たかが黄昏れ第4話の感想(ネタバレ含む)と考察。男がかつて絶滅危惧種に認定されていた? じわじわと明らかになっていく世界観。

第4話

第3話のあらすじ

外からビイイイイ、とブザーが鳴る音がする。

 

夢から覚めたひなたは、自身が泣いていたことに気付く。

 

”敵襲”という声と共に二段ベッドの上段から妹が降り、スリングショットを手に、ゴーグルを掛けてらひなたに呼びかける。
「お姉ちゃんっ! 戦闘開始だよっ!!」

 

そして、ぶっ殺したらぁ!! と叫びながら外に向かう妹。

 

外には年配の女性が数人いる。

 

あるお婆さんは車イスに座っているお婆さんに、配給が来たよ、と声を掛けている。

 

「若葉! カタキを討っておくれ。」
お婆さんがひなたの妹――若葉に声を掛ける。

 

スリングショットを空に向かって引き絞る若葉。

 

ビイイイイ、という音を響かせていたのはドローンだった。
若葉たちに向かって飛んでいくドローンの下部にはケースがある。

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それ狙うように、カラスが数羽飛んでいる。

 

若葉はドローンを狙うカラスに向けてスリングショットを空に放つ。

 

その一撃はミスショットとなるが、直後にカラスに別の弾がヒットする。

 

若葉が隣を見ると、中年の女性がスリングショットを引き絞ってる。
「よそ見すんなっ、攻撃しなっ!! 配給がダメになんよっ!!」

 

若葉は素直にそれに応じ、スリングショット構える。

 

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ドローンは無事に女性たちの待つ地点に降下する。

 

小さなコンテナを地面に置いたあと、再び飛んでいくドローン。

 

配給物資を得て、ひなたは自宅へ帰る。
コンテナの中身はほぼ野菜だった。

 

干しイモあるじゃん、と笑顔のひなた。

 

若葉は、銃を所持できるのが何歳からなのかとひなたに訊ねる。

 

ひなたは、16歳とかじゃね? と素っ気なく答える。

 

「早く銃持ってカラス皆殺しにしてえ。団地の平和は私が守るっ!!」

 

 

うおおおお、と吠えながら駆けていく若葉を背に、ひなたは干しイモを口にしつつ学校へと向かう。

 

(学校行くのやだな… 干しイモうまい。)

 

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外に出た二人は、別々の方向に向かう。

そしてひなたは、何かを食べながら走って学校に向かうと曲がり角で違う性の人とぶつかる、というフィクションのテンプレート的展開をふと思い出し、干しイモを口に咥えたまま走り出す。

 

広い通りに出たひなたは左右に顔を振って通りを確認する。
しかし通りには中年以上の女性しかいない。

 

はぁー、と長い溜息をつくひなた。

 

「あんた、ボーっとつっ立って大丈夫かい?」

 

お婆さんから声をかけられ、大丈夫です、と笑顔で答えるひなた。
再び学校に向かって歩き始める。

 

「ふー ガキは私か。」

 

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前回、第3話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

第3話

近道

ひなたは通学路である商店街を走っていた。

 

しかし商店街を抜けて歩道に出ると、走るのをやめて徒歩に切り替えるのだった。
(もう見晴らしが良すぎて、ぶつかれる十字路がない…)

 

トボトボと元気なく歩いていると、後ろから低速のバスが走ってくる。

 

そのバスの窓際の席に、ツインテールの友達が乗っている。

 

乗るならバス停めてもらうよ、というツインテールからの申し出をひなたは、近道を通っていくから大丈夫、と断る。

 

走り去っていくバスを見送ったあと、ひなたは再び歩き出す。

 

ふぅ、とためいきをつくひなた。

 

田んぼに囲まれた未舗装の道に視線をやると、ひなたはそちらの方へと進路を変更してまたトボトボと歩き出す。

 

 

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一面に植物が生えた土地に、鹿や猪の出没注意を促す看板が立っている。

 

その看板を見ながら、これは”オス”だよね、と考えるひなた。
(動物の「オス」は問題なくて、人間の「それ」はダメってなんなんだ?)

 

ひなたは未舗装の砂利道を歩きながら思考を続ける。

 

(私が生まれて17年間、日本から……「男」がいなくなって17年。学校の旗ポールの国旗はずっと半旗のままだ。)

 

(ずっと求めてるくせに、なかった事にしようとしている。)

(そして私たちは「ゼロ世代」なんて呼ばれている…)

 

ひなたは前方に、左手で松葉杖を使って歩いている同じ制服の女子生徒に気付き、おはよー、と声をかける。
「楓…さん。…ちゃん?」

 

 

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楓

「おはよ。呼びすてでいいよ。」
振り向いたショートカットの女の子は右目に眼帯をしている。

 

えーと、じゃあ、と少し逡巡して、ひなたは歩きながら楓に問いかける。
「楓はバス乗らないの? いつも遅刻じゃん。」

 

楓は前を見つめて歩きながら、んー、とワンクッション置いてひなたに視線を移す。
「……左側に立たれると、なんかダメなんだ…」

 

ああゴメン、と楓の右に位置を移動するひなた。

 

「ありがと。よく見える。」

 

ひなたは楓に礼を言われ、ん、とだけ返事をする。

 

「目の下のキズ治ったんだね。」
楓はひなたの左目の下を見つめながら問いかける。

 

「あー、こんなの。」
楓を一瞬見て、ひなたはすぐに前に視線を戻す。
「かすり傷だし…」

 

「先週は大変だったね。痴情のもつれで殴られて。」

 

 

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ひなたは、笑顔で声をかけてくる楓に、もつれてないっ! と仏頂面で即答する。
そして、私、全く関係ないんだけど、と付け加える。

 

「もつれてにゃい!」
楓は変顔を作ってひなたの真似をする。
そして、フフフ、と笑ってから、似てた? と問いかける。

 

全然似てない! とムキになって否定するひなた。
話題を切り替えようと、楓に何故バスに乗らないのかと質問する。
「ここら辺猪出るんだよ? 襲われたらどーすんの?」

 

楓はまた、フフフ、と笑ってから、確率でせんたくしてるだけ、と答える。
「猪に出会う確率とバスで転倒するのを比べたら後者が確率高いからね。」

 

「猪に股くぐられて動脈切られて、出血多量で死んだ子もいるよ。」

 

ふーん、と空を見上げる楓。
「バスで転倒して女たちに囲まれるよりマシかな。」

 

 

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日本国憲法前文

そして楓もまた、唐突に話題を変える。
「ねえ、日本国憲法の前文、覚えてる?」

 

「んー? まあ ホラ あれでしょ?」
ひなたは首を捻り、思い出そうとする。

 

この間習ったよ、と言って、楓は前文を暗唱してみせる。

 

「『国家の繁栄のために女性は出産の権利及び義務はこれを保持する。政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうに、日本国民は国防軍を保持し日本国民はこれを維持するために徴兵制はこれを参加するものとする』」

 

「となると、何もできない人は、どーなるんだろうね…」

 

ひなたは、空を見上げた後、楓の顔を見つめる。
そして、すぐ目の前に小さなどぶ川があるので、先に自分が片足だけそれをまたいで、ホイ、と楓の手をとると、その体を背中側からぎゅっと抱いてそのまま持ち上げて、どぶ川を一緒に越える。

 

「痛くない?」

「ん。」

 

重くてゴメン、と楓。
「あ、オマタジャクシ。」

それ嫌味? とひなた。
「あとオタマジャクシ。」

 

 

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『姞婚』

再び並んで歩き始める二人。
「そーいう優しいとこが結婚したい女子全学年3位なのかな。」

 

楓の言葉に、私、別に優しくないし、と素っ気なく返すひなた。

「姞婚は?」

 

「女とはいいや。」

 

女とは? と楓はひなたの顔を見て続ける。
「女と女がくっつくから『姞婚』なんだよ。」

 

「昔は糸へんだったらしいし100年前はもっと選択肢があった。」

「100年前は居たかもしれないけど17年前に最後の1人が死んじゃって絶滅したんでしょ。もう選択肢はないよ。」

 

ひなたは前を向いたまま吐き捨てる。
「どんどん減って絶滅危惧種に指定されてもみんなで奪いあって、大勢の人に行き届かないってわかったら、ぶっ壊してでも減らして、大人は本当にバカだっ」

 

「そりゃ独り占めしたいんじゃない?」
楓はそう、素っ気なく答えるとひなたに視線を移す。
「好きな人は…」

 

 

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『負の遺産』

ザザザザザ

 

「っ!!?」
ひなたは草原を何かが移動する音を感じてビクつく。

 

イノシシ? と草原の動いているところを見つめる楓。

 

「しっ! うしろにいてっ」
ひなたは手で制するようして、楓を自身の背後に置く。

 

「つっ!!」
”何か”が近付いてくる恐怖がひなたを襲う。
しかしすぐに楓に松葉杖を貸すように呼びかける。

 

ザザザザザ

 

”何か“が道に、ヒョコ、と姿を現す。

 

「キジだ…」
ほっとした様子で、ひなたは額の汗を拭う。

 

「ひなちゃんカッコイイ。結婚してよ。」

ひなたは楓の揶揄うような言葉に対し、遠慮しとくわ、と答える。

 

「じゃあ『負の遺産』見つけたけど、行かないかぁ」

 

「それは行きますっ!!」
即答するひなた。

 

 

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感想

『姞婚』

一瞬分からなかったけど、『結婚』じゃなくて『姞婚』。

 

男性がいないから、当然ながら結婚するとしたら女同士となる。

 

それがこの世界観における『姞婚』……、改め『姞婚』としているようだ。

 

今回登場した楓はひなたと違って女同士での恋愛を当然のものとして受け入れている。諦めというよりも、ポジティブに楽しんでいるように見えた。ひなたとの会話中の態度からも、ひなたに対して恋愛感情が少なからずあるように見受けられる。
どうやら楓のような態度が、この男性が絶滅した世界における”普通”に近いのだと思う。

 

男性がもういないにも関わらず、異性に対する旺盛な興味を隠そうとしないひなたの方が少数派なのかな。
1話の時にも感じたけど、異性に関して言及しただけで何らかのペナルティを負うような恐るべき社会である可能性もある。

 

ひなたは1話時点で目の下に絆創膏と貼っていた。
それは楓曰く”痴情のもつれ”が原因で、諍いが起こった相手からひっかかれた結果、負った傷らしい。
やられる方であるということは、ひなたは女子生徒からモテるのかなぁ?
楓が”姞婚したい女子全学年3位”とか言ってたし。
嫉妬されて引っかかれたのではないかと思ったんだけど、ただ単に、異性に憧れを持っている事を話てバカにされたから喧嘩になったとかでもおかしくない。

 

この作品は昨今のLGBTの議論の活発化の風潮から、いくらかの着想を得ているような気がするなぁ。
花沢先生の思考実験でもあるのかもしれない。

 

あと、次の項で書くけど、憲法前文に出てきた”国防軍”や”徴兵”といったキーワードも、憲法改正が現実的となってきた昨今の社会状況から、いくらかの影響を受けているように思えてならない。

 

 

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楓

”さん”か”ちゃん”か、ひなたが楓に敬称をどうつけるのかすら定まっていないほど、二人はまだ会って間もないということ?

 

楓がひなたの通う転校してきたか、学年が上がるまで別のクラスだったとか?

 

そもそも彼女は何故、眼帯をして松葉杖をついているのだろう。

 

彼女たちは子供を産まないならば徴兵されるわけで、それをにらんでの訓練で怪我をしたとか?
仮に、女性同士の恋愛のもつれでここまでの傷を負うかな?

 

そのあたりも次号で分かると嬉しいんだが……。

 

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絶滅危惧種

なぜ女性だけが生き残り、男性だけがその数を減らしていったんだろう……。

 

何かその原因となる、とても大きな出来事があったはずだけど、まだそれは明かされない。
気になって仕方ないが、とりあえず今回わかったことをまとめる。

 

今回読者に提示されたのは、日本国憲法の前文に”国家の繁栄のために女性は出産の権利と義務がある”といった内容や、”国防軍”、”徴兵制”というキーワードが入るという、およそ現在の日本からは考えられないような価値観が堂々と謳われているということだった。

 

さらにひなた曰く、男性がどんどん数を減らしていく過程で絶滅危惧種に指定された後も、男性を巡って争いが起こったのだという。そして結局は数を減らしていったというどうしようもなく愚かな歴史の流れがあったらしい。

 

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負の遺産?

なんだかキーワードの響きから、男性だけが絶滅したその根本の理由を推測する材料のひとつになりそう。

 

仮にそれが答えそのものではなくても、読者にだけは”男性が絶滅したことと関係がある”とわかるようなものだったら面白いと思う。それが実現したなら、現代日本に生きる読者と、ひなたたちの常識の違いがより鮮明になるわけだ。

 

しかし『負の遺産』か……。

 

楓とひなたの会話から推測すると、まず『負の遺産』は一つではない可能性が高い。

 

もし『負の遺産』が一つなら、ひなたもそれを知っているはずだから最後のコマのような食いつくよな態度だと違和感がある。

 

なんだろう……。古いエロ本が落ちてたとか?(笑)

 

多分、ひなたがこれだけ食いつくということは、それは異性に関係する何かではないかな?

 

かつて男性が存在した時の何らかの名残の事じゃないかと思うんだけど、それが何なのかは頭が全然働かなくて参った。

 

『負の遺産』とは一体何なのか。次号に期待したい。

以上、たかが黄昏 第4話のネタバレを含む感想と考察でした。

第5話に続きます。

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