第42話
第41話のおさらい
地上に生還したエマたち。
喜ぶ子供たちをよそに、一人森の奥から不穏な空気を感じ取るエマ。
エマは物音が聞こえた方向に駆け出すが、何も見つからない。
日光が射して寒さが解消されない限りは地下の根は襲ってこないことを確認したギルダを始めとした子供たちはほっとする。
冬の間しか根は人を襲わないし、地下に行くことは無いことが分かるが、地下に落ちて得た、「外」が未知であること、本が生きるための手引書であることが分かったことを良い傾向だと捉えたエマ。
レイはウーゴの冒険記にあった記述に倣い、玉ねぎのような形の植物を見つける。
子供たちに、これは水だと説明して、植物に傷をつけて中の水を取り出してみせるレイ。
冒険記の記述が自分たちを助けるヒントに溢れていると確信する子供たち。
勇気づけられた子供たちはエマのリーダーシップの元、森の中を進む。
ミネルヴァのペン型情報端末を起動させ、座標を確認しながら進んでいると、レイが端末の情報を見てそれが座標だと即座に理解する。
さらに暗号を解くことに成功し、ミネルヴァからのメッセージを読んだエマとレイは続けて暗号を解こうとする。
その時、森が振動し、何かが近づいてくるのを感じる子供たち。
どんどん近づいてくる何者かの気配に恐怖する。
姿を現したのは大きな顎を持つ、4足歩行の怪物だった。
エマ達はこの異形の怪物から必死に逃げるのだった。
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第42話
追ってきている怪物が鬼だと確信するエマたち
必死になって森を駆ける子供たち。
振り返らず一心不乱に走るが、一人の子供がどうしても気になって後ろを振り返る。
大顎の怪物は確実に子供たちを追って来ていた。
ギルダが走りながら、この化け物も本に書いてあるのか、とエマとレイに問う。
レイはエマに視線を投げる。頷くエマ。
レイは本には書いていなかった、と答える。
「あいつ多分鬼だ!!」
怪物――鬼がエマとレイに飛び掛かるが何とかかわす二人。
噛みついた大木を破壊する鬼。
(あれが”鬼”!!!!)
逃げながら鬼の姿を確認する子供たち。
「間違いない」
エマが確信する。
エマには背後の異形の手、顔、皮膚に見覚えがあった。
しかしエマとレイは、以前見た鬼は人型で人語を操っていたので別物だと言う。
尻尾など無く、角の生えた面をかぶり、服も着ていた。
(でも今目の前にいるのはまるで獣)
(あれ”も”鬼……)
鬼がエマに向けて舌を伸ばす。レイがエマの手を引いてすんでのところで回避に成功する。
エマはありがとう、とレイに礼を言う。
必死に走りながら考えるエマ。
鬼とは何なのか?
色んな種類がいるのか?
農園の鬼も形、大きさは3匹でそれぞれ違っていた?
どんな生き物で、暮らしているのは一体どんな世界なのか?
あれは鬼による追っ手なのかと子供が問う。
全力で俺たちを食おうとしている、と否定する。
エマは、自分の見た鬼が指の先にさえも神経を配っていたことを思い出す。
そして、追っ手なら自分たちを食べようとは絶対にしない、と追っ手ではないことに同意する。
レイは考える。
農園とは無関係であり、種類の違う鬼は問答無用で襲ってきている。
捕まれば食われてしまう。
訓練の成果
ドンが左手を上げる。
食われてたまるか、と自らを鼓舞するドン。
ドンに注目する子供たち。
ドンは上げた左手を左方向に伸ばす。
エマとレイがドンの妙な行動に気付く。
直進するドンと子供たちだったが、ドンたちと別れるように左に曲がっていく道にギルダを含めた4人の子供たちが駆けていく。
二手に分かれる子供たち。
鬼は匂いを嗅いでいる。
こっちにこい、と誘うドンの思惑通り、鬼はドンたちを追い始める。
鬼が追って来たことを確認し、ドンは自分についてきている子供たちに前だけ見て走れ、と呼びかける。
レイは、間が狭い二本の木の間を駆け抜ける。
鬼は通過できず、二本の木に挟まれる。
レイは走りながら、先行するドンを見つめる。
(2か月前より格段に動きが良くなっている)
続けて左のルートに逃げた4人を見る。
(運動が苦手な数人をギルダがいち早く離脱させた)
「このまま狭い道を抜けて引き離す!」
小さい子供を脇に抱えて、不敵な笑みを浮かべて駆けるドン。
木に邪魔されて中々子供たちに追いつけない鬼。
レイとエマは、子供たちが焦らずに頭を使って的確に逃げていることに感心する。
ドンは、追ってきている鬼は頭が良くないと感じ取っていた。
鬼に比べればノーマン、あるいはシスターの方が怖かった、図体の大きさ、強さで負けを決めつけるなと自らに言い聞かせる。
ドン、ギルダ、そして子供たちは、鬼に追われることを想定して集団で隊列を組んで逃げる訓練をしていた。
パニックになることなく冷静に逃げる子供たち。
(相手があんな化物だからってビビッて食われてたまるかよ!!)
対抗手段
その様子を後方から見ていたエマは、みんなが大丈夫だと確信し、自分とレイで鬼を何とかしようとレイに呼びかける。
レイに方法を問われるもノープランのエマ。
しかしレイはエマの判断が正しいと感じていた。
鬼は決して諦めず追って来ていて、子供たちもエマも疲れてきている。
他の追っ手からも逃げる必要があるのに背後の鬼と根競べをしている場合ではない。
(結局はあいつ自体をなんとかしねぇと)
森の中を差す日光に気づくレイ。
立ち止まり、エマに向けて何とかできるかもと言う。
まさか、とピンと来た様子のエマ。
「ああ あいつを木の根の罠に落としてやる」
二人でやろうと提案するエマに、レイは一人でやると答える。
レイが自分が犠牲になって館に火をつけようとしたことを思い出し、ダメだと表情を強張らせる。
レイは笑顔でそれを否定し、自分に出来るから一人でいいと答える。
鬼ごっこが強いのは俺とエマのどっちだとレイに問われたエマは、レイが強いと返す。
レイは、俺に任せろ、必ず戻る、とエマの肩に手を置く。
自分が出て行って10秒経過したらギルダ達と合流して風下へ走れ、とエマに指示する。
うん、と返事をしてエマとレイは散開する。
「追っ手」の鬼
立ち止まった鬼は、自分の背後にレイが来ていることに気づく。
来いよ、こっちだ、と鬼に呼びかけるレイ。
鬼はレイを追い始める。レイは鬼に追われて逃げる。
(俺は死なない)
(あいつらも殺させない)
あと少し、と地下に落とすタイミングを計るレイ。
(さぁお前だけが地下に落ちろ!!)
突如、鬼の頭が吹っ飛ぶ。
予期せぬ展開に、え、と固まるレイ。
首を失って崩れ落ちる鬼を凝視する。
「案の定間一髪だった」
仮面の鬼がそこにいた。
追って来ていた大きい鬼の首に禍々しい剣が突き立てられている。
「見つけました 直ちに連れ戻ります」
追って来た二匹の鬼と相対するレイ。
「汚らわしい」
仮面の鬼が大きな鬼の死骸を踏みつける。
「下等種の分際でGFの商品を食おうなどと」
(追っ手!!)
レイの表情が強張る。
感想
前回大きな鬼が出現したのにも驚いたけど、まさかもっとヤバイ奴が追って来るとは……。
知能の低い大きな鬼は何とかできそうだったのに……。
この状況……。レイはどうやって切り抜けるのか。
鬼は自分の背丈ほどの、まるで鋸のような禍々しい剣を持っている。
レイには何の攻撃手段も無い。
まともに戦うという選択肢は端から存在しない以上、逃げるしかないわけだけど、じゃあ一体どうやって?
大きな鬼に仕掛けようとした地下落としをやるしかない?
仮に鬼がこの森の地下の存在を知らなくても、知性がある以上、レイの誘導に引っかかるとは思えない。
それに、ここまでレイたちを追って来れただけに足も速いだろう。
おそらく服を着た鬼が、チーターみたいな足をした筋肉ダルマみたいな鬼に乗って来たのではないかと予測。
もしそならまずに逃げきれないだろう。
これもうレイは詰みでしょ……。
先行していたドンあたりがミネルヴァに会い、助けに来るとかご都合展開はカンベンして欲しいところ。
第42話食われてたまるかのネタバレ感想と考察でした。
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