第59話
※58話のあらすじのみ。ジャンプ発売後に追記予定です。
第58話のおさらい
”オジサン”はエマたちと一切かかわろうとしない。
呼ぶときは”オジサン”が勝手につけた、エマは「触覚」レイは「寝不足」などあくまで雑なニックネームであり、決して本名を呼ぼうとしない。
そして自身の本名も教えない。
レイは冷静に、”オジサン”は自分たちとは他人のままでいたいんだと結論付ける。
”オジサン”はアリシアら小さな子供達を横一列に並ばせて復唱を促していた。
子供達にシェルターで守らせたい事を復唱させて、破ったら死ね、と笑顔の”オジサン”。
アリシアはティカップをひょいと持ち上げて乱雑に扱う風に見せて”オジサン”を翻弄する。
その実験的行動をやらせたのはレイだった。
”オジサン”がシェルター破壊装置だけではなく、シェルター内のあらゆる道具を壊されることを恐れているため、それが脅しの道具になり得ると笑顔のレイ。
レイに褒められ喜ぶアリシア。そしてその二人に対して危険な実験をしたことを咎めるギルダ。
子供達は”オジサン”の言うことを聞いてると言いながらも”オジサン”をおちょっくており、”オジサン”の逆鱗に触れて反撃を食らうことを心配したギルダは、もう近寄っちゃいけません!! と子供達を叱る。
エマ、レイ、ドン、ギルダの四人で話し合う。
2年以内にGF農園に残して来た4歳以下の子供達を「救出」し、全員で人間の世界に向けて「脱出」する。
時間が無いので、絶対に経験者である”オッサン”が必要だと言うレイ。
ギルダは”オジサン”が隙を見てエマやレイに危害を加える事を恐れていた。
レイは”オジサン”がそういう考えを持っていることは承知の上で”オジサン”を無理やり同行させる方向に持って行ったのだった。
お互いに肚を探り合いながらの旅を覚悟するレイ。
出発は四日後、それまでに資料室の残りの資料に目を通し、旅の準備をするのだった。
出発前日、”オジサン”は壁に大きくPoachersと書かれた部屋でその文字を前に立っていた。
その背中にエマがあらゆる問いかけをするが、”オジサン”は答えない。
しかしエマ達をいい家族だと言い、だからこそ消えて欲しいと屈折した返答を行う”オジサン”。
先のエマが”オジサン”に向けてきった啖呵を口にし、旅を経験してなお同様の事が言えるのか楽しみだと告げる。
”オジサン”はエマに、レイと共に自分の後について来いと言い、食堂のピアノの中をいじって通路を出現させる。
通路の先には降りる為の梯子があった。
その先は大量の銃器を始めとした武器が収納された武器庫だった。
第59話
オジサンの導きで武器庫に通されたエマとレイ。
ミネルヴァがシェルターと同じく食用児に残したものなのか? とレイが疑問に思う。
オジサンは、ピアノの仕掛けには偶然気づいたのだとエマとレイに振り向かずに話し始める。
自分たちがこのシェルターに来た時に、メンバーの一人がピアノの音がわずかに狂っているのに気づいたために発見できた隠し部屋だと続ける。
エマは下手すれば気づかないような武器庫をシェルターに残したミネルヴァの意図をオジサンに問う。
さぁな、とだけ返すオジサン。
エマとレイはオジサンに続き武器庫の中を進む。
銃、刃物、盾、爆弾、他になんでもあるな、とレイは武器庫を観察する。
ソンジュの教え
「好きな武器を選べ」
オジサンはエマとレイに振り向かない。
「ミネルヴァの意図なんざどうでもいい この部屋の意味も誰の何のための武器なのかも」
目指すのは完全なる鬼の生活圏であり、敵地だと宣言し、武器を持つことで丸腰よりは抵抗できるというオジサン。
「俺はお前らを助けない」
オジサンは適当な銃を手に取り、エマに手渡す。
「生き残れると思う武器を好きに選べ」
エマは手渡された銃のズシッととした重みを感じる。
(重い…銃ってこんなに重いんだ…)
レイがエマにどうするかと問う。
「私はあまり重くないのがいいな…」
そしてエマはソンジュに教わったことをレイに確認する。
(「生き延びるには逃げることだ」)
(「”鬼”に遭っても手を出すな」)
(「”如何にして逃げるか”を考えろ」)
逃げ足を優先するために重い武器は避けたいというエマ。
レイは同意し、ソンジュの言葉を思い出す。
(「殺すより逃げること」)
(「しかし一番は”見つからないこと”だ」)
ソンジュの言葉に従い、余計な武器は不要であり、身軽がベストだとレイは考える。
しかしそれに伴い疑問が生じる。
(もし見つかってしまったら…逃げきれなくなってしまったら…?)
オジサンは何を持っていくの? とオジサンに問いかけるエマ。
「言いたくない」
エマの顔を見ずに短く言い放つオジサン。
「見て察しろ」
オジサンのにべもない言葉に顔を歪めるエマ。
(見て察する……)
エマはガチャガチャと選んだ武器をいじっているオジサンの後姿をじっと見る。
大き目の銃が1つ。替えの銃弾が2セット。
小型の銃は持っていない。そしてナイフ。
エマは、オジサンがナイフを選んでいるのを見て閃く。
(そうかナイフがあれば…!)
武器選択
「適当に選んで上がって来い」
武器庫に来るために降りて来た梯子に手をかける。
「ピアノはどれでも音を出しゃ戻る」
梯子を上がっていき、パタン、とオジサンが元の部屋に戻った際に生じた壁の戻る音がエマたちに伝わる。
オジサン行っちゃった、とエマがぽつりと言う。
マジで何も教える気ねぇんだな、とレイが返す。
(いいさ あくまで見て盗む)
そうやって学ぶ相手だということだ、と目を鋭くする。
「ねぇレイ私ナイフ持ってく」
エマが笑顔でレイに話しかける。
本当はこういうの持ってけば強そうだけど、とバズーカを指す。
「重すぎるしとても使いこなせないし」
うんそうだな、と即応するレイ。
だから基本はソンジュから貰った軽くて少しは使い慣れた弓と矢が良いかな、とレイに宣言する。
レイは、道中で食料を手に入れるにも必要だろうからな、と笑顔を向ける。
回収すれば矢を使いまわせるのに加え、ナイフがあれば新しく矢を作ることもできるとエマ。
弓矢と、色々と他にも使い道があるナイフは確定だとレイが返す。
レイは、弓矢とナイフだけでは戦えないから万が一戦いが避けられなくなった時のためにとエマの前にいくつか銃を提示して選ぶよう促す。
「例えばこの辺のヤツから使いやすいのを選んで一挺」
一挺? と不思議そうなエマに、二人で一挺だと答えるレイ。
予備の弾を入れても嵩張らないだろうと続ける。
あとはこれとか、とエマの前に置いたのは銃口が4つ並んでいるピストル。
エマは4つの銃口を持つピストルを不思議そうに見つめる。
棚の奥で見つけた、品質によっては使えるだろうとレイ。
エマはオジサンがこのサイズの小銃は持っていなかったと言い、鬼相手には使えないからではないかと続ける。
「ソレよく見てみ」
「え?」
レイの指摘にエマがピストルを確認する。
(あっ!!)
何かに気づく。
「必ず生きて戻ろう」
レイがエマに向けてほほ笑む。
「必ず…!」
「うん」
エマも笑顔を返す。
武器庫でエマとレイの準備は続く。
旅立ち前
エマが、シェルターで小さな子供達との留守を任せるギルダとドンに様々なことを伝えている。
シェルター外での狩りや採集に関して注意して、と言うエマに、ええ、と答えるギルダ。
「アンナ達がつくってくれた”畑”もあるから大丈夫よ」
任しとけ! と力強く腕を掲げるドン。
アンナがレイの左耳からガーゼを剥がす。
傷は塞がって、もうガーゼではなくてもよさそうと言うアンナ。
俺は切開しただけだから、とレイは答え、アンナに笑顔を向ける。
「ありがとうなアンナ 傷の手当も…あとその他の準備も」
笑顔のアンナの周りにナット、ラニオン、トーマ、ジェミマが揃ってレイに向かって笑いかけている。
「みんなもだ ありがとう」
レイの感謝の言葉にアンナは、何言ってるの当然よ、と笑う。
「本当はみんな一緒について行きたい」
アンナは顔を曇らせる。
「特にドンやギルダなんて……悔しさと心配でたまらないのよ」
駆け出すエマをドンとギルダが揃って見ている。
その表情には心配の色が浮かんでいる。
でも、とアンナが続ける。
「二人の判断は正しい」
アンナは、子供達全員が生き残るためにはこの方法が最善なのだと信じているとレイに伝える。
そして、準備の費やせる最後の夜が明ける。
出発当日
オジサンとレイとエマが廊下で子供達に見送られている。
エマとレイはコートに身を包み、リュックを背負い、ブーツにズボンを入れている。
レイの背中にはリュックの他に銃もある。
「それじゃ行ってきます!」
エマは凛々しくほほ笑みながら見送ってくれている子供たちに向けて挨拶をする。
口をへの字にしてエマの言葉を聞いていた子供達は、弾かれたようにエマに抱き着く。
「うわぁぁんエマァァ!」
「痛かったら言わなきゃダメだよ」
「ガマンしちゃダメだからね」
エマはクリスティを抱き締めながら、うん、と答える。
「レイも! 危なかったらちゃんと逃げてね!」
レイは、おう、と短く返す。
オジサンはその光景に背を向け、うえー、と両耳を手で塞ぎながら顔を歪める。
「……」
ギルダは思いつめた表情でオジサンの後姿を見ている。
(”隙を見て殺す”とか全然――)
その脳裏ではレイの言葉を思い出している。
「オジサン一ついいかしら」
ギルダがオジサンの後姿に向けて声をかける。
「二人を無事に返してね」
強い意志を秘めながら、しかしオジサンに縋るような目をしたギルダ。
ギルダ…、とエマが呟く。
「危険な旅だってわかってる オジサンにとっても…」
ギルダは、避けられない事故があるかもと前置きし、何かあって引き返す際には必ずどちらか一人は生きて帰して、と続ける。
それはお願いか? とオジサンは冷たい視線をギルダに向ける。
「悪いがわざわざ聞く謂れは…」
「いいえ私の『心づもり』よ」
ギルダはオジサンを真っ直ぐ見据える。
(させない 殺させない)
「エマとレイどちらも生きて戻らなかったら次は私がシェルターを壊します」
オジサンにエマとレイの身の安全を保証させようと必死のギルダ。
(もし事故に見せかけて殺すとか…そんなことをしたら……!)
オジサンは冷たい目でギルダを見つめる。
ギルダがエマとレイに駆け寄り二人を左右それぞれの腕でいっぺんに抱きしめる。
「絶対無事に帰って来て 一人でも死んで帰って来たら許さないんだから…!」
エマもギルダを抱き締める。
感想
いよいよA08-63へ……!
戦わずに逃げろ、というソンジュの教えに基づいて動きを制限するような嵩張る物は持っていないようだ。
エマとレイは彼らなりに最適と思われる武器を選択できたのだと思いたい。
見つかったら基本は逃げる。どうしても戦わなければならない時に戦うというコンセプトで選んだ武器のその詳細はこれから分かるだろう。
あの銃口が4つあるピストルの何を見て、あっ、と反応したのかも今後明らかになる。
あれは一体どういう反応だったのか全然推測できない。
早く知りたいところ。
ドン、ギルダ、アンナは特に心配そうで見ていてつらかった。
エマとレイの言うことが分かるだけに反対も出来ないし、彼らに頼るしかない自分たちに無力感を覚えてそうだ。
これからエマとレイがしばらくいないシェルターで何か問題が起こったら対応しなくてはいけない。
これからA08-63を目指すエマとレイとオジサンにフォーカスを当てて物語が進んでいくんだろうけど、シェルターサイドの話を見てみたいとも思う。
エマとレイを思うギルダのオジサンに対する脅しともとれる言葉はギルダが必死に考えたことなのか、その場での思いつきなのか。
「エマとレイどちらも生きて戻らなかったら次は私がシェルターを壊します」
オジサンを一番信用出来ないギルダだからこそ言えた言葉だろう。
果たして何が旅立つエマたちを待ち受けているのか。
オジサンは信用できるのか。
そもそも無事に帰ることができるのか。
次回からいよいよ冒険の開始。
以上、約束のネバーランド第59話のネタバレを含む感想と考察でした。
次回、第60話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。
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