第27話 死なせない
第27話 死なせない
一人で逃げろ
着々と脱走に向けての布石を打ってきたつもりだったエマ達だったが、下見の際にママにバレ、ノーマンの出荷を知らされ、さらにエマは足を折られ、絶望する。
何が何でも期日に出荷されることを知り、死を覚悟したノーマン。
しかしレイは、そんなノーマンの覚悟を断固として受け入れない。
「ノーマン 明日昼お前一人で逃げろ」
俯くノーマン。
「ごめん……出来ない」
「「却下」」
エマとレイの拒否の意思が被る。
二人のかたくなさに思わず言葉を失うノーマン。
しかし、二人はダメだと言えばどうしようもない現実も拒否できると考えているわけではなかった。
単に子供らしいワガママさでノーマンの覚悟を受け入れないわけではなかった。
「正確には明日昼一人で逃げたフリをしろ」レイが言葉を続ける。
「発信機を無効化させ、逃げたフリをして、エマの足が治るまで敷地内に潜伏しろ」
きちんと考えていたのか。しかし事はそう上手く運ぶのか。
「そして決行日に一緒に逃げる!!」とエマ。
根拠
ノーマンは逃げたフリをして潜伏し、発信機で追えないわけだから一時的にいない人間となることで下見し放題になる。
それならみんなが脱走したあとに合流することに関しても問題ない。
レイの語る今後の展望に対し警備が厳しくなるのではというノーマン。
それは問題ないと即否定するレイ。
根拠はハウスの飼育方針
「1.のびのび健全に育てる」
「2・秘密は厳守する」
だった。
のびのび健全に育てるというのは脳の発達に不可欠であり、商品である子供たちの品質維持に重要。
秘密厳守も鬼が子供に姿を見せ恐怖を与えることで脳に負担を強いることを避けたい意思があるということを意味している。
わざわざ人間の大人を使って子供たちを篤く保護するハウスの存在自体がハウス側が警備強化する可能性が薄い根拠だとレイは言う。
規則を強くすることもハウスを不穏に見せるような有刺鉄線のような対策も、塀が見るものを圧迫するまでにそびえたつような高さになることも無いという。
警備変更の可能性があるならばせいぜい見回り、飼育者の増員程度であり、その程度ならどうにでもすると必死のレイ。
塀をロープで上がれない高さにされたら、と聞くノーマンに梯子つくれとレイは即答する。
発信機を高性能のものにされたら、と聞くノーマンに位置が分かっているのだから取り出せば良いとやはりレイは即答する。
「とにかくお前が死ぬこたないんだよ」
「出荷されるしかねぇなんてまやかしだ」
ノーマンを説得
レイは必死にノーマンに訴える。
「ママを出し抜く奥の手も俺はまだ持ってる!」
だから逃げろ! というレイに「だめだよ」と拒否するノーマン。
警備だけではなく、自分が逃げたらエマやレイが代わりになる可能性がある。
ノーマンは自分の代わりに二人のどっちかが死ぬのを拒否する。
反論できないエマとレイ。
流れる絶望的な空気に反して穏やかな表情のノーマンに切なさを覚える。
「ありがとう」
「大丈夫 気持ちの整理はついている」
「明日の出荷は仕方がない 命はくれてやる」
「でもその他何一つ譲る気はない」
「負けるつもりも一切ない」
目を伏せていたノーマンは、目に力を入れて二人を見据える。
「僕は勝つ!」
「脱獄を必ず成功させる!!」
それで十分、これでいいんだというノーマンによくない! と心の中で叫ぶレイ。
みんなを死なせないためにずっと、とレイは笑顔で戯れるエマ達の輪から外れてママの側に佇む幼い自身の姿を思いだす。
しかし、エマは足を折られ、ノーマンは出荷。
「俺の6年はなんだったんだ」レイは苦悶の表情で絞り出すように吐き出す。
「ごめん」揺るがない覚悟の表情で謝るノーマン。
エマの発想
代わりに出荷されるなら足を折ったエマより俺。なら俺さえ回避しなければノーマンが……。
ついにレイは思考的に追い詰められる。
「じゃレイも足折ればいいよ」手を上げて事も無げに言いのけるエマ。
エマを見るノーマンとレイ。
「いいでしょ ねっ レイ 骨折しよう」笑顔でレイに骨折を勧めるエマ。
狂気のハウスから逃れるため、同じく狂気に身を浸しているはずのエマに暗い表情は全くない。
派手にケガをしているため、自身がノーマンの代わりになることは無いと思うと根拠を述べ始めるエマ。
門で鬼が言っていた「大事な商品」という言葉を根拠に自分たちは高級品であり、特別だから出荷の際は完璧でなければならない。
エマが怪我しているなら潜伏するノーマンの代わりはレイ。
そのレイもエマと同じく怪我を抱えれば即出荷は避けられるのではないか。
そんな馬鹿な、と驚愕し、次の瞬間には笑いだすレイ。
「その手があった!」
「よし折ろう」驚くノーマンを尻目にエマと目を合わせるレイ。
腕でも良くね? というレイにじゃ腕にしよう、と無邪気に言うエマ。
その様子をぽかーんと見つめるノーマン。
必死な二人に圧倒されるノーマン
怪我を負えば出荷されないことは確実とはいえない、というノーマン。
「じゃあめっちゃ風邪引く!」と強い意志のこもった目でノーマンを見据えながらエマは即答する。
骨折超痛いし風邪もしんどいけどいいよね、と言うエマに、おう、と事も無げに答えるレイ。
戸惑うノーマンに「それでもダメならまた別の手考える 何だってする!」と必死のエマ。
二人ともおかしい、と言うノーマンにエマは「ノーマンが死んじゃうより全然いいよ」とすがるような目でノーマンを見ながら訴える。
過去にみんなで一緒に逃げようとエマに言ったノーマン。
「みんなの中にノーマンがいなきゃ私は嫌だ!!」エマは必死にノーマンを説得する。
何があろうが、素直に死ぬという選択肢はない。みんなで一緒にここから逃げよう、とエマはノーマンの肩に手を乗せる。
「一緒に生きよう? ノーマン」
「うん……」ノーマンは強張っていた表情が氷解し、愛おしそうにエマを見つめる。そして両手で自らの顔を覆う。
ノーマンは明日、塀に上り逃げたフリをすることが決定。
警備が軽いうちに下見をすることを提案するノーマン。
(ロクな人数配置していないし巡回すらしていないはずよ)
ノーマンは気になっていることを思い出す。
気になるついでにノーマンはレイに質問する。
「レイはいつどうやって秘密を知ったの?」
ハウスの正体を一体いつ、どうやって、と続けるノーマン。
「ああ……それね」
「それは……」
「最初から」
感想
最初からって。それは地獄だなぁ。
今より幼いころからずっと逃げること、みんなを死なせないことを考えていたのだとすればレイにどれだけ悲壮な覚悟があったのか。
ママに取り入っていたのも必死の覚悟だったんだろう。
約束のネバーランド 第27話 死なせないネタバレ感想でした。次回28話に続く。
第28話へ。
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