第28話 潜伏
27話のおさらい
外の世界の下見に出たエマ、ノーマン、レイの3人。
しかしママに見つかり、それは叶わず、ノーマンの出荷を知らされ、エマは足を折られてしまい、絶望的な状況になる。
諦めて出荷の運命を受け入れるというノーマンに発信機を無効化し、みんなが一斉に脱走するまで潜伏して合流すればと提案するレイ。
しかし自分の代わりにエマかレイが出荷されるとノーマンはそれを固辞。
ノーマンを説得する術に窮したレイをエマは「骨折すればいい」の一言から、体調を出荷に適さない完璧な状態(骨折・風邪など)に意図的になることで出荷を避ける術を提案してレイとノーマンを救う。
共に生きて逃げることを誓い合った3人は改めて潜伏作戦の実行を決意。
ノーマンは以前から疑問だった「いつどうやってレイが農場の秘密を知っていたのか?」という疑問をレイにぶつける。
レイは「最初から」と答える。
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28話 潜伏
最初から
レイは、秘密をしっていた時期を最初からとノーマンとエマに言う。
その理由は幼児期健忘と呼ばれる、赤子の頃からの記憶を忘れる人体の機構が働くことがなく、はっきりと覚えているためだった。
幼児期からの記憶があるレイは、生まれてから孤児院に来る1年間のことを全て覚えていた。
孤児院で成長するとともに自らの内に育つ自分の記憶と置かれた状況の矛盾を、書物が読めるようになることで理解し始めたレイ。
レイは『現実』が虚構であることを知る。
6歳の誕生日に直接ママに確かめて、その際のママの一瞬驚いた反応によりレイは真実を確信。
レイはママに自分を殺すか、そうでなければ取引をしたいともちかける。
「それだけの話さ」と何でもないようにエマとノーマンに言うレイ。
条件
それをどれほどの苦悩だったか察するエマ。
レイは、以前ノーマンに提示していた「全員をあきらめろ」という条件を守り切ると判断出来たら話すつもりだったと言う。
エマは、条件とは何か? と疑問に思う。
レイは、「ついでに分かったろ」と前置きし、本部を中心として5つの飼育場があるのがGF農園だとエマとノーマンに言う。
つまり、孤児院の門の外には5つの飼育場があり、門を越えたところで逃げたことにはならないということ。
大人、鬼がうじゃうじゃいてあっと言う間に捕まってしまう。
それは脱走が出来ないということでは、というエマにレイは即座に「違う」と否定してみせる。
門の外に大人も鬼もたくさんいる。
だからこそ商品である子供たちへの警備が甘く、警備強化は行われないのだ自信を持って言うレイ。
生きる
レイはノーマンに、ビビることなく潜伏しろ、と発信機を無効化する装置を渡す。
無効化装置は発信機の仕込まれている左耳に当ててスイッチを押すだけで効果を発揮し、ママに知られることがないという優れもの。
6年かけて、ママとの取引で得てきた様々な報酬である電子機器を分解し、部品を組み上げて作ったレイの苦労の結晶だった。
続けてレイは、今更ママにバレるリスクは考える必要が無いことから、ドンとギルダにリネン室から予備シーツを持ちださせてロープを作っており、他にも潜伏の準備は進んでいるという。
エマの骨折が治り次第脱獄することを確認し合う3人。
「ノーマンは絶対死なせない」強固な意志を目に宿らせるエマ。
「全員! 絶対生きてここを出よう」それぞれの手をとり輪になる3人。
確かな指針となる作戦と強い結束が生まれた。
いよいよ孤児院の脱獄が幕を開ける。
出荷を公表
場面は食堂。
みんなの前に立っている笑顔のノーマンとママ。
ママはノーマンの後ろに立ち、肩に手を置いている。
ノーマンの里親が決まり、明日の夜に施設を出ることが決まったと発表するママ。
小さい子供たちは急な別れに戸惑いや祝福など様々な反応をする。
シェリーは驚愕のあまり皿を落として割り、泣いてしまう。
おめでとうと口々に言ってノーマンの元に集う小さい子供たち。
シェリーも泣きながらおめでとうとノーマンを祝福する。
泣くのを我慢するような笑顔のノーマン。
「みんなありがとう」
ノーマンはシェリーを抱きしめる。
何だこれ
その様子を腕組をして見つめるママ。そのママを睨みつけるレイ、ドン、ギルダ。
ママはそんなレイに不敵な笑みを見せてから、みんなに晩ごはんを食べるように促す。
エマはベッドの上で、食事を前にしてとりあえずノーマンが死なずに済むことに安堵し、作戦の成功に思いを馳せていた。
骨折にまだ痛む足。
(こんなケガすぐ治す!!)
エマは皿を持って口にかきこむように勢いよく食べる。
(すぐ治してすぐ逃げる!! ノーマンのためにも!!)
エマたちの決意を露とも知らずに無邪気に駆け回る子供たち。
ノーマンはベッドに座り、鋭い目をしている。
立ち上がりベッドサイドの棚の引き出しを開ける。
そこにはペンのようなものと包みにくるまれた掌に収まるサイズの何かがある。
それらを手に取って「何だこれ」と疑問を示すノーマン。
翌朝。
いつも通りごはんを食べ、テストを受ける子供たち。
いつも通り、ママ、子供たちを含めたみんなの「幸せな孤児院」の時間が流れる。
木陰で木の幹にもたれているレイとエマ。
「大丈夫うまくいく」レイは冷静につぶやく。
エマは目を閉じている。
感想
レイが幼少時の記憶を全て覚えていたというのは、聞けば簡単なトリックだったけど、思いつかなかった(笑)。
幼児期健忘は実際に存在する学術用語で遍く人間には働くものだという。
レイの天才ぶりは天性のものでもあるということか。
しかも、レイが長年、一人で抱えて来たのもすごい。
誰にも相談せずにママに協力する体をとって脱走に向けて思考を巡らせていたレイの精神の強靭さには驚嘆する。
しかし、今後、警備強化がされないとしても大勢の大人や鬼から逃げなければいけないことは確か。
レイにはそこを突破するための考えがあるのだろう。
……本当に警備強化されないのかなぁ?
可能性は考慮しておくべきだと思うんだよね……。
ここが計画の綻びになったとしたら致命的だ。
ノーマンがシェリーを抱きしめたシーン。
このあたりのシーンでは色々思うところがあった。
様々な反応があってから最後にはみんなでノーマンを祝福する流れは、皮肉にもGF農場で子供たちが健全に育っていることの証左だよなあ。
長年少しずつ機械の部品を集め続けてきたレイ。
さながら映画「ショーシャンクの空に」を髣髴とさせる、絶望的な状況下での地道な脱獄への努力の積み重ね。
こういうエピソード好きなんだよなあ。
レイはどんだけ出来る子なのか。頼もしい子だけど脱走してから負担が大きそう。物語から早期退場、なんてことにならなければいいけど……。
エマのケガが治り次第、子供たち全員の脱走劇が始まるのか……。
どうやって小さい子供たちを逃がすのか。どんな方法をとるのかがすごく楽しみ。
ノーマンが姿を消し、いよいよ潜伏を開始する。
ついに孤児院の均衡が崩れた。
夜に出荷の予定だったのがノーマンが昼には姿を消しているように見える。
これは、子供たちも何かしら異変を感じ取ってしまうのではないのか?
それとも大事にしたくないママが子供立ちに孤児院を出るのが早まったとでも言うのだろうか。
次回が楽しみだわ。
以上、約束のネバーランド 第28話 潜伏でした。次回29話に続く。
第29話へ。
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