第43話
第42話のおさらい
突如、エマたちの前に異形の化け物が出現。
捕まったら食われると必死で逃げるエマたち。
追われならがギルダが、あの化物も本に書いてあったのかエマとレイに確認する。
書いていないと答えるエマ。一行は追って来ているのは鬼だと確信する。
エマは、自分とレイが見た3匹の鬼とは違うと感じ、あれ”も”鬼なのだと知り、改めて鬼について何も知らないことを痛感する。
自分たちを食べようとしている様子を見て、あれが「追っ手」ではないと結論づけるエマたち。
子供たちは問答無用で食われるのを直感し、必死で逃げる。
ドンが左手を上げて合図をし、一行は二手に分かれて逃げる。
ドンを追う鬼は、行く手を木に遮られ、思うようにドンたちを追うことが出来ない。
子供たちの訓練された集団行動に感心するレイとエマ。
子供たちはパニックにならず、冷静に逃げる。
その様子をみてエマはレイに自分たちであの鬼をなんとかしようと提案する。
レイは子供たちやエマの体力の低下を感じ取り、鬼を何とかすることを決意。
森に射しこむ日光から鬼を地下に落とすことを思いつき、自分も手伝うというエマを制止してレイ一人で鬼を引きつける。
エマはレイの指示通り、ドンたちと合流して鬼ににおいを追われないように風下へと走っていく。
レイは鬼から追われつつ、地下に落とすタイミングを計る。
まさに落そうとした瞬間、鬼の首が吹っ飛ぶ。
本当の「追っ手」の斬撃によるものだった。
追っ手の鬼は手に持っている道具に向けて「見つけました」と報告し、首を飛ばした鬼を踏みつける。
丸腰で鬼と相対することになるレイ。
第43話
大木の陰に隠れているレイは追っ手がやってきたことを悟る。
下等種が、と首を斬り飛ばした鬼に突き刺していた剣を引き抜き、踏みつける。
(くそっ…)
レイは必死になって大木の陰から様子を伺う。
(最悪のタイミングで来やがった…)
今はもう息は無いが、あの鬼が暴れまわったからか、と追っ手が来た原因を考える。
ズドーン、と音がして、地面に穴が開く。
地下に落とせたのに、と大木の陰から悔しがるレイ。
追っ手が来なければエマたちと合流できた。
そもそもエマたちは無事なのか。
それを知らせる術もない。
(どうする)
(逃げるしかない)
しかし追っ手、敵の数は2匹だけでは少なく、そもそも一撃で首を斬り飛ばす凶悪さにレイは慄く。
レイは、鬼とは数も強さも、彼我の戦力に差があり過ぎることから、次にどう動き、逃げるかを必死で考える。
せめてエマたちが無事かどうかを知りたいレイ。
4足歩行の猟犬タイプの鬼が、巨大な鬼の死骸のニオイを嗅ぐ。
人間のニオイがしない、一匹もこいつに食われていないと直立している鬼に報告する。
それを大木の陰から聞いていたレイはひとつの可能性に思い当たり、リュックに手をかける。
直立した鬼が、そこにいるんだろう? 出ておいで、と明らかにレイの潜んでいる方向に向けて声をかける。
鬼はレイに向けて、危なかったね、化け物は退治したから出ておいで、と優しい口調で呼びかける。
レイは沈黙したまま、リュックから出したはさみを開く。
猟犬タイプの鬼が、引きずり出しますか、と直立した鬼に提案する。
直立した鬼はそれを、いやいい、と退け、再びレイに向けて、君ひとりかい? と声をかける。
しかしその心中では大木の陰に隠れるレイを上(16194)か特上(81194)かと推測し、なら無傷で捕まえないと、と算段をしていた。
「他の子はどうした?」
直立した鬼は、レイに問いかけ続ける。
レイは必死になってはさみで大木に文字を彫りこんでいる。
「わかったろう? 外で生きるなど不可能」
鬼は、反応が無くても大木の陰にいることを確信して声をかけ続ける。
「さぁお家へ帰ろう」
そこまで鬼の言葉を聞き、レイはニヤリと笑う。
(やっぱりエマ達は無事だ!! まだ見つかっていない!!)
レイの覚悟
レイの指示通り風下へと逃げていくレイ以外の子供たち。
他の子供たちは無事だった。
追っ手が見つけたのは自分一人だと確信するレイ。
レイは追っ手が自分以外の子供の行方を突き止めたがっていると推測し、とるべき手は一つだと笑う。
(奴らの注意を全て俺に引きつける!! とにかく俺だけを追わせるんだ!!)
レイは、もはやエマたちは追っ手から逃げきれないだろうから、追っ手にエマ達を狙わせないためにもエマ達の元へは戻れないと悟り、エマ達とは逆方向に逃げて出来る限り引き離す事を決断する。
(できるか? いやできるかじゃねぇ やれ!)
(死んでいいならまだ楽なんだけどな)
脳裏に浮かぶエマ達の笑顔。
口元に笑みを浮かべるレイ。
レイは、死なねぇよ、誓ったばかりだ、と自らを鼓舞する。
(俺は生きて家族を守る)
(俺を探しに来たらコレを見つけてくれ)
GO 06-32
PURSUER
大木に彫り込んだ文字をエマ達が見つけてくれることを期待するレイ。
※PURSUERの意味は「追跡者」。「(B)06-32地点へ行け、こちらは追跡者と遭遇した」という意味。
(死なねぇ……死んでたまるか)
(次はB06-32で会おうエマ!!)
レイは、追っ手にエマ達を追わせないために孤独で危険な逃避行を決断し、大木の陰から追っ手に姿を晒す。
「遅かったな みんな死んじまったよ」
黙ってレイの言葉を聞いている鬼。
その嘘は疑っていい、と口元に不敵な笑みを浮かべながら首のナンバーを見せるレイ。
「やはり81194 特上だ」
猟犬タイプが飛び掛かる体勢をつくる。
レイは、そうだ、どの道、俺を追うしかない、と心中で考え、不敵な笑みを崩さない。
「俺は黙って食われるつもりはない」
「貴様の意見など聞いていない」
さっきの猫撫で声など無かったかのように冷たく言い放つ鬼。
「捕えろ!!」
その言葉を聞いて猟犬タイプが弾かれたようにレイに襲い掛かる。
同時に直立した鬼が指笛を吹く。
レイを心配するエマ達
森に指笛のピィィィ、という音が響き渡る。
他の場所を探索していた猟犬タイプの耳にも、風下に向けて必死に走っているエマ達の耳にも届く。
耳をつんざく鋭い音に顔をしかめる子供たち。
エマ達は足を止めトライアングルに陣形を組み、360度周囲を警戒する。
何事も無いことを確認する子供たち。
ギルダが心配そうな表情をしている。
「……ねぇレイ遅くない? もう戻って来てもいい頃なのに」
ギルダの言葉に心配になる子供たち。
「何かあったのかな?」
不安げな女の子。
(レイなら大丈夫…大丈夫…!)
エマは自らに言い聞かせて、傍らの男の子の頭を撫でる。
ドンは、何かって? と誰ともなく尋ねる。
え……、と表情が固くなる一同。
「追手……とか?」
ドンが勢いよくエマを見る。
その時、レイは追手から必死で逃げていた。
その後を追う猟犬タイプ。その数は少なくとも4匹以上。
レイはチッ、と舌を鳴らして必死で森の中を駆けていく。
エマを見て、大丈夫? 顔色真っ青だよ、と声をかける男の子。
エマは大丈夫ありがとう、と頭を撫でる。
レイの様子を見てくる、と言うエマは、他の子どもたちに風下を目指すようにと続けて駆けだす。
あの獣鬼ならレイは大丈夫、でももし途中で追手に遭遇していたら、とそこまで考えて倒れるエマ。
先頭を走っていたドンがエマの異変に気付く。
倒れたエマに駆け寄る子供たち。
エマは耳の傷が開いていて、高熱を発症していた。
(いつから…? エマはずっとこんな状態に耐えながら走っていたの!?)
ギルダはエマの体を抱きながら心配そうにエマを見つめる。
「どうしよう エマもレイもこんな…」
弱気になる子供たち。
その時、何かの気配を感じ、子供たちが一斉にある方向を見る。
ズズ、と何かを引きずるような音がする。
「こっち」
姿を現したのはフードを被り、ローブに身を包んだ正体不明の何者か、だった。
「え?」
驚くギルダ。
正体不明は袖に隠れた手を水平に上げる。
「こっちよ」
その表情から笑みを浮かべているのが読み取れる。
感想
レイ絶体絶命。
あれだけ無数の猟犬タイプに追われては、まともな逃げ方ではすぐに捕まってしまう。
何か良い逃走手段はあるのか。
良い材料は、特上品であるレイは決して傷付けてはならないとされていること。
追手があの暴走鬼のような下等種でないならばレイがいきなり無残に殺されてしまうよなことはないだろう。
ただ、捕まったら終わりなのは確か。心配で予断を許さない状況が続く。
そして、病に倒れたエマがこれまた心配だ。
子供たちの逃走という精神を削る作戦を実行指揮し、ロクに休まずにここまでの道を踏破してきたエマ。
耳を切り取るという大怪我をしていることから、そこから菌が入ったのかもしれない。
複合的なダメージはエマに想定外の負荷をかけていた。
ドンやギルダがいるが、彼らも含めて、やはり子供たちの精神的支柱はエマだろう。
そのエマが気絶し、もうヤバイ、といったところで登場したフードにローブの人物。
人間のように見えるが、登場した時の「ズズズ」という何かを引きずる音は何だったのか。
手や足がローブで見えないことから、ひょっとしたら下半身が蛇のような形状をしたラミアのような怪物なのかもしれない。
この正体不明がエマ達を害するような存在なら切り抜けることは出来ないだろう。エマ達はそのくらい追い詰められてきている。
恐らく助けてくれるのだろうが、その正体が気になる。
ラミアみたいな怪物かも、と書いたが、ただの人間で、以前農場を脱出して外の世界で生活している先輩なのかもしれないし、ミネルヴァの使者かもしれない。
ミネルヴァの使者という線が一番考えられるけど、それだとちょっとご都合主義な感じもする。
いや、直立した鬼が鳴らした指笛を聞いて様子を見に来た正体不明がエマ達を見て状況を悟った結果、こうして姿を現してエマ達を導こうとしているのかもしれない。
敵なのか味方なのか分からない不穏で怪しげな引きだけど、次の話になると正体不明がいきなり可愛い表情を見せて、一気に安心するパターンもあるんだよなぁ。
そっちであって欲しい。
とにかく次が楽しみ。気になる。
以上、約束のネバーランド43話81194のネタバレ感想と考察でした。
次回第44話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。
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