たかが黄昏れ第3話の感想(ネタバレ含む)と考察。ドローンによる配給が日常化している世界。

第3話

第2話のあらすじ

団地に到着したひなたは自身の家に入ると玄関で妹が待ち構えていた。

 

ごはんを炊いたという妹に、ひなたはサンキュと感謝を述べる。

 

すると妹は、敵性語! 使っちゃダメじゃん、とひなたにダメ出しをする。

 

しかしひなたは、あんたも中学入ったら習うのよ、と笑う。

 

妹はテーブルにつき、話題を変える。
「お姉ちゃん…本当に高校卒業したら『チョーヘー』行くの?」

 

ひなたは、ん~、と少し長めに間をおき、まあね、と答える。
そして、何? と短く妹の質問の意図を問う。

 

カワイイ妹がひとりぼっちでかわいそうじゃん、と妹。

 

その言葉に、カワイイのいたっけ? とひなたは冗談を返す。

 

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「徴兵は女性の義務。社会の時間で習ったでしょ。」
ひなたは穴ジャコの素揚げを淡々と皿に並べながら答える。

 

「『チョーヘー』ってさぁ、2年以上も行くことあるんでしょ?」
質問を続ける妹。
「でも2人出産したら『チョーヘーメンジュ』なんでしょ。」

 

すかさず、徴兵免除、と訂正するひなた。

 

「そっちにしなよ。あたしも育てるし子供好きよ。」

 

ひなたは、子供が何いってる、とあきれた様子で返す。

 

「お姉ちゃん 都合が悪くなると子供あつかいするの悪いクセだよ。」
ひなたが用意した穴ジャコの素揚げを食べる妹。

 

(大人になるからこそ納得できないんじゃん)

 

ひなたは穴ジャコやマテ貝を獲っていた干潟で、友達を相手に言った自らの言葉を思い出していた。

 

「都合が悪けりゃ自分の立ち位置を変えられる。私ら子供の特権でしょ。」

 

食べたら銭湯行く人? と呼びかけるひなた。
妹が、はーい! と手を上げる。

 

 

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洗面用具一式を持ち、階段を降りる二人。
ひなたは妹におばあちゃんが晩ごはんを食べたかと問いかける。

 

部屋で食べたんじゃない? と妹は興味無さそうに答える。
「あたしおばあちゃんと2人なんて嫌だよ。」

 

ひなたは何も言わない。

 

銭湯”千代の湯”にやってきた二人。

 

暖簾をくぐり、妹がひなたに問いかける。
「お姉ちゃん右と左どっちぃ?」

 

ひなたは、あんたがいないほう、と答える。

 

「45分ね。」
ひなたが番頭のおばさん越しに妹に呼びかける。

 

わかってるよ、と言って、妹は一人頭を洗い始める。
妹は頭を洗いながら、周りの年配の女性たちの体に視線を走らせていた。
そして、うーん、フムフム、などとブツブツ呟く。

 

そして何か分かったような表情になると、なるほど、と一言呟いてみせる。

 

 

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妹は隣の浴場に入ってひなたの元に歩いてく。

 

妹は機を窺いひなたに話しかける。

 

「オバチャンはワキ毛があって、おばあちゃんにはワキ毛がない。そしてお姉ちゃんやあたたしはない。」

 

「以上をかんがみてだな。子供はまだ生えてなくてオバチャンになると生えておばあちゃんになると毛がぬける。」

 

って事であってる? と妹はひなたを見つめる。

 

ひなたは、まあそんなもんじゃない? とだけ答える。

 

 

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あともう一つ、と前置きし、妹は、何で女風呂が2つに別れてんの? とひなたに問いかける。ら

 

「………」

「………」

「………」

 

体を洗っていた年配の女性達がひなたら姉妹に一斉に視線を送る。

 

妹からの問いかけに対し、答えに窮するひなた。

 

その時、同じ湯船に浸かっているオバチャンが、おじょうちゃん、と妹に声をかける。
「あんたお姉ちゃんや友達とケンカするか? するだろ?」

 

まあ、時々、と妹。

 

「そんな時は顔合わせたくないだろ? ないよな?」

 

「えっまあ はい。」

 

「だから2つあんのさっ わかった? がはははっ」

 

妹はオバチャンを見て、少しウンザリしたような表情を浮かべると、そなの? と傍らのひなたに答えの真偽を確認する。

 

大人が言ってんだからそーなんじゃない? と答えるひなた。

 

「う~ん しゃくぜんとしないなあ。」
妹は目を閉じ腕組をする。

 

一方ひなたは、隣の風呂場とこちらの風呂場を隔てる壁を見つめていた。
(私が生まれる前 この壁の向こうに、違う性の人達が、いたんだ。)
そんなことを考えながら、目の下に貼っていた絆創膏を剥がす。

 

番頭の両脇の暖簾には、どちらにも”女湯”と表記されている。

 

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前回、第2話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

第3話

敵襲

手のひらを上に向けた状態の手がある。

 

その中指にはテントウ虫が乗っており、その手を目がけて手を伸ばす。
しかしもう少しで触れそうというところでテントウ虫の乗った手は遠く離れて行ってしまう。

 

目を覚ましたひなた。

 

外からはビイイイイ、とブザーが鳴っている。

 

目元に違和感を覚えた様子で目を軽くこすると、涙が手についている。
自身が寝ている時に泣いていたことに気付く。

 

なり続けるブザー。

 

「敵襲っ!! 敵襲っ!!」

 

二段ベッドの上段から妹が降りてくる。

 

「スリングショット借りるよ。」
引き出しを漁る妹。
ゴーグルを掛けながらひなたに呼びかける。
「お姉ちゃんっ! 戦闘開始だよっ!!」

 

妹はぶっ殺したらぁ!! と叫びながら外に向かう。

 

ひなたはそんな妹の背中に、何匹殺してもいいから窓ガラスは割らないでよ、とだけ声を掛けて、ひとつ大きなあくびをする。

 
 

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外には年配の女性が何人かいる。

 

あるお婆さんは車イスに座っているお婆さんに、配給が来たよ、と声を掛けている。

 

「若葉! カタキを討っておくれ。」
カートを押しながら、ひなたの妹――若葉に声を掛けるお婆さん。

 

「おうっ」
スリングショットを空に向かって引き絞る若葉。
「任せておいてっ!!」

 

ビイイイイ、という音を立てていたのはドローンだった。

 

若葉たち目がけて飛んでいくドローンの下部にはケースがついている。

 
 

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それ目がけてカラスが数羽、並行して飛んでいく。

 

「ホラ、撃って撃って。」
若葉に向かって声を掛ける眼鏡の年配女性。

 

若葉は、わかってるってば、と言いながらスリングショットを空に放つ。

 

弾はカラスの横を通過。
ミスショットを悟り、クソッ、と悪態をつく若葉。

 

しかし直後にカラスに弾がヒットする。

 

若葉が隣を見ると、中年の女性がスリングショットを引き絞っていた。
「よそ見すんなっ、攻撃しなっ!! 配給がダメになんよっ!!」

 

若葉は、はいっ、と素直に返事をし、スリングショットを引く構えをとる。

 
 

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配給物資

ドローン群は無事、女性たちの待っていた地点に降りていく。

 

両手で持ち上げられる程度の小さなコンテナを地面に置き、飛び去って行くドローン。

 

いつもありがとねー、と声を掛けるお婆さん。

 

あたしのどれかしら? と探し回るお婆さんもいる。

 

「ふう。」
自分の分の配給を確保した若葉。
「無事だった…」

 

若葉が傍らでコンテナを確認している年配女性は、卵が割れちゃった、と呟いている。

 
 

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「ただいま。」
コンテナを自分の部屋に持ち帰った若葉。
廊下にコンテナを置き、蓋を開いてひなたと中身を確認する。
「イモ、ニンジン、大根、キャベツ、野菜ばっかり。」

 

「お 干しイモあるじゃん!」
笑顔で呟くひなた。

 

「お姉ちゃん、銃 所持できんの何歳からよ?」

 

ひなたは若葉からの問いかけに、コンテナの中に視線を向けたまま、16歳とかじゃね? と素っ気なく答える。

 

「早く銃持ってカラス皆殺しにしてえ。団地の平和は私が守るっ!!」

 

洗面所で歯磨きをしている若葉。
ひなたに、髪の毛コーンロウにしてよ、と呼びかける。

 

ひなたは若葉の髪の毛を手入れしながら、できるかよ、と突っ込む。
「コーンロウも敵性語でしょ。」

 

知らん、と若葉。

 
 

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登校

外に出た二人。

 

若葉は、行ってくるぜ!! とひなたを置いて駆け出す。

 

「ん。」
セーラー服姿のひなたは手を胸の辺りまで上げて若葉を見送る。
「猪に気をつけてなー」

 

うおおおお、と言いながら駆けていく若葉を背に、なんでガキってむやみに走るんだ? とふと疑問に思うひなた。

 

鞄を開け、一切れ取り出した干しイモを口にする。

 

干しイモを齧りながら道を歩いていく。

 

(学校行くのやだな… 干しイモうまい。)

 
 

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そして、大昔、何かを食べながら走って学校に向かうと曲がり角で違う性の人とぶつかるというフィクションにおけるお約束をふと思い出し、フフ、と笑いながら、ひなたは干しイモを口に咥えて軽快に走り出す。

 

小道を抜け、広い通りに出た所で走るのを止めて、口に咥えていた干しイモを手に持つ。

 

ひなたは左右を見て、通りを確認する。
しかし通りには中年以上の年配女性しかいない。

 

一瞬の間を置いて、はぁー、と長い溜息をつく。

 

「あんた、ボーっとつっ立って大丈夫かい?」

 

お婆さんから声をかけられ、ひなたは笑顔で答える。
「はいっ 大丈夫です。」
そして再び歩き始める。

 

「ふー ガキは私か。」
そう呟き、今度は干しイモを咥えずに再び駆け出す。

 
 

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感想

ドローンで”配給”?

確かamazonがアメリカでドローンを使った配送のテストを行っているとかニュースで見たことがある。

 

簡単に調べてみた所、「Prime Air」と言う30分以内に注文した人に商品を自動で届けるサービスらしい。
ドローン配給なんてかなり未来の話かなと思ったけど、実はそうでもないらしい。

 

ドローンでの配給が日常生活に完全に根付いている事から、ひなた達が生きている世界が未来の日本であることは間違いないようだ。

 

しかしそれよりも、何故”配給”という名目で食料が配布されているのかが名言されていないので分からない。

 

やはりどこかの国と戦争状態だから、戦地に物資を送る為に小売に制限がかかっているということなのだろうか。

 
 

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商店街に往来があり、店も開いているようだけど、最低限飢えないようにという意味での配給なのかな……。
よく考えればひなたは若葉とあと祖母の3人で暮らしているようだから、生活費がどこから出ているのか不明なんだよな。そういう生活環境だから配給対象になっているだけなのか?
そういえば、ひなたの親の年代となるであろう40代くらいの人物をまだ見ていないような気がする。
というか、そもそも20代~40代くらいの人間がまだ描写されていないような……。1話冒頭で登場した女子高生3人と若葉を覗けば、今のところ登場するのが年配の女性ばかり……。

 

次の話は恐らく学校だろうし、それでこの世界がどんな状況なのかがもう少し分かるようになるのかな。
先生が年配の女性ばかりであれば、いよいよこの世界の歪みが深刻だということになるだろう。

 

男性がおらず、女性も日常生活をしているのは10代と、あとは60代以降ばかり。

 

他の年代の女性は皆、戦地とか? ディストピアだ……。

 
 

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フラグネタが”大昔”?

朝、食パンを咥えて急いで目的地に向かう女性が、その後、恋愛関係になる対象の男性とぶつかるというのはいわゆるフィクションにおける有名なフラグの一種。
今となってはメタ的にネタ化された使い方が主だが、少しフォーマットを改造して使われているケースも多々見受けられる、個人的にはかなり汎用性の高い技法だと感じている。

 

ひなたはそれをフラグの一種だと知っているが、それが”大昔”に存在したものと認識しているようだ。

 

”大昔”の定義は文脈によっていくらでも変わる為、それが具体的には何年前のことを指しているかは分からない。

 

この世界では、そういうフラグ手法を用いたフィクションが新しく生まれなくなっているのかな。フィクション自体の生産量が低下している?
過去の資産としては残っているが、新しい作品は全く生まれていないか、もしくはあったとしても少ないとか。
男性がいなくなったことと関係が無いわけがない。戦争状態であることと合わせて人々にフィクションに割く労力が無くなったとか?

 
 

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銃所持は16歳から

銃刀法は大幅に緩和されているということか。
撤廃に近い状態なのかもしれない。

 

現実の日本との違いをかなり感じる。
それだけ何か切羽詰まった状況があるということなのか。

 

1話から見ている限りでは、人々の日常生活は別に暗いわけでもなさそうなんだけどなー。

 

何か憲兵のような存在がいて、厳しく取り締まっているような様子も全く見受けられないし。

 

ただ、今後そういう存在が出てくる可能性はゼロではないかもしれない。
1話でマテ貝で男を連想をしたひなたに犯罪だと呼びかけていた事が引っかかっているんだよなあ。

 

最初読んだときはふざけて言ってるだけなのかと思ったけど、ここまで読んできて、男に関する話題が制限されているような印象を受ける。
それが法律によってなのか、それとも年配の女性たちの中で触れないようになっていっただけなのかわからないけど……。

 
 

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徴兵制度もあるようだし、やはりきな臭い時代なのかな。

 

今後どういう話になっていくのかなー。まだまだストーリーを転がすというよりも世界観を読者に提示している段階みたいだし、色々と今後の展開を想像してしまう。

 

映画フルメタルジャケットのようにまずは軍で訓練に励み、戦地に出て戦うようになるのか。
戦争はあくまで時代背景に過ぎず、女性しかいなくなった謎を解いていくような話になるのか。
それとも実は絶滅していなかった男を求める旅にでも出るのか。

 

以上、たかが黄昏第3話のネタバレを含む感想と考察でした。

 

第4話に続きます。

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