随時補充される子供達”との間で保たれていた猟場の均衡、狩りは3日に一回というルールを崩したと言える。

 

狩りが前倒しになったことは、今のところ子供達にとって不利になっているようにも見える。
しかし、オリバー達がこれまで準備してきた狙い通り、子供達が自分達に反撃してくることなど考えもしていないとしたら、その鬼達の慢心を上手い事つけるかもしれない。

 

1度だけのチャンス、奇襲が成功するかどうかが勝利の鍵。

 

もう後戻りは出来ない。

果たして15分の間にレウウィス以外の鬼をどこまで掃討できるのか。

 

以上、約束のネバーランド第76話のネタバレを含む感想と考察でした。

第77話に続きます。

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