約束のネバーランド 最新第173話prisonersネタバレ含む感想と考察。兄を理解したピーターのとった行動。

第173話 prisoners

第172話 自由のおさらい

反撃の機会を狙うピーター

「頼む 撃たないでくれ」
エマたちに追い詰められたピーターは両手を挙げて降参する。

しかし脳裏ではここからエマを殺害し、鬼の首領との約束が履行できない状態にして食用児を道連れにする絵を描いていた。
(パパと一緒に死のう 食用児共よ)

口では自分の非を認めながらも、徐々に接近してくるエマを待ち構えるピーター。

「あなたを殺すつもりはない」
エマはピーターに向けていた銃を下ろす。
「私達はあなたと話をしに来たの」

ピーターはエマの意外な態度に思わず呆気にとられていた。

「不可侵不干渉」
エマはピーターに、自分たちがラートリー家に報復を行わない代わりに、食用児が人間の世界で自由に生きることを認めるよう持ちかける。

(バカだ…!! こいつ…バカだ!!!)
それを聞いて、どこまでも甘いとピーターは内心でほくそ笑んでいた。
そして、僕を許してくれるのか、とエマに問いかける。

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許せない

GF潜入前、エマは仲間たちにラートリー家に勝利してもピーターを始めとした敵を殺さないように方針を示し、ジリアンに猛烈に反対されていた。

エマはあんな奴らを許せるのかとジリアンに問われ、許せるわけがない、憎い、と返すエマ。
ユウゴやルーカスのこと、シェルター襲撃時に殺されたメアリーたちのこと、ノーマンたちに対して行った実験、ラートリー家が主導したという猟場の存在、そしてそもそも農園や食用児のシステムを作ったこと全てが許せないとエマは憤っていた。
さらにクリスもまだ目覚めていないと頭を抱える。

「僕を…許してくれるのか…? まさか…この僕を…」

「許せない」
エマは怒りを憎しみを湛えた表情でピーターを睨みつける。
しかし、殺して解決で終わらせたくないと言って、噛み締めるように続ける。
「憎んだり恨んだり恐れたり そんなのもう嫌だ!」
エマは自分たちが自由になりたいだけであり、これ以上何にも囚われたくないのだと主張するのだった。

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「『自由になりたいから』」
ラートリー家を許すというエマの方針を受け、ノーマンが呟く。

「許せないけど許さないと本当に自由にはなれないんだよなぁ…」
ノーマンに続くナイジェル。

沈黙する仲間たち。

わかった、とオリバー。
「でも話の通じる相手じゃないと思うぞ」

「それでも対話を…話し合うことを放棄したくない」

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ジリアンはそんなエマの言葉を甘ったれの綺麗事だと指摘した後、ニヤリと笑う。
「上等じゃん できるとこまでやってみましょ」

さきほどまで猛烈に自分の方針に反対していたジリアンの180度違う反応に驚くエマ。

「ここまできたんだもん とことんやりましょ」

仲間たちはジリアンとエマを笑顔で見守っていた。

「私達の大事な未来だもの 悔いは絶対残したくない」

ジリアンの言葉に、笑顔で頷くエマ。

(目的はあくまで勝利と対話)

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一緒に生きよう

エマたちに敗れ、廊下に倒れていた鬼たちが気を取り戻す。
自分たちが死んでいないことを不思議がる鬼たち。

エマは、鬼は生きるために食べているだけであり、ママ達もまた生きるために自分たちを鬼に差し出していただけであり、初代ユリウス・ラートリーも戦争で死ぬ人を見たくなかっただけだとピーターに切り出す。
「私達だって他の命を殺して生きているしママ達やユリウスの恐怖や苦しみも他人事じゃない それを”弱さ”だって責めることなんて私にはできない」

そしてエマは、鬼が人間を食べなければ友達になってくれるのか、自分がラートリー家に生まれたら食用児に何かできたのか、ピーターがGFに生まれたら友達になれたのかを考えてみた、と前置きして続ける。
「立場が違うから争って貶めて憎しみ合って でもそれぞれの立場を差し引いたら…そうやって考えたら本当は皆憎み合わなくてもいいんじゃないかな」

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あなただってあなたの正義で世界を守ってきたんでしょう? というエマの問いにピーターは真剣に耳を傾けていた。

エマはピーターが許せないとしつつも、ラートリー家が食用児に犠牲を強いたことで人間の世界が1000年守られたこと、そして実の兄の命を奪ってでも”約束”及び世界を守ることなど、ピーター自身にしかわからない苦しみがあっただろうと続ける。
「生まれた時から運命を背負わされているのはあなたも同じなんだよ」

自由になろう、とエマは必死で訴える。
「私達は皆囚われている」

「鬼も人も…そう調停者も食用児も」

「でも世界は変わる もう変えられる」
エマは銃を捨て、ピーターに手を差し伸べる。
「変わろう 1000年の苦しみを今終わらせよう」

「一緒に生きよう ピーター・ラートリー」

ピーターはエマの主張に圧倒されていた。

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第172話 自由振り返り感想

ピーターの選択は?

これ、エマ大丈夫なのか……?

ピーターにはすでに破滅の未来が決定している。
だから最後にせめてエマを道連れにすることで、食用児たちに一矢報いようとしているわけだ。

エマたちの圧倒的な優位は、ピーターからしたら絶対に避けられない死を意味していたのだろう。しかしエマたちは自分を殺さず、ただ自由を求めるのみだった。

エマはピーターを殺すどころか、食用児からすれば最大の敵であるはずのピーターさえも自分たちと一緒に生きようと呼びかけた。
敵である自分さえも包み込もうとするエマの主張は、ピーターにとって意外だったようだ。

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だからこそ完膚なきまでにやられて死を覚悟していたピーターの心に思いの外、響いているように見える。
今はまだ気づいていないようだが、実は鬼すら殺していなかったと知ったらさらにエマの主張に真実味を感じていたはずだ。

ピーターは袖のナイフでエマを刺す機会を窺っているが、果たして握手を求めて近づいてきた彼女に対してどう応じるのか。

まさかここで反撃に出るのか?
もしエマを害すればたちまち他の食用児の銃の餌食になる。
自分がかわいいのであればエマの手をとらざるを得ないだろう。

それに前述したようにエマの主張はピーターに響いていた。
人それぞれ立場があり、それぞれが責務を果たそうとした結果が現在だとエマは言った。

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食用児である自分たちは、食料になってしまう運命に抗い、必死に生きようと鬼やラートリー家と敵対を続けた。
鬼は退化を避けるために食用児を摂取しようとしていた。
ラートリー家は人間の世界の秩序を守るために、1000年前に鬼との間で結ばれた”約束”を遵守しようとしていた。

ラートリー家に生まれついたピーターにはラートリー家の責務を果たすことを生涯宿命づけられており、それがどんなに辛いことかとエマは彼を思いやってみせた。

おそらくそれは、ピーター自身が分かってもらいたかった気持ちだったのではないか。
きっと周囲にいる人間は誰もピーターの孤独を分かろうとはしなかっただろうし、そもそも気付かなかった。

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それぞれの立場を考えれば憎み合わなくても良いというエマの言葉は綺麗事だなどと断じたくはないなぁ。
その考え方は実は合理的であり、その先には全ての立場にメリットがある。そんな優れた考え方だと信じたい。

エマの心はピーターに通じるのか。それとも食用児は自分に隷属すべきとして、ピーターはナイフをエマに突きつけるのか。

しかし、エマの主張の中でコロナウィルスによる差別の光景も密かに盛り込んでいるのは連載漫画の強みだな……。一刻も早く終息することを願いたい。

前回第172話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

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第173話 prisoners

真実

ピーターはラートリー家の使命は世界を守っており、それが栄誉であり、誇らしいことだと信じていた。
そして当主である兄のジェイムズをどんな偉人よりも尊敬し、慕っていたピーターは、生涯兄の片腕として役に立つことが使命だと思っていた。

しかしある日、ジェイムズがユリウスが密かに遺したらしき真実の記録を発見してから全てが変わっていく。

記録には、”約束”がユリウスによる戦友の裏切りを元に締結されたもの、食用児の祖先は人間と鬼の和平に反対した悪党ではなく、ユリウスの戦友や逃げ遅れた民であることが書かれていた。

これまで自分たちが知らされてきたのとは違うラートリー家の成り立ちを信じたジェイムズは、今も秩序のための犠牲を強いられている食用児の存在に罪悪感を覚えるようになるのだった。

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しかしピーターはそれを知ってもラートリー家の使命に意義を見出していた。
大切な戦友を裏切ってまで世界を救ったユリウスは英雄で、その子孫であるラートリー家は崇高な使命を持った一族だと笑顔を浮かべる。

しかしジェイムズはそれを否定する。
「これは”罰”だよ そして”呪い”だったんだピーター」

以降、ジェイムズはラートリー家の使命に反し、食用児を解放するべく活動を続けていた。

ピーターはジェイムズのあとを継ぎ、ラートリー家の当主となっていた。
ラートリー家の使命を否定する兄をなんとか止めないといけないと考え、かつてのユリウスの様に。兄を裏切り者として粛正することを決定するのだった。

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ジェイムズを仕留めたと部下から知らせを受けて、その死体を確認するピーター。
死体が確かにジェイムズのものだと確認すると、部下に彼の最期の様子を訊ねる。

「笑顔であなたに『すまない』と伝えてくれと」

その言葉に、ピーターは泣き叫びながら兄の死体を抱く。
それ以来、ピーターは歪んだ秩序であっても、兄の分までラートリー家の使命を果たすことを誓うのだった。

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兄の気持ちを理解するピーター

「自由になろう」

エマから説得を受ける内に、ピーターは自分がラートリー家の運命に縛られていることを自覚しつつあった。
同時に、自分がこれまで信じて行ってきたそれは崇高な使命であり、ラートリー家は栄誉ある一族だと自ら言い聞かせようとする。
(僕は正しい 使命は”罰”じゃない まして”呪い”ではない!!)

(きみもししそんそんこのうんめいのうずのなか)
かつて鬼の首領に言われた言葉が脳裏に浮かぶ。

ピーターは、兄を殺してまで世界を守ったことが呪い、そして罰であったことや、ラートリー家の1000年が無意味であることを必死で否定していた。

(「すまない」)
兄が最期に遺した謝罪の言葉の先にあった意味を想像する。
(ごめんねピーター 君に背負わせてしまった)

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「変わろう」
1000年の苦しみを今終わらせよう、とピーターに手を差し伸べるエマ。

ピーターは兄が自分に課せられた運命に抗おうとしていたのか、自由になりたかったのかと考え続けた先に一つの答えを得る。
(僕を自由にさせたかったの?)

「一緒に生きよう ピーター・ラートリー」

ピーターは寂し気に笑う。
「殺せばいいのに共に生きようなど…馬鹿共め そんなだから食い物にされるんだお前達は」

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「鬼などまだ可愛いものだぞ」
そしてピーターは、人間は人間を食わないが、鬼が食用児にしてきたようなことを遥か昔から繰り返して来ていると前置きし、敗北宣言を行う。
「どこへでも行け 好きにしろ お前達の勝ちだ」

「だが一つ覚えておけ 人間の世界も変わらない なぜなら鬼は人間の鑑だから」

そして『コードSolid』と叔父に告げるように言うと、左袖からナイフを取り出す。
「やれるものならやってみろ 見物だ 人間の世界で食用児がどこまでできるのか」

ピーターが見せたナイフにエマたちは驚いていた。

「悪いが僕は一緒には行けない 新しい世界とやらは地獄の涯から楽しませてもらうよ」

ピーターのこの後の行動を察したエマは彼の元に駆け寄る。

ピーターは首にナイフを突きつける。
「さらば」
噴き出す鮮血。

「ピーター!!」

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第173話 prisoners感想

使命が決して崇高なものではないこと、そしてこれまでやってきたことの無意味さを自覚したことで、ピーターは今後生きる価値を見出せず、また生きていける自信もなかったということなのだろうか。

エマたちへの贖罪としてけじめをつけたというよりは、自分のこれまでの歩みが間違っていたのを理解したことが原因ではないかと思う。

最も大きかったのは兄を殺してしまったことかな……。
兄は自分のためではなく、ピーターのためにラートリー家に課された使命を断ち切ろうとしていた。
そんな兄を殺してしまったことが耐えられなかったではないか。
潔い最期といえばそうなんだけど、何だか悲しいよな……。

ピーターが最後にエマに伝えた、コードSolid。
叔父は、次にラートリー家の舵取りを行う立場にある人間なのかな?

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話の流れから、おそらくコードSolidは”約束”を破壊する自壊装置に相当する命令ではないか。
もしそうだとしたら、叔父がそれを実行するのか?
ひょっとしたら叔父はジェイムズと同じく反ラートリーなのか?

”約束”が崩壊したら、ラートリー家もまた権力、権威を失う。
それを嫌ってエマに反発……などという展開があるのだろうか。

最大の敵ピーターを倒して、これからエマたちはいよいよ人間の世界に向かうことになる。

気になるのはエマが鬼の首領と結んだ新しい”約束”だ。

それが果たしてどういう内容なのか、そしてこれからエマたちは何事もなく人間の世界に渡れるのか。

そして王と五摂家を失い一時は混乱した鬼の世界はどう落ち着くのか。

次回が楽しみ。

以上、約束のネバーランド第173話のネタバレを含む感想と考察でした。

第174話に続きます。

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