約束のネバーランド 最新第177話母親ネタバレ含む感想と考察。イザベラの最期。

第177話 母親

第176話 ただいま!のおさらい

安心

フィルは目の前にいる女の子がエマであると気付き涙を流す。

互いに駆け寄り抱き合う二人。

遅れてギルダたちもやってくる。ドンに抱き着いたあと、フィルは意外な人物がいる事に気付く。
「ノーマン…!!?」

フィルはノーマンから弟妹を守ってくれてありがとうと言われ、自分には守れなかった兄姉もいると罪悪感に駆られる。
しかしその心の内を理解し、そっとフィルの頭を撫でたのはレイだった。
「辛かったろ ごめんな ありがとうな」

「もう大丈夫 大丈夫だからな」

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大声を上げながらフィルはレイに抱き着く。
二人を囲み、優しい眼差しを向ける仲間たち。

その光景にフィル以外のGFの子供たちが気付き始める。

「シェリー」

「えっウソ…エマ!!? 皆…」
エマが自分の名前を呼びながら、にこやかに手を振るのを見て、シェリーは目を輝かせる。
「ノーマン」
ノーマンに抱き着く。

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(どういうこと…?)
しかしこの異常事態にシスターは困惑していた。
「これは一体…」
そしてシスターはイザベラに気付く。

GFの子供たちもイザベラの姿に驚いていた。

「私達はもう自由なのよ」
イザベラは硬直しているシスターに、農園が全て廃止となった、もういいと端的に説明する。
(私達のしてきたことは決してなかったことにはならない けれど)
「これからはもう ただ普通に愛せるのよ」

イザベラの言葉、そして態度により全てを察したシスターはイザベラの胸に顔を埋めて泣くのだった。

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鬼の反撃

農園廃止というレウウィスの命を受けた鬼たちが、農園を管理している鬼を捕縛していく。

農園の鬼やGFの敷地外の王兵は抵抗の意思を見せるが、、レウウィス大公に逆らうのかと言われたちまちおとなしくなっていく。

エマは農園システムの終わりを噛み締めていた。
GFのみならず、GB、GV、GRや他の農園も全て廃止されるのだと感慨に浸る。
その脳裏ではかつてGFの真実を知り、脱出するために行動していた頃の自分たちを思い出すのだった。

(「置いてけない」)
これ以上家族が死ぬのは嫌だと泣くエマ。
エマはそれは無茶な理想だとわかっていたが、諦めることを拒否していた。
目的の達成にくじけそうになったこともあったが、仲間のおかげでここまで来れたとエマは胸を張る。
エマはすぐそばに、ユウゴやルーカス、そして他にも犠牲になった仲間たちの姿を感じていた。
これで人間の世界に行けるのかと問うフィルに、うん、行けるよと答える。
(全農園の全食用児 子供も大人もみんなで やっと…! 遂に…!! 人間の世界へ!!)

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喜び騒いでいた子供たちの背後に、いつの間にか鬼が立っていた。
鬼はじろりと子供たちを睨みつける。

鬼に気付いた子供たちは蜘蛛の子を散らしたように鬼から逃げていく。

すぐに鬼に対処しようと反応するエマだが、銃を下ろしていたので攻撃手段が無いことに気付く。

「私の農園 私の人肉だ」
鬼は必死で逃げていく子供たちに爪を突き立てようとしている。

エマは鬼から逃げ遅れた子供を助けようと、子供の元に丸腰で駆けていく。

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慌てて銃を構えるレイ。
(「間に合え!!」)

エマは子供を救おうと、鬼に向かって飛び込んでいく。

鬼に向かってレイが銃弾を放つ。

逃げ遅れた子供を守るため、その体に覆いかぶさるエマ。

何も傷を負っていない事に気付き顔を上げると、そこには鬼の爪を胸に深々と受けて止めているイザベラの姿があった。

驚愕した表情で、イザベラの胸を貫いた爪から滴る血を目の前で見つめる。
「…ママ?」

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第176話 ただいま!振り返り感想

気の緩みを突かれた

うわぁぁぁぁ……。

めでたしめでたし! では終わらせてくれないのね……。

途中まで油断しきってたわ。もうこれで、少なくとも鬼の世界においてはエマたちの障害になるものなど何もないと……。

目標を達成できる喜びに浸っていたエマたちが、やけになって襲ってくる鬼がいることを予期できなかったのは仕方ない。
3年近くもの間目標としてきたことが今まさに成し遂げられようとしているのだから、そりゃあ気も緩む。ましてや子供だし。

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農園管理者としての立場を失い、やけになって子供を食い尽くそうとした鬼による一撃を、イザベラママはエマの盾となって胸で受け止めた。
これは間違いないく助からないだろ……。爪の一本一本が刀みたいな形状と大きさで、それが三本も胸を貫いている。

せっかく和解して、これから互いに関係を構築し直すことも出来ると思ったのに、運命はそれを許さなかった。
悲劇だわ……。気持ちが沈む。

しかしイザベラママからしたら、この結末は実は本望だったのかな……と思った。

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母親になったイザベラ

彼女が自覚している通り、エマたちに行ってきた仕打ちはひどいものだった。
偽りの愛情で子供たちの信頼を得て、ある程度成長したら適当な時期に施設を出られると子供を騙し、鬼に子供を供出する……。

このような所業は、鬼畜と呼ばれてもしょうがない。自己嫌悪も相当なものだったのではないかと思う。

そんな、もはや拭いきれぬ罪を背負ったイザベラにとって、たとえエマたちが自分を許し、受け入れてくれようとも、きっと自分自身が許せなかったのではないか。

イザベラママが身を挺してエマを守ったことは、その罪滅ぼしになっただろう。
エマや、エマを死なせずに済んだレイやノーマンをはじめ仲間たちにとっても、イザベラママを失うことは悲劇だ。
しかし彼らは今後、イザベラママを思い出すとき、かつての敵ではなく、最期にエマを救ってくれた母親として、感謝の念を持ってその顔を思い出すことになるだろう。

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イザベラママが自分を顧みずにエマを助けた事は、エマたちの心に「自分たちには確かに母親がいた」と心に刻みこむのに十分だと思う。

フィルたちの面倒を見ていたシスターが、「これからはもうただ普通に愛せる」と説明したイザベラママに縋りつき、声を上げて泣いた。他のシスターは、泣いているシスターの感情の同調するように、その光景を何とも言えない表情で見つめていた。
これはイザベラママに限らず、他のシスターたちもまた子供を騙すことが苦しかったことがわかる。

エマたちの母親となったイザベラママの尊い犠牲は、他のシスターたちの今後の生き方や、子供たちからの見方にも大きな影響を与えたのではないか。

次号は号泣必至かな……。

前回第176話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

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第177話 母親

エマを守ろうと懸命なイザベラ

イザベラはエマたちに爪が向けられないよう、胸に刺さった爪を腕で抑え込む。

鬼は必死の形相で自分を睨みつけて来るイザベラに対して、何の真似だと問う。
「今更母親ぶって それでこれまでの自分が許されると思っているのか」

「お前は母親になどなれない」
鬼は爪を引き抜こうとする。

(どうでもいいのよ そんなこと)
イザベラは鬼の腕を抱えて、爪が抜けることを阻止していた。

鬼は腕が動かせないことに驚く。

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「くそっ!」
レイは鬼に向けて銃を構える。
(次こそこの一発で――)

しかしギルダに、今撃ったらママの体にも衝撃が伝わってしまうと指摘され、レイは発砲を踏みとどまる。

「私は認めん! 農園のない世界など!! 貴様から食ってやる!!」

イザベラに襲い掛かる鬼。
レイは銃を構える。

しかし次の瞬間、鬼は切り裂かれていた。
レウウィス大公の命を受けた鬼が、背後から斬撃を加えていたのだった。

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謝罪

仰向けに倒れたイザベラを子供たちが取り囲む。

子供たちは口々にイザベラに声をかける。

イザベラがエマに訊ねる。
「エマ無事? みんな…誰もケガはない…?」

ケガをしていないという返事に安堵するイザベラ。
続けて、ごめんね…と呟く。

(ちゃんと生きて人間の世界へ行こうと思ったのに)

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エマは呆然とイザベラを見つめていた。
子供たちの中には既に泣いている者もいる。

(ごめんね こんなずるい死に方をして)

今助けると必死に声をかけるギルダ。
その隣でエマが叫ぶ。
「ママ! 死なないで」

イザベラはそっと両手を伸ばして、エマの頬に触れる。

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イザベラの愛が本物だったと自覚する

エマはイザベラに疑念を抱いてから、彼女を敵と捉えていた。
しかし農園の外に出てからイザベラについて思い出すのは、あくまで優しい母親としての姿だった。

エマはそれについて何度も考えた結果、どうしてなのか理解していた。
(ママの優しさが 愛情が全部本物だったから)

エマは、かつてイザベラから、絶望に苦しまず一番の方法は諦める事だと伝えられた時のことを思い出す。
イザベラも人生を諦めず、逃げたかったはずだが出来なかった。つまりイザベラもユウゴと同様に、自分たちが辿ったかもしれない運命に翻弄されていたのだとエマは同情していた。
出荷されてしまった子たちのことを思うと飲み込めない気持ちもあったエマだったが、涙を流してイザベラに自らの想いを伝える。

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「やっぱり大好きなんだよ 私達みんなママのことが大好きなんだよ」

子供たちは皆、泣いていた。

「どれだけ辛くて裏切られてもママが自分自身をゆるせなくても私達にとって母親はママだけなんだよ」

エマはイザベラを抱きしめる。
「逝かないでよママ…!! お母さん…!!」

「ママ」

「ママ…!!」

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イザベラの最期

子供たちが泣いている姿に、イザベラは涙を流していた。
(ああ…生きたい 生きてちゃんとこの子達に償いたい)

声は出ず、体も動かない。
さらに視力も失われようとしていたが、イザベラは体を動かそうとする。
(神様 神様 お願いします もう少しだけ力をください)

(あと一度 一度だけこの子達を抱きしめる力を)
イザベラは優しく微笑み、両手で子供たちを抱きしめる。
「だぁいすきよ」

子供たちは涙ながらに、僕も、私も、と返事をする。

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(あなた達ならきっと大丈夫よ 人間の世界がどんなところでも)

「レ…イ…」

最後の力を振り絞るようにイザベラに呼ばれたレイ。

「ごめんね…」
レイがすぐそばにいる。
しかし視力の失われたイザベラの目の照準はレイに合うことはなかった。
(子供らしく甘えさせてあげられなくて 12年 呪いたい人生を歩ませてしまって)

「家族を…お願い」
イザベラの両手がレイの頬に触れる。
(だぁいすきよ)

「ママ…」
イザベラの手をとるレイ。その目からは涙が溢れていた。
「母さん…!」

イザベラは眠るように息絶える。

イザベラの躯を囲み、子供たちは泣いていた。

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第177話 母親感想

辛すぎる

今回の話は涙を禁じ得ないでしょう。

あと少しで人間の世界に行けたのに……。
そこでのイザベラとの新しい生活を、エマたちは楽しみにしていたはずだ。

しかしこの結末……。もうすぐ目的を達成できるという喜びの頂点から一転、地獄に突き落とされたような気分だろう。

しかしイザベラにとっては、一定の満足が出来る結末だったのかもしれない。

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もし生きて人間の世界に行ってエマたちと生きる事になったら、イザベラは、エマたちに終生償い続けていただろう。

おそらくエマたちは気にしなくても良いと口々にイザベラに伝えるだろう。
それでも、かつて心を殺して可愛い子供を鬼に差し出していたイザベラにとっては、その忌まわしい所業は悪夢となり、決して振り払えるものではないと思う。

むしろ平和に身を置く事で、時を経るにつれてかつて自分が犯した過ちに対する自己嫌悪が強大になり、苦しむことになったかもしれない。

そんな状況で、果たして心の平穏が得られたかどうか。

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イザベラが自分の末路に関して、ずるい死に方、と表現し、エマたちに心の内で謝ったのが印象的だった。
その時のイザベラの様子が、安堵して見えるのが悲しい。

果たしてそんな心境で、人間の世界で穏やかな日々を送れるようになったとしても、イザベラにはその生活による幸せを享受できただろうか。

悲しいが、イザベラにとっては自分を犠牲にしてエマを救うことは、彼女にとっては救いとなった面があるというのは確実ということだ。

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もしイザベラがエマたちを見事に捕え、ピーターがその褒美として彼女に食用児としての人生ではなく、人間としての自由な立場を与えられたとしても、イザベラが心の底から幸せを得ることはなかっただろう。

きっと、愛情を込めて可愛がってきた子供を鬼に差し出さなければならないという過酷な仕事は、イザベラから幸せを享受する権利を奪っていたのだ。

最後の力を振り絞って子供たちを抱き寄せ、自らの愛を示したことは子供たちのその後に大きな影響を与えるだろう。

きっと子供たちはイザベラから、自分は確かに愛されていたという確かな実感を得られたと思う。

以上、約束のネバーランド第177話のネタバレを含む感想と考察でした。

第178話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

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